※刀剣破壊要素がありますので、苦手な方はご注意ください
初掲載はPixivです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16249179
彼岸の頃――二十四節季で言う秋分はとっくに終わってしまったが、秋晴れのよい天気が続く中、彼岸花の開花時期はまだまだ続いていた。
「主さん! はいこれっ! 遠征先で見つけてきたよー!」
「オレもオレも! 資材も拾ったんだぜ! エラいだろ!」
「えらいえらい。ありがとね、みんな」
縁側に座って日を浴びる主・
猫のように主の膝に頭を乗っけて、太陽に輝く金の長い髪を主の手に弄ばれているのは、
そして、その主の隣に座って得意げに足をぶらつかせているのは、赤いつんと立った髪に鼻の上の絆創膏が特徴的な短刀、
「おい、貴様ら。主は最近部屋から出られるようになったばっかりなんだ。あんまり長時間話をして疲れさせるな。さっさと部屋で着替えて風呂でも入って来い」
「長谷部さんは過保護だよ~。たまには太陽の光でも浴びた方がいいよねっ、主さん」
「そうだぞ! オレらとチャンバラしてたら、びょーきの事なんかすぐ忘れちゃうって」
「なっ……! そんな激しい運動を主にさせてたまるか!」
主を案じて口を出す長谷部にぶーぶー反抗しながらも、立ち上がって本丸の廊下を駆けていく短刀たち。
「おい、走るな! 掃除したばかりの廊下に埃が立つ! 汚れたら明日の掃除当番はお前たちの担当だからな!」
「え~~? ここを通る刀はボク達だけじゃないでしょ。さっき出陣から帰って来た子達も一緒に通ってたじゃない」
「主お世話係は不公平だって、みんなに言いつけるぞ!」
まったく今日も賑やかだと、口は出さずにその様子を並んで見守っていた山姥切の隣で、不意に主が、視線を廊下の奥に向ける気配がした。
(……?)
怪訝に思ってそれとなく盗み見れば、長谷部にあっかんべをする愛染国俊を見つめる主の目に、何とも言えない光が宿っていた。
いつものように愛しい刀を見つめる目に、どことなく寂しげで哀しい、何かを震えながら堪えているような色を感じる。
それを不思議に思っていると、見られている愛染国俊も、突き当りの扉を開けようとしながら、きょとんと主を見返していた。
「? 主さん、オレの顔になんかついてっか?」
「あ、う、ううん。なんでもないの」
「あ。はっはぁ~、さてはこれだな」
言うが早いが、愛染は長谷部が止める間もなく、全力ダッシュしてその背中を跳び箱のように跳躍力で飛び越えると、だだっと大きな音を立てながら主の傍に着地する。瞬きひとつ分ほどの間の、俊敏な動作だった。
「あんの野郎、本丸を壊す気か……!」
「まあまあ、長谷部さん……! 国俊のやんちゃなんて、今に始まったことじゃないし!」
怒り心頭の長谷部をなんとか乱が宥めているのを背景に、愛染が主の前へ、後ろのポケットからさっと風車を差し出す。
「ハイ、これ!」
「え……」
「お土産にって、帰り道に買って来たんだ。ホントは着替えてから主さんに渡しに行こうって思ったけど、あんまりじっと見てんだもん。これが欲しかったんだろ? オレが隠してたもんを目ざとく気付くなんて、さっすが主さんだな!」
赤と青の風車が、微かな秋風に揺れる。
手に受け取ったムラサキは、息を飲んで愛染を見つめ――その瞳が、喜びというよりは、やはり切なさと泣き出しそうな色に染まっているように、傍に居る山姥切には感じられた。
「……ごめんね。ありがとう」
「……??? なんで主さんが謝んだよ?」
「あっ、そっ、そうだよね。私ってば変なことばっかり……こういう時はありがとうだよね。ありがと。私のためにって考えてくれて、すごく嬉しい」
「へっへへ、驚かせるのは失敗したけど、ちゃんと渡したかんな! これで、さっさと元気になってくれよ」
何度も頷いて、誇らしげな愛染の頭を撫でる主の目に、さっきまでの切実な感情はもう読み取れなかったが、優しさの中にどこかちりちりと胸が痛くなるような、そんな複雑な思いを感じるのは、自分の気のせいだろうか。
山姥切はそう思って首を捻りながらも、その場で主に尋ねるようなことはせず、皆と共に本丸の母屋へと引き返した。
*****
その日の夕方。
陽が落ち、風が冷たくなり始めた頃になってもまだ部屋に戻らない主を案じて、山姥切は敷地の一階を歩き回っていた。
いつもこういう役目は長谷部が担うことが多いのだが、あいにく別の任務で立て込んでいる。
なんで俺が……と文句は垂れつつも、しっかり主を探してくれる山姥切が、外に面する廊下の角を曲がって、裏庭のあたりに差し掛かった時だった。
(あれは主か?)
この本丸には幾つかの庭があるが、裏庭は狭く遊びに向かないので、誰かが立ち入ることは少ない。そんな生垣の茂る庭の片隅で、気を付けていないと見逃してしまいそうなほど、ちんまりと背を丸めた影が蹲っていた。
土についてしまいそうなほど、袖と裾の余った羽織り。汚れるぞ、と声を掛けようとして、山姥切はふと声を押し止める。
しゃがみこむ主の前に、大きめの石のようなものが置かれている。岩と呼ぶには小さすぎるが、石と呼ぶにはかなり目立つ大きさのものだ。その傍に置かれた瓶に、彼岸花が何本も挿されていた。何本か花瓶代わりに置いてあるそれに、主が胸に抱いていた新たな花を、そっと挿し加える。おそらく、昼間乱たちが持ち帰って来たものだろう。
(あの彼岸花は、景趣交換のために集めているのだと思ったが……?)
この世界には、季節の収穫物を集めると、本丸で使える様々な商品と交換してもらえる制度がある。最初はそれ目的で集めていると山姥切は思っていたし、実際に主もそう口にしていたはずだが、彼岸花の必要数は、主の欲しいと言っていた商品獲得分は既に足りていたはずだ。
にも関わらず、旅先で見かけたら持って来て欲しい、と主が定期的に彼岸花を強請る理由。
もしやこの供え物の為に、と思案する山姥切の前で、俯いた主はそっと石に向かって手を合わせていた。何かを祈るように、深く首垂れて落ち込むその姿には、山姥切も声を掛けられない。
やがて、誰かに見られていると気付くこともなく、審神者は静かに立ち上がると、母屋の方面へと戻って行った。
さすがにこの後はまっすぐ部屋に帰るだろう、と踏んで、山姥切は薄暗がりの中、ちんまり築かれた石を取り巻く溢れるような彼岸花の元へと近寄る。
こんなに目立つ花の色をしているのに、今までこの裏庭を通りがかった時にも、気付く事はなかった。果たして自分が関心を持たな過ぎたのか、それとも主が、他の誰にも見られないよう結界を施してでもいたのだろうか。
それよりも、この石は。一見すると墓のようにも見受けられるが、出来たばかりのこの本丸で誰かが折れたとか亡くなったという話を、山姥切はついぞ聞いたことがない。大体、仲間の刀なら、いなくなった時に気付くはずだ。
であれば、あれは一体誰の墓なのか。
とても聞けるような雰囲気ではなかったが、昼間のことといい、どこか引っ掛かりを覚えたままで、山姥切はその場を後にしたのだった。
*****
後日。
広い庭に面した縁側で、短刀たちが遊びに興じる様子を、主であるムラサキは縁側に座ったまま、ぼんやりと見つめていた。隣で勧められるがまま茶を飲みつつも、山姥切が気遣わし気に、その表情を見て眉を顰める。
凧を引っ張って遊んでいるのは、前田・秋田・乱の藤四郎兄弟。それに加えて、愛染国俊がいた。皆の後をすばしっこく追い掛けながら、例の風車を回している。主に贈られたそれは、結局は愛染の遊び道具として下賜されたらしい。使われるべき人間に使われることを誇るようにして、赤と青の羽根はいっぱいに風を孕み、愛染が走るに合わせ元気よく回っていた。
楽し気なその様子を見守りながらも、主はやはり、どこか幸せ一辺倒とは言えないような表情を浮かべている。複雑で、哀しそうで。そして言うなれば、その視線から感じるのは、罪悪感――どことなく申し訳なく思っているような、そんな気配を感じる。
無邪気な短刀連中を見ながら、主は何故そんなことを考えなければいけないのか。ここ数日、幾ら考えてもさっぱりだった山姥切は、ついに意を決して口を開いた。
「……。主。少しいいか?」
「? うん。何かな」
空想の世界から帰ってくるようにして、ムラサキがふと顔を上げる。
秋晴れの空から、おだやかな日差しが降り注ぐ縁側。近くに、盗み聞きできそうな刀がいないことを確認してから、山姥切は白い布を被ったままで、小柄な審神者の横顔を見下ろした。
「あんた……あの愛染国俊と何かあるのか?」
「っ。えっ、あっ、その……ど、どうしてそんな風に思うのかな」
そう聞きつつも、一瞬息が止まりそうな程驚いたムラサキは、動揺がバレバレの様子で、羽織りを引っ張ったり長い髪を弄ったりする。あまりの分かりやすさに溜め息をつきながら、山姥切が口を開く。
「あれだけあいつを見ながら物憂い顔をされれば、いやでも察しがつく。別に、刀との関係が上手くいっていないという訳ではないだろう。何をそんなに悩んでいるんだ」
「あ……悩みっていうか、えっと~……うう」
やはり、話しづらいことであるらしい。膝を抱えて呻り出す審神者を前に、山姥切の口から卑屈な言葉が漏れる。
「……やはり、写しの俺なんかが相手では話も出来ないということか」
「ちがーーーーーーう! そうじゃない! そういう事じゃなくって……いやでもこの場合はそういう事になるんか……? ああっ、違うからね! 待って! 落ち込まないで!」
キンキン声で怒鳴りながらも、必死で山姥切が去らないようにとムラサキが布を掴んだせいで、頭を露わにされた山姥切が、思わず片耳を塞ぐ。その様を遠目から見ていた愛染たちが、楽しそうに手を振ってくすくす笑っていた。
「ったく、主さん達、何やってんだよ!」
「あはは、ごめんごめん……ちょっとでかい声で喋り過ぎちゃった」
笑ってそう誤魔化してから、ムラサキは羽織を着直すと、袴姿のままでふうと縁側に腰掛け直す。
手元を見つめていたムラサキは、やがて独り言のように口を開いた。
「そうだよね。いつかは話さなきゃって思ってたけど……やっぱり早いうちの方がいい。大事な初期刀の子に、隠し事はしたくない」
「隠し事? 俺に?」
「まんばちゃんに、というか、この本丸の大体の刀は知らないことだよ。最近のことじゃないし。知ってるのは、そう……私と、堀川くんだけ」
「兄弟が?」
「そんなに難しい顔しないで。順番に話すから。……話した後も、君がまだ主として、私を慕おうと思ってくれるかは分からないけど」
少し哀し気な顔をした主は、息を飲む山姥切の前でそう前置きして、静かに語り出した。
*****
この本丸に愛染国俊が顕現したのは、ムラサキが審神者を始めてそう間もない頃だった。
他に顕現した短刀たちと同様、そう珍しい刀という訳でもなく、一度は鍛刀で顕れたものの、そのうち戦場でも、出陣した刀たちが何振もの愛染国俊を見つけ、連れ帰って来た。
同じ刀を何本も見つけた場合、大半の審神者は一番最初に顕現した一振を手元に残し、後から見つけた刀達は錬結・習合・刀解のいずれかの手段を取って、他の刀剣男士達の力の源になってもらう・素材として本丸の力になってもらうということが多い。そうすれば、単にもう持っている刀だからと捨てることなく、志は自身の刀に受け継いで闘ってもらうことが出来る。
不慣れながらも、錬結や習合による強化は、審神者であるムラサキが自身の力を駆使して頑張り始めていたところだった。それまで特に何の問題もなく――出逢った刀達は、皆余すことなく有効に活用できている、はずだった。
「えっ…………錬結も習合もできない!?」
審神者の部屋で思わず大声を出してしまったムラサキに、この本丸での審神者業におけるガイド役、管狐のこんのすけが、困ったように麿眉を動かし、ふさふさと尻尾を振る。
「先日の戦場で拾われた、愛染国俊の件です。主さまからあの一振のみ、連結や習合の一定手順を踏んでも消失しないとご相談を受け、調べて参ったのですが……どうやら、ごく稀に見る、そういう呪い持ちの刀なのではないかと」
「呪い……」
例の愛染国俊の、刀の本体を前にして、ムラサキが小さく呟く。
他の愛染国俊と全く変わったところのない、ごく一般的な短刀だ。
もちろんムラサキは、他の刀同様、この愛染国俊を当本丸の愛染国俊に、習合させようとした。同じ刀剣男士同士は、習合によって一体化し、片方は消失するもののより強化を図ることができる。しかし上手くいかず、愛染以外の他の刀相手に錬結での強化も試みたが、結果は同じ。
最初は一時的に自分の調子が振るわないだけかと思ったが、さらに後から拾われてきた別の愛染国俊は問題なくすんなり習合できたことから、これはおかしいと踏んで、こんのすけに相談してみたという次第である。
「でっ、でも、なんで……みんなが戦場で拾ってきて、私も確かに顕現したあの子と会って……全然普通で。練度が低いだけで、ほんとに全然普通の刀なんじゃ」
「おっしゃる通りです。ですが、これをご覧ください」
こんのすけは、白い毛並みの中から、突然ふわっと光の玉を取り出した。中から一冊の帳簿が出て来て、ぱらぱらっとムラサキの前で捲れる。
「これは……?」
「我々管狐の、七つ道具みたいなものです。これがなくとも主さまがいらっしゃれば錬結・習合作業は出来ますので、普段はお見せすることがないのですが……こちらの本丸に居る刀の詳細がリアルデータで記載されておりまして、このように、錬結・習合・刀解に有効な刀はすべてここに名が出るようになっております」
ムラサキの雇い主自体が未来の存在なので、いきなりハイテクで近未来的な物が出て来るのにもさして驚かず、ムラサキは手で頁を捲った。和紙がぱらぱらと擦れる音。現在、本丸の主戦力たる刀を始めとして、拾って来たばかりの練度の低い刀たちも、錬結・習合可能な相手先として名前がある。しかし、ややあってある事に気付いたムラサキは、呆然と手を止めた。
「……どうして……?
「そうなのです。つまりその刀は、この時空では
「そんなっ……! だ、だって! 見えるよ!? ちゃんとここにあるし、触れるんだよ!?」
「顕現までの過程は、恐らく問題なかったのでしょう。しかし、その刀の構成成分に、時空の捻じれによって何かしらバグのようなものが発生し、結果刀そのものの存在強度に影響を与えてしまったのだと思われます。本質が不安定なので、錬結や習合に足る要素がないのかと……」
どうにもならない、と知ると、ムラサキは難しい思案顔で、こんのすけと再び向き合った。
「……じゃあ、この子はこのまま、本丸に残らせておくしかないってこと……?」
「不安定な呪われ刀となると、政府の方で仲介しても、引き取り先はまず見つかりにくいでしょうね……。かといって、このままこの本丸に保存しておいても、いずれ他の刀にまで影響が出ないとも限りません。一つの狂いがあれば、連鎖的に正常であった他の構成要素までもが、将来的に侵されていく可能性もゼロではありませんので」
万が一にも他の刀に危害が出るかもしれない、という言葉を受けると、置いておくかどうか判断に迷う。何しろ、未だ刀達の名前を覚えるだけでも手一杯の自分が、同じ名前の刀を二振も置いて、間違えずに接したり平等に扱ったりできるものだろうか。
そう悩んでいると、こんのすけが口を開いた。
「……ひとつだけ、方法がございます」
ぱっ、と顔を上げたムラサキに反し、こんのすけの口調は重々しかった。告げられた言葉を聞いて、ムラサキの顔から表情が剥げ落ちる。
「っ……、そんな……でも、でも、そんな事したら、あの子は……!」
「錬結でも習合でも刀解でも消滅させられないとなると……もうこれしか手段はございません」
思わず涙でいっぱいになったムラサキの前で、こんのすけは申し訳なさそうに、力なくしょんぼりとその白い頭を垂れた。
蝋燭の灯りが、浸すような夜闇のにじり寄る窓辺にちらちらと揺れる。
「主さまのお気持ちもお察しいたします。できればもっと、穏便で痛みのない方法で、刀としての形を解きたかった。しかし、我々に出来ることは、これ以上何も……」
きつく唇を噛んで、愛染国俊を握り締めるムラサキにこんのすけは暫く寄り添っていたが、やがて静かに一礼し、黒い丸々した瞳を向ける。
「初就任の主様には、大変心苦しい状況かとは思いますが……ご自身が審神者として『何を』守るべきであるのか、十分に考えた上でご判断をお願いいたします」
黄金色の尾が揺れて、障子の間に消えていく。一人取り残されたムラサキは、短刀を抱いたまま、ぽつりと思索に耽った。
それから短い期間、ムラサキはぐるぐると思い悩んだ。
このまま、二振目の愛染国俊を置き続けることへの、メリットとデメリット。
刀剣破壊なんかさせてまで消すぐらいなら、たとえ戦場に出るほど強く育てられずとも、何もせずとも、ずっとうちに居たらいい。
けれど、その間に何か、他の刀剣男士達にまで問題が起きてしまったら。今まで手塩にかけて育てた子に、将来不具合が出て取り返しのつかないことになってしまったら。その責任はどう取る。
同じ刀が二振いるなんて、別に珍しいことでも何でもない。
けれど、もし万が一自分が間違えて、新しい「愛染国俊」の方に、前からいた愛染国俊を習合なんてさせてしまったら、彼の立場はどうなるんだ。
そうでなくとも――呪われていて消せないから、という理由で育て上げられることもなく、微妙な立ち位置のままうちに置かれ続ける「愛染国俊」は、本当に幸せなのか?
頭の中に、幾人もの男士達の顔がちらつく。初期刀の、山姥切。まだ小さなこの本丸は、今は部隊長であり近侍でもある彼を中心に動いている。その子と、他の刀達の未来が、万が一にも侵されてしまうかもしれない、と思ったら――
命を天秤に掛ける、なんて真似は、したくはなかった。
それでも、「守りたいもの」を選んだムラサキは、大勢のために一部を犠牲にする形で、決断の舵を取った。
「堀川くん。……お願い。大事な話があるの」
こんな事、近侍である山姥切には頼めない。知られるのが怖かった、と言ったら、もうこれは完全に審神者たる自分の弱さとエゴだろう。一番傍に置いて、一番心を掛けている相手に、知られたくないと思ってしまった。それに何より、山姥切が本当はどれほど他の刀剣思いで、たとえそれが一番弱い刀を切り捨てるだけの作業であっても、どれほど心を痛めてしまうか、短い付き合いの中でもムラサキには想像に余りある。
勿論それはどの刀でも同じなのだけど、初脇差の堀川国広を選んだのは、現状本丸のナンバーツーである信頼と共に、広い心だけではない冷静な判断力と客観的な割り切りを、最も感じる相手だったからだ。
泣き出しそうな声での主の訴えを聞いた堀川は、もちろん驚いたが、ひとつひとつ説明すると、ムラサキの予想していた通り、しっかりした答えを返してくれた。
「わかった。そういうことなら、僕が『愛染国俊』の出陣には付き添うよ。最後までちゃんと見守るから、安心して」
刀剣男士を刀剣ごと破壊するには、「重傷」の状態で戦線に出し、攻撃を受ける必要がある。しかし、「重傷」になった刀剣を単体で、続けて出陣させることは出来ない。その看取り役として選ばれたのが、堀川国広というわけだった。
既に何度か戦闘に出した「愛染国俊」は、「重傷」の状態に追い込まれたままで、本丸にいる。単騎で出撃させても、その傷を癒されることがなくても、疑問に思うこともないまま、ただ無邪気に「やってやったぜ! ケンカはこうでなくちゃな!」と笑顔を浮かべて。一度などは、単騎で行っても全くの無傷で帰還して、練度が上がったことを主の前で素直に喜んでいた。その度に、自分は何のために隠れて彼を戦場に送り出しているのか、ムラサキは思い出しては胸が張り裂けそうになる。
もう一度行け、と言われたら、「愛染国俊」は笑顔で重傷進撃していくのだろう。疑う余地なく、主の命だけを信じたままで。
裏庭に面した人気のない部屋で、出来るだけ堀川には淡々と説明をしたけれど、それでもムラサキは拳を白くなるほど強く握り締めていた。その上にそっと掌を置いて、堀川は主の前に跪く。その悲しくも優しい微笑を、月明かりが優しく照らしていた。
「主さん。僕らは〝物〟だよ。大切にされるよりも使われるのが本望だし、それが大事な主のためだったら尚更だ。『愛染国俊』も、きっと最期の瞬間までそう思うと思う。どんなにちっぽけな存在でも、主のことを想わない者はない。それを分かっていても、采配を下せる主さんに……こんなに悲しんでくれるほど、僕らを強く想ってくれる主さんに使われて、『愛染国俊』はきっと幸せだと思うよ」
それは、主を慰めて楽にしようと、気休めで言ってくれた言葉に過ぎないのかもしれない。
それでも、同じ苦悩を共有できる相手ができたというそれだけで、必死で泣かずにいたムラサキの瞳から、ようやく一粒涙が零れ落ちた。
ごめんなさい、よろしくお願いします、と深々と畳に手をつき頭を下げたムラサキに、堀川は顔を上げてと慌てて両手を伸ばす。
「
「本当にごめん……私の身勝手で、こんな役背負わせて」
「だーいじょうぶだよ。それに、主さんの判断は、この本丸の為でもあるんだから。守りたいもの全部は守れないかもしれないけど、主さんはここにいるみんなを守ろうとしたんだ。だから、もうそんなに自分を責めないで」
そう逃げ道を残してくれる堀川は、本当に優しかった。
出発当日――せめてまっすぐ見送ろうとおもったのに、ムラサキは、光の中に笑顔で手を振って消えていくボロボロの「愛染国俊」を、最後まで見ていられなかった。
待つしかない自分は本丸で何をしていても上の空で、ただあの時、奇跡的に無傷で帰って来たのと同じように、もしかしたら呪われた「愛染国俊」は、錬結や習合だけでなく刀剣破壊すら不可能な刀なのではないか? と馬鹿げた妄想をしたりもした。もし、壊すことすら出来ませんでした、なんて言って堀川くんとひょっこり帰って来たら、もうこれは不死身の刀という縁起物として、今までのことも全部謝って、本丸の永久保存物に指定する他あるまい。
そう、無理やりにでも明るい方に考えようとしたけれど――結局帰って来たのは、堀川国広一振だけだった。
見守っていた堀川の報告によれば、時間遡行軍相手に怯まず闘い、愛染明王の名に恥じぬ勇猛果敢な最期だったという。
折れた剣は政府に回収されたが、その欠片を堀川は持ち帰って、とめどない涙を流しながら報告を聞くムラサキの前に、そっと差し出してくれた。
「これ、少しだけど、持ち帰らせてもらったんだ。後で、一緒に埋めてあげようよ」
布に包まれた、雫のようなきらきらした破片を、月の明るい晩、二人はひっそりと本丸の片隅に埋めた。
他の刀剣達には秘密なので、あまり目立つ場所に墓を作るわけにはいかないが、それでも広い本丸で場所が分からなくならないよう、堀川が目印になる石を持って来てくれて、その周りに、ムラサキは空き瓶を使っていっぱい花を飾った。
丁度、あと二ヶ月も経てば秋が終わり、冬の気配が漂い始めるだろうという頃。
せめて時期が間に合う間は、安らかにあちら岸へ送れるようにと願いを込めた、彼岸花を。
*****
「……それからかな。国俊くんのこと、まっすぐに見られなくなっちゃったの。この子を残すために、他の国俊くんにしたことを、どうしても思い出して、どうしようもない気持ちになる。あの子に謝ったって、仕方がないのにね」
そう言って無理に笑う笑顔を見て、やっと山姥切は先日の「ごめんね」の意味に合点がいった。
あれは、話に出て来た「愛染国俊」に向けた言葉だったのだ。
「本当に、まんばちゃんには、いつかちゃんと話すつもりだったんだよ。少しずつ本丸も拡張して落ち着いてきたし、部隊長を任せられるような子も、他にも沢山できたし。堀川くんには、私の口から言うからって話してあったから。いい加減にそろそろ、言わなきゃなって。でも……怖くて。隠してて、ごめんなさい」
長い話の後、素直に頭を下げるムラサキの謝罪を、まっすぐに隣を見つめ返す山姥切が受け取っていた。
「そんなに自分を責めるな。事情はわかった。あんたが正直に話してくれたことだから、俺は信じるし当初のあんたの気持ちも考慮はする。すまなかったな、大変な時期に何も気付いてやることが出来なくて」
「な、なんでまんばちゃんが謝るの!? 勝手に隠して抱え込んでたの私だし……心配させまいとしたのに、結局今こうやって心配掛けちゃってるしね。ほんと、もう審神者失格っていうか……」
ふう、と溜め息をついてから、暮れかけた庭にムラサキが茫洋とした目を向ける。
「私は、人殺しと一緒なんだよ。……刀殺し、かな。あの子がどうなるか分かっていて、出陣の指令を出した。消すことを目的に、戦線に出して負傷させた。どう恨まれたって仕方がない、人でなしだよ」
今目の前を走り回っている愛染国俊と、破壊された「愛染国俊」は一切何の関係もない。本丸本所属の刀剣達の生活空間と、拾われてきた刀剣達が一時的に習合までの間眠っている部屋とは別だから、おそらく本人は、そんな刀がいたことすら気が付いていないだろう。
けれど、ムラサキは全てを知っている。その罪悪感が、たまに視線に混じる感情の正体なのだと、山姥切は今やっと気づきながらも、掛ける言葉を見つけられずにいた。
「そんなことをした人間が、本丸の審神者でみんなの主だなんて……あのことがあってから、私本当はちょっと、みんなの前に出るのが怖い。あんなに一生懸命私を慕ってくれる子達を、私はずっと騙して上に立ってるんじゃないかって。いつもそんな気がしてるんだ」
「主……」
緑茶の入った湯呑へ、ムラサキが小さな背中でぽつんと視線を落とす。
単に、経験不足や自信のなさが表れているだけではなかった。割り切りが必要と言いながら、一番割り切れずに引き摺っているのは、ムラサキ自身だということを、傍に居る山姥切は痛感する。
「話すことで楽になるなら……いっそ話さなきゃいいとも思ったんだ。話したことで赦されたみたいな気分になるけど、私がしたことはきっと赦されちゃいけない。多くを救うって言っても、そのために一振の命を犠牲にしたことに変わりはないんだ。しかも、将来的に悪い芽が出るかどうか、まだ分かっていないものを、己の恐怖とエゴだけで握り潰してしまった。
……今でも、たまに思うんだよ。こんのすけの言うことなんて無視して、他の本丸がどうとかそういうのも全部考えないで、あの子を守ってあげれればよかったのかなって。私さえ、頑張れば……ずっと居させてあげた方が、よかったんじゃないのかなって……」
言葉から零れ落ちる後悔の念。
それを上手く慰める術を、山姥切は持たない。[[rb:堀川 > きょうだい]]なら上手くやってのけたのかもしれないが、そんな高度な言い回しや、優しく心が緩むような物言いを、山姥切は知らない。そして安易な慰めを、主自身は必要としていないだろう、とも思った。
主が、己で向き合うと決めていることで、主が、自分の足で苦しくとも立つと決めて実行したこと。
ならば、それを尊重した自分が、できることは。
「……主、俺は」
「……?」
「……俺が思うのは、ひとつだけだ。就任初期にそれほどの目に遭いながら、よくここまで審神者を続けてきた、と」
夕暮れ時。烏が群れを成して鳴き始めるオレンジの空を背景に、嘘偽りなくまっすぐに投げかけられた山姥切の言葉を、零れそうな程目を見開いたムラサキは、驚いて受け止めた。
ゴム飛びをしていた短刀たちは、母屋の中へ入ろうとしているところらしい。騒がしい声が近くを通ったが、ただならぬ空気を察してか、主と山姥切には声を掛けることなく、廊下を通り過ぎていく。
蒼い瞳が、夕焼け空の色と混じって、燃える雫のように綺麗に光り輝いた。
「そして、続けられている事それ自体が、あんたの成果であり責任の果たし方でもあると思う。普通は思わないだろう。それほど辛い思いを味わいながら、まだ審神者を続けようなどと」
人間ならば、嫌になって投げ出してもおかしくないほどのことではないかと思う。
けれどムラサキは山姥切の想像に反して、それに対しては今までに見たこともないほどの、強い瞳で答えた。
「続けるよ。私は続ける。やめる事は簡単だけど、続けることはずっと厳しいし難しいでしょう?
やめないでいることが、何もできない私にとって、たった一つできることなんだから。
だから、たとえ少しずつの歩みなんだとしても、私はやめない。諦めない。……それが、君達の前にいるために、あの子を背負っていくために、必要なことだと思ってる」
焦げ茶の瞳が、暮れ落ちる陽光で微かに桜桃色を帯びて燃え上がって見えた。
病弱で、温厚だと思っていた主から垣間見えた炎のような執念に、山姥切は面食らう。
それは、吹けば消えてしまう程、細くたなびく必死の焔かもしれない。けれど、それが放つ輝きに、強い力と譲れない意志を感じる。
「……そこを迷ってないなら、俺の出る幕はないな」
「へ?」
「あんたがここにいて、審神者であること。あんたが今も後も、ここで皆を待ち受けること。それだけで、力になる者ばかりだろう。ここの本丸は。
本気で『愛染国俊』を忘れないようにと思うなら、今の愛染国俊にも恐れず向き合うことだ。確かに、習合は出来ないまま、あいつは消え去る事になった。けれど、過去は消えずとも、今に注げるものは沢山ある」
今までになく饒舌に言葉を重ねる山姥切に、ムラサキは瞳を微かに揺らめかせたまま、呼吸を忘れたように見入っていた。
その視線に気が付いてか、ばつが悪いというように、山姥切はふいと瞳をそらしそっぽを向く。
「あんたは、俺の想像以上に強情なようだからな。別に、続けてもらえる分には俺としても文句はない。せいぜいこれからも励んだらどうだ」
ぱたぱたと、白い布の端が風にはためく。夕陽に照らされた顔が仄かに紅い。
数度瞬いたムラサキは、きょとんと首を傾げる。
「……え~っと、つまり、私が審神者やってるとまんばちゃんは助かるから、これからもぜひ続けてくれってこと?」
「なんでそう図々しい解釈で勝手に俺の言葉を捻じ曲げる! 大事なのはその前だ!」
「大丈夫、そこは聞こえてたから。ごめんごめん、勝手に都合のいいことだけ聞こえる耳で」
「……」
「なるほど。つまり最後の解釈もあながち間違ってはないと」
「あんたなぁ……!」
いい加減冷えてきたから中に入るぞ、の声に釣られて、ムラサキはようやく自然な笑顔になりながら、茶碗や急須を乗せた盆を手に立ち上がった。すかさずそれを受け取る山姥切から、不器用ながらも無理をさせまいという心遣いが感じられる。
「でも、よかった。ありがとね、聞いてくれて。逃げずに傍にいてくれただけで、私すっごい安心したし力になったよ。これからもよろしく」
何が起ころうと、山姥切にとって主は主だ。大体、ここから逃げてどこへ向かおうというんだ、と山姥切は半ば呆れ顔で、そのひとごこちついたような笑顔を見つめていたが、意志に反してちらっと降って来る桜を、慌ててぱっぱと片手で払いのける。
にやついただけでそこには突っ込まずに、ムラサキは母屋へと続く廊下の扉を開けた。
「……っていうか、就任初期って、まだ今も就任初期だと思うけどね? せいぜい数週間だよ、まだ一ヶ月も経ってない」
「それでも、続いたんならめでたいことだろう。続かないよりはいい。褒めてやったんだ、おとなしく貰っておけ」
「はぁ~い。あ、でも、さっき私が言ったのはみんなの前で言わないでよ。すっごい恥ずかしいから」
「さて、それはどうするかな」
「え~~!?!? マジでやめてよ!? あんなカッコいい言動が似合うような審神者じゃないんだから! 私が勝手に思ってればそれでいいの! ねえ聞いてる!?」
部屋の灯りが見える廊下の奥を目指して、ずんずん歩いていく山姥切を、ぎゃあぎゃあ騒ぎながらムラサキが追い掛ける。相変わらず熱が出ているとは思えないほど煩い主だと思いつつも、その胸に抱え込んだものも含め、知らなかった本音に触れられたことに、無意識ながら満足感を覚える山姥切であった。
*****
それから、数日後のこと。
いつもの通り出陣していく刀たちを、ムラサキは玄関先で見送っていた。
「今日はねえ、本陣を叩く前に川を通る経路で行くんだって!」
「マジか! 美味い鮭落ちてねえかなー! みんなで釣って、今日の晩飯に持って帰ろうぜ!」
「貴様ら、はしゃぐのはいいが、出陣の目的を忘れるなよ。まずは敵部隊の殲滅が最優先。それから……」
今日の部隊長は長谷部だ。
年下の短刀たちをたしなめてしっかり纏める姿のすぐ傍で、仲良しの乱と愛染が、進撃経路中の季節収穫物について、楽しそうに話している。
同じように出発を見守る山姥切の隣で、ムラサキは例の少し複雑な面持ちのまま、彼らの姿を見つめていた。
(私が勝手に思っていることとはいえ、国俊くんに伝わっちゃってたら申し訳ないな……)
決して言えないし、これからもきっと言うことはない。
それでも、宙に浮く謝罪の代わりに、一体自分は何を与えてあげられるのだろう。
自分を慕ってくれる、無邪気な一振刀に。もしかしたらぎこちない距離を感じているかもしれないにも関わらず、臆せず近寄って来てくれる、太陽のような短刀に。
『本気で『愛染国俊』を忘れないようにと思うなら、今の愛染国俊にも恐れず向き合うことだ』
『過去は消えずとも、今に注げるものは沢山ある』
ふと、縁側で交わした山姥切の言葉が、ムラサキの脳裏に蘇った。
自分がこんな自分であることを、愛染国俊や消えていった「あの子」は、本当に望むだろうか。
そう思うことは図々しいと思ってきた。そんな風に考えること自体が甘えで、自分は自分の犯した分、光や優しさからは目を逸らさなければならないのだ、と。
でも。
「ほいじゃっ、いってきまーす!」
いつもの愛染明王のTシャツで、元気に待機組へ手を振る、小柄なやんちゃ坊主の姿。
その後ろ姿に、ムラサキは草履を履くのももどかしく、石畳を蹴って玄関先を飛び出していた。
「……ッ、国俊っ!」
反射的に口から飛び出した呼び声に、隣を歩いていた乱や他の刀剣たちはおろか、長谷部までもが驚いて振り返る。
勝気な目を大きく見開いた愛染国俊を、ムラサキは駆け寄るがまま転がしそうな勢いで、正面から抱き締めていた。
「あ、……主、さん……っ?」
「国俊。しんじゃだめだよ。ぜったい、帰ってくるんだよ」
あんぐりと、玄関の内側にいた刀達も口を開けていた。さながらその姿は、生き別れて二度と会えないかもしれない息子を最後に抱き締める、母親のようで。
主の胸に抱き締められた愛染は、囁かれた声音に微かに目を見開いたが、動転と照れ臭さのあまり、仄かに紅くなりながら身じろぎする事しかできない。
ムラサキの声に、震えと涙混じりの湿っぽさを感じた乱が、驚いて思わず主を覗き込んでいた。
「主さん、だいじょーぶ? もしかして、誰か折れる夢とか見ちゃった? 平気だよっ。ボク達絶対、全員無事に戻って来るからねっ」
「そ、そーだぞ! オレらを待ってくれてる主さんがしょんぼりしてどーすんだよ! ここでどーんと構えててくれって! 心配してくれんのはうれしーけど、オレには愛染明王の加護がついてっから! 強いからさ!」
「あ、主……? い、今まで出発前の抱擁は、俺にはなかったと思うのですが……?」
愛染も腕の中から元気よく返事をし、長谷部はといえば、泡を吹きそうな顔で突っ立っていた。
皆に心配されて、ムラサキはようやく、目の端の涙を拭いながら顔を上げる。
「ごめんごめん。出陣一つに、大げさになっちゃって。でも、みんなにいつも無事で帰って来て欲しいのはほんとだからね。
はい! じゃあ長谷部もハグしよ! 確かに、今までしてあげてなかったし」
「あっ、主~~~~~~!!!!!!」
「え~~!! ずる~い! ボクともしようよ、主さん!」
「もちろん! 乱ちゃんもおいで!」
「じゃあ、オレももっかいする!」
感激のあまり涙と鼻水を垂らす大の大人+少年二人にハグされて、もみくちゃにされながら、くすぐったそうな笑いを漏らすムラサキ。
案じて主の後を追って来た山姥切は、その賑やかな様子に、微かに微笑みを零す。
季節外れの桜が一片、彼らを寿ぐように、秋の風に乗って届いたのだった。
ちなみにですが、こっそりとはいえこんな大体的に墓前に花を供えているので、まんばちゃん達が隠すまでもなく当然他の刀達にもバレましたが、紫咲の思いや事情を汲んだ刀達は各々主のことを受け入れてくれた様子で、今も仲良くやっております。それからは皆遠征帰りに花を摘んで積極的に供えてくれるようになったため、お墓の前はいつでも賑やかなようです。