真・ 恋姫†無双~覇王の意志を継ぎし者~   作:ラクニン

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暴言軍師

ーー数時間前、北郷一刀の部屋ーー

 

Side:一刀

 

「……秋蘭が持ってきてくれた資料を確認するか」

 

秋蘭が出ていく前に机に置いてくれた資料を手に取り確認してみるとその内容に驚愕した

 

(なんだこれは……明らかに当初の予定よりも糧食の量が少なすぎる……でも秋蘭も一応、確認はしてる筈……ということはこれをあえて俺に渡したのか?……)

 

「……誰かいるか?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

近くにいた護衛の一人を呼び、資料を作成した奴を連れてくるように命じた

 

「この兵糧の資料を作成した担当者をここに連れてきてくれないか?」

 

「了解しました、しばしお待ち下さい」

 

(……別に走って行かなくてもいいのに……あいつ絶対春蘭の元で働いてるな)

 

俺はそんなどうでもいいことを考えながら春蘭によって無惨に破壊されたドアを見て溜め息をつき、終わりの見えない政務を続けることにした

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

「北郷様、連れて来ました」

 

「おっ、ありがとう。ご苦労さん」

 

「いえ、では自分は警備に戻ります」

 

と言って護衛とすれ違いになるように小柄な女が入ってきた

 

「失礼します。北郷様、お呼びでしょう……か……?」

 

(……思ってたのよりちっさいな、まぁ見た目で判断するのはやめよう。まぁ華琳も似たようなもんだったし……)

 

「俺がお前を呼んだのは理解してるよな、糧食の件だと言うことは?」

 

「……」

 

「……別にそんなに気構えなくていいよ」

 

最初の言い方が不味かったのか目の前の娘は緊張して固まってるように見えたので、リラックスしていいように言ったが……

 

「…………」

 

(どうしたんだこの娘は?なんか反応がないまま固まってるし、覇気は抑えてるはず……だよな)

 

「あの、黙ったままだと分からないんだけど?」

 

(ハッ!もしかして、「申し訳ありません!間違いました!」とかいうパターンか?……いやそれはないな、もしそれなら秋蘭がその場で注意してるはずだしな……)

 

などと考えていた俺だが、ようやく口を開いた娘からは予想もしない返事がきた

 

「あ、あんたが……あの北郷様なの?」

 

(!?い、いきなりタメ口に……俺舐められてるのか?……っていうかなんだこの妙に嫌な寒気は……)

 

「えっと、そうだ……一応、この陳留を治めてる、北郷は俺だけど……それがどうかしたのか?」

 

それを聞いた瞬間、彼女の顔は一気に真っ青になり何か絶望したような酷い顔になってしまった

 

「う、嘘よ!だって、北郷一刀という御方は、天性の武の才を持ち、その圧倒的な力で生み出される剣技は他の追随を許さず、政治の面でもその豊富かつ斬新な知識から誰も考えつかない、まったく新しい政策をいくつも出し、全てに置いて結果を残す非の打ち所がない、まさに完璧超人と言わざるを得ない能力を持ちつつも……」

 

(……なんか噂が一人歩き過ぎてないか?……というより前半は春蘭と秋蘭のことだろどう考えても……)

 

別の意味で呆れている俺にお構いなしで喋り続ける目の前の担当者

 

「その姿はまるで漆黒の翼のような黒く美しい髪を持ち、剣を振るい戦場の血の雨の中で飛び回る姿はまるで血涙の”美女”と言われてるのよ!!アンタみたいな、下劣で嫌らしい上に変態の女ったらしみたいな顔をしてる男が北郷様なわけないじゃない!!さぁさっさと本人出しなさいよ!!」

 

(て……えぇぇぇぇ!!?なんじゃそりゃぁぁ!!俺が美女扱いになってるうえにこの娘からなんでボロクソ言われなきゃなんねぇんだ!!……なんなんだこのやりきれない気持ちは……いかん落ち着け俺、まずは誤解を解くのが先決だ)

 

「いや、だからな俺が北郷一刀、でその噂は俺と春……夏候惇将軍と夏候淵将軍が合わさってると思っ……」

 

バシィィ!!

 

俺が何とか説得しようと思い近づいたら、もの凄い速さで俺の手を弾き飛ばした

 

「触んないでよ!!孕んじゃうでしょ……ハッ!ま、まさか本当は北郷様を餌にして私をおびき寄せて犯す気ね!?この変態最悪最低全身精液男!!」

 

(なんつぅ罵声だ!?普通の女が使う言葉じゃなねぇ!!早く誤解を解かねばまた死亡フラグが……)

 

「ち、違う!?いいから俺の話を聞けって……あっ……」

 

俺はこの時、失念していた……なぜならここ数日仕事が忙しくまともに寝ていないうえに体も動かしてない状態で混乱してる俺が急に動いても体はついて行くわけがない。結果、駆け寄ろうとした瞬間に情けなく膝から崩れてしまい、目の前の娘と一緒に……

 

バターン……

 

「…………」

 

「えっと…その……ごめん、いまのはふK………」

 

「キ……」

 

「キ?」

 

「キャァァァァァァアァァァアァ!!!!!!」

 

ドドドドォォォォ……

 

(ぐぁぁ耳がぁ……こんな近くで叫ぶな、頭が割れ……!!……こ、この力強い走る音はまさか春蘭!?)

 

「かずとぉぉぉ!!無事かぁ!?何があった!?お前まで居なくなられたら私は……一刀?」

 

(ああ、春蘭、お前は本当に優しい奴だな。俺の為に涙を流してまで心配してくれるなんて……けどさ、このタイミングは悪すぎるよ……だって俺はこの娘を襲ってるようにしかお前には見えないもんな春蘭?)

 

目の前の娘は声も出ない状況で、春蘭はブルブルと震え、俺は恐怖で声も発せない……もし後一つ何かアクションが起こればその時に俺は終わる気がした

 

「一刀……お前、何をしてる?」

 

(最後のアクション?秋蘭まで来ちゃったか。さて、どうしようか……ひとまず逃げた方が…… )

 

ガシッ……

 

「一刀、どこに行くつもりなのだ?」

 

「私達姉妹には説明は無しなのか?」

 

「分かりました。説明するの放して下さい」

 

それから俺は3人の誤解を解くのに春蘭から話す度にボコボコに殺られながらだったので一刻は要した

 

 

 

 

 

ーー一刻後ーー

 

「つまり、お前は一刀の事を噂通りの美女だと思い、実際は男だったために取り乱したと?」

 

「……そうよ//」

 

彼女は荀彧、字は文若というあの三国志に出てくる王佐の才で有名な曹操の軍師だ……また女だとは知らなかったが……因みに俺が領主だとは一応、理解してくれた

 

「それでそろそろ糧食の件ついて話を聞きたいんだけど……」

 

「いや、近付かないでよ、この全身欲情下劣男!!」

 

(いや、ほんの少し近づいただけだろ……しかし、立場も関係なしにここまで暴言を吐けるなんてある意味すごいな……)

 

「貴様、さっきから黙って聞いてれば一刀が動くたびに罵りおって!!」

 

「落ち着け姉者、気持ちは分からんでもないが、一刀が普段でいいと言ったのだから我慢しろ」

 

「一つだけいいかしら?」

 

俺に出来るだけ離れている荀彧が俺を見ずに秋蘭に質問した

 

「……なんだ?」

 

「どうして、あのは……………北郷がアナタ達の主なわけ?どうみたって夏候淵、アナタの方が適任でしょ?」

 

(その微妙な間はなんだ!?そこまで男嫌いか!?)

 

「ふむ、まぁそれは簡単な話だ。一刀には私達姉妹にはないものを持ってることと、前任の曹操様の御意志だ。もっとも後者はきっかけだがな」

 

「はっ、この男が持ってるものといえば汚い汚物だけでしょ!?こんな私でも襲うような孕せ男を選ぶ曹操ってやつも大したことないんじゃない?」

 

(まだ、そっちの誤解が解けてなかった!?……って春蘭、あいつ何をする気だ!!)

 

突然、荀彧に切りかかろうとする春蘭の前に立ち、手首を掴んで振り降ろそうとする剣を止めた

 

「おい、春蘭いい加減に落ち着ついたらどうだ?たかが罵声だ。いちいち気にするな」

 

だが、俺の言葉は華琳のことを馬鹿にされた怒りで春蘭にはもう届かなかった

 

「お前が気にせんでも私が気にするのだ!!もう我慢できん、あいつをたたっ切ってやる!!」

 

「だから、それはいくらなんでも不味いって……秋蘭からもなんか言ってくれって……秋蘭!?」

 

「悪いが一刀、私も姉者には同感だ、ここまでお前や華琳様の事を悪く言われ続けたら私だって感情的になるさ……」

 

そして誰もが恐怖するようなフフという笑いをする秋蘭

 

(二人がそこまで俺や華琳の事を想ってくれるのは嬉しいけど、いくらなんでもこの王佐の才を殺すのは惜しい……なんとか説得して余所の国に行かせないようにしないと……骨が折れそうだがな)

 

「二人とも武器は下ろせ、それにまだ話も聞いてないし、な?」

 

「アンタみたいな全身変態男に話すことなんてないわよ!」

 

俺が説得しているにも関わらず、荀彧の全く空気の読めない発言によりで夏候姉妹は完全にキレた

 

「ほう、どうやら命はいらないらしい、なぁ姉者?」

 

「任せておけ秋蘭。今すぐにでもこいつを斬り伏せてやろう」

 

「やれるもんならやってみなさいよ……この猪姉妹!!」

 

一向に治まる気配がなくただ悪化するこの状況についに俺もキレてしまった

 

「全員黙れーーーー!!!」

 

「か、一刀?」

 

「…ぁ……な、何よ……これ……?」

 

(はぁ~また覇気使っちまったな。これ使うと暫くなぜか春蘭が純情になるんだよな……それに荀彧は武将じゃないから耐えきれてないな)

 

「さて、雑談はこれくらいにして、荀彧。糧食の件を今度こそ説明してもらおうか?」

 

俺は有無を言わせず、荀彧に本題を追求した

 

「ぇ!……あ……はい……」

 

(まぁ、こんな無茶な糧食の案を作ったんだ。それに関しては最後まで働いてもらわないとな)

 

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