一話 ビルド登場(前編)
「うわあああああああっ、俺、落ちてる、落ちてるううううううううっ!!!!」
気が付けば青空の上を飛んでいた。意識を取り戻してなければ死んでたぞ、絶対。
「あぶぶぶぶっ」
声が上手く出せない……! ヤバいヤバい!
「?」
ポケットの辺りをゴソゴソしていると、ビルドドライバーとフルボトルが取り出せた。
「(……! このボトルなら)」
俺はドライバーを巻き、ボトルを入れる。
『タカ! ガトリング! ベストマッチ!』
レバーを一回回す。
『Are you ready?』
「変身!」
『天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!」
ホークガトリングフォームへ変身した。 ……初変身が基本フォームじゃないとかどうなってんだ、と思う人もいるだろう。でもそこは許してね。一大事だから。
「ふぅ……」
取り敢えず落下死の危険は回避された。さて、どこへ下りればいいかな……。
「ん?」
目線の先に尖っているタワーを見つけた。パンドラタワーを思い出すなぁ。そんな自分の気持ちを軽く流しつつ、タワーに向けて一直線に進んだ。
「よっと」
俺はタワーの展望台に降り立った。幸い人は誰もおらず、軽く背伸びできる余裕はある。
「ん~」
見晴らしは最高、景色が一望出来て綺麗だ。取り敢えずは気持ちが落ち着いた。ここに住んでいる人に会いに行けば快く受け入れてくれるのではと思った俺は、変身したまま展望台を後にした。
「すいませーん、誰かいますかー?」
俺の声は反響して聞こえなくなった。やまびこをしている感じだった。
「誰もいないのか……」
どこか出れる場所を探してキョロキョロしていると――
ビー! ビー! というけたたましい音が響いた。
「うおっ、何だ?」
警報に驚いている俺を出迎えたのは――
『ガシャン、ガシャン』
という無機質な音を立てるロボットだ。ガーディアンとは違うが、十分な脅威になる。そのロボット達は銃口を俺に向けて撃って来た。
とっさに翼を広げ前に閉じ、銃弾を全て受け止める。
「ふぅ、なんとかなったな……」
相手は目の前のロボット二体。
『ホークガトリンガ―!』
ホークガトリンガ―を装備し、俺はいつもの決め台詞を言う。
「勝利の法則は、決まった!」
それを合図としたのか、ロボットが向かって来た。スピードは速い。でも――
「ほっ、よっと!」
少し背を低くすればかわせた。隙だらけのロボット一体に銃弾の猛威を振るわせる。さっきのお返しと言わんばかりにとにかく連射した。
『wer*ho@mko!』
そのまま爆散。破片が飛び散った。
「まずは一体」
俺の動きにたじろいでいたもう一体が、打撃を食らわせようと至近距離まで接近してきた。
「ぐわっ!」
反応が遅れ、打撃をモロに喰らい距離を取らされる。だが、逆に絶好のチャンスだ。
『海賊! 電車! ベストマッチ!』
ボトルを入れ替えレバーを回す。
『Are you ready?』
「ビルドアップ」
『定刻の反逆者! 海賊レッシャー! イエーイ!」
海賊レッシャーフォームにチェンジした。そのままカイゾクハッシャ―のビルドアロー号を引っ張る。
『各駅電車……急行電車……快速電車……』
動かない的なら当てやすい。
『海賊電車、発射!』
手を放すと同時に、電車のエネルギー体が発射される。何の抵抗もせずに食らったロボットは爆発を起こした。
カイゾクハッシャーを下ろし一息ついた。だが――
『ガシャ、ガシャ、ガシャ』
「そう簡単には終わらせてくれないか……」
次は十体程。一つずつは骨が折れる。後ろに下がっていると、丁度いい位の逃げ道を見つけた。俺はすぐさまその道に飛び込んだ。
「どうか追ってきませんように……」
ささやかな願いをしながら進んでいく。道は真っ直ぐだから、このまま行けば……! だが、そんな俺の行動をあざ笑うように、ロボットは十体揃って行く手を阻んでいた。
「マジかよ……」
驚いてしまったが、正直こうなる事は予想できた。
「じゃあ、これでも使ってと……」
『ライオン! 掃除機! ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
『たてがみサイクロン! ライオンクリーナー! イエーイ!」
よし、と一呼吸入れ、レバーを回していく。
『Ready GO! ボルテックフィニッシュ!』
掃除機でロボットを引き寄せる。その間、ライオンのエネルギーを溜めていく。
「はあっ!」
ライオン型エネルギーを放出。ロボットはこれで全滅した。構えを解き、変身を解除しようとボトルに手を掛けたその時
「侵入者、覚悟っ!」
後ろを振り向くと、女の子が木刀を振りかざして襲い掛かって来た。上段からの振り下ろしを掃除機で受け止める。
双方ともはじき返して一旦離れる。
「侵入者……? 俺、そんな扱い?」
「当然! 無断で入ったら誰でも侵入者なんだよ!」
人指し指を俺にビシッと向けて言い放つ女の子。背は俺より小さく、髪は薄紫、パーカーとワンピースを合わせたような服装をしていた。
「私はネプテューヌ。プラネテューヌの女神! 侵入者は私がねっぷねぷにしてやんよ!」
「え、ええ~!」
俺は状況が分からないまま戦う事になったのだった。
いかかでしたか? 三種類のベストマッチ、ネプテューヌ登場、今回の話だけでも書きたい部分の半分は書けました。なので、あともう半分を書くのみです。
次回からはビルド恒例のあれが始まります。ご期待ください。