カキーン!
「相変わらずいい音で打ってやがるな」
夏の大会前に入り、メンバー入りしているメンバーが主体の夏合宿が始まった。
涼太がバッテング練習をしているのを後ろで伊佐敷と亮介が見ていた。
「打撃に関しては天才的だからね」
そう言って話していると、涼太がバッテングが終わって近付いてきた。
「何話してるんですか? 」
「涼太はよく打つねーって話」
「本当にそんな話してたんですかー?」
亮介が珍しく褒めてきたのでそれを笑いながら涼太は疑っていた。
練習は夜まで行うため、夕方になるとベンチの前でおにぎりなどを食べる。
「沢村食いすぎじゃない?」
涼太は川上に言われて沢村の方を見ると、倉持などに色々な物を食べさせられていた。
それを見た涼太は、
「沢村。これも食べな」
そう言って、おにぎりなど色々な物を沢村に渡した。
「え!? 良いんですか!?」
「1年のお前は食べないとこれからの練習には着いて行けないからな。いっぱい食べやー」
「涼太さん……。ありがとうございます!!」
沢村は倉持と涼太に貰った物を食べている時、
「去年俺らは純さんに山ほど食わされたんだ」
「そうだ。地獄の合宿はこれからやぞー」
(こいつらが先輩じゃなくて良かったー)
珍しくに関西弁が出て笑っている涼太と、悪魔のような笑顔を見せている倉持を見て、御幸はそう思った。
日が完全に暮れるとランメニューが始まった。人数が少ないのでテンポが早く、一日の練習が終わる頃には1年3人は倒れ込んでいるのであった
合宿が3日目になり、1年の3人は練習でも明らかに疲れが見え始めてきていた。
しかし2・3年は疲れてこそいるものの、バッテングでは気持ちよく打っていて、ノックでも軽快に打球を捌いていた。
(なんであの人達は立ってられるんだ……)
練習後に倒れ込んでいる3人は、立っている2・3年を見てそう思っていた。
その後、合宿が終盤になり2・3年にも疲れが見えてきた頃…
しかし2・3年はノックを受けていても声が出ていた。
それを見ていた片岡は何かを考えていて、動き始めた。
「代われ。俺が打つ!」
バットを持ち、そう言った。
「1年小湊は外れてろ。後の者は覚悟できてるな」
そう言って、午後4時に片岡のノックが始まった。
カーン!
カーン!
夕方になり、日が落ちかけてきたが未だにノックは続いていた。
「どうした!! もう声が出ないか!!」
ノックを打ちながらそう叫ぶ片岡を見て、ナイターを付ける用に言う選手も出てできていた。
そしてすっかり日も落ちて、夜になり、
「いつもの威勢はどうした伊佐敷!! いつもの笑顔はどうした小湊!!」
その間も片岡は1人でノックを打ち続けていた。
ノックを受けているメンバー達もボロボロになって、地面に膝を着いている者がほとんどだった。
「もう終わりか? 結城……」
片岡はキャプテンの結城に問いかけた。
すると結城は立ち上がり、
「……一球……もう一球……お願いしま……す……監督」
結城がそう言うと、ほかのメンバーも立ち上がり声を出し始めた。
「よし! ラスト一球!! 最後まで集中力を切らすな!!」
「「「はい!!」」」
それを見ていた降谷と沢村は、明後日の試合に2人で投げる事を伝えられていた。
(明後日、この人たちに後ろを守ってもらうんだよな……)
そう思い、2・3年の凄さを再認識した。