その間にダイヤのA 完結しちゃった・・・
7月20日
3回戦
青道高校VS村田東
3回表の終了時で5対0で青道リードで試合は進んでいた。
「降谷の奴飛ばしすぎだろ!」
「言う事も一切聞かねぇし」
倉持と御幸がベンチ内はベンチ内で話していた。
「けどあいつほど気を抜けてる訳じゃないからいいんじゃねぇか」
御幸はベンチの奥を見てそう言ってので倉持が見ると、
「いやー 今日は安心して見てられるねー」
春市とニコニコと笑いながら話す涼太の姿があった。
「あいつは今日は出れないからな。準々決勝に合わせて調整をって監督にも言われてたしな」
「使い続けて去年みたいな事が起きても嫌だからな」
御幸はそう言って笑っていた。
その後、試合は5回裏の結城のバックスクリーン直撃、サヨナラツーランでコールドを決め、青道高校は4回戦進出となった。
次の試合は明川学園VS都神山の試合の勝者が次の相手なので、そのまま試合を見ていく事になった。
「明川学園の投手よーく見ておけよ。お前らに無いものを持ってるから」
御幸は近くに座っていた沢村と降谷に秋川の投手で台湾からの留学生、楊舜臣を見るように言った。
「元々は語学留学で日本に来たが、日本の野球に触れてすっかり魅入られてしまった選手らしい。誰よりも遅くまで残って練習し、誰よりも日本の野球を吸収しようと勉強するその貪欲さ、他を寄せつけぬその雰囲気と日々磨き上げたその制球力、ついた異名は」
「精密機械」
楊は初球、バッターの顔付近のボール球を投げ、2球目にアウトコース一杯のコースに投げ込んだ。
3球目も同じコースに投げ、バッターが内か外か迷っていた4球目は同じくアウトコース一杯のボールを投げた。
バッターは同じコースに投げ込む楊のコントロールに驚いていたが、
(フン……今のはボール1個分外したボール球だ。同じところに3球投げるバカがどこにいる……)
序盤に先制をした明川が確実に得点を守って、3対0で勝利した。
外と内の投げ分け、低めに集めた丁寧なピッチングでヒットをわずか5本に抑え、楊は完封をなしとげた。
明川のナインはチームが先制すると、明らかに雰囲気が変わっていた。
それほどに信頼されているのが楊舜臣と言う投手だ。
「試合は3日後の水曜日、今度の相手は今までみたいに甘くはねぇぞ」
寮に帰り、ミーティングを初めた。
クリスは楊舜臣の情報を話し始めた。
「変化球はあまり投げてませんがカーブにフォーク。ストライクカウントを取りによく使ってました。
球速は130km/h前半くらいですが、やぱり注目すべきはあの正確無比なコントロール。
インハイからアウトロー、アウトハイからインロー、対角線を上手く使って打者の打ち気を逸らしてましたね。
恐らく真ん中辺りの甘い球は殆ど来ないでしょう」
クリスがそう言うと、メンバーの表情は固くなった。
「コーナーギリギリに投げ分けれる球に惑わされず、いかに自分のスイングが出来るかがこの投手攻略の鍵になりそうです」
「中途半端なスイングは相手投手に勢いを与えるだけだ。どんな球だろうと強く振り切る事、それからこういうクレバーな投手を揺さぶるには機動力とバント」
クリスの話を聞き、話を始めた片岡が倉持と亮介を見た。
「お前達の出塁が相手にとってプレッシャーになる事はわかってるな」
「「はい!!」」
翌日
2戦連続で大量得点をしている、青道打線のバッティング練習を多くの記者達が見ていた。
中でも注目は4番でキャプテンの結城。
プロ注目の1人で記者達が見逃す訳も無く、彼のバッティングを見ていた。
そしてもう1人、
「やはり彼のバッティングは天才的ですねー!」
高校野球を何年も見てきているはずの記者がそう言う程のバッティングを見せていたのは涼太だった。
他の記者達も広角に強い打球を打ち分けている、涼太のバッティングを見ていた。
そんな中、部下の大和田 秋子と共に青道高校に取材に来ていた、月刊「野球王国」記者の峰 富士夫は涼太についてを考えていた。
(鹿野 涼太。圧倒的な実力を誇った浪速シニアの主力打者。
浪速シニアのメンバーの進路は注目されたが、全員バラバラの高校に入学した。
彼はスーパールーキーの前評判通りに、春の都大会・関東大会で大活躍をして、そのまま夏の都大会ではレギュラーとなった。
彼のレギュラーには部員が誰も文句は言わなかったらしい。
大会に入ると、準々決勝までで打率は4割を超え、本塁打も2本を放ち、東京中にその名を轟かせ始めた。
そして準決勝。
相手は青道のライバル 稲城実業
相手先発が降板して、2番手に出てきたのは現在のエース 成宮鳴
中学時代も対決があった2人の高校初対決。
成宮君のアウトコースのストレートをあわやホームランかと思うフェンス直撃の打球を放った。
しかし、2塁に向かう最中に右足のハムストリングの肉離れを起こして途中交代。
その時の彼の悔しそうな表情は今でも思い出す。
その後の秋の都大会も背番号こそ7番だったが、試合にはスタメン出てること無く、全て代打出場だった。
これは後に分かったが、肉離れが再発、そして中学時代から痛めている腰の痛みも再発したのが理由だった。
怪我の影響で満足に走る事すら出来ず、腰の痛みでフルスイングも出来なかった。
彼の怪我も影響して、秋の都大会も優勝する事はできず、選抜を逃してしまった。
今年の春の都大会・関東大会、そして夏の都大会も試合にこそスタメンで出ているものの、休みながら使っている。
恐らく完治はしていないんだろう。
だが、そのバッティングに関しては成長していて、現在からプロのスカウトが来るほどだ。
(そう思うと余計に彼の完全体の姿を見ていたいが……)
峰がそう思って見ていると、やはり涼太は早めにバッティングを終えて、選手と腰と足について話していた。
(やはり痛みを抱えたままか……
彼が満足にプレー出来るかどうかで青道の甲子園は大きく変わっていくな)
その後峰と大和田はブルペンを見に行き、元気一杯に変則フォームで、左バッターのインコースに投げ込む沢村と川上。
エースの丹波は片岡と共にネットスローをしていた。
少し遅れて降谷もブルペンに入ったが、数球投げて終わりにしていた。
2人がグラウンドから帰ろうとした時、
「あ! 峰さん!」
そう言って声を掛けて来たのは涼太だった。
「え! 鹿野君!?」
涼太を見て思わず大和田は声を出してしまった。
「新しい方ですか? はじめまして鹿野涼太です」
初めて見た大和田にあいさつをして、峰に話しかけた。
「峰さんは今日は何を見に来たんですか? どうせお目当ては降谷でしょうけど」
予想を当てられた峰は少し苦笑いをしながら、
「そうだね。それよりも鹿野君は調子はどう?」
峰の質問に涼太は笑いながら、
「調子は良いですよ。けど……」
そう言って喋るのを止め、「オフレコにしてくださいよ?」
と言って話を始めた。
「体は良く無いですよね。腰とか足はもうこれからも付き合っていかないといけないらしいですよ。まぁ冬よりは全然良いですよ。一時期歩くのが辛かった時期がありましたからね。中学以来でしたね。あの痛みは」
「そんなに痛みは酷かったのか……」
峰と大和田は、少し信じられないような感じで話を聞いていた。
その後も軽く話をしていた。
涼太は最後に、
「次の秋川学園は負ける気はしないですよ。まぁあの精密機械を打てればですけどね。それよりは準々決勝ですね」
そう言って涼太は寮の方に戻って行った。
「まだ高校生なのにそこまでの怪我を抱えてるんですね……」
「ああ…… これは仕方ない事かもしれないが彼ほどの才能を持つ選手にはあまりにも不憫だな」