byイストワール
駆けだした二人の距離が徐々に近づいて――
シャキン! と、剣が空を斬る音が聞こえた。
先に膝をついたのは
――ネプギアだった。
「ネプギア、ネプギア!」
「……聞こえてるよ」
倒れたネプギアの上半身を起こし、目線を合わせるネプテューヌ。
「ごめんね。お姉ちゃんなのに、わたし……わたし……!」
「気にしないで、いいよ。 ……本当は、憧れてたんだ」
「……?」
「かっこよくて、誰よりもみんなの事考えてて、それでいて……やる時はしっかりやるお姉ちゃんで、私は、そんなお姉ちゃんになりたかった」
ネプギアの体が透けていく。
「ネプ――」
ネプギアがネプテューヌの口に人差し指を当てる。
「……わたし、立派な女神になれたかな」
「なれたよ! ううん、なれるよ……! なれるから、ネプギアなら私よりも絶対にいい――う、くっ……!」
ネプテューヌは傷が広がったのか、呻きながら倒れた。
「…………ねえ、お姉ちゃん」
ネプギアが倒れたネプテューヌの側にそり沿い、話しかけた。
「前に見たんだ、この次元に来る前に……きれいな流星群。一人だったけど」
皆、いなくなった。全てを失った少女の悲しみが、俺にはよくわかる。
「ネプギア、死んじゃやだ……一緒に、いようよ……!」
自分よりもしっかり者で、だからこそ未来を託せた。ネプテューヌは話さなかったが、イストワールは話してくれた。自分を犠牲にして、妹と剣の中で共に戦う道を。
「お姉ちゃん…………大好き、だよ……………………」
ネプギアの瞳が静かに閉じていく。ネプテューヌは必死に妹の名を叫んでいたが、それも虚しく
ピンク色の粒子となり、火の粉と共に空へ舞い上がって行った。
「ネプギア…………」
妹の名を呟くネプテューヌ。俺は側に行き、そっと頭を撫でる。顔を上げ、体を起こしたネプテューヌは
「もし、ネプギアじゃなくてわたしだったら……どうなってたんだろう」
俺に問いかけた。
「ネプギアと同じ、って言えないな。正直俺にはわからない。でも」
俺は一旦言葉を区切る。
「お前なら……正しい力に出来るんじゃないか?」
「正しい、力…………」
他の面々も駆け寄り、ネプテューヌを囲んだ。
「よく頑張ったわね、ネプ子」
「治療してあげるですよ」
「あいちゃん、コンパ……」
二人に肩を貸してもらい、ネプテューヌは立ち上がった。
「ネプテューヌさん。 ……今日はゆっくり休んでください。明日、ネプギアさんが帰ってきますから」
イストワールが珍しく労いの言葉をかけた。
「う、うっ…………うわあああああああああああん!!!!」
大きな声で、ネプテューヌが泣き始める。その様子を俺は黙って見ていた。一人の大人として、ヒーローとして、今は――
翌日
「お姉ちゃんただいまー……って、どうしたのその傷!」
「あはは……いろいろあってさー……いたたた!」
「お姉ちゃん動いちゃダメならダメって言ってよ、もうー!」
ネプテューヌの部屋からは、姉妹の楽しい声が聞こえて来た。いつもの日常が戻った。
「戦兎さん。この度はありがとうございました」
「いや、別にお礼なんていらない。俺は当たり前のことをしただけだ」
一度、世界を救った事もある。仮面ライダーとして。だから、二度くらいは許してくれるだろう。
「そうだ。紹介したい人がいるんだ」
「誰なの?」
「戦兎くーん。おいでー!」
俺の名前が呼ばれた。
「いってらっしゃい、戦兎さん」
「ああ」
俺はネプテューヌの部屋の前に立つ。中から「はやく~」と言う急かす声が聞こえる。
一呼吸し、俺は部屋のドアを開けた。
「初めまして、俺は――」
「桐生戦兎くん。またの名を、正義のヒーロー!」
ネプテューヌと目が合う。 ……そういうことか
「「仮面ライダービルド!!」」
「以後、お見知りおきを」
ギョウカイ墓場。そこは、あらゆる魂が眠る場所。死んだ者が逝き着く場所。
怨念、憎悪、憤怒。あらゆる感情が渦を巻き、一つの姿を形作る。それは奇怪な姿をしていた。ロボットとは似つかず、等身大の何かと言われてもそうではない。
「……………………」
ギョウカイ墓場の地面を突き破って現れたそいつは――
「オオオオオオオオオオォッ!!!!」
聞いたものを失神させるような唸り声を上げ、上空へ飛び立つ。空から大陸を眺めているそいつの目に映ったのは、工場地帯。
「フッハッハッハッハッ……」
強者の匂いを感じ取ったのかそいつは侵略地を――いや、復讐の足掛かりを、ラステイションと定めたのだった。
主人公ズの物語、完! これにて第一部が終了しました。大変だった。不定期投稿としながらも、見てくれる皆さんのおかげで自分のモチベーションが下がらずにここまでこれました。ありがとうございました。
さて、お次は万丈&ノワール大活躍。ユニちゃんもいますよ。
ゲームの怨念が、ラステイションを襲う。滅亡まであと――
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