無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

投稿までに期間が空いてしまい申し訳ありません。

少し仕事が落ち着いてきたので、今後もスムーズな投稿が出来るよう努めてまいります。


魔国連邦防衛線

リムル達一行は次の目的地である一輝達の世界に向かっていた。

 

艦橋ではリムルとハルト、それと一輝と刀華の4名で今後の方針を話し合っている。

「一輝達の世界に行った後、俺達の世界に一度寄ろうと思うんだけど。どう思う?」

リムルは3人を見渡して意見を求める。するとハルトが口を開く。

「リムルさんの世界にも状況を伝えた方がいいと思いますから、俺は賛成です」

一輝と刀華もハルトの意見を肯定するように頷く。

「ありがとう。その後はアノス達と合流するために異世界に向かおうと思うけど、どうだろうか?」

「なるべく早く、異世界に到着した方がいいと思います」

そう言ったのは刀華だ。他3人の視線を受けて、刀華は言葉を続ける。

「早く異世界に戻ることで、敵軍を牽制出来ます。私達が異世界に来たと知れば、敵も迂闊に動けないと思います」

刀華の意見は尤もだとリムルは思った。自分達、この際アノスやルーデウス達でもいいのだが、誰かが異世界に来ていることを敵が知ればこちらの世界への侵攻を牽制できる。敵が侵攻して未踏大陸が手薄となれば、そこを適応者に占拠されるからだ。

しかし懸念点もある。それは今回の分散作戦の原因となった〝敵魔王軍の異世界への侵攻〟だ。

現在のリムル達は異世界からも離れている為、敵がどういう行動に出るかなどの情報が足りない。故に早く異世界に到着して、敵の現状を把握する必要があるのだ。

「そうだな。急ごう」

リムル達を乗せた飛空城艦は次の目的地である一輝達の世界に突入した。

 

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一方、アノス一行はというと。エルネスティ達の世界に向かい、ローズバルトの情報を伝えると時を待たず出発した。

その際、エルネスティの仲間であるキッドとアディを加えて戦力強化をしていた。

飛空城艦の格納庫内には5機のレギンレイヴとファイド。イカルガとキッドとアディの乗機であるツェンドルグが鎮座している。

「戦力は整いました。あとは―――」

「―――異世界で決着をつけるだけじゃの」

艦橋で世界の奔流を眺めながらレーナとフレデリカが言葉を零す。

「他の者達も目的を果たしているだろう。このまま異世界に向かい、合流する」

艦橋の玉座に座ったままアノスは各員に聞こえるように言う。

「アノス陛下の世界に向かわなくてよろしいのですか?」

レーナがアノスに疑問をぶつける。シンエイ達の世界とエルネスティ達の世界に行っただけで、アノス達の世界には未だ向かっていないからだ。

「配下達に留守は任せてある。何かあってもしばらくは持ち堪えるだろう」

出発前、配下の七魔皇老やエールドメードに留守を任せてきた為、アノスは何も心配せず異世界に向かうことが出来た。

故にアノスは留守を任せることを貫く姿勢でいるのだ。

「では、このまま異世界に向か…。アレは何でしょうか?」

レーナが艦橋の窓から指した方角、そこにあったのは。

 

「誰の世界だ?」

1つの世界だった。

 

本来、世界の奔流を揺蕩う世界は白濁としたシャボン玉のような様相をしており、薄く透けるようにその世界の様子が映っている。

しかし、現在艦橋にいる全員の視線の先にあるシャボン玉は白濁どころか赤黒く輝いている。

一目で〝異常〟だと理解できた。

故に結論が出るのも早かった。

「突入するぞ」

アノスの号令で飛空城艦は進路を〝異常な世界〟に変更した。

ミサの操艦で飛空城艦が前進する。その世界に近づくにつれて、その様相が露になった。

そこは、戦闘状態にあった。

硝煙があがり、人間とは違う姿をした魔物が戦っている。

 

戦っているのはローズバルト軍だった。

「アノス様、このまま突入しますか?」

ミサがアノスの方を振り向くと、アノスは頷き命じる。

「このまま前進。あの世界に入れ」

「分かりました、アノス様!」

飛空城艦は速度を落とすことなく、さらに加速する。そのまま世界の壁を突き破り進入した。

眼下には戦場となった森や街道が見える。森は焼き払われ、綺麗に舗装されていたであろう街道はガタガタに崩れている。

「これは、あまりにも酷いの。…まるで地獄のようじゃ」

艦橋の窓から眼下を見ながらフレデリカは言葉を漏らす。

「加勢しましょう、アノス陛下」

レーナがアノスに具申すると、アノスも同意するように頷いた。アノスの意図を察するようにミサが飛空城艦の高度を下げる。

「どうやら機工隊もいるようだ。ミリーゼ、ノウゼン達の出撃を」

「わかりました」

レーナは頷くと自身の知覚同調機械『パラレイド』を作動させる。

「スピアヘッド戦隊各位、出撃してください。前方の都市中央から北西に進軍して敵の迎撃を行ってください」

知覚同調によって伝わった指令通りにシンエイ達は出撃する。

「エルネスティ達は飛空城艦で待機だ。操艦は任せる」

「出撃しなくていいのですか?」

「見たところ非戦闘員もいるようだ。エルネスティ達の機体ではそれらに被害が出るかもしれぬ」

「分かりました。では操艦を引き継ぎます」

エルネスティはそう言うとミサから操艦を引き継いだ。

「敵は都市の北西から攻めてきているね、僕達も北西に降りる?」

レイが降下ハッチに降りながらアノスに訊ねる。

「私達の存在を都市の責任者の方に伝えておいた方がいいんじゃ?」

ミサが疑問をぶつけるが、アノスは頭を横に振る。

「俺達の姿を確認すれば、向こうは分かるはずだ」

「えっ、それって?」

不思議そうにしているミサとは対照的に、アノスとレイは冷静に最前線の戦闘を見ていた。

いや。正確には魔眼にて〝最前線で戦っている者〟を見ていた。

「これは、〝彼〟が本気で怒るだろうね」

「ああ、ローズバルトは愚かな決断をした。それでも勝てる自身があるのかは分からぬがな」

2人が見ている先。その視線の先には。

 

 

 

 

 

魔国連邦テンペスト軍事部門総司令

 

ベニマルの姿があった。

 

 

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「一般人の避難を優先しろ。『紅炎衆―クレナイ―』はゲルド達と合流して敵の迎撃!」

最前線で指揮を執るベニマル。さらに先で敵の軍勢を食い止めているゲルド含む第二軍団のもとへ自身の親衛隊である紅炎衆を向かわせると他の軍団の指揮をする。

戦端が開かれたのは数時間前。魔国連邦と周辺国家を結ぶ街道に設置された防御結界の一部に〝異常な反応〟が検知された。

その直後、北西方面が街道もろとも吹き飛んだ。正確には防御結界を突破しようとした〝何者か〟が防御結界ごと周囲を吹き飛ばしたのだ。

直ちに魔国連邦全域に警戒態勢が敷かれ、魔国連邦を守護する戦力が展開された。

ゲルド率いる第二軍団は北西方面に向かった。

襲撃者は、ゲルド達も知る敵だった。

 

魔王ローズバルト軍。

機工隊も引き連れてリムル達の世界に侵攻してきたのだ。

魔国連邦屈指の防衛戦力である第二軍団でさえ、徐々に押されていった。

ドラゴニュートのガビル率いる第三軍団が到着して上空からのブレスによる援護を開始した。しかし、敵幹部であるグワッツェが高く跳躍してガビルを殴り飛ばした。

ガビルは一直線に後方に吹き飛び、地面に激突する。

それでも残った団員で攻撃を続けるが、敵幹部の一人であるエンリクスの雷撃を受けて多くの者が戦闘不能となった。

ローズバルトは後方から前線の様子を見ていたが、一隻の飛空城艦がこの世界に進入したことで軍を動かした。

機工隊を前線に出して、第二軍団を一気に押し倒すつもりだ。

「マズいな、多方面から包囲されつつある。特に北西方面に戦力を割いてきた。戦力が足りない」

ベニマルは一般人の避難が完了すると北西方面へと向かった。

走りつつベニマルはこちらに近づいている飛空城艦に気付く。

(なんだアレは、敵の増援か!?)

「ベニマル様!」

そこにガビルの配下が飛んでくる。

「どうした!?」

「北から少数の軍団が接近しています!」

「敵か!?」

「分かりませんが、敵軍へと向かっているようです!」

その返答を聞いたベニマルの頭にはいくつかの結末、その中でも最悪の結末が浮かんだ。

敵が前回の比ではないほど強くなっていることは理解していた。

リムルが不在である以上。軍事部門最高司令官であるベニマルの負う責任は大きい。

偵察に出たソウエイの報告でローズバルトが北西戦線の敵軍の奥にいることは判明している。

どうにかローズバルトを撃退すれば敵軍も同じように撤退するはずだ。

ベニマルはローズバルトがいるであろう敵軍の奥を目指して走る速度を上げた。

北西方面の最前線で防衛線を展開しているゲルド達のもとにベニマルが到着する。

「ゲルド!」

ベニマルの呼びかけにゲルドが振り向く。

「ベニマル殿、この敵は!」

「分かっている、リムル様が警戒した通りになった。敵軍の奥にローズバルトがいる、奴を撤退させれば敵軍も退くはずだ!」

「しかし、敵の攻撃が激しく。持ち堪えるので精一杯だ、どうやって突破する!?」

「ヘルフレアで焼き払う。防御陣形のままで戦線を維持しろ!」

「承知した!」

ゲルドは承諾すると、部下に指示を出す。ベニマルの前方を僅かに開けるようにして道が出来る。

ベニマルが放った黒炎が敵陣へと飛来し、敵機工隊の中心付近でドーム状に燃え広がった。

敵軍の多くが黒炎に包まれる。やがて黒炎が収束すると、そこには敵機工隊の残骸が積み重なって―――

 

 

 

―――いなかった。

敵機工隊は健在、。いや、多少の焦げ付きなどはあったが戦闘続行に支障が出るほどの損傷ではなかった。

「なに!?」

ヘルフレアがまるで効いていないことにベニマルは驚愕する。

「なんと!」

ゲルドも同じ感情を抱いていた。それもそのはずだ、ベニマル屈指の攻撃であるヘルフレアをものともしない敵の存在にその場にいるほぼ全員が驚愕し、戦慄した。

 

 

その時だった。

 

上空から無数の〝ナニか〟が敵機工隊へ降り注いだ。

その〝ナニか〟は敵機工隊に炸裂すると、周囲一帯を炎上させて吹き飛ばした。

何事かとベニマル達が茫然としていると、ベニマル達に襲い掛かろうとしていた敵兵士が鈍い音と共に吹き飛んだ。

次いで1機の純白の四足歩行兵器がベニマル達の視線の先に躍り出た。

 

シンエイの『アンダーテイカー』だ。

それに続いてライデンの『ヴェアヴォルフ』とセオの『ラフィングフォックス』も戦線に加勢する。

シンエイはアンダーテイカーの高周波ブレードを横一文字に構えて擦り抜けざまに敵兵士を両断する。

しかし、両断されても尚、敵兵はこちらに攻撃しようとしている。シンエイはアンダーテイカーを跳躍させると高周波ブレードの剣先を下へと向けて敵兵士に降りかかると同時に突き刺した。

胴体に大穴と頭を潰されたことで敵兵は遂に絶命した。

直ちにシンエイは次の目標へと仕掛けていった。

それに続いてラフィングフォックスが機体上部の88㎜滑空砲を敵軍後方の機工隊へと撃つ。

機工隊は装甲を強化した『特攻型巨神外骨格』を纏った敵兵士が自軍の盾になるような陣形をとる。

88㎜滑空砲から放たれた砲弾は特攻型巨神外骨格の両腕の増加装甲を用いた盾によって防がれた。

「やっぱり平地は苦手だよ。アンジュ、お願い」

セオは不得手な平地での戦闘に苦言を呈した。本来セオはワイヤーアンカーを使い、市街地などの障害物を跳躍移動しながらの戦闘を得意とするため平地での戦闘はそこまで得意ではないのだ。

「わかったわ。シン君とライデン君も後退して」

「了解だアンジュ。シン、一時下がるぞ!」

「わかった」

シンエイとライデンが後退したタイミングでアンジュがミサイルランチャーによる面制圧攻撃を行った。

敵軍は甚大な被害を被り、ついにはローズバルトが動いた。

「またしても邪魔をするか!」

ローズバルトは自軍後方から跳躍すると、ベニマル達のいる魔国連邦側の陣地へと降り立った。

突然敵の総大将が目の前に現れたことを好機とみたベニマルはローズバルトに仕掛けた。

太刀ともとれる長身な刀を構え斬りかかった。刀身に炎を纏わせて、だ。

結果、ベニマルは斬りかかった方向と真逆に吹き飛んでいた。

木に激突し、ズルズルと地面に落ちるベニマルは自身に起こったことを理解できずにいた。

いや、自信が〝されたこと〟は分かっている。しかし〝何故そうなった〟のかが理解できなかった。

「貴様は以前ポユテロに苦戦していた適応者か。やはり弱いな」

ローズバルトは拳を握り絞めながらベニマルに歩み寄る。

ベニマルを守るようにゲルド達が立ち塞がるが、ローズバルトが拳を振り払うと周囲が揺れ、ゲルド達も吹き飛ばされた。

ベニマルは刀を構えて立ち上がるとローズバルトを睨みつける。

「まだ戦意は残っているようだな。よかろう、次でトドメだ」

ローズバルトが拳を腰だめに構える。正拳突きの構えである。

「リムル様が戻るまで、ここは死守する!」

ベニマルは決意を込めて刀を構える。ローズバルトの攻撃を受け止めるために。

「その忠誠心は見事だ。だが、実力が伴わない以上ただの戯言でしかない」

ローズバルトが腰を落とす。

「…終わりだ!」

ローズバルトが地面を蹴りベニマル目掛けて突進する。

ベニマルは刀を上段に構えるがローズバルトの速度が僅かに速い。

刀を振り下ろす前にローズバルトの拳がベニマルの顔面を吹き飛ばすだろう。

ローズバルトが拳を突き出す。確かに拳はベニマルの顔面を捉えた―――

 

 

 

 

 

 

―――はずだった。

 

何者かがベニマルとローズバルトの間に割って入り、ローズバルトの拳を受け止めて防いだのだ。

受け止めた衝撃が周囲に炸裂する。ベニマルも衝撃で少し後ずさった。

衝撃波で巻き上がった土煙が晴れていく。

ベニマルはローズバルトの拳を受け止めた人物をその目で見る為に目を凝らす。

 

 

そこには。

 

「ローズバルト。お前の選択は悪手だったな、これは〝アイツ〟が黙っていないぞ」

 

 

漆黒に染めたその指で、ローズバルトの拳を受け止める―――

 

―――暴虐の魔王。アノス・ヴォルディゴードがいた。




お読みいただきありがとうございました。

アノスの登場がワンパターンになりつつあるのは目を瞑ってください。

それでは次回でお会いしましょう。
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