リアルの方が忙しくて…。
短いけど許してください……。
「あんたたち、いつまでそんな厭らしいことやってるのよ!」
二乃の声に俺と五月はハッとした。
五月の部屋の入り口を見ると、顔を真っ赤にして、俺たちを見ている一花、二乃、三玖、四葉がいた。
四葉に至っては顔を手で覆ってはいるが、指の隙間からばっちり俺たちのことを見ている。
二乃の叫び声に我に返った俺は先ほどまでの行為を思い出した。
「……!?」
五月も同じなのか、顔を真っ赤にしている。
というか、俺も恐らく、真っ赤になっている気がする。
俺は無意識に口元に左手を持っていく。
そして、五月の顔、正確に言えば、口元に目をやる。
先ほどまでの舌を絡ませていた生々しい感触が鮮明に蘇ってくる。
なんというか、あれだな。
気持ちよかった。
好き合うやつ同士がキスをしたがる理由がよくわかる。
「フータロー、だらしない顔してる」
三玖がプクーッと頬を膨らませて指摘してきた。
なんでこの姉妹は機嫌が悪くなると、頬を膨らませるのだろうか。
「いや、だらしない顔なんてしてないだろ!」
「口元がにやついてるよ、ほら」
一花が手渡してきたのは手鏡。
鏡に自分の顔を映すと、確かに口元が若干緩んでいる。
「油断も隙もあったもんじゃないわ。
確かにフー君とは2人きりにしてあげたけど、まさかし、舌まで……」
「こんな関係になった後で言うのも変な感じだけど、抜け駆けとはやるね、五月ちゃん」
「別にそんなつもりはなかったんだよ!
ただ、なんだか止められなくて、気づけばその…」
「気づけば舌を入れるんだ。
五月ってそういう子なんだね」
「上杉君、四葉まで冷たいよ!」
確かに四葉にしては珍しい反応だな。
心なしかいつもより冷たい視線を五月に向けている気がする。
「五月のことは一旦置いておいて、デートはどうするんだ?」
「露骨に話題をそらしましたね」
四葉に一瞬で見抜かれてしまった。
「まさか、四葉に見抜かれるとは!
なんたる屈辱!」
「な!上杉さん、ひどいです!」
「冗談だ、冗談。
で、どこ行くか決まったのか?」
「あ、考えてなかった」
一花の返事に俺は思わずガクッとなってしまった。
任せっきりにした俺にも責任の一端はあるかもしれないが。
「じゃあ、お前らここに来るまで何してたんだよ」
「何って、ねえ?」
「ほら、二乃」
「私!?」
「二乃が言ったんでしょ?」
何やら姉4人で責任の押し付け合いが行われているみたいだ。
そんなたいそうなことでもないと思うんだがな。
「……よ」
「え?」
二乃の声が小さくてよく聞こえなかった。
何でもはっきり言うこいつにしては珍しい反応だ。
「だから!最初から!全部!聞いてたって!言ったのよ!」
二乃が勢いに任せて叫んだ。
そんなはぁはぁ言うほど叫ばなくてもいいんじゃないか?
「ん?待て、二乃。
今、お前は『全部聞いてた』と言ったか?」
「ええ、言ったわ」
俺と五月は顔を見合わせる。
「まさか」
「そのまさかよ。
フー君が五月の部屋に入ってすぐ私たちもここに来たのよ」
「それで、ずっと2人のやり取りを聞いてたというわけです、あはは…」
頭の後ろに手を持っていき、四葉が苦笑を浮かべながら補足してくれた。
「私は辞めておこうって、言った。
でも、二乃がどうしてもって聞かなくて」
「ちょっと三玖!?」
「うんうん。お姉さんとしても妹のあられもない姿を見るのはどうかと思ったんだけどね」
「一花まで裏切るの!?
四葉!何とか言って!」
「えーっと、あの……。
うー-ん……。
私の頭じゃいい感じの言い訳が出てこないや……。
ごめんね、二乃」
「四葉、それはもう言ってしまったようなもんだ」
「え!?」
これでも四葉は国語だけなら5つ子でトップなんだがな。
まあ、国語できるイコール言葉が巧みってわけじゃないしな。
実際、学校で行われる国語の試験程度なら満点をとれる俺でもこいつらの気持ちなんて完璧に理解できていないわけだからな。
所詮、勉強とリアルは別物か。
「なんだか、四葉らしいね」
「あと一花。
お前は『あられもない』の使い方が間違ってる」
「え~。ここでも勉強?」
一花がぶーたれてくるがそんなことはしらん。
「当たり前だ。
俺はお前らの家庭教師でもあるんでな。
いいか、一花。
あられもない姿ってのはこの中だとお前が一番当てはまる」
「え?私、そんな格好してるかな?」
「今のお前じゃない。
寝てる時のお前だ」
「寝てる時の私?
……ッ!?」
一花は少し考えてどうやら答えにたどり着いたようだ。
話している間に元の顔色に戻ったのに、また頬が少し赤くなった。
「わかったようだな。
あられもない姿って言うのは素っ裸、あるいは露出が多い格好のことを言うんだ。
ちゃんと覚えておけよ」
「はい」
一花は少しシュンとなった。
「と、あられもない常習犯の一花のことは置いておいて、これからどうするんだ?」
「はい!」
俺の疑問に四葉がビシッと手を挙げた。
四葉がこういう時に意見を言うのは珍しいな。
四葉はこんな時は周りに合わせるイメージだが。
「はい、四葉」
俺は四葉に発言を促す。
「せっかくなので、やっぱり上杉さんが考えてください」
「は?」
まさかの俺任せだった。
3euren様、グルコース様
高評価ありがとうございます。
さばたつ様、Sagy様、高山流水様、psytoh様
誤字報告ありがとうございます。
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