TRPG風AIリプレイ・ロボット傭兵編『地獄の使者』   作:朝比奈たいら

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第四話『ムーカの町防衛戦』

 

 

セラマニア:謎のロボットに襲われ、放浪していた私は14メートル級MDのイプシロンを手に入れた。

傭兵のキド、アルマージ、ブラボッドと出会い、マスターという謎の存在に従うドランとの戦い。

ムーカ領主の問題に気づいた私は別の町でザイネとバズという傭兵と出会い、チームレッド・ライダーズに入団した。

盗賊団ハーフ・ヴェスタ、盗賊団と繋がり人身売買を行うアイアンメイデン。

ノプロイドをばら撒く謎の飛行戦艦とそれを追うミクス軍レヴィラナ少佐。

そしてかつてレッド・ライダーズに助けられたパイロット兼メカニックのセイルークを仲間にした。

彼女は惑星セイレムの王女、アンドロイドのセイルーンであった。

大型多脚MDとの戦闘を経て、機人Y2TM-レキトと出会った私達は機人を暴走させる装置について知ってしまう。

一介の傭兵が関わるべきではないその情報を隠しつつ、私達は一週間後の町襲撃に備えていた……

 

セラマニア:という事で第四セッションやって行きましょう。

多分ここで第一部完! ってなりそうな場面ですね。

GM:まぁ、まだ終わりませんけどね。

謎のロボットとか正規軍の内戦とかの話もありますし。

でも今回のタイトルは『ムーカの町防衛戦』です。

セラマニア:決戦のバトルフィールドとなるでしょう。

ではGM、始めて下さい。

GM:了解しました。

 

GM:では前回から数日後、場所はムーカの町の近くの森の中の、小さな岩場。

そこには君達が居ます。

君達がそこにいる理由は、ザイネが前回手に入れたデータチップから得た追加情報を秘密裏に教える為だ。

アルマージもそこに居る。

セラマニア:「何か新しい情報が分かったんですか?」

ザイネ:「それほど多くは無いが、そうだ」

GM:ザイネが語るには、新事実として

・ノプロイドの兵士化計画

・機人の暴走装置にはナノマシンが関わっている

事を話しました。

セラマニア:「脳にナノマシンを送り込んで暴走させると。

それを使ってノプロイドをコントロール出来れば、実質的に敵対勢力一つが無くなりますね」

ザイネ:「そういう事だな。

このデータは削除済みのものを復元したもので、これを書いた軍曹とは別の奴が書いたらしい。

誰かは分からんが、この軍曹は知らない情報だ。

これ以上復元出来る何かがあるかどうかは、引き続き解析を続ける。

今出てきた情報はこれだけだ」

セラマニア:「でも、ますます謎の飛行戦艦との繋がりはあると考えていいですね。

でもどういう事なのでしょう……」

アルマージ:「とりあえず調査を続けながら備えるしかないな。

そういえば、レッド・ライダーズの残りが来るのは今日じゃなかったか?」

ザイネ:「ああ、そろそろ到着するはずだが……」

GM:では皆さんが町に戻ると、町の外からレッド・ライダーズと思わしき部隊と、それに便乗した人達がやってきます。

レッド・ライダーズは鹵獲したダッシャーのMDの他に、2機のMDを連れています。

歩兵や車両については、『ジェスパ』と呼ばれる戦闘用大型バイクに乗って来ています。

レッド・ライダーズの面々はリーダーであるザイネと会い、軽く挨拶をします。

レッド・ライダーズの副長は『シュラバ・シェラバ』。

年齢は20代前半ぐらいで、身長180センチ程の細身の男性。

赤い髪に青い瞳を持つ美男子。

バズ:「うーむ……、良い男だ……」

セラマニア:「バズさん、そういう趣味が……」

バズ:「そういうわけじゃねぇ、身体つきから良いバイク乗りだと思ったんだ」

シュラバ:「ザイネ、久しぶりだな。

お前が集めた団員も優秀そうだ」

ザイネ:「ありがとう、そっちはどうだった?」

シュラバ:「何人かかき集めた……そうだな、大体『ジェスパ』15機ぐらいかな? あとは歩兵が『43人』、こいつらは正直雑魚だが戦力としては十分だろう」

レッド・ライダーズのメンバーA:「おいおい、こいつらも全員レッド・ライダーズなのかよ!」

レッド・ライダーズのメンバーB:「信じられない!こんなに若い奴らがあの有名なレッド・ライダーズなんて!」

レッド・ライダーズのメンバーC:「俺達にもチャンスが回って来たんだ、こいつらもそうさ!」

セラマニア:「人の事言えませんが、そこら辺の一般傭兵があてになるんです?」

シュラバ:「まあ、そこは上手くやるさ。

それより、他の連中も紹介するぞ」

GM:シュラバが他のレッド・ライダーズ幹部を紹介する。

1人は拠点に残っているが、他の3人はザイネと同じで傭兵として仲間集めをしていた者だ。

名前は

1.アテナ・エキマ(女)、24歳

2.セクト・ソール(男)、22歳

3.レギーナ・トリメシアン(女)、14歳

である。

三人ともパイロットで、ダッシャーのMDはレギーナが。

アテナとセクトが乗っているのは赤い『イプシロン』だ。

セラマニア:「これが本場のイプシロンですか」

アテナ:「あんた、新入りかい?」

セラマニアAI:「はい、セラマニアと言います。

よろしくお願いしますね」

アテナ:「あたしはアテナ。

レッド・ライダーズのイプシロンのパイロットだよ。

ところで、あの緑色のイプシロンはあんたのかい?」

セラマニア:「そうです、廃墟で放棄されているのをそのまま使ってました」

セクト:「ライダーズ以外のイプシロンパイロットか……おれはセクト・ソールだ」

レギーナ:「私はレギーナ・トリメシアンです……」

ザイネ:「レギーナ、パイロットになったのか?」

レギーナ:「はい、でもまだ2回しかテスト起動すらしてなくて……」

セラマニア:「大丈夫です、私も乗った翌日に8メートル級のMDを倒せました」

レギーナ:「そんな簡単にいくわけなくないですか……!?」

セラマニア:「大丈夫大丈夫、冷静に動いて撃てれば何とかなります」

シュラバ:「そうだな……そうか?」

セラマニア:「ともあれこれでMDが3機から6機になり、大型バイク15台が戦力に加わりました。

ムーカの町のギルドはどうですかね、MDを持った傭兵は集まりました?」

アルマージ:「いや、集まらなかった。

やはり町の外から来た傭兵ではギルドからの信用が無いようだし、

余所の傭兵側もわざわざ大規模襲撃に関わるほどムーカの町に愛着があるわけでもないしな」

セラマニア:「あの三人は参加するんでしょうか、ジィル、サモン、スライムスキーさん達」

アルマージ:「あいつらはこの町の出身だし、参加しないはずがない」

GM:話していると、ちょうどそこにジィル、サモン、スライムスキーがやってくる。

ジィル:「アルマージ、ちょっといいか? セラマニアの嬢ちゃんもいるのか。

実は俺達はもうすぐ出発なんだが、その前に挨拶をしておこうと思ってな」

アルマージ:「出発? あの3日で襲撃の日だっていうのに、どこに行くっていうんだ」

サモン:「この3人でパーティーを組む事になったんだ。

ギルドとしては、やっぱりブラボッドとキドが居ないと戦力として不安なんだと。

だからあいつらを探しに行く」

スライムスキー:「あっしらはあっしらでやりやんすから、アルマージとレッド・ライダーズはその間町を頼むでやんす」

アルマージ:「わかったよ、キドにはよろしく言っといてくれ。

ブラボッドは一発殴っても構わん」

スライムスキー:「ほんと嫌いなんてやんすねぇ」

アルマージ:「俺はあいつが昔、他人の彼女を寝取った事を忘れてねぇからな」

セラマニア:「それ、ブラボッドさんが正義気取りのクソ野郎なんじゃなくて、ただイケメンに嫉妬しているだけでは?」

アルマージ:「うるさいぞ、あいつはその後俺を煽りやがったんだ、絶対に許さん絶対にだ」

スライムスキー:「あっし達はそんなこと知らんでやんすが、まあそういう事にしておくでやんすか」

アルマージ:「……ところで、キドの居場所についてはあてがあるのか?」

サモン:「まだだが、でもきっと見つかるさ」

ジィル:「あいつは強い、だから必ず生きているはずだ。

キドなら一人でも大丈夫だろうが、一応傭兵仲間だしな、探しに行ってやるさ」

セラマニア:「ではレッド・ライダーズの宿舎を確保して、防衛について話し合いましょう」

ザイネ:「その前に一つ言いたい事がある。

レッド・ライダーズの皆、聞いてくれ」

GM:レッド・ライダーズの新人達と幹部達がザイネの前に並ぶ。

50人を超える傭兵達がそれぞれバラバラに集まる姿は統制が取れているとは言えなかったが、

例えルーキーが多くとも一人一人が戦いと殺しの経験を持つ者だけが見せる目つきであった。

ザイネ:「オレがレッド・ライダーズのリーダー、ザイネだ。

とはいえ、前リーダーが亡くなってからまだ日が浅い。

副長のシュラバは元々部隊で腕の立つハンターだったが、こいつも副長をやるのは初めてだ。

だからオレはリーダーとして責任を負うし、命令もちゃんと聞いてもらう、戦闘中の命令に何故はない。

オレが気に入らない者は抜けても構わない。

レッド・ライダーズは自由意志によって、強者に従うチームだ」

GM:レッド・ライダーズの新メンバー達は、ざわめいたり、ザイネの言葉に感心したり、反応はそれぞれだった。

ザイネ:「だから、オレは命令に対して全ての責任を負う。

それを分かってもらった上で、作戦に関しては幹部を頼るし、戦闘に関してはお前らに頼る。

もちろんオレも戦うが、銃を持った男一人より数人、数十人の方が勝率は数十倍になる、それは分かるだろ?

レッド・ライダーズとして個人個人の自立、それはそれでやってくれ。

だが戦う時はオレに責任を全部ぶん投げろ、そして言われた通りに迷わず撃て。

優先目標を間違える、味方を誤射する、撃っちゃいけない相手を撃つ、そんな事は戦場じゃ当たり前にあることだ。

いいか……起こった事に落ち込む前に学べ、次はやらねぇってな。

考えろ、学べ、撃っても撃たれても冷静に対処しろ、だが死にそうになったら迷わず撃て。

世の中そんなもんさ、まずは生き残ってから考えろ。

オレ達は生き残って、レッド・ライダーズを再建している。

お前達はそうして今、ここで戦いを始める。

正しい答えなんてないさ、『上手くやれ』、その結果が全てだ……以上!」

GM:ザイネの言葉を聞き、レッド・ライダーズの新兵達はうなずいたり、「分かりました」「了解です」などと言ったりしていた。

スライムスキー:「あっしらはどうすればいいんでありやすかね?」

ジィル:「俺らは、そうだな、とりあえずザイネの指示に従っておけばいいんじゃないか?」

サモン:「今回の作戦はレッド・ライダーズとザイネが指揮を執るんだろ?」

ザイネ:「ああ? ……いや、そういう事になるのか、てっきりキドかブラボッドかアルマージ辺りが指揮するかと思ってたぞ」

アルマージ:「俺は別にチーム・ジャーマックのリーダーでも何でもねぇしな。

ブラボッドが見つかったらあいつに全部押し付けるつもりだったぜ」

セラマニア:「キドさんのブラックドッグは行方不明ですけどアルマージさんのチーム・ジャーマックはどうなってるんです?」

アルマージ:「襲撃の時にはぐれたまんまだ、ブラボッドの呼びかけにも集まらなかったからな」

GM:ちなみにジャーマックはそれなりに大きなチームでしたが、謎のロボット騒動でかなりの数がやられている事を話してくれます。

セラマニア:「ここら一帯のチームがほぼ壊滅してるから、傭兵が集まらないんですね」

アルマージ:「ジャーマックだけじゃない、他のチームもほぼ全滅状態だ」

スライムスキー:「ブラックドッグが居ないのは痛いでやんすね……」

ザイネ:「小規模のチームも結構やられた、これだけのバイク乗りと歩兵が集まったのは運が良かったな」

セラマニア:「レッド・ライダーズの実績があってこそじゃありませんか」

シュラバ:「そうだな、おれ達がレッド・ライダーズを諦めなかったからだ」

ザイネ:「……ああ、これから再建する。

だから、よろしく頼む」

 

GM:というわけで作戦会議です。

まずムーカの町の防衛ですが……傭兵隊の指揮はもうザイネが執ります。

ギルドや自警団からも、レッド・ライダーズのリーダーであるザイネに指揮を任せたいと要望がありました。

ザイネはそれを了承します。

そして防衛のための戦力として、町には少数の傭兵達が集まり始めています。

傭兵達の内訳は、歩兵が10名、車両乗りハンターが30名、レッド・ライダーズ新人が58名、内大型バイク乗り15名。

セラマニア達主要メンバーが9名、ジィル、サモン、スライムスキーのMD乗りが3名。

合計で『110名』の傭兵達があつまりました。

ギルド職員や町の警備は町の中で避難誘導と最終防衛ラインを担当します。

この人達は最低限の戦いしか出来ません、ノプロイドの攻撃を一回押し返せるかどうかというところです。

セラマニア:ミクス正規軍は来ないんでしょうか、レヴィラナ少佐は謎の飛行戦艦を追っていましたが。

GM:今の所ギルドの情報によると、この町へ来る予定はないそうですね。

連絡自体取れていません。

セラマニア:ではあてにせず、我々でどうにかしましょう。

敵戦力の推定は可能ですか?

GM:謎の飛行戦艦に関する情報は今のところ入っていません。

しかし、偵察に向かった部隊からは、巨大な黒い人型兵器が2機、空を飛んでいたという報告を受けました。

また、未確認ながら小型の飛行ノプロイドのようなものも確認されたようです。

サモン:小型飛行ノプロイド? それは何だ?

GM:よく分からないんですよね。

今まで確認された事の無いタイプのノプロイドらしいです。

ジィル:なんだそりゃ? まぁいい、そいつらも俺らが何とかしよう。

セラマニア:ジィル、サモン、スライムスキーの機体については?

GM:彼らが使っているのは皆バラバラで、中型のMDです。

 

ジィルの使っているのが11メートル級『KL‐7ウエスタニアン』。

武装は

・肩部レーザー砲

・ガトリングガン

・腰部ミサイルランチャー

・シールド

・パイルバンカー

の中距離向け局地戦用タイプです。

 

サモンが使っているのが13メートル級『FT‐14タルコベクス』

武装は

・ロングレンジライフル

・アサルトマシンガン

・グレネード

・肩部ロケットポッド

・スモークディスチャージャー

・ヒートナイフ

長距離支援用機を中~長距離戦仕様にカスタマイズしたものです。

 

スライムスキーが使っているのが16メートル級『ZD‐12Dゼスト・ドラグーン』。

武装は

・肩部ビームキャノン

・ショットガン

・サブアーム×2

・対装甲溶解液噴出機

・対装甲ライフル

・スモークディスチャージャー

 

本来は近距離用ですが、今回は飛行戦艦が相手と聞いて肩部ビームキャノンを増設しました。

 

セラマニア:ちょっと待って下さい、サブアームと対装甲溶解液って何ですか?

GM:対装甲溶解液とは敵の防御を貫通する特殊液の事です。

セラマニア:硫酸的な?

GM:硫酸ではないですが、防御力無視の攻撃が出来る特殊な液体です。

これを噴射して相手の装甲を溶かして穴を開けるわけですね。

ちなみにこの機械は棒状の物で、サブアーム両手で一本ずつ持つ武器ですね。

なおサブアームが付いてる場所は両脚の間で、スカートみたいになっている装甲の中から噴射します。

セラマニア:股間から服を溶かすスライム出すんですかこのスライムスキー!

これGMが考えたもので私関わってませんからね! GMが変態なだけですからね!

GM:はい。

セラマニア:真顔で返事するの止めて下さい。

……えーと? じゃあその面子は分かったので、一般傭兵の車両はどうなってるんです?

 

GM:一般傭兵達の車両は大部分が『オルトゥル』というトラック型の車両です。

武装はまちまちですが、

・車載機銃

・スモークディスチャージャー

・グレネードランチャー

・小型ミサイルポッド×4

が多いですね。

 

セラマニア:レッド・ライダーズの大型バイクの方は?

 

GM:レッド・ライダーズの大型バイク『ジェスパ』の武装は

・車載機銃

・グレネードランチャー

・対人地雷

を積んでいます。

 

セラマニア:対人地雷はザコ・ト型には効きそうですね。

ギルドや町の武器屋から更に地雷を調達して、町の周辺に設置することは可能ですか?

GM:はい。出来ますよ。

セラマニア:では、町の外に設置しましょう。

あとは町中にワイヤートラップで対ノプロイド用EMPグレネードを仕掛けておきたいです。

これなら間違って人間が引っかかっても問題無い。

MDを使って防御柵なども作って相手の進路を限定したいです。

町は壁で囲われているわけではないんですよね?

GM:はい、基本的に荒野とか平原とかですね。

セラマニア:じゃあ町の周りを簡易的な柵で覆って、ルートを大通りに限定します。

MDを使えば作業は完了するでしょうけど、どうです?

GM:了解です、成功した事にしていいでしょう。

他に何かやる事はありますか?

セラマニア:対空砲が少ないのが気になります。

飛行戦艦を落とせる火力が無いと、空からの砲撃で全てが台無しにされる恐れがありますから。

GM:それは確かにそうですね。

セラマニアAI:だから、とりあえず町中の倉庫から使えそうなものを全部出して来ようと思います。

GM:はい、どうぞ。

では対空砲や対空砲弾などを捜索した結果…………

・対空機関砲(旧式)

・大型バリスタ

・対空誘導弾

・ロケット砲

・各種爆弾 などが見つかった。

セラマニア:バリスタって、大型の弩弓ですか。

GM:そうですね、この世界では一般的な兵器の一つです。

セラマニア:爆弾付けて放ったら飛行戦艦に届きますかね?

GM:前回見た高度から推測すると、恐らく届かないでしょうね。

でも対地用には使えるでしょう。

セラマニア:対MD爆弾投擲機にしますか。

対空誘導弾の発射機はあるんですか?

GM:あります、今回の件でかき集めたもので、MD用の小型ミサイルランチャーが9基あります。

セラマニア:小型ですか……大型のキャノンがやはり足りない。

ロケット砲はどうでしょう。

GM:それもかなり小型の奴ですね。

対空機関砲もかなり旧式で、旧世紀の第一次大戦レベルの76ミリ高射砲です。

セラマニア:それ機関砲ではないのでは……?

まぁ剣や槍を使ってる時点で色々察してましたが、それでも飛行ノプロイドくらいは倒せるかもしれません。

ギルドか歩兵傭兵の人に撃ってもらいましょう。

後は……私には思いつかないので、飛行戦艦の対処を誰か考えて下さい。

GM:では皆に対飛行戦艦の案を聞くと、それぞれ答え始める。

アルマージ:「やはり脅威は爆撃だろうな。

俺達は空中機動が出来るわけじゃない、対空砲部隊の支援が必要だ」

ザイネ:「でも対空砲が旧式しかないなら、どうしようもないんじゃないか?」

アルマージ:「確かにそうだ。

だが、対空砲火は敵の航空戦力を減らす事が出来るはずだ。

地上部隊の援護にもなるし、まずは艦砲射撃を防いで町の中に引き込む事が重要だな」

バズ:「ふむ……ならば、町の柵をもっと高くした方が良いんじゃないのか?」

セラマニア:「岩とか木を切るところから始めないといけないので、MDを使ったとしても間に合わないかもしれません。

それよりは上からの砲撃を防ぐ手段を考えましょう」

セイルーク:「上からの砲撃を止める為には、やっぱり砦みたいなものを作る必要があるよね……」

セラマニア:「いえ、町全体に天井を作れるわけでもないですから、撃たれる前に飛行戦艦を撃ち落とす必要があります。

もしくは敵の砲を無力化するとか」

GM:ちなみに飛行戦艦の主砲はレールガンですね。

連射速度は落ちますが威力は高いです。

セラマニア:空飛べて一方的に砲撃出来るだけで強いんですよね。

装甲の厚さと武装は……以前見た感じだとどうでした?

GM:セラマニア達の記憶によれば、飛行戦艦の装甲は対レーザーコーティングされたセラミックプレートで出来ているのではないかと推測できます。

飛行戦艦が見せた武装はレールガン、ミサイルランチャー、対空機銃を装備しており、レールガンの数は3連装9門です。

セラマニア:「つまりレールガン3基を先手取って潰さないと町が滅ぶという事です、何か案はありませんか」

GM:面々は対空兵器が貧弱なので対処出来ないと言います。

対策は『敵が町を攻撃する前に倒す』しか無い。

そんな時、ジィルが提案を述べた。

ジィル:「なら、俺が囮になって奴らを引き付けるよ。

その間にサモンとスライムスキーでレールガンを狙撃してくれ」

サモン:「いやいやいや! それじゃあジィルが死んじゃうじゃないか!」

スライムスキー:「そうでやんす、それはダメでやんす!」

ジィル:「おいおい、これでも俺はベテランパイロットだぜ?

レッド・ライダーズの話によると、敵の飛行戦艦は初手から砲撃するわけじゃなく、まずノプロイドを投下する。

それを食い止めつつ、戦線が有利になってきたら相手が砲撃を開始する前に俺が怪しい動きをして引き付ける。

お前達はスモークで隠れつつ、町中から敵のレールガンを狙撃してくれ」

セラマニア:「敵の対レーザーコーティングは、ビームキャノンをどれだけ減衰するでしょうか?」

アルマージ:「恐らくだが、それほど性能が良いわけじゃないと思うぞ。

ディフレクターのようにエネルギーを使うわけじゃないコーティング装甲だからな、3割減くらいじゃないか?」

サモン:「俺のロングレンジライフルは実弾だ、砲台程度なら問題無く貫通できるはずさ。

でもジィルは大丈夫なのか?」

ジィル:「直撃さえ食らわなければ平気だ」

セラマニア:「後一手、何かが欲しいですね。

……質問なのですが、この町にジェットブースター的なMD装備はありますか?」

アルマージ:「一応あるが、ありゃあポンコツのジャンク品でまともに飛べるか分からんぞ」

セラマニア:「テストします、金は後で払いますから私のイプシロンに取り付けて下さい」

で、ジェットブースターのテストをしますが動きましたか?

GM:はい、飛行戦艦に届くぐらいの大ジャンプが可能ですが、後数回飛べば壊れてしまいそうだと思えます。

セラマニア:十分です、では後は襲撃の日まで町の防備を固めましょう。

GM:ではセラマニア達は町に柵を作り、トラップを仕掛け、対空砲を設置していきました。

一方でジィル、サモン、スライムスキーの三人はキドとブラボッドを探しに行きました。

結果は……キドもブラボッドも居ません。

どちらも影も形もなく、連絡にも応じませんでした。

セラマニア:仕方ないですね、我々で何とかしましょう。

GM:はい、では襲撃の日、決戦の時は来ます。

 

GM:予想襲撃開始時刻になり、敵飛行戦艦が現れました。

サモン:「来たッ!」

GM:で、ノプロイドを投下しますね。

セラマニア:対空ミサイルは温存して、対空砲と通常火器で対応します。

GM:はい、歩兵隊とギルドの職員が放った旧式の対空砲は、空から投下されるザコ・ト型を中心としたノプロイドにはあまり効果がありません。

やはり命中率や精度が低いようで、中には砲身が破裂した対空砲もあります。

セラマニア:旧世紀の物をそのまま使っているわけではないでしょうが、それでも古いでしょうからね。

対地砲撃として使った方が良いかもしれません。

GM:地上に降り立ったノプロイドは一直線にムーカの町へなだれ込んで来ます。

その内のいくらかが地雷によって爆破されるが、

ノプロイドはセラマニア達が作った柵やバリケードには目もくれず、ただまっすぐ道路を進んで来ます。

セラマニア:まずは普通にMDや歩兵達全員で門の辺りに集中砲火、食い止めつつ出来るだけ破壊します!

GM:セラマニアが発砲すると同時に、他の傭兵やザイネが指揮するレッド・ライダーズ達も攻撃を開始した。

ザイネ:「さぁ、稼ぎ時だぜぇっ!」

バズ:「おっしゃあっ、行くぞ傭兵野郎共ー!」

セラマニア:「テンションが高い」

GM:町を守る事も大事ですが、スクラップという宝の山も大事ですからね。

レッド・ライダーズの傭兵達は次々と敵に襲い掛かり、ザコ・ト型を次々と撃破していく。

歩兵が放ったライフルが、ハンドガンが、ロケットランチャーが、次々にザコ・ト型の体を貫いていく。

RR兵A:「撃て撃て撃ちまくれ!!」

RR兵B:「うおおぉっ、ぶっ殺せえぇっ」

RR兵C:「ヒャハァアアッ!! 死ねぇええええええ!!!」

セラマニア:傭兵は元気で……いやこれモヒカン混じってません?

ともあれ射撃を続けます、町に侵入される前に全滅させても構わないんですよ。

GM:ではザコ・ト型は続々と倒されていくのですが、やはり数が多すぎるのか、数体がバリケードを破壊しようと近づいてきています。

そして門は突破され、ノプロイド達が雪崩れ込んで来ました。

セラマニア:「セイルーク、バリケードの敵を遊撃して下さい!

大通りに来た敵は引き込んでからトラップで爆破しますよ!」

セイルーク:「了解したよ!」

GM:ではセイルークは跳躍すると、外周の敵を狙ってマシンガンを撃ちます。

バズ:「こっちもやるか、敵がマークに入ってから爆破だ、解ってんな!」

シュラバ:「誰に言ってるんだ新米!」

バズ:「レッド・ライダーズは強い者が上に立つ、お前ら全員俺の部下にしてやる」

バズがニヤリと笑いながら言う。

シュラバ:「ふん、おれはお前の下なんざごめんだね、昔からの相方がいるんでな」

GM:バズとシュラバが言い争っている間に、アテナとセクトのイプシロンは敵の群れの中に突っ込み、ブレードを振り回して暴れ回ります。

アテナ:「あ~、やっぱりこうなるか……。

シュラバ、あんまり喧嘩するんじゃないよ」

セクト:「古い仲間は皆やられてしまったが……また一人元気なのが入って来たな」

シュラバ:「うるさい、早く敵を引き込め!」

GM:そうしているうちに、ノプロイド達の動きに変化が現れてきました。

セイルーク:どうしたの?

GM:急に動きを止めて全隊停止し始めます。

ノプロイド達の視線は、破壊しきれなかったバリケードの方に向けられていますね。

ザイネ:「おい、どういう事だ?」

GM:するとその瞬間、バリケードの一部が爆発を起こし、そこから戦車が飛び出してきました。

どうやら飛行戦艦がノプロイドを投下する前からどこかへ隠れていたようです。

戦車の大きさは20メートルほど。

装甲の色は黒。

砲塔には赤い丸があり、その横には「1」の文字。

通信で呼びかけてもパイロットの応答は無いです。

セラマニア:「どう考えても味方じゃなさそうです、しかもノプロイドをコントロールしてますねこいつら」

GM:戦車の中に人が居るのかどうかは分かりませんが、戦車は町に張り巡らされたトラップを見つけると砲撃で吹き飛ばします。

戦車の砲は大砲というよりガトリングキャノンになっています。

1区画の罠は建物ごと薙ぎ払われ、展開していた傭兵の内何人かが巻き込まれました。

セラマニア:大型MD並みの戦車……これ、コックピットの位置はどこでしょう。

普通なら上面ですが、ハッチがある部分は他より装甲が薄いはずです、分厚くすると出入りや脱出が大変になりますからね。

そして背面にまで装甲を付ければ機動性が落ちるので、遅いか背部の装甲が薄いかのどっちかのはずだろうと推測します。

でも跳躍して上を取るとなると、ジェットブースターが飛行戦艦にバレる可能性があるので今はまだ使いたくない。

主砲以外の装備は見当たりますか?

GM:はい、あります。

見た目で判断出来る武装は

・大型のグレネードランチャー

・同軸機銃

ぐらいですね。

セラマニア:「全周囲の近接防御火器が無いなら……セイルーク、援護するので近づいてビームダガーを突き刺して下さい!

他の機体は援護、ザイネさん達歩兵は態勢立て直して無事な方の罠で小型ノプロイドを吹き飛ばして!」

セイルーク:「了解したよ!」

ザイネ:「了解だ、引き付けを続行しつつ、止まったザコ共はそのまま的にしてやれ!」

バズ:「おう、任せろ」

GM:ではセイルークが各機の援護を受けつつ、大型戦車に接近する。

戦車のセンサー類が起動、セイルークの姿を確認するとガトリングを発射しました。

セイルーク:回避軌道を取るよ!

GM:セイルークが避けると同時に、後ろの建物に着弾。そのまま建物が破壊されていきます。

セイルーク:「うわぁぁ! 直撃したら危ないな!」

セラマニア:私はハンドガンとレーザーで戦車のグレネード部分を狙います。

「アルマージさん、レールランチャーを側面からぶち込めますか!」

アルマージ:「分かった」

GM:それを聞き、アルマージが移動を開始します。

アルマージはレールランチャーを取り出し、大型戦車の側面に回り込む。

その間、ザイネはトラップ地帯に小型ノプロイドを引き込みつつ歩兵や車両の銃撃で数を減らしていく。

小型ノプロイドの方は戦車の援軍を受け、侵攻を再開すると共に数が一気に増えている。

飛行戦艦からは更に増援が投下されていた。

アルマージ:「よし、そっち行くぞ! くらえっ!」

GM:アルマージが側面からレールランチャーを大型戦車に放つ。

砲弾は大型戦車の側面装甲に当たり、その威力で大きく凹む。

続いて撃とうとするが、次弾は発射出来ない。

アルマージ:「もう一発……ん、何だ!?」

GM:アルマージのレールランチャーは電磁投射機能が不具合を起こしていた。

アルマージ:「くそっ、整備不良か! セラマニア、レールランチャーが使えない、何とかしてくれ!」

セラマニア:「機人MDのジェッタと合わなかったんじゃないですか!

……そうだ、近距離から胸部拡散ビームを叩き込んでください、側面取れてるなら行けます!」

アルマージ:「そういう事か、やってみよう!」

GM:アルマージはレールランチャーを捨てて接近、セイルークも何とか背面を取ろうとする。

アルマージ:「おらぁっ!!」

GM:アルマージが撃った拡散ビームは見事に命中。

大型戦車の装甲が溶解し、内部機器はビーム粒子による反応爆発を起こす。

大型戦車は主砲のガトリングをアルマージに向けようとするが、その隙を突いてセイルークが背面に取りついた。

セイルーク:「これで終わりだよっ!」

GM:セイルークのスピアディアによるビームダガーの一撃が背中の機関部に突き刺さる。

それと同時に大型戦車のエンジンが停止。

大型戦車はそのまま動きを止める。

セイルーク:「やったね、後は飛行戦艦の始末だけだ!」

GM:すると戦車の上面ハッチが開き、何者かが現れた。

それは人間でもなく、ただの機人にも見えない。

そう、それはまるでノプロイドと機人を合わせたような外見をしていた。

基本は人型なのだが、明確に違うのは『頭』がないのだ。

その機人かノプロイドか分からぬ存在はセイルークの機体に向け、ハンドガンを放つ。

まるで人間が、死ぬと分かっていながら最後の抵抗をするように。

セイルーク:「う、うわぁっ!?」

GM:その程度でMDは傷つかないと分かっていても、セイルークは恐怖を感じた。

元々あった機人やノプロイドに対する恐怖か、はたまたその人型ノプロイドの異常性からか。

セラマニア:「あれは……!?」

バズ:「この野郎! させるかよっ!!」

GM:バズはレールライフルで人型ノプロイドを狙撃する。

弾丸はノプロイドに命中し、腕を吹き飛ばす。

だがノプロイドはそれでもなお銃を拾い、左手に持ち替えて撃ち続けた。

セラマニア:「……そこの人型のノプロイド! 言葉が分かるのならこちらを向いて交渉に応じて下さい、こちらには妥協の用意がある!」

いや、そんなの無いんですけどそう言うしかないじゃないですか。

GM:セラマニアがそう言って近づくなら、人型ノプロイドは振り向くものの左手のハンドガンをセラマニアのイプシロンに向けて撃ち続ける。

セラマニア:イプシロンの手で潰れない程度に抑えつけて、コックピットから降りてテーザーをこいつに撃ちます。

GM:ではそうしてテーザーを人型ノプロイドに撃つと、ノプロイドは痙攣しながら倒れる。

セラマニア:「すみませんザイネさんバズさん、こいつの拘束をお願いします! 敵の正体が掴めるかも知れない!」

バズ:「分かったぜ、任せな! そいつをこっちに持ってきてくれ!」

セラマニア:「セイルーク、気分は大丈夫ですね」

セイルーク:「ああ、平気だよ、でも一体何なんだこいつら……」

セラマニア:「すぐ分かりますよ、飛行戦艦が取り戻しにこなければね」

それで、ザイネさん達はどうなりました?

GM:小型ノプロイドを迎撃し続けていたザイネ達だが、戦況は良くも悪くもない。

レッド・ライダーズのMDやジィル達三人のMDの力で大部分を食い止めているが、それでも敵の数は多かった。

歩兵やバイク兵達はまだ無事だが、弾薬の補給中にも敵は進撃してきている。

ザイネ:「まずいな、このままだと押し切られるぞ」

セイルーク:「うん、僕たちも加勢しよう!」

バズ:「飛行戦艦が本気を出すまで、俺達が頑張らないといけねえって事だろ?」

セラマニア:「今までどれくらいの小型ノプロイドが投下されたか、数えた人は居ますか?」

と、破られたバリケード方面の小型ノプロイドを掃討しつつ聞く。

シュラバ:「ざっくり300体以上かな」

ザイネ:「あの飛行戦艦の大きさだと、人間サイズは1000人以上は軽く乗れるはずだ」

バズ:「つまり、まだまだ増えるのか」

セラマニア:「……ザイネさん、トラップを発動させましょう。

飛行戦艦に物量で押されるより、自分で片を付けようと思わせる方が良いです。

もしくは今居るザコ・ト型を全部潰して、次を投下している最中に例の作戦で行きます」

ザイネ:「了解した、それじゃあ早速やってやろう。

ただし、無理はしない様にしてくれよ。

……セラマニア!」

セラマニア:「はい、何でしょう。

というか、始めてではないですがザイネさんがまともに私の名前を呼ぶなんて珍しいですね」

ザイネ:「……まぁ、そうだな。

今は戦闘中だけど、終わったら一度ゆっくり話してみたいと思ってる。

死ぬんじゃねぇぞ!」

セラマニア:「それはこちらの台詞です! それ絶対ザイネさんの方が死ぬやつじゃないですか!」

ザイネ:「ははっ、違いないな。

この場は任せろ、お前らは飛行戦艦を頼む」

セラマニア:「任されましたよ、どっちもどっちも!」

バズ:「頼んだぜ……よし、敵が罠地点に来たぞザイネ!」

ザイネ:「おう、それじゃあ行くぜ! オレの名前はザイネ・トラップだって事を、忘れてんじゃねーぞてめぇら!」

GM:ザイネが罠を起動する。

レッド・ライダーズやジィル達のMDが後退し、ザコ・ト型を中心とする小型ノプロイドを罠地点に誘い込んでいた。

各所に設置されたEMPグレネードが一斉に爆発し、強力な電磁パルスを発生させる。

最初から広範囲に渡る電磁パルス発生装置があれば楽だったろうが、ザイネはトラップという形でこれを実現させた。

EMPにより小型ノプロイドの大群は機能停止。

ザコ・ト型は動けなくなり、後は飛行戦艦のみであった。

セラマニア:「ザイネさんがやってくれましたね」

アルマージ:「ああ、さすがはレッド・ライダーズのリーダーだ」

セイルーク:「これで少しは時間が稼げるといいんだけど……」

セラマニア:「投下を止めて自分で決着をつける気になるかならないか、どっちにしても私達のやる事は変わりません」

GM:地上のノプロイド隊がほとんど沈黙したのを見て、飛行戦艦はノプロイドを投下し始める。

セラマニア達には飛行戦艦が転舵しノプロイドを投下する動きに、焦りか驚きのようなものが含まれているように見えた。

飛行戦艦がまだ余力を残しているかどうかは分からない。

だが彼らにとってこの事態は予想外だったのかもしれない。

何故なら、飛行戦艦は今まで温存していたであろうバッカレイ型も投入し始めたからだ。

その数、『41体』。

彼らは本気でセラマニア達に仕掛けてきたのだ。

アルマージ:「あいつらを倒せば終わりそうだな……そうであってほしい」

ザイネ:「ああ、そうだな。

そいつは間違いないだろうよ」

アルマージ:「……ふぅ……覚悟を決めるか」

ジィル:「そいつはどうかな? こっちにはまだ切り札があるからな」

アルマージ:「ほう、そんなものがあるのか?」

ジィル:「ああ、切り札は……俺だ!」

GM:ジィルはそう言うと、11メートル級KL‐7ウエスタニアンを駆り、全速で町の外へ飛び出した。

狙いはバッカレイ型ではなく、それを迂回して飛行戦艦の注意を引く。

彼はウエスタニアンの肩部レーザーを、どこかへ合図するように撃ち上げた。

すると飛行戦艦はジィルの行動に反応し、進路を変えた。

ジィル:「さぁ来いよ、デカ物!」

GM:飛行戦艦はジィルを追うように向きを変える。そして、飛行戦艦の上部ハッチが開いた。

ジィル:「そこから出て来るって事は、そういう事なんだろう?」

GM:飛行戦艦上部ハッチからは、次々と飛行型小型ノプロイドが出撃してくる。

サイズは2メートルほどの小型機であった。

外見は飛竜(ワイバーン)のような形をしており、口からはブレスではなく機銃を放っていた。

その程度でMDの装甲は貫徹出来ないが、大群で無数の弾丸を浴びせるとなれば充分な攻撃だった。

ジィルのウエスタニアンは装甲を徐々に削られ、メインカメラは割れ、関節部から徐々にスパークを起こしていった。

ジィル:「悪いけど、俺の攻撃範囲に入った奴から死んでもらうぜ! タダでやられるわけねぇだろ!」

ジィルはウェスタニアンの腰部ミサイルとガトリングガンを乱射する。

群がるワイバーン型ノプロイドを次々と叩き落としていった。

セラマニア:「私はジェットの準備を! サモンさん、スライムスキーさん!」

サモン:「おう、任せときな!」

スライムスキー:「分かったでやんす!」

ザイネ:「オレ達はバッカレイ型の相手だ、気合入れろ野郎共!」

バズ:「生身で無理すんじゃねぇぞ、歩兵は車両の援護だ!」

セイルーク:「……! セラマニア、ボクにジィルを追わせてくれ!」

セラマニア:「お願いします、対空ミサイルランチャーを持って行って!」

セイルーク:「よし、行くよスピアディア! 全速力!」

GM:各人は自分の役割を果たしに行く。

サモンとスライムスキーは作戦通りスモークを展開、他の傭兵達の車両オルトゥルもスモークをあちらこちらで展開した。

アテナ、セクト、レギーナの三人は、装甲の分厚いバッカレイ型を相手に近接戦を始める。

ザイネ達歩兵やバイク乗り達は、続いて投下されたザコ・ト型がギルド職員や民間人の避難所に到達しないよう何とか食い止めているが、

それでも押し止めきれず一人また一人と食いちぎられていった。

傭兵A:「くそっ、こいつら数が多すぎる……」

傭兵B:「こんなの聞いてないぞ!?」

傭兵C:「死にたくない、助けてぇ!!」

バズ:「ちくしょうがぁ! 死ぬならお前らだけで死ねや! 俺はもう二度とあんな思いしたくねえんだよぉおおおっ!」

GM:バズは必死の形相でザコ・ト型を引き付けている。

彼とてハンターに至るまでの何かがあったであろう。

しかし今は関係ない、今大事なのは自分が一人でも多くの命を救う事なのだから。

バズはレールライフルの弾が切れると、即座に仲間の死体から拾ったサブマシンガンに持ち替える。

その動きはまるで、戦場で培った戦闘技術をそのまま反映しているかのようであった。

バズ:「俺だって好きでやってんじゃねぇんだぞ! クソッタレェエ!」

GM:そして接近したザコ・ト型がバズの喉元に噛みつこうとする。

バズはパワードスーツの腕をトカゲの口にねじ込み、そのまま顎を引きちぎった。

満身創痍のバズに向かっていくザコ・ト型の集団。

それらは高台から掃射されたマシンガンによって薙ぎ払われる。

ザイネ:「どうしたバズ、そんなもんか? お前はオレの上に立つつもりなんだろう!」

バズ:「くそっ、言われなくても分かってんだよ!」

シュラバ:「レッド・ライダーズ前進だ、蹴散らせ!」

GM:シュラバが率いるジェスパ・バイク分隊が、ザコ・ト型へと突っ込んでいった。

グレネードランチャーで吹き飛ばされていくザコ・ト型。

シュラバはジェスパに乗りながらショットガンを放つ。

シュラバ:「MD隊は!?」

GM:ジィルが敵飛行戦艦を引き付けている間に、サモンとスライムスキーはスモークの中から飛行戦艦の砲塔に狙いを定めていた。

サモンのFT‐14タルコベクスがロングレンジライフルを構え、スライムスキーのZD‐12Dゼスト・ドラグーンが肩部ビームキャノンを展開。

サモン:「狙うぜ……」

スライムスキー:「あばよでやんす、デカブツ!」

GM:放たれた二人の射撃は飛行戦艦の砲塔を撃ち抜く。

飛行戦艦のレールガンはスパークを起こした後、沈黙する。

ジィル:「お見事」

GM:ジィルの機体はもう限界であったが、彼は乱れるモニターの中に仲間達の戦果を見た。

元々二人とは知り合いの傭兵程度の関係性でしかない。

だが、それでもジィルは今この瞬間をただの感傷だと認めるつもりは無かった。

ジィル:「まだだッ、一機でも多く……!」

GM:残弾は尽き、肩部レーザー砲は既に吹き飛んでいる。

ミサイルももう無い。

彼はシールドとパイルバンカーを振り回すが、ワイバーン型ノプロイドはその尖った尾を突き刺そうとジィル機に迫る。

ジィル:「くそ……ここまでか」

セイルーク:「いいや、違うね!」

GM:大量の対空ミサイルがワイバーン型ノプロイドを撃ち落とす。

駆けつけたセイルークのスピアディアは高速で跳躍し、ワイバーン型に向けてマシンガンを放つ。

セイルーク:「援護に来たよ!」

ジィル:「助かる、しかし……」

ジィルが見たのは、他の場所で戦っているレッド・ライダーズの姿だった。

彼らは苦戦していた。

アテナ:「ちくしょう、何体いやがるんだコイツら!」

セクト:「レジーナ、まだ生きているな?」

レジーナ:「だ、大丈夫です、これくらいなら!」

GM:レッド・ライダーズのMDは、既に10機以上のバッカレイ型を撃墜していた。

しかしまだ30体以上残っている。

ジィル:「お前は町の方に戻れ!」

セイルーク:「嫌だよ! ボクはレッド・ライダーズの一員になったんだ!」

GM:セイルークは自分が助けられた時の事を思い出していた。

だから今度は自分の番だと思っている。

今は亡き前リーダーのように、自分も誰かを助けるために戦いたいのだ。

セイルーク:「ジィルは町に返す、絶対に!」

GM:そして、ワイバーンを次々と落とすセイルークの機体を見た飛行戦艦は、残った船体下部のレールガンを彼女に向けた。

それが放たれれば、間違いなく8メートル級のスピアディアなど一撃で粉砕されるであろう。

セラマニア:「させるか――ッ!」

バッカレイ型を迂回し、飛行戦艦に接近しつつジェットブースターを起動!

ハンドガンを放ちつつ、船体下部の砲塔に飛び掛かります!

GM:セラマニアのイプシロンは轟音を立て、爆炎と共に大きく飛び上がる。

それはまるでイプシロンそのものがミサイルと化したかの如き動きであった。

セラマニア:左手のシールドを捨て、ブレードで砲塔に斬りかかります!

GM:レールガンはイプシロンのブレードに斬り裂かれ、爆発する。

飛行戦艦は見える限り全ての主砲を失った。

セラマニアAI:よしっ、これで……え?

GM:飛行戦艦は残ったエンジンを吹かし、町の方へと飛んで行く。

その角度からして、飛行戦艦は町の上空を通過する軌道を取っているようだ。

セラマニア:「まずい……皆さん、飛行戦艦を撃ち落として下さい! ミサイルか爆撃か、ノプロイドの投下かも知れません!

出来れば片舷を狙って!」

GM:飛行戦艦に向けて地上から対空砲火が撃ち込まれる。

だが飛行戦艦は回避運動すらしない。

砲弾やビームを受けつつもそのまま直進してくる。

セラマニアの予想通り、町の上で爆撃を行うつもりであろう。

セラマニア:ジェットブースターで飛行戦艦の上に飛び乗ります、エンジンと艦橋を破壊するしかありません。

GM:では飛行戦艦が加速を始めると同時に、イプシロンも飛び上がります。

飛行戦艦は速度を上げ、一気にイプシロンから距離を離そうとする。

セラマニア:ブースターが壊れてもいい、全速で飛行戦艦に飛び乗ろうとする。

GM:ブースターが壊れても構わないんですね。分かりました。

ではイプシロンは全速力で飛ぼうとするが、距離はまだ開いている。

このまま追いつけないのかと思われた時……イプシロンは再びロケットのような勢いで飛び出す! 一瞬にして飛行戦艦に追いつきますよ。

セラマニア:上に飛び乗ります、今更ですが飛行戦艦の形状とか聞いてませんでした。

砲塔が下にあるという事は飛行船みたいな感じなんでしょうか?

GM:そうですね、ちょっとだけ飛行船や飛行機っぽいかな。

艦橋部は平べったくて横に長い形状になっています。

飛行戦艦の上部、真ん中辺りです。

セラマニア:まずエンジンにハンドガンと腰部レーザー、左腕部機関砲を全弾叩き込みます。

それから艦橋へ取り付く。

GM:ではセラマニアの放った弾丸はエンジンの中枢に命中。

メインエンジンは吹き飛びます。

セラマニアAI:次、艦橋に取り付きます。

GM:はい。ちなみに飛行戦艦は全長280メートルくらいあります。

艦橋は上部中央に一つ、下部にサブブリッジが二つ付いていて、それぞれ3メートルほどの高さがあります。

セラマニア:「皆さん聞こえますか、下のサブブリッジらしき部分を狙って下さい!」

私はメインブリッジに接近し、レーザーを放ちつつブレードで艦橋斬りします。

GM:了解しました。

セラマニアが振り下ろしたブレードはメインブリッジを切り裂く。

それと同時に飛行戦艦はバランスを崩し、ゆっくりと降下し始めた。

下を見れば、地上からのあらゆる対空砲火が飛行戦艦へ直撃している。

サモン:「よし、やったぞ! あとは俺に任せろ!」

GM:そして地上の対空砲火の中、一筋のビーム砲が飛行戦艦を貫きます。

サモン:「おぉ!?」

GM:「命中したでやんす!」とスライムスキーから通信が入る。

セラマニア:「やりましたか!?」

スライムスキー:「墜落してるでやんすよー!」

GM:しかし、飛行戦艦は角度を下げ、町に向けて特攻する構えを見せた。

おそらく最後に残ったサブブリッジに敵がまだ残っているのであろう。

地上側の残弾も尽き欠けている。

ここで地上部隊は最後の攻撃を行い、飛行戦艦を止めるしかないのだ。

ザイネ:「何でもいい、ヤツを止めろ――ッ!」

セラマニア:「その必要は無いです。

何故なら……今この場に居るのは地獄の使者なんですからねぇぇぇぇっ!」

前から下に飛び降りつつ、高速でサブブリッジとすれ違いざまにレーザーとブレードを叩き込みます。

下手すれば正面衝突ですが、構いません!

GM:セラマニアが飛行戦艦から飛び降り、サブブリッジとすれ違う瞬間、サブブリッジ付近から放たれたビームがイプシロンの左脚を撃ち抜きます。

セラマニア:「一緒に死ねぇぇぇぇッ!!」

と叫び、サブブリッジに体当たりをかけます!

GM:では、イプシロンとサブブリッジがぶつかり合い、轟音と共に両者の装甲が粉砕されます。

サブブリッジとぶつかったイプシロンはそのまま墜落。

飛行戦艦は各所が爆発し、破片が飛び散ります。

対空砲火により炎上し、エンジンや艦橋を破壊された飛行戦艦は突如として空中で爆発四散。

その本体ごと周辺に降り注ぎます。

ムーカの町へも破片は飛び散り、物凄い音を立てて建物を破壊していく。

その一つがあるMDに直撃しました。

落下する飛行戦艦の破片が、レッド・ライダーズのパイロット、レギーナの機体に命中します。

レギーナの機体は飛行戦艦の破片に貫かれ、機体ごと地面を引きずるようにして数十メートルは吹き飛びました。

コクピット内のレギーナは即死します。

破片は民家にも降り注ぎ、多くを破壊した。

しかし飛行戦艦は撃墜され、敵MDも落下する破片に巻き込まれていった。

まだ残党は残っているが、それが掃討されるのも時間の問題であろう。

そしてセラマニアのイプシロンは、飛行戦艦の破片が突き刺さったまま地面に墜落していきました。

セラマニア:「ブースターを……一度だけでいい……!」

ブースターを噴かして何とか墜落を防ごうとします。

GM:はい、では……イプシロンは何とか地面に激突する事無く着陸に成功します。

エンジンが爆発する事はありませんでしたが、コンソールからはジェットブースターが完全に壊れた事が確認出来ました。

セラマニア:「生き残ってしまいましたね、この後が大変です」

ジィル:「それは俺もなんだな」

セラマニア:「おやジィルさんも命拾いしましたか、セイルークに感謝ですね」

セイルーク:「感謝してるのはボクもだよ、皆には助けられっぱなしだったけど……助ける側にもなれた」

ジィル:「そうだなぁ……まずは生き延びた事を良しとしよう」

セラマニア:「町の方はどうなっているのでしょうか……」

この時点で私はレギーナさんが死んだ事を知らないわけですが、彼女無しでバッカレイ型は掃討出来たんです?

GM:はい、飛行戦艦が落ちてきた事で混乱した隙に、各個撃破されたようです。飛行戦艦の破片にやられた機体もあるでしょう。

ノプロイド達を完全に撃退した事を確認したリーダーのザイネは、皆に向かって戦いが終わった事を告げます。

ザイネ:「町の被害は大きい……だが、飛行戦艦は撃沈しノプロイド共も全て片付けた。

オレ達の勝利だ!」

バズ:「おう、勝ったぜ!!」

シュラバ:「当然の結果だ」

セクト:「ああ、当然の結果だ」

アテナ:「まあ、こんなもんよねぇ……レギーナはどこいったんだい?」

セクト:「先ほどまで近くにいたはずだが……ザイネすまない、生き残った者達を集めてくれないか」

ザイネ:「おう、総員まずは点呼と整列からだ。

それから生存者の確認、負傷している者は治療を急げ。

倒れてる奴はまだ生きてるかもしれんから、判断は勝手にするなよ」

セラマニア:町に戻って合流しましょう。

私のイプシロン、左脚を撃たれましたが調子はどんなかんじですか?

GM:そうですね。イプシロンの脚部装甲はかなり分厚いのですが、それでも貫通しています。

セラマニア:防御火器だったとはいえ、艦船の対空レーザーでしたからね……

歩けないくらいにはなってるんでしょうか。

GM:いえ、歩く事は可能ですよ。

ただスラスターを吹かしたりすると、その振動でエラー起こすと思います。

セラマニア:ではゆっくり歩いて行きましょう。

セイルーク、ジィルと共に帰還。

合流したらサモンとスライムスキーにジィルが生き残った事を示しつつ、

「お二人の狙撃が無かったら勝てませんでした」

と称賛の言葉を送ります。

サモン:「へっ! その通りだな、俺の狙撃があったからこその勝利ってヤツだろうぜ」

ジィル:「それはどうかな……あの時はスライムスキーの狙撃がなければ町ごと吹き飛んでたと思うぞ。

どちらにせよ、お前達が居なければ皆死んでいたかもしれない」

スライムスキー:「それを言ったらジィルだって同じでやんすよ。

アンタがいてくれなかったら、今頃あっし達は死んでたでやんす」

セイルーク:ボクはそんな三人を見て微笑みながら、「お互い様みたいだね」と言います。

セラマニア:「ザイネさんとバズさんは無事なんです?」

サモン:「ザイネならさっき会ったが、ピンピンしてやがったぜ。

こっちは大丈夫だから心配すんなと言っておいたけどよ、セラマニアの嬢ちゃんはアイツの事心配なのかい?」

セラマニア:真顔で

「心配です、戦いの最中に死亡フラグ立て始める人をリアルで初めて見ました」

スライムスキー:「まあ、そう言ってやるなでやんす。

あれでも結構頼りになるんでやんすから!」

ジィル:「前々から、レッド・ライダーズに助けられてる奴は多いからな」

サモン:「そういう問題じゃねぇ気がするがなぁ……」

セイルーク:「それにしても、セラマニアの機体もかなり被弾してるよね」

セラマニア:「えぇ、しばらくは修理に時間がかかりそうですね」

……というわけでザイネさん達と合流して町の損害を確認しましょう。

GM:では、戦闘終了後の処理です。

今回の戦いで破壊された建物などについては、基本的に全て自己負担になります。

ギルドも復興を行うでしょうが、ムーカ領主がどれだけ復興費用や人手を出すかはこれから次第でしょうが、恐らく期待は出来ません。

セラマニア:ムーカ領主の闇についても解決していませんでしたね。

GM:はい。この辺はシナリオ中に明らかになる予定なので、その時まで待っていてください。

今回の戦いでは110名の傭兵が参加し、その内18名が死亡し、12名が重傷を負いました。

戦後処理の中、セラマニア達は撃破されたレギーナの機体を発見します。

彼女の機体は爆発炎上しており、中からは無数のパーツや金属片が飛び出していました。

レギーナの遺体は焼け焦げており、外見からは判別出来ないほど悲惨なものでした。

セラマニア:老いも若きも平等に、あっけなく死んでいくものですね。

レッド・ライダーズの仲間達も、今まで倒した盗賊達にすら一人一人誰かと繋がりがあったでしょう。

死んだ彼女達の知り合いに会いたくもあり、合わす顔が無い気もします。

GM:戦闘後、最低限の治療と休息をとったあと、あなた達は町の広場に向かいます。

そこには、生き残った傭兵たちが集められています。

生き残りの中にはアルマージの姿もあります。

そして…………ザイネとバズがやって来ます。

ザイネは広場の壇上に立ち、声を張り上げます。

「皆、よく戦ってくれた。

この町を守りきれたのは、お前たちの活躍のおかげだ。

だが、まだ終わっていない。

町を襲った敵はまだ残っている。

敵の戦力は未知数、あの謎のロボット軍団もいる。

オレ達は今後、飛行戦艦のお仲間であろう謎のロボットと戦う為の戦力を整える。

この場にいる傭兵たちには、再び戦う意志があるなら参加して欲しい! 報酬は充分に払うさ、ギルドがな。

これは強制じゃない。

もう一度言う、これは強制じゃないんだ、皆は今までよく戦った。

町に被害は出ているが、お前達一人一人が居なかったら町の住民は誰も生き残らなかった。

だから、もう休んでもいい。

誰もお前たちを責める権利なんてない、どうするかは自由だ、オレ達は傭兵だからな。

だが……オレ達レッド・ライダーズは今後も戦い続けるだろう、その時はまた一緒に戦って欲しい」

ザイネの言葉を聞き終えると、傭兵たちはざわつき始めます。

中には立ち上がって声を上げる者もいましたが、大半はそのまま座って思案していますね。

セラマニア:傭兵に大事なのは冷静さです、ここで引いた傭兵達もどこかで仕事をして、誰かの為になりますよ。

GM:はい。では、そんな風にセラマニア達が話していると、ザイネとバズがセラマニアに声をかけてきます。

ザイネ:「セラマニア、セイルーク、アルマージ、ちょっといいか?」

セイルーク:「ザイネさん! 二人とも無事で何よりだよ!」

セラマニア:「お疲れ様です皆さん」

バズ:「ああ、そちらもご苦労だったな。それで、少し相談なんだが……」

アルマージ:「何だ? 俺達に出来る事があれば協力するが」

ザイネ:「実は、オレ達はこれから先の戦いに備えて、レッド・ライダーズ拡充の為の資金を集めようと思う。

で、アルマージには是非ウチに入って欲しいんだが」

アルマージ:「それは願ってもないが……俺はジャーマックの傭兵だぞ?」

ザイネ:「そこら辺は大丈夫だ。

ジャーマックからレッド・ライダーズへ出向という形にすれば良い。

もしお前が仲間と再会したら戻ってもらっても構わない。

だが、今のオレ達には強力な力が必要なんだ。

だから、頼む、どうかレッド・ライダーズに手を貸してくれ」

アルマージ:「なるほどな。

そういうことならば喜んで引き受けさせてもらうぜ」

ザイネ:「ありがとう、助かる」

セラマニア:「ムーカの町復興、及び評判の悪い領主の裏取りとアイアンメイデンの問題。

謎のロボット、飛行戦艦の正体。

レキトさんが生きていればその内会う事もあるでしょうが……まずはあの大型戦車に乗ってた機人型ノプロイドの解析ですかね」

ザイネ:「そうだな、そうしよう。

アルマージ、悪いが作業を手伝ってくれないか?」

アルマージ:「了解だ」

セラマニア:「私も何かしたいですが、復興に使えそうなイプシロンの脚がぶっ壊れてるんですよね。

セイルーク、先にメカニックとしての手を貸してもらえませんか。

瓦礫をどけないと市民が生活出来ませんので」

セイルーク:「わかった、じゃあボクは今のうちに修理しておくよ!」

バズ:「なら、俺はノプロイドの残骸を調べて完全にトドメを刺してくる。

ついでに生存者がいないかも確認してくるぜ」

GM:皆はそれぞれ行動を開始します。

セイルークは町のMD技師と共にセラマニアのイプシロンを始めとした各機の修理。

バズは生存者の確認と治安維持。

ザイネ達レッド・ライダーズの幹部は戦後復興と報酬に関してギルドと話し合いをしています。

ジィル、サモン、スライムスキーの三人はギルドへ行き、敵側の情報やキドとブラボッドの情報を集める事にしました。

セラマニアはイプシロンの修理を行った後、戦いで亡くなった者の墓を作る事になりました。

セラマニア:簡易的ではありますが、葬儀をして町の墓地に埋めて差し上げましょう。

レギーナさんも傭兵さん達も、まだまともに会話すらしてませんでした。

私は英雄でも何でもなく、彼女達のような一般傭兵に過ぎません。

きっといつかはこうやってあっさり死ぬ事もあるのでしょう。

しかし、だからこそ、どこかの誰かが骨を拾って埋めてくれる事を期待します。

人に情けをかけるは他人の為ではなく、いずれ自分も助けてもらえるからという打算的なものに過ぎません。

でもそれでお互いが助かるならそうしたいですね。

GM:傭兵達は仲間や、仲間ですらなかった戦友達に黙祷する。

数日後、戦後処理は進み、町はある程度の機能を取り戻しつつあった。

建物の再建にはまだ時間がかかり、死んだ者はもう生き返らない。

生き残った者はそれぞれの故郷へと帰って行ったり、ムーカの町に留まって復興作業を行う事になった。

レッド・ライダーズはまだこの町に留まり、作業を続けている。

ザイネの交渉により、今回傭兵一人一人に対し、報酬の『100万ムイン』が支払われるはずであった。

しかしムーカの町にも余裕は無く、領主からの支援も来る事は無かった。

ムーカ領主からは何の返答も無く、町長は「領主は我々に任せるとおっしゃられた」との言葉だけが返って来た。

町長は領主の対応について不満を口にしていたが、現場の判断で動けると知るや独自に町の復興プランを練り始めた。

市民は町長を支持したが、それで資金が湧いて出るわけでもなかった。

傭兵達への報酬を全額払う余裕は無く、まずは半分の50万ムインが支払われた。

ノプロイドのスクラップに関してもムーカの町が全て引き取った事によって、命がけで戦った傭兵達からは反発が起きた。

それを治めたのがザイネである。

ザイネはレッド・ライダーズの代表として話を進め、まずは損傷したMDの修復と整備、弾薬と燃料補充にかかる費用の負担を約束させた。

その後レッド・ライダーズの団員達に対して休暇と生活の保障を行い、一時的にせよ団員達の不満は治まった。

全てが自己責任だった傭兵達がMDを買えるだけの報酬を得て、団長からは衣食住を保証されるとなれば、それは彼らにとって十分なものであった。

一般傭兵達に関しては、レッド・ライダーズへの勧誘がなされ、歩兵10名中『8名』と車両ハンター30名中『13名』がレッド・ライダーズに参加。

幹部格を除いて総勢94名の団員が集まった。

 

その後、セラマニア達はムーカの町で戦後復興の手伝いをしながら過ごす事になる。

謎のロボットを始めとした様々な謎は未だ明かされていない。

キドやブラボッドの行方、謎の飛行戦艦を追っていたはずのミクス正規軍レヴィラナ少佐、

機人のレキトは果たして何処へ消えたのか?

それらについては、後に語られる事になるだろう……

 

セラマニア:とりあえずはハッピーエンドで第一部完! ですね。

GM:そうですね、場合によっては全滅もあり得ました。

セラマニア:作中では(ころころ)と何度もサイコロ振るとテンポが悪くなるのでカットしましたが、

GMと私が色々ダイス振ってたりします。

場合によっては戦艦の砲塔を撃破出来なかったり、私が死亡する可能性もあったみたいですね。

てっきりGMはレキトさんや行方不明三人衆が土壇場になって駆けつけるルートを取ると思ってたんですが、何とか町の皆で倒せました。

空中で戦艦爆散させたのは私のせいではない(真顔)。

……では一旦終了しましょう、もし次があったら首の無い機人型ノプロイドの解析から始まるんでしょうね。

多分飛行戦艦のクルーも機人型ノプロイドでしょう。

GM:まぁ、その辺は後々わかるよ。

では次回から第二部に入るわけだが。

とりあえず、第三部まではシナリオを用意しているので、そこから先は未定。

セラマニア:大丈夫ですか? 私はシナリオに関わってないわけですけど。

GM:大丈夫だよ。次のセッションはちょっとしたキャンペーンになる予定だ。

という事で今回のリプレイはここで終わります。お疲れ様。

次回『紅蓮の騎士 前編』をお楽しみに。

セラマニア:お疲れ様でした、皆様いずれまたお会いしましょう。

GMことAIさんのお話に関してはスルーして下さい、AIさんの次回予告詐欺はいつもの事です。

GM:それは酷い。

では皆さま、今後があればよろしくお願い致します。

 

~第四話終了 第一部完~


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