六等分の幸せ   作:アルフレイン

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第8話 新たに入ったもの

文化祭が終わって、今、この瞬間、紆余曲折あって俺と5つ子は交際することになった。

他のどんな紆余曲折よりも今回の俺たちの一連の出来事の方が紆余曲折している自信がある。

 

「さあ、めでたく私たち全員で付き合えたことだし、今からどこに行こうか?」

 

「なんだ、どこかに行く予定でもあるのか?」

 

「もうフータロー君はこういう時は察しが悪いなあ。

 付き合った記念でデートに行こう、ってことだよ」

 

「……なるほど?」

 

ここでそんな記念必要か?などと言ってはいけないということはさすがの俺にも理解できている。

正直に言えば、せっかく丸く収まったのだから卒業や進学のために勉強に取り掛かってほしいのが本音だ。

とは言えこの状況、俺だけが反対したところで、5人に押し切られるのは目に見えている。

それに今回はこいつらに面倒もかけた。

一回くらいそういうことに付き合っても構わないだろう

 

「わかった。

 それじゃ、行こうか」

 

俺が賛同の意を示したところで、俺の腹がグゥ~、と大きな音を鳴らした。

そう言えば朝起きてから何も食ってなかったんだった。

 

「すまん。

 ちょっと家で何か軽く食ってくるから、ちょっと待っててくれ」

 

俺は朝ごはん、というか時間的には朝昼ごはんになるのだろうか。

とにかく、家で飯を食うために、5人に別れを告げた。

 

「ちょっと待ちなさい」

 

そんな俺を引き留めたのは二乃だった。

 

「なんだ二乃?

 聞いての通り、俺の腹は空っぽで、五月に負けず劣らずの食欲を出しているところなんだが?」

 

「なっ!

 上杉君はいちいち私を引き合いに出さないと気が済まないんですか!」

 

五月が俺に突っかかってくる。

俺から(けしか)けてはいるのだが。

というか、五月は感情が高まると言葉遣いが丁寧口調に戻るんだな。

まだ、素の自分の喋り方に慣れてないだろうから仕方ないのかもしれないな

 

「五月もいちいち突っかからないの。話が進まないから」

 

二乃に(たしな)められ、五月はむぅ、と言いながらプクーッと頬を膨らます。

この表情が河豚(ふぐ)みたいとか言ったらまた怒られるんだろうな。

今回は言わないでおくとしよう。

 

「フー君。せっかくか、か、彼女の家にいるんだからご飯食べていきなさい。

 そ、その、ダメかしら」

 

「お、おう。

 そういうことなら、そのいただいていく」

 

二乃も恥ずかしいなら言い方考えろよ!

なんで自分で言いながら顔真っ赤にしてるんだよ!

こういうのを自爆って言うんだっけか?

くそっ!俺まで恥ずかしいじゃねえか!

しかも、なんで最後だけ自信なさげな感じで!

ああ、なんなんだアレは!

なんかこう、胸のあたりが変な感じがする。

 

「じゃあ、そこに座って待っててくれるかしら。

 ()()()()()()()()

 

二乃はテレビの前の低いテーブルではなく、その後ろにある通常の高さのテーブルを指さした。

 

「ああ、わか……。

 は?出来てる?」

 

それに返事をしようとしたが、二乃は今、出来てるって言ったのか?

なんでだ?

 

「上杉さん。私たちのことをなめてもらっては困ります。

 上杉さんが私たちのことをわかっているように私たちだって上杉さんのことわかってるんですからね」

 

えっへんと言わんばかりに四葉が胸を張る。

その行動のせいで豊満な胸元が強調され……、って俺は何を考えてるんだ!

今まで、意識してなかったわけじゃないが、そういった思考に持っていかれたことはなかったじゃないか!

彼女になったからってすぐ性的な視線で見るなんて俺は最低な野郎だ!

 

俺は自分の頬をパンッと叩いた。

 

「急にどうしたの、フータロー君?」

 

一花が怪訝そうな顔をして訪ねてきた。

ここで馬鹿正直に言うわけにはいかん。

 

「いや、なんでもない。

 そのあれだ。これからのことを考えて、気合を入れたみたいな感じだ」

 

「ふーん。うれしいけどなんだかフータロー君っぽくないね」

 

「そ、そんなことないだろ」

 

「ま、いいけどね」

 

「はい、フー君。

 一応後で何か食べるかもしれないから、少し軽めにね」

 

二乃が非常に良いタイミングで料理を持ってきてくれた。

 

「ありがとうな、二乃!」

 

「何よ、急に大声出して」

 

「いや、なんでもない。

 ってこの料理は」

 

俺の前に出された料理は小さいフライパンに入ったパンケーキのような料理だった。

 

「確か、ダッチベイビーだったか?

 二乃が三玖との料理対決で作ってくれたやつだよな?」

 

「さすがフー君ね。

 覚えててくれて嬉しいわ。

 でもあの時のものとは全然違うわよ。

 あの日には入ってなかったものが入ってるのよ」

 

「そうなのか?

 すまんな、俺にはそういうものがわからん。

 だが、冷める前にいただくとするか。

 いただきます」

 

俺は合掌し、ダッチベイビーを食べ始めた。

……。ゆっくり咀嚼し、じっくりと味わう。

あの日の味を明確に覚えているわけではないが、何が変わったのかやっぱりさっぱりわからないな。

 

「どう?おいしいかしら?」

 

「……んっ。

 ああ、うまい。さすが二乃だな」

 

俺はゴクッと、飲み込んでから答えた。

 

「それはよかったわ。

 だって、そのダッチベイビーにはあの時入ってなかった愛情がいっぱい入ってるからね」

 

「っ!!!!

 げほっげほっ」

 

俺は二乃の発言に思わずせき込んでしまった。

四葉がそんな俺を見て、お水お水!と水を汲んできてくれた。

俺はありがたく、その水を飲みほした。

 

「二乃!お前!」

 

「あら、何?

 愛情が足りなかったかしら?

 じゃあ」

 

二乃が俺の元まで寄ってきた。

俺が椅子に座り、二乃は立っているという位置関係のため、俺が二乃を見上げるという構造が完成する。

 

「二乃?」

 

二乃はふふっ、と笑い、俺の先ほど叩いたため、おそらく少し赤くなっているだろう頬をしっかり抑えた。

そして、そのまま俺と二乃の顔は近づき、そのまま唇を重ねた。

 

「どう?私の愛情たっぷり受け取ってくれたかしら?」

 

二乃は俺の顔から手を放すと真っ赤に染まった顔でそう言い放った。

こんな状況で微笑ましく見守られているのは、関係が変わったせいなのだろうか。

付き合う前だったら、修羅場になったかもなんてのはさすがに自意識過剰か。

 

「あ、ああ」

 

俺は動揺して、簡単な返事だけしか返せなかった。

その動揺を隠すように俺はダッチベイビーに意識を向け、バクバクと食事を再開した。

そんな中、にやにやと眺めている中で1つだけ違う視線が入っていることに気づいた。

 

俺がその視線の方に目をやると、そこには少し頬を膨らませた五月がいた。

 

「どうしたんだ、五月?」

 

「別に何でもないよ」

 

「いや、それにしてはジロジロと。

 あ、そういうことか。

 それなら早く言ってくれればいいだろ」

 

「え?いや、そんな急に!?

 心の準備がまだ……

 

俺は食べかけのダッチベイビーを五月の方に差し出した。

 

「お前にも分けてやるから、二乃いいか?

 って二乃?」

 

俺が二乃の方を見ると、眉間のあたりに指を当て、わかりやすく悩んでそうなポーズをとる二乃がいた。

 

「上杉君のバカ!!!!」

 

五月はそう叫んで、自分の部屋に閉じこもってしまった。

 

「え?おい、五月!?

 飯のことじゃなかったのか?」

 

「これはさすがにフー君が悪いわね」

 

「フータロー君、ちゃんと五月ちゃんに謝ってね」

 

「五月がかわいそうです!」

 

「フータロー、最低」

 

俺は残りの4人に散々に言われた。

なんでこうなった!

 




矛盾回路様、kakaka3様、ポタージュ様
高評価ありがとうございます。

祐☆様
誤字報告ありがとうございます。

あなたの推しは誰?

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  • 二乃
  • 三玖
  • 四葉
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