無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

魔国連邦編も佳境に差し掛かってまいりました。

今回もお楽しみいただければ幸いです。


魔国連邦防衛線③

時は少し遡る。

 

アノス達が降下した後、エルネスティは飛空城艦の進路を世界の外へと向けた。

そして世界の外へと出た飛空城艦はリムル達の世界の周辺を周り続けた。そうしていれば、他のチームが気付くかもしれないと考えたからだ。

結果としてルーデウス達が搭乗する飛空城艦が近くを通った際、エルネスティからこの事態を聞くことが出来た。

それが結果として、テンペストにとっての増援となったのだ。

 

そして現在。ルーデウス達と共に駆けつけたリヒトー達も、それぞれの戦場に降り立っていた。

「大丈夫ですか?」

園原が倒れたガビルに駆け寄る。ガビルは途切れそうな意識の中、園原に問う。

「貴殿らは。一体…?」

「安心してください、リムルさんの仲間です」

「リムル様の…?」

「ここは私達が食い止めます、一時後退してください」

そう言うと園原はガビルの上体を起こし、駆けつけたゴブタに任せた。

ゴブタは近くで待機していた嵐牙狼にガビルを乗せると、自信も乗り込み後退した。

「手伝っていただけますか?」

園原がハクロウに声を掛けると、ハクロウは静かに頷いた。

 

「いくぞ!」

ジェイルがグワッツェへと突撃する。

グワッツェはハクロウから視線を外してジェイルを迎撃する態勢に入る。腰だめに構えた拳を勢いよく突き出すと、ジェイル目掛けて衝撃波が放たれる。

ジェイルは瞬時に鉄柱を作り出してグワッツェへと投擲する。

鉄柱と衝撃波がぶつかり、僅かに大気が揺れた。構わずジェイルはグワッツェとの距離を詰める。

そんなジェイルにグワッツェも同じく近づいていく。

グワッツェは歩みを止めると、右拳を地面に突き出した。

「ビッグ・ボーン!」

勢いよく地面に拳が突き刺さり、その衝撃で地面から岩が盛り上がった。盛り上がった地面は波のような形状となり、ジェイルに襲い掛かった。

「〝鉄獅子〟!」

ジェイルが形成した鉄が悪鬼を思わせる化身となって現れる。余裕で人より大きな鉄獅子には腕があり、鬼を思わせる牙と鬣を靡かせていた。

鉄獅子はジェイルを守る様にガード態勢をとると、地面の波をもろに被った。

しかし、鉄獅子が地面を殴り飛ばすように粉砕する。

「随分と図体がデカいなその鉄獅子とやらは」

「貴様に言われたくない」

グワッツェの皮肉を打ち返すと、ジェイルは鉄獅子を操り攻撃をしかける。

繰り出された拳がグワッツェが立っていた地面を抉る。グワッツェは飛び退きながらも反撃する。

グワッツェの繰り出した拳を鉄獅子の拳が真正面から打ち払う。

「おい、ミニッサ。こっちを手伝え!」

グワッツェがミニッサに援護を求めるが、ミニッサは園原と戦闘中の為その場を動けない。

園原が放った銃弾は縦横無尽にミニッサに迫り、包囲するように襲い掛かる。

「ふっ!」

ミニッサが剣を振るうと銃弾は弾き返されて地面に落ちた。

「こちらも手一杯です。1人でなんとかしてください」

「ちっ!」

ミニッサの素っ気ない返事に舌打ちを打つと、グワッツェは再び鉄獅子と拳を交えた。

 

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本陣に帰還したベニマルを行政管理担当のゴブリン〝リグルド〟とベニマルの妹のシュナが迎える。

「ベニマル殿、敵は!?」

リグルドが食い気味に訊いてくる。ベニマルはそれを避けて戦力分布図を広げた机に向かいながら答える。

「アノス殿をはじめとした異世界の戦士達が加勢してくれたおかげで市民への被害は出ていない」

アノスの名前を聞いてシュナが驚きの声を漏らす。

「アノスさん達が来ているのですか?」

「ああ。現在、魔王ローズバルトを食い止めている。他にも、純白のモンスターもこちらに味方している」

「純白の、モンスター?」

シュナが疑問を漏らした次の瞬間、本陣にベニマルの部下が駆け込んできた。

「ベニマル様。ご報告が!」

「なんだ?」

ベニマルは分布図から視線を上げて訊ねる。部下は少し言い淀んだが、意を決したように口を開いた。

「ガビル様が重傷を負い後退しました。現在ハクロウ様が異世界の戦士の方と共闘して迎撃を継続中!」

〝ガビルが重傷を負った〟その言葉に一同がざわつく。

「フルポーションは使用したのか!?」

「使用しましたが、効果が無く。切断された翼も元に戻りませんでした」

その報告を聞いたベニマルは僅かに戦慄した。フルポーションでも回復しないとなれば、死者が出るのも時間の問題だからだ。

現在各方面から侵攻を受けているテンペストの戦力も無尽蔵ではない。

そんな中、幹部のガビルが重傷を負ったことで、戦線が後退する可能性もある。

現在ディアブロ達、他の幹部も防衛戦を継続中だが。どうなるかはわからなかった。

「ベニマルはいる!?」

そんなところに聞き覚えのある声が響く。ベニマルとシュナが声の方向を見ると、エリスがこちらに歩いてきていた。

「エリスか?」

「久しぶりねベニマル、シュナも!」

「お久しぶりです」

「アノス殿達と来たのか?」

「アノスとは別よ、上を飛んでいる飛空城艦で来たわ!」

そう言ったエリスの頭上を飛空城艦が過ぎていく。その飛空城艦から人影が降下していくのをベニマルは確認した。

「他にもいるのか?」

エリスに視線を戻してベニマルは訊ねる。

「それは敵? それとも味方?」

「味方だ」

「ええ、前回よりも多いわ。比例して敵も多いけどね」

「オルステッド殿やルーデウス達は?」

「アノスと一緒にローズバルトを抑えているわ!」

「そうか…」

「私は北に向かうわ。ベニマルはどうするの?」

そう言うエリスの視線は、ベニマルに何かを語りかけていた。まるで『お前は来ないのか?』とでもいうような。

ベニマルは決意してシュナを振り向く。

「シュナ、俺はエリスと北方戦線に向かう。ここは任せていいか?」

シュナは『待ってました』とばかりに笑顔で頷いた。

「行ってらっしゃい、お兄様」

 

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「これは酷いな…。敵はお構いなしだ」

飛空城艦の艦橋から双眼鏡で戦線の様子を見ていた大和は憤りの声を漏らす。

現在ルーデウス達が乗ってきた飛空城艦の操艦は一子が担当している。大和は京と一緒に戦線の様子を確認していた。

「モモちゃんは敵総大将と戦ってるね」

同じく双眼鏡で北西戦線を観察していた清楚は薙ぎ倒されていく木々から百代が戦っていると判断した。

そこに大和は東部戦線に侵攻している軍団に気付いた。

見る限り敵軍の方がリムルの軍団よりも多く、苦戦するかもしれないと判断した。

そして、そんな大和と同じ考えの者が1人いた。

「大和くん、私も行くね。敵よりリムルさんの味方の方が数が少ないみたいだから」

「わかりました。葉桜先輩、気を付けて」

清楚が艦橋から底部ハッチへと降りていく。ハッチ格納庫には1台の黒いバイクが停まっていた。

そのバイクのボディを撫でると、清楚は右手を顔にあてる。

「悪いけど、ちょっと出て来てくれないかな?」

 

「え、嫌? いつも勝手に出てくるくせに?」

 

「モモちゃんも戦ってるよ? このままじゃ置いていかれるよ?」

独り言のような、会話のような。そんな言葉を発したかと思えば、清楚は開いた底部ハッチから飛び降りた。

降下していない飛空城艦から命綱無しのバンジーを敢行した清楚の体はグイグイと地面に吸い寄せられる。

「ふ、ふふ、フハハハハハハ!」

突如笑い声を上げる清楚、その瞳は元の〝黒〟から妖艶に煌めく〝赤〟に変わっていた。

清楚はそのまま真っ逆さまに降下し、ヒーロー着地を決めた。

「スイ、方天画戟を出せ!」

清楚の言葉に従うように飛空城艦格納庫にあるバイク『スイスイ号』から武器が投擲された。

清楚は跳躍し、空中で方天画戟を掴むとそれを振り下ろしながら再度着地した。

清楚の姿を視認した敵軍は進軍を止めて様子を伺っている。

「〝清楚〟は数で不利だと言っていたが。質は申し分ないようだな」

そう振り返った清楚の視線の先には、ソウエイとその部下がいた。

「お前は何者だ?」

ソウエイが訊ねると、清楚はフハハと笑い答えた。

「我が名は〝項羽〟。安心しろ、リムルの仲間だ」

「どの世界の者だ? アノス殿か、それともオルステッド殿か?」

「どちらでもない。俺はお前達が言う〝前回組〟ではないからな」

「敵ではないのだな?」

「それは保証しよう。…さて。敵の数は多いが、相手にならんだろうな」

そう言うと清楚―――もとい項羽は方天画戟を振り上げる。

そして一気に踏み込んだと思うと地面を蹴って跳躍し、敵軍目掛けて振り下ろした。

振り下ろした衝撃は敵軍の前衛集団を天高く吹き飛ばした。項羽はそのまま敵軍へと歩いていく。

敵兵士は一瞬怯んだが、武器を構えて突撃した。

しかし、項羽が方天画戟を一振り、もう一振りするたびに敵兵士は吹き飛ばされていく。

「前に大和が言っていたな。敵集団を一か所に集めて叩くよりも分散させて各個撃破した方が確実だと。なら!」

項羽は方天画戟を振るう際、敵を散り散りに吹き飛ばすようにした。

それによって集中していた敵軍を分散させることに成功した。

しかも、多くの敵兵士は森林へと散り散りになった。

「おい。お前」

項羽は状況を見ていたソウエイを振り返る。

「なんだ?」

「お前たちは忍者だろう? 闇に潜んで敵を倒すことには慣れているか?」

「…ああ」

ソウエイは頷く。それを聞いた項羽は再びフハハと笑い口を開いた。

「俺は目の前の残った敵集団を倒す。お前達にはバラバラに散った敵をやる、忍者なら森での戦いは得意だろう?」

「…いいだろう」

そう言うとソウエイとその部下は一瞬で姿を消した。しばらくすると周囲全体から敵兵士のものと思われる悲鳴が聞こえてきた。

その悲鳴は項羽の目の前にいる敵兵士達に恐怖を植え付けた。

「では、俺も始めるとしよう」

項羽は方天画戟を振り上げると、地面を蹴って敵集団へと突撃した。

振り下ろした方天画戟が地面を抉る。それによって発生した衝撃波によって敵兵士が数名打ち上げられる。

項羽は跳躍すると1名の敵兵士に肉薄すると態勢を崩して落下していく敵兵士の腹に拳を叩き込んだ

腹に強烈な一撃を食らった敵兵士は勢いよく殴り飛ばされ、別の落下中の敵兵士に激突してそのまま地面に墜落した。

墜落した2名の敵兵士は地面に小さなクレーターを作ると、そのまま動かなかった。

関節が変な向きに曲がった死に方だったため、それを見た他の敵兵士はさらに恐怖した。

項羽はそれに見向きもせず、他の兵士を次々に地面に叩き落としていった。

着地した項羽は再び敵集団へと肉薄すると、敵兵士の1人に方天画戟を振り下ろした。

振り下ろされた方天画戟を敵兵士は避けることも、ましてや受け止めることも出来ずに片口を負傷する。

項羽は苦悶の声を上げて蹲る敵兵士を蹴り飛ばすと、別の兵士に斬り込んでいった。

 

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「葉桜先輩も戦闘を開始したね」

飛空城艦の艦橋で戦況を見守っていた京が隣で双眼鏡を覗いている大和に声をかける。

「ああ。それじゃあみんなには、別の戦線に降りて貰おうかな」

そう言って振り返った大和の視線の先には、2人の川神学園生徒がいた。

 




お読みいただきありがとうございました。

有給消化の為、数日帰省します。
次回の投稿まで少し日をいただきますが、今後もお読みいただければ嬉しいです。

それでは次回でお会いしましょう。
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