無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

投稿が遅れて申し訳ありません。
いかんせんデスクトップPCで執筆している為に出張などがあれば筆が止まってしまいます。

楽しみに待ってくださっている方々がおられましたら、申し訳ありません。

今後も見放さずお付き合いいただき、楽しんで頂けたら幸いです。


異なる次元の日本へ

時は少し戻り。リムル達一行は。

ハルト達SORDの面々がいた世界に向かっていた。勿論、目的はローズバルトの脅威を知らせる為である。

「ところでさ。ハルト達の世界ってどんな感じなんだ? 普通に日本とかアメリカとかあるのか?」

艦橋にて操舵をしながらリムルはハルトに訊ねた。ハルトは少し驚いた表情を浮かべるが、すぐに笑顔に戻して口を開いた。

「ええ、ありますよ。しかし、なんで国名をご存じなんですか?」

逆に訊き返されてリムルは「しまった!」という表情になる。そして少し考えると話し始めた。

「俺も日本に住んでたことがあるんだ。死んで目覚めたらスライムになってたけどな」

「〝転生〟というやつですか? ネット小説とかで見たことあります」

「そうだな。今は一国の盟主だよ」

「どんな国なんですか?」

「魔物と人間が平和に暮らしている国だ。俺は魔物と人間の共存を目指しているからな」

「行ってみたいですね」

「ハルト達の世界を周ったら立ち寄るつもりだから、楽しみにしててくれ」

「はい。レナ達も喜ぶと思います」

「そのレナ達なんだけど。相談いいか?」

唐突な相談にハルトは一瞬表情を険しくした。

「なんでしょう?」

「SORDのメンバーはハルト達5人だけなのか?」

「いいえ、他にもいますよ。我が美浜学園はSORDを育成する機関の一つに過ぎません」

「てことは、他にもSORDが所属する学園があるのか?」

「そのとおりです。そして各SORD校には俺みたいなハンドラーがいて、レナ達のような人材を育成しています」

「立ち寄るのはハルト達の学園だけだけど、他の学園への情報共有は可能なのか?」

「問題ありません。ただ、ウチの組織にも親会社のようなものがあって、そことの話し合いが難航しそうです」

苦笑いのハルトに同じように苦笑いの表情を向けるリムル。

「どの組織も〝親〟と〝子〟の関係は似てるのかな」

「お恥ずかしいですが」

申し訳なさそうにハルトが頭を掻いた。

「何はともあれ、報告には俺も立ち会うよ。魔法が無い世界で実際に魔法を見せた方が話がスムーズに進みそうだしな」

「助かります。よろしくお願いします」

「別にいいって。ほら、着くぞ。ハルト達の世界だ」

リムルに促されたハルトは艦橋から外に目をやる。前方には大きなシャボン玉が浮かんでいる。その表面に映る街並みは間違いなくハルト達の世界だ。飛空城艦が世界の壁を抜けてハルト達の世界へと飛び込んだ。

「帰って来たね、ハルト」

ハルトの横にムラサキが並ぶ。レナやトーカ、クリスもハルトの近くにやってきた。飛空城艦は美浜学園近くの海に着水した。

「ああ、そうだね。でも、まだ終わったわけじゃない。まずは一縷さんに報告だ」

「有坂先生達も心配してるだろうからね。私達はそっちに挨拶してくるよ」

「わかった。リムルさんも一緒に来てもらえますか?」

「もちろんだ!」

ハルト、リムル、レナ、トーカ、クリス、ムラサキの6人は飛空城艦を後にして美浜学園へと向かった。

 

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そして現在、ハルトとリムルは美浜学園の学園長室にいる。

ソファに座るハルトとリムルの向かいには、同じくソファに座る美浜学園学園長の仙石一縷〈せんごくいちる〉が煙草を吸いながらドカッと座っている。その背後にはお付きの野上姫子〈のがみひめこ〉が姿勢を正して立っている。

「それで蒼井、そんなファンタジーな話を〝上〟に話せと?」

一縷が実に嫌そうに訊ねる。ハルトはいつもの笑顔のまま頷く。

「危険が迫っているのは事実だし。準備をしておいて損はないかなって」

その返事を聞いた一縷は頭を抱えて髪をワシャワシャと掻く。後ろの野上が険しい目つきで訊ねてきた。

「そんな話が信じて貰えるわけが無いだろう。〝戯言だ〟と一蹴されるだけだ」

「そのためにリムルさんに同行して貰ったんじゃないか」

「たしかに真実だろうが、それで〝はい、信じます〟というような〝上〟なら、私達もこれまで苦労していないだろう」

リムルは一縷と野上に会った直後、自信をスライム化させたりして魔法の存在を2人には見せていた。

故に一縷と野上はハルトの話を信じたが、問題は〝上〟の存在だった。

「愚弟と宇川には伝えておく。それで、その魔王とやらはいつ来るんだ?」

「それは分からない。それとこの後、俺とレナ達はリムルさんと異世界に行くつもりだけどいいかな?」

ハルトの言葉を受けた一縷は考えている。すると野上がリムルを向く。

「魔法が使えない蒼井達が戦力として必要ですか?」

野上の問いかけを受けたリムルは即座に頷くと、そのまま野上の顔を真っ直ぐに見ながら口を開いた。

「俺としては一緒に戦って欲しい。敵は強大だ、少しでも戦力は必要だし、早くケリをつけないとこの世界も危ない」

「…わかった! 蒼井、A組からの出征メンバーの人選は任せる」

「わかった」

「いろいろ頼んで申し訳ない」

そう言ってリムルが頭を下げる。一縷は煙草を灰皿に擦りつけて消火すると一言口を開いた。

「どうか死なない程度にコキ使ってくれ」

 

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「そんなわけで、異世界に行くメンバーを発表しま~す」

美浜学園A組の教室にいるハルトを除いた10人の視線が一斉にハルトへと集中する。

そこでレナが手を挙げる。

「マスター。全員で行くんじゃないの?」

「それも考えたんだけどね。いろんな可能性を考慮して全員での出征は止めておくことになった」

「私は!? 私はお留守番じゃないよね!?」

「心配しなくてもレナは連れて行くよ」

「やった~! えへへ~」

ご満悦なレナから視線を外したハルトは教卓の右に立っている担任教師の有坂秋桜里〈ありさかしおり〉に視線を向ける。

「今回、有坂先生にはお留守番をお願いします」

ハルトの言葉を受けた有坂は驚愕の表情を浮かべる。

「えぇ!? 私、先生ですよ!? 担任ですよ!? ついて行けないんですか!?」

その表情と言動から〝自分は必ず行く〟と信じていたようだった。

「今回の出征は未知の世界での戦闘になります。危険ですし、有坂先生に危険が及んだ場合に助けることが出来る者がいません」

「あ、蒼井君も前線に出るんですか!?」

「俺も出ます、なので有坂先生が来た場合、有坂先生を守る余裕ができない可能性が高いんです」

「…わかりましたぁ」

明らかにガックリしている有坂の次にハルトが『お留守番組』として名前を挙げたのは仙石大雅〈せんごくたいが〉だった。

学園長である仙石一縷の従妹にあたる大雅は美浜学園の初等部の生徒である。故にレナ達よりも年齢と体格が幼い。

ハルトがGOサインを出さなかった理由はそれだった。それに仙石家は日本国内において〝名家〟と言われている。大雅はその仙石家の姫であるため、万が一のことを想定しての判断だった。

「大雅様も待機です。よろしいですか?」

ハルトが穏やかに大雅に訊ねる。まるで赤子を諭すように。

「ハンドラーであるハルトがそう判断したのなら従う」

「助かります。それとユーキもお留守番だ」

大雅に一礼したハルトはムラサキの姉ユーキを見る。

「えぇ~。なんでぇ?」

ユーキは豊満な胸を両二の腕で寄せるように首を傾げる。そんな様子に少し不機嫌そうな表情をしながらもハルトは努めて冷静に話し始めた。

「万が一敵がこの世界に侵攻してきた時のためだ。うーちゃんやアヤメさんと連携して対処してくれ」

「わかったわ~」

ユーキの返事を受けたハルトは他の2人の生徒を見る。

トーカのバディでもある九真城恵〈くましろめぐみ〉とレナの妹である井ノ原真紀〈いのはらまき〉だ。

「グミとマキには来てもらうから。山本さんに言って装備を準備してもらって」

「了解であります!」

「…わかったよ」

グミとマキがは頷くと教室を後にする。

「ではリムルさん。この後の予定はどうしますか?」

ハルトは教壇の横に立つリムルを向く。

「一輝達の世界にも向かわないといけないから、準備が出来たなら出発したいな」

「わかりました。レナ達も、山本さんのところに行って装備を確認して貰ってくれ」

レナ達は返事をした後、教室を後にする。4人が退室したことを確認すると、ハルトは有坂へ視線を向ける。

「では有坂先生、残った生徒をお任せします」

「はい! 任せてください」

ハルトにそう言われた有坂は力強く頷いた。

 

 

 

数時間後。

 

飛空城艦が停泊している海には人だかりが出来るという事態になったが。学園から要請を受けた警察の周辺封鎖によって大事になる前に収束した。

出発前、ハルトは野上にこの件で小言を言われたことは、また別の話。

そして、ハルト達は無事に飛空城艦へと戻ってきた。

ちなみにマキとグミの2人のテンションがおかしなことになったのは説明に難くない。

戻ってきたハルト達を一輝達が出迎えて一行は再び世界の奔流へと旅立っていった。

 

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一方、リヒトー達の世界に向かったルーデウス達一行は、次の目的地である百代達の世界に来ていた。

リヒトー達の世界での用事はすんなりと終わった。現在、リヒトー達の世界での最高戦力である〝撃墜王〟が3人参加している以上、これ以上の追加派遣は困難だった。なので、ローズバルトへの警戒を伝えた後、出発したのだった。

 

場所は百代達が通う川神学園、ではなく。百代が使う武術『川神流』の総本山である『川神院』だった。

そこで客間に通されたルーデウス、オルステッド、リヒトー、ジェイルの4人は川神院総代であり百代の祖父である川神鉄心と川神院師範代のルー・イーに会っていた。

エリスは川神院の門弟と稽古をしておりこの場にはいない。

客間に通されてすぐ『座ってばかりで、つまらないわ!』と一言発して、門弟たちが稽古している稽古場に向かったのだ。

よって現在、鉄心との話し合いに参加しているのは4人なのだ。ちなみに園原と道安は飛空城艦でお留守番だ。

「話はわかった。百代達も同じことを言っておる以上、真実じゃろう」

「信じて貰えて助かります」

ルーデウスが鉄心に頭を下げる。百代達は川神学園に登校したが、鉄心にある程度話してから登校していった。

「異世界。俄かには信じられんが、こうしてお主達がこの場にいることが証明なのじゃろうな…」

「はい。この世界にも異世界の敵が侵攻してくるかもしれません。俺達は敵のトップである魔王ローズバルトを倒すために戦力を欲しています」

「百代が〝相当強い〟と言っておった敵か。こちらもそれ相応の戦力で臨まぬとな」

「百代達帰還組と、手練れを数名借りたい」

そこで口を挟んだのはオルステッドだ。オルステッドが言った『帰還組』とは異世界に飛ばされてた百代達川神学園メンバーのことだ。

「1人は、このルーを同伴させる」

鉄心に紹介されたルーが会釈をする。

「ルーはこの川神院の師範代。〝手練れ〟としては申し分ないはずじゃ」

「助かる。百代達の通う川神学園には〝手練れ〟と呼べる者はいないのか?」

オルステッドに訊ねられた鉄心は少し口ごもる。

それもそのはず。鉄心は川神学園の学園長でもある為、学園の生徒を危険な場所に行かせることは本意ではないのだ。

しかし、そう言ってばかりではいられないことも理解しているからこそ葛藤していた。

「少し、考えさせてくれんか?」

結果として鉄心が出した結論は〝保留〟だった。

 

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話し合いを終えたルーデウスはエリスを呼びに稽古場へと向かった。

エリスは川神院の門弟を薙ぎ倒すように模擬戦をしていた。その様子はまさに地獄、鬼に蹂躙されるかのように門弟たちは倒れていく。

勿論死んではいない、気絶だ。

「ルーデウス! 話は終わったの?」

稽古場の入口付近で見学していたルーデウスにエリスが声をかける。

「今日の所はね。とりあえず飛空城艦に戻ろう」

「そうね!」

エリスは門弟たちに礼をするとルーデウスと共に稽古場を後にした。

2人が去った後の稽古場に鉄心とルーがやって来た。

門弟たちは鉄心とルーに気付くと体に鞭打って立ち上がり礼をする。

「あぁ、構わないから。休んでいなさイ」

少し片言な独特の口調でルーが門弟を見渡す。ボロボロになり、立っているのもやっとの者もいる。

エリスが使っていたのは稽古用の木刀だったが、それでここまで川神院の門弟を戦闘不能にした強さに鉄心とルーは僅かに戦慄した。

「…ルーよ」

鉄心が門弟達を見ながらルーに声をかける。ルーは鉄心を向き、返事をする。

「何でしょウ、総代?」

「龍神オルステッド達、異世界の強者をもってしても倒せぬ敵。危険な戦いになるが任せたぞ」

「お任せくださイ。…ところで総代。他の人材はどうされますカ?」

先程の会談で議題になった〝川神学園からの人材〟のことだ。鉄心は出来ることなら川神学園の生徒を異世界に向かわせたくはない。

しかし、オルステッドとルーデウスが話した現状を鑑みると、戦力が少しでも欲しいというオルステッドの気持ちも分かるのだ。

 

だからこそ悩んだ。

 

 

 

その結果、川神学園から5人の生徒を百代達に加えて派遣することにした。




お読みいただきありがとうございました。

今後も楽しんでいただければ幸いです。

それでは次回でお会いしましょう。
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