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俺は零奈に扮した5つ子と向かい合っている。
呼び出されたのでこいつらの家に来ると、全員この格好をしていたのだ。
しかも、話し方まで統一しているという徹底ぶり。
そのやる気を少しでも勉強に向けてくれてれば、どれだけ楽だったことか。
「さて、じゃあ取りあえず左から順番に行くか」
「私から?
いいよ」
そう言って一歩出てきたのは右にいた零奈。
あ、そうか。
「すまん、俺から見て左だからお前たちから見て右だ。
別に右からでもいいんだが」
「じゃあ私からだね。
それにしてもすごい自信だね。
それとも私
右の零奈は「なんだ、残念」と言って、一歩下がった。
代わりに左の零奈が一歩出てきた。
なんなんだ、その一歩出たり下がったりするシステムは。
それと右の零奈、左の零奈ってのもなんか変な感じだな。
「その答えはすぐにわかる。
じゃあ、行くぞ」
「待って」
俺が名前を告げようとしたら右の零奈が遮った。
「せっかくだから私たちへの想いも一緒に言ってくれるかな?」
「は!?なんでそんなこと」
完全に想定外の要望に思わず取り乱す。
なんでそんなことしないといけないんだ。
「別にいいよね?
そもそも、君に拒否権があると思ってるのかな?」
右の零奈が勝ち誇ったように微笑む。
確かにこいつの言う通り、今の俺に拒否権はない、か。
「……わかった。
後で文句とか言うなよ」
「それは君次第かな」
「なら精々頑張らせてもらうか」
俺はそう告げて、ふぅっと小さく息を吐いた。
「じゃあ、行くぞ。
お前との出会いは最悪に近かったな。
最後まで頑なに勉強に取り掛からなかったというか、俺のこと認めやしなかったな。
でもそれはお前が誰よりも姉妹のことを想っているからだった。
誰よりも強がりなお前はその反面、実は弱いところもある。
そんなお前を見ていて強さに惹かれ、弱さを守ってやりたくなった。
ああっ、くそっ!
本人を前にしてこんなこと言わされるなんてめちゃくちゃ恥ずかしいな」
俺はきっと今、顔を真っ赤にしている。
だが、言われている側も顔を赤くしている。
「姉妹のために強さと弱さを兼ね備えたお前が好きだ、二乃」
「正解よ」
二乃はかつらを取り、いつもの蝶のようなリボンを髪に括り付ける。
「フー君、どれだけ私のこと好きなのよ。
もう、ちょっとどういう顔したらいいのかわからないわ」
そう言ってにやけている二乃。
「随分とにやけてるじゃないか」
「え、ウソ!」
二乃はそう言って、両頬を指でつまんでぐにょぐにょし始める。
なんだか、俺の想定していた状況とあまりにかけ離れすぎてるな。
俺はここで絶交を切り出されるかもくらいの覚悟できたのに、なんでまた告白してるんだ。
「今思い返せばフー君の言う通り、出会いは最悪だったわね」
「まったくだ。
人の飲み物に薬まで入れやがって。しかも2回も」
「それについては悪かったと思ってるわ。
あ、でもそうね。フー君に1つ言うことがあるわ」
「なんだ」
「今の告白、とっても良かったわ」
そういう二乃の満開の笑みはとても魅力的だった。
思わず、時間が止まったのかと錯覚するくらいには。
俺はすぐ、意識を戻した。
なんなんだ、この二乃の反応は。
一体どういうことだ?さっぱり理解できない。
だってこの反応は。
でもありえないだろう。とはいえ、この5つ子は突拍子もないことを考えることあるからな。
もはや考えるだけ無駄かもしれないな。
だったら、こんなこと考えていても仕方ないか。
難しいことを考えるは辞めだ。
俺は言われた通りに、この5つ子ゲームを実行し、1人1人に想いを伝えればいい。
なら、俺のやるべきことは次の子に想いを伝えること。
本当に何の意味があるんだか。
っと、結局考えそうになってるな。
俺は二乃の左にいた零奈に顔を向ける。
「次はお前だ」
「いつでもいいよ」
「思えば俺が最初に色々手を尽くしたのはお前が最初だったな。
色々と言っても大したことはしていないが。
でも、そのおかげでお前たち全員を卒業させる算段も付いたわけだしな。
お前は姉妹の中でも一番自分に自信がなかったな。
でも、お前はすごいやつだ。もっと自分に自信を持っていいと思う。
俺の見ていた限り、5人の中で一番成長したのはお前だ」
「自信を少しずつ身に着けるたびに成長していくお前に惹かれていた。
好きだ、三玖」
三玖も二乃と同じようにかつらをとった。
「うん、正解。
さすが、フータロー。
フータロー、顔赤いね」
どうやらというかやっぱりというか、本当に顔が赤くなっているらしい。
自覚したらちょっと顔が熱くなっているような気がしてきたな。
「お前も人のこと言えなそうだが?」
人の顔のことを言っているが、三玖もかなり顔が赤くなっている。
こんな状況じゃなきゃ熱を疑ったかもしれない。
「うん、知ってる」
「自覚あったのか」
「もちろん。
ねぇ、フータロー」
「なんだ」
「お揃いだね」
そう言って三玖は笑みを浮かべた。
その笑みがあまりに素敵すぎて思わず、息が止まりそうになったのは俺だけの秘密だ。
「責任取ってよね」
「それは」
どういう意味だ、とは聞けなかった。
今聞いてはいけない気がした。
本当に何なんだ。この状況は。
俺は2人の反応に込みあがってくる期待をそんなわけないだろう、と普通に考えて
ありえないだろう、と必死に押しとどめていた。
俺の一瞬抱いてしまった期待はあり得るはずのない未来。
そんな期待を頭から追いやる。
俺が5人を好きになり、1人を選べなかった時点で5つ子と俺がずっと一緒に隣を歩いていく未来なんて、現実的に考えてありえないのだから。
完全無欠のボトル野郎様、ここじ様、Type S様
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