ーー陳留郊外ーー
side:一刀
先の戦の終結後、一旦、体制を調えるために陳留へと帰ってきた
最近は軍師の桂花が加わったことで前ほど忙しくなく、こうして自由な時間が多くできたこともあって
「よう、久しぶりだな華琳。大体、半年振りかな?」
俺はこの町の景色が一望できる小高い丘の上に来ていた
そばには大きな樹がありその近くに座っている
特になにをするまでもなく、ただじっと陳留の景色を眺めて会っていなかった日に起きた事をただの独り言として言う
そのせいかも知れないが風が静かに吹き付け、葉のざわめきの音はまるで彼女が笑っているかのようにも思える……だから俺は独り言を言い続けていた
「までもごめんな。まだ春蘭達にお前の事を話すのは早いかも知れないけど」
けど話すにつれ、つい最近の凪と出会った日々を話した
「……春蘭と秋蘭にはお前の事を「二人の心に余裕が出来たら真実を話しなさい」って言われて、俺は約束をしたよな。けどさ、さっき言った凪と出会って本当にそれまで言わなくていいのかなって思ったんだよな」
その瞬間、周りの風が止み……空気が張り詰めた気がした
「……やっぱり、まだ言わない方が春蘭達の為だと言うことか……まぁそうだよな」
「分かったよ。まだしばらくは黙っておく…三点n変な事を言って悪かったな」
俺の返事の後には何も返ってこなく……しばらくはこの穏やかな時間をゆっくりと過ごした……
ーー城、王座の間ーー
俺が城に戻ると、門番から王座に来るようにと桂花から連絡があった
「みんな集まってどうした?」
王座の間に入ると……季衣がいきなり抱き付き、予想外の報告を言った
「一刀様!、聞いて聞いて、ついに張角の正体が分かったんだ!!」
「!?本当なのか季衣」
「うん、でも詳しい事は桂花に聞いてね~」
そこまで季衣が言うと俺から離れて春蘭の隣に移動した
(……春蘭や秋蘭に凪までいるのか……どうやら本当のようだな)
「……桂花、どういうことか説明してくれるか?」
「はい、先ずは一刀様も知っての通り、最近連中の中には将校崩れなど、ある程度の武や軍略の知識を持つものまで現れて…手ごわくもなっていますが……凪」
「一刀様……これを見て下さい」
季衣からバトンタッチをされた桂花が説明すると凪が俺に一枚の紙を渡し、読めというので読んでみた
余談だが新入りの凪には町の警備と新兵の訓練をしてもらっている
「えっと……張三姉妹の次の講演は3日後、会員は後述の場所に全員集まれ……か、これは何かの連絡文書か?」
「はい、お察しの通り、それは黄巾党の物です」
(厄介だな。最近の黄巾党には読み書きまでできる奴がいるのか)
「それでその指定された場所に斥候出してたら……数万という数の黄巾党が集まってなにやら中央には張三姉妹と思われる者達を取り囲んで、賊は異様な奇声を上げていたとの報告がありました。恐らく、士気高揚の為ではないかと……あの一刀様、大丈夫ですか!?」
(昔っからここの常識には疑問があったけどライブまであんのかよ……俺は本当に三国志の世界にタイムスリップしてるよな?)
などと下らない事を考えてると桂花が心配そうな声で俺を呼んでいたので現実に戻った
「ああ、平気だよ。ただこの世界の常識に疑問を持っただけさ」
「?……ならいいんですが。それでこの近くに賊のものと思われる食糧と装備があったので……ここが奴らの本陣ではないかと。」
「そうか……ならようやくカタが付けけそうだな……それもこれも凪のお手柄だな。」
そう言って凪の頭を撫でると恥ずかしそうに顔赤らめた
(しかし、そんなに照れなくても……もしかして、この時代の奴らは頭撫でられるのが好きなのか?……華琳もそうだったし)
「は、はい、ありがとうございます///」
「なら皆に支持を与えておいてくれ、黄巾党を殲滅するための準備を怠るなと」
皆、それぞれの準備で散り散りに去っていったが……春蘭だけが何故か俺を見つめていた
「春蘭、ぼけっとしてないで軍の準備をしろ……て、お前大丈夫か?」
もしかして具合が悪いのかと思い、近付いていったら
「……はっ!?な……ななななななんでもないーーーー!!」
春蘭の叫びとともに俺の鳩尾に思いっきり拳を突き立て、すぐさま走り去っていった
「ぐふっ!?……な、何なんだ。春蘭のやつ」
俺が意味も分からず悶絶してると隣にいた秋蘭が話しかけてきた……心底楽しそうな顔で……
「ふふっ姉者は寂しいのだよ……一刀が最近、他の子とばかり構ってるからさ……私もだぞ?」
あの春蘭が?……とかなんとか考えてる内に急に秋蘭が抱きついてきた。
「秋蘭、お前までどうしたんだ?」
「一刀、なにを思い詰めてるのかは知らんが、今のお前はまるで以前の私や姉者のようだぞ?……私達では頼りにならないか?」
「……そんな事はないよ。俺なら大丈夫だ「嘘だな?」………………すまない」
今でも俺の顔を見つめ「真実を話さないと許さない」という強い意志を込めた目をしてるが……やはり、心なしか不安そうにも見える……
(やっぱり、秋蘭にはごまかしは通用しないなか……けど、今は……)
「……ごめんな、秋蘭……今はまだ本当のことは言えない」
「……っ……何故だ?……一刀。」
今、ここであの事を……あの日の真実を話すことなど、こんな不安定な精神の秋蘭に話したら恐らく耐える事なんてできないだろう
それに今もこれだけのことで酷く裏切られたかのような顔をしているから尚更だ
「この戦乱の世が終わり、平和が訪れたときに春蘭も含めて言うよ。華琳の真実をな」
「!華琳様の真実だと?それは一刀、私たち姉妹には今すぐ話すことはできないのか?」
「本当ならすぐにでも言いたかった……でも華琳にな、ずっと言うなと言われたままで、まぁなんとなく華琳が駄目だと言った理由も分かってる」
(こんな静かで気まずい空気は久しぶりだ……この程度の言い訳は通用するわけがない……結局、俺は最低なままか)
「……分かった。そこまで言うならその日まで待とう……私は一刀を信じてるからな」
そう言うと秋蘭はより強く俺を抱き締め、顔を上げて、それからお互いに引き寄せられるかのように
「一刀……さっきはすまな……って!?……なんで秋蘭が一刀と!?」
あいも変わらず、空気が読めない春蘭の登場で先程の空気は霧散し、当の本人は口をパクパクさせ、秋蘭はかなり機嫌悪そうに……そして俺はやばいの文字しか頭に出てこない
「……姉者、頼むから空気を呼んでくれ。せっかく今から私が一刀を頂いておこうと思ったのに」
(秋蘭さん!火に油をそそぐのは止めてくれよ!?)
「……一刀……ぅぅ……死ねぇぇーーーーー!!」
そして「なぜ?」という疑問が俺の頭に浮かぶと共に……出来れば皆との関係を壊したくない……と思ったが……春蘭にトドメとなる一撃により俺は完全に潰され、前と似たような感じで俺は気絶させられた
ーーとある荒野ーー
「ねぇ~お腹空いたよぉ~ご飯まだぁぁ?」
「人和……まだお風呂に入っちゃいけないの……?」
「何度も言うけどもうそんな余裕はないの。少しは我慢して」
「でも、もうお姉ちゃん。限界だよ~」
「もう嫌よ!何でちぃ達がこんな目に合うの!?」
「はぁ~もう姉さん達は黙ってて……話がややこしくなる……」