色々と事情が重なって放置気味なってしまい申し訳ありませんでした
ーーとある荒野ーー
side:一刀
俺達は勢力が膨れ上がっていく黄巾党に対抗できるために自らの陣営の戦力確保等を重点に置きながら来るべき戦いに向け、準備を進めていた
そして軍の拡大も安定した頃、ようやく今まで誰も正体を掴めることが出来なかった黄巾党の党首、張角の所在を突き止め、今まさにその戦場となり得る荒野へ赴いていた
「さっき外を見ましたけど、なんかすっごい人数ですね。何人くらいいるのかなぁ?」
「そうだな報告通りの数ならざっと二十万はくだらないだろうな」
「へぇ~二十万か~……って、えぇ!?二十万!!僕達一万ぐらいしかいませんよ!?」
秋蘭の二十万という数字に少し季衣は頭で考えたあと、俺たちとの戦力差に気づいたらしく、慌て始めた
「ふん、しょせんは雑魚共だろ?そのくらいおらんと相手にならん!」
あいも変わらず戦闘狂の春蘭はこの状況を楽しんでいるようだ
「それで桂花、敵は二十万と言ってもほとんどがいるだけなんだろ。実際はどのくらいが相手のまともな戦力なんだ?」
「そうですね。多く見積もっても三万くらいが限度だと思います」
桂花が実際の見積もりを言うと心なしかげんなりした顔で春蘭が桂花に聞いてきた
「な、何故だ?」
「はぁ~あんたのような敵の状況もまともに分かってない馬鹿のために今からちゃんと説明してあげるわよ」
桂花、俺以外に毒を不用意にばらまくのは止めてくれ……と毎回、もう少し抑えてくれたら完璧なのになとつい思ってしまう
そしてもはや、近頃のお約束と成りつつある春蘭が桂花に突っかかることが
「桂花、それはどういう意味だ!それではまるで私が周りの状況も読めないただの突撃するのが取り柄の猪武者ではないかぁっ!!」
「……春蘭」
「……は?」
「……姉者」
「……」
「……にゃ?」
季衣を覗き、俺を含む皆は「今更気付いたのか」という驚き半分、呆れ半分の顔をして目をそらしてる
なんて不憫な子なんだ春蘭は……
「な、何故そこで皆黙るのだ。そうだ季衣!!お前はそうは思わないよなぁっ?!」
涙目で最後の希望(春蘭にとって)季衣に凄い形相で訴えたが
「え、はい、春蘭様のいつも考えなしで突進する姿も僕はカッコいいと思いますよ?」
ある意味空気を読んだ屈託のない無邪気な笑顔で見事に春蘭にトドメをさし、同時に春蘭は精神は崩壊したみたいだ
「う、うわぁぁぁんーー私だって、私だって毎回毎回、突進だけしたい訳じゃないんだぞ……ただ敵を見るとそういう気持ちを抑えられないんだぁぁ……うぅ……」
「あはは!それまんま猪そのものじゃない、それがわかっているならもう一刀様に近づかないことね。迷惑だから。ほら一刀様に「今まで迷惑かけてすみませんでした。これからはただの猪として生きて逝きます」って言いなさいよ」
「……ぅぅ……だ、だまれ……桂花……」
はぁ~これ以上、ほっといたらホントに春蘭が暴走しそうな勢いなので、俺は桂花の頭を小突き、春蘭を慰め始めた
「あぅ一刀様ぁ~」
どうしてそこで顔赤らめるんだ。そんなに強く叩いて無かったはずだが……まさかな
「桂花、もうそれくらいにしておけよそれに春蘭。たしか前にも言ったがお前は俺の大切な奴だし、俺にはお前が必要だ。だから自信をもて、お前には俺がそばにいてやる、な?」
「ひっくぅぅぅ~か、かずと……ぅぁぁぁーかずとぉぉーー大好きだぁぁぁー!!」
ちょっと今回は全員からの責め?のせいか喜びの余り、春蘭は愛の言葉とともに叫びながら今まで見たこともないスピードで突進してきた
「やばい」
本能的にサッと避けてしまった
「ぐぁぁあぁあぁ!!?」
「はっ!しまったぁっ」
「姉者ぁぁぁーーー!!」
「春蘭様ぁ~」
「フフッ、いい気味ね」
「一刀様、最低です」
俺の現在用いる神経をフル活動させ、春蘭のハグ(突進)を全力で避けてしまった。勿論、猪突猛進の言葉通り春蘭は勢いを止めきれず天幕を突き破り、飛び出てしまった
そのあとを追う秋蘭と季衣は春蘭の安否を確認しに外に飛び出し、桂花は不適に笑い、凪には軽蔑されてしまったようだ
ごめんな春蘭。避けたのはわざとじゃないんだ。でも、あんなの誰だって避けてしまうさ
ーーーー
「さて、気を取り直して作戦を改めて桂花に説明させてもらうぞ」
「うにゃぁん……一刀ぉ……」
「は、はい、先ずは秋蘭に先発隊を率いてもらうわよ。その先発隊で敵の食糧に火をかけて……春蘭、季衣率いる本体で相手の混乱に乗じて一気に瓦解させて頂戴……いいわね!!」
「了解した」
「分かったよ!」
今の状況を簡単に説明すると、春蘭の突進もとい愛情表現をよけたばかりに手のつけらない暴れん坊となり、仕方なく望みを聞いたところ、急に真っ赤になり小声でボソボソとよく聴こえなかったから秋蘭に代弁してもらい、聞いてみたら、会議が終わるまで膝枕しながら頭を撫でて欲しいらしいと言うので、今の状況が完成しているわけだ
それにしてもこうしてるとまんま猫だよな
「凪、お前には張三姉妹を捕らえて貰いたいが、やれるか?」
「はい、そのくらいお安いご用です。」
「さて、じゃあそろそろ行くか」
俺は凪に指示した後、春蘭をどかし、天幕を出て、すでに準備が出来てる軍に渇を入れた
「聞け!我が軍の精鋭達よ。今こそこの大陸に猛威を振るった獣も今は肥え太り、動きのとれなくなった脆獣へと変わり果てた!!今こそあの愚かな賊共を討つ時だ!あいつらにはもはや今までのような手強さは残っていない。全力で叩き潰せ!!」
『ウォォォォーー』
ーーーー
「で……君らが張三姉妹か?」
戦は予想以上にあっさりと終結をした。先ずは秋蘭の部隊にによる火計、その後いつも以上に気合いの入っている春蘭、季衣の本隊による攻撃
どれも敵は混乱するだけで主犯の張三姉妹が必死に逃走していた所を凪が発見したところを捕らえて、現在に至る
「そうよ、文句あるわけ?!」
いきなり張三姉妹の一人が突っかかってきたが構わず俺はつづけた
「見たところただの一般人のようだがどうしてこんな事をし始めたんだ?」
すると紫色の髪の子がため息混じりで説明した
「えっと色々事情が有りすぎて、気が付いたら、これみたいに手のつけられないことになっていたのよ」
「だったら、その事情とやらはなんだ?」
「はん、どうせ聞くだけ聞いたら、バッサリと斬る気でしょう! 私達に討伐指令が出てるの知ってるんだから!!」
あの張宝とかいう奴はよく喋るな。自分たちに人質になっている今の状況が分かってないみたいだな?
「その事に関してだが、お前勘違いしてないか?俺はお前達を殺す気はないし、朝廷に突き出す気もない。第一、お前達の正体を知ってるのは俺達だけだ」
「え、それってどういう事?」
張宝と張角が分からないといった顔してるので俺は桂花に例の世の中に広まっている張角の特徴を言わせた
「あれ~なんか変だよ」
「うわっなにこれ」
「……」
案の定、三姉妹内二人はショックは受け、もう一人の張梁は知っていたようだ。
「それで殺す気がないなら私達をどうする気?」
「単純に君たちが起こした黄巾党。あれだけの規模の人間を集める求心力はたいしたものだなって、思ったからさ。つまり俺の軍の徴兵や士気向上に手を貸せってことだ」
「私たちがそれに応じる見返りは?」
「俺達の領地なら自由に活動できるようにしてやるよ。それにもちろんそれに見合う活動資金も与える……でどうだ?」
「え、それって今まで通りに歌っていいって事?」
「ちょっと姉さん、私達はこいつの言いように利用されるって事よ!!私はまだ」
張宝自身は納得してないようで騙されまいとそこまで言ったところで俺は自分の愛刀に持ち、そして張宝のスッと首もとに突き付けた
「そうか、だったら殺すしかないな。今回みたいに制御できないあの求心力は危険だからな」
「ひっ」
怯えるだけで返事はなしか、しょうがないな
急に訪れた命の危険に怯えるだけでそれ以外の反応もない張宝を見限り、構えていた刀で斬ろうとしたとき紫髪の娘が声を張り上げて
「まって!それって要するにそれは興行主になってくれると言う事よね?」
「ああ、まぁ簡単に言ったらそうだな。で、どうするこの話しに乗るか?」
「ええ、有り難く受けさせて貰うわ」
すると、さっきまで動けなかった張宝が勝手に了承したのを不満に思ったのか、反論し始めた
「ちょっと人和、私はこんな奴の下で働く気なんて」
「ちぃ姉さん、条件さえ飲めば本来、討伐指令の出てる私達を殺さないと約束するだけでなく資金も与えて来るというのよ。私達から見ればかなり破格の条件だと思う」
「それはそうだけど……」
「えっと北郷、あなたはこれからも領地を広げてくれるのよね?」
「当然だ。俺の目的は大陸を一つに統一し、戦乱の世を終わらせることだ。そのためにも君達、三姉妹には強力して貰うつもりだよ」
そこまで俺が言うと満足そうに笑って、二人の姉妹に言った
「姉さん達、この人に付けば私達の夢を叶えられると思うの。だからいいわよね?」
「お姉ちゃんは難しいことはよく分かんないから、人和ちゃんが決めたことならそれでいいよ~」
「はぁ~分かったわよ。どうせ私も賛成しなきゃダメなんでしょ?」
二人の了解を得て、再び俺の方を向いて三人からは服従の証として真名を授けられた
それと同時にこの瞬間、黄巾党は壊滅し、大陸全土には張角は炎の中で燃え尽きて死んだと言うことが噂を流させ、黄巾の乱は終結した
後日、陳留に戻った俺たちに今回の功績を讃え、俺に官位と荊州を与えるという”ただ”それだけの為に朝廷からの使者が来た
勿論、予定した宴会は中止になったのは言うまでもない
黄巾党編・完