六等分の幸せ   作:アルフレイン

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第3話 1/120

9時50分。約束の10分前に彼女たちが今住んでいる高層マンション、PENTAGONに着いた。

にしても今更だが、5つ子の住むここの名前がPENTAGON(五角形)とはな。何かしらの縁でもあったのかもな。

ここに来るのも最後になるかもしれないと思うと少し感慨深いものがあるな。

あいつらを待たせるわけにいかないし、そろそろ入らねえとな。

俺は呼び出し器に中野家の部屋の番号を打つ。

くそっ、指がふるえてんじゃねえか。だせえな。

今更怖がってんじゃねえよ。これは俺がのぞんだことなんだ!

俺は意を決し、呼び出しボタンを押下した。

 

「……」

 

呼び出し先からは何も聞こえない。

確か、インターホンから誰が来たかは見えるはず。

 

「上杉だ」

 

俺は声を震わせないようにはっきりと名乗った。

すると、自動ドアが開いた。

どうやら開けてくれたようだ。

俺はどうもあの5人に嫌われることを自分でも思っていた以上にビビっているらしい。

それだけあいつらが俺にとって大きな存在になっているということか。

 

俺を乗せたエレベーターは俺の沈む気持ちとは裏腹に30階までどんどん上っていく。

あっという間に最上階にたどり着いたエレベーターはポンピンという音を立て、扉を開く。

 

俺はあいつらの部屋の前に来て大きく深呼吸をした。

そして、インターホンを押す。

ピンポンという音は鳴るが、部屋からの返事が聞こえない。

少し待っていると、扉からカチャッという音が聞こえた。

これは、どっちだ。

空いていた鍵を閉めたのか、鍵を開けたのか。

前者なら立ち直れねえかもな。

俺は自虐的に鼻で笑う。昨日今日と自虐とか自嘲ばっかりだな。

 

俺は、ゴクッと唾を飲み込み、ドアノブに手をかけた。

おそるおそるわずかに震える手でノブを回すと、回った。

俺はホッと1つため息をついた。どうやら最悪のパターンではなかったらしい。

ったく自業自得とはいえ心臓に悪い。

 

俺はそのまま扉を開けた。

 

「じゃまするぞ」

 

俺のあいさつに返事はなし。

その静けさが心地悪く感じる。

だが、頭を振り、俺はリビングまで入った。

そしてそこで唖然としてしまった。

 

「お前ら一体何考えてるんだ?」

 

「見たらわかるでしょ」

 

「そんなこともわからない君じゃないよね?」

 

「だって私たちに勉強教えてるんだからね」

 

「そんな頭のいい君に今度は私たちから問題だよ」

 

「君にこの難題が解けるかな」

 

「「「「「5つ子ゲームだよ」」」」」

 

リビングには零奈の格好をした5人がいた。

顔が同じなのはもはや言うまでもない

ウィッグって言うんだっけか?

かつらをかぶって、全員同じ髪型。

服も全員同じワンピース。

つまり、いつかの全員が五月の格好をしているのと同じような状況ということになる。

 

「……何がどうなってるんだ?」

 

「難しいことは考えなくていいよ」

 

「これは私たちが話し合って出した結論」

 

「ゲームの結果で全部決めるんだ」

 

「だから、真面目に取り組んでね」

 

「期待してるからね」

 

五月の時は四葉だけ話し方で判断できたが今回はそういうわけにいかないようだ。

話し方を全員で統一してやがる。

ったく、こっちは色々と考えながらここに来たってのにこんな状況どう受け止めていいのか全く分からん

 

「はぁ」

 

俺は後頭部を搔きながら、ため息をついた。

何となく少し落ちついた気がする

 

「あれ、どうしたの」

 

「もう諦める?」

 

「なんでこうなってるのかはさっぱりわからないが、これで決めるってんなら解いてやるよ。

 そしてついでに俺から簡単な問題だ」

 

俺は人差し指を一本立てて、そう言った。

 

「問題?」

 

「5つ子ゲームで正解を出す確率をお前らはわかるか?」

 

俺の質問に5つ子は全員ポカンとした。

まさか、この状況で俺から問題が出されるとは思ってなかったのだろう。

俺だって逆の立場だったら思わないだろう。

 

「急にどうしたの」

 

「いやせっかくだからな。

 中学生レベルの数学だ。数学が比較的得意な一花なら解けるかもしれないが、今回は特別だ。

 すぐに答えと解法を教えてやる」

 

「え、え、どういう」

 

「まあ、黙って聞いてろ。

 まず、お前ら5人に対してランダムに名前を振ると全部で何通りあるか考える必要がある。

 というかこの場合、それがわかればもう終わりだ。

 最初の1人に対して振れる名前は全員分。つまり5つだ。

 2人目は1人目で使っていない4つを使える。3人目は同様にして3つ。

 4人目は2つ。5人目は1つだ。

 さて、計算方法だが、例えば最初の1人に一花と答えたとしよう。

 すると今言ったように2人目は一花以外の4人から選ぶことになる。

 最初が二乃でも三玖でも四葉でも五月でも同じことだ。

 最初に1人選んで次に一人選ぶパターンが5通り×4通りで20通り。

 同じ作業を5人分続けると5の階乗で120通りになる」

 

俺が口頭でぺらぺらと話している内容に五つ子はちんぷんかんぷんといった顔をしている。

 

「まあ、今回は理屈はわからなくても構わない。

 要は5つ子ゲームを正解できる確率は1/120。

 1%未満ということになる」

 

「だから勘弁してほしいと?」

 

「勘弁?まさか。

 その1%未満の確率超えてやるからしっかり見てろよ」

 

俺はこの異様な状況と数学について話したせいか、体感では完全にいつも通りになった。

いや、ちょっと興奮してたかもしれない。

俺はわずかな興奮に乗り、堂々と5人に宣言した。

 




神代様 キティー様

高評価ありがとうございます。

あなたの推しは誰?

  • 一花
  • 二乃
  • 三玖
  • 四葉
  • 五月
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