無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

話をどう纏めるか悩みながら書いています。

拙い文章で恐縮ですが、今後もお付き合い頂ければ嬉しいです。


魔国連邦防衛線④

ローズバルトとの戦闘にも進展が見られた。

最初こそ互角にアノス達の相手をしていたローズバルトだったが、徐々に押されてきていた。

「…まだ届かず、か」

ローズバルトはアノス達から距離を取ると両拳を腰だめに構える。

「うぉぉぉぉぉぉ! グレート・ワイド・ボーン!」

勢いよく突き出された両拳から放たれた衝撃波がアノス達に迫る。すると一同の先頭に百代が躍り出る。

「川神流、畳返し!」

百代が地面に拳を突きつけると、まるで畳を返すように地面が捲れ上がった。

捲れ上がった地面の壁によって衝撃波を受け止めるが、全てを受け止めきることは出来ず壁は軋みをあげて押されてくる。

「川神流、星殺し!」

衝撃波に耐え切れず、砕け散りそうになる壁もろとも百代はローズバルト目掛けてエネルギー波を放つ。

そのエネルギー波はさながらビームのように百代自身で捲った地面の壁を突き破り、衝撃波と衝突する。

ローズバルトが放った衝撃波は百代のエネルギー波すらも抑え込む。

「嘘だろ? そんなのありかよ」

百代に焦りが滲む。横からアノスが放ったギア・グレアスの岩の流星群によってローズバルトが態勢を崩すことで衝撃波が弱まる。

その隙にオルステッドとリヒトーが肉薄する。

オルステッドの光の太刀とリヒトーの光速の斬撃を左右から受けたローズバルトが膝を屈した。

「まだだ!」

ローズバルトは再び立ち上がる。そこにローズバルト軍の兵士が2人やって来る。

「我は負けぬ。負けるのは貴様達だ」

そう言うとローズバルトは兵士2人の首を掴んで持ち上げる。

「今の我にはこういう事も出来る」

ローズバルトの拳が光輝くと、掴み上げられている兵士が見る見るうちに痩せ細っていく。

まるで〝命を吸い取られる〟ように。

「味方を食い物にするか、見下げた魔王だな」

オルステッドが静かに怒りの声を漏らす。

そして、すっかり搾りカスとなった兵士をそこらに放り投げると、ローズバルトは天へと雄叫びを上げる。

「さぁ、2回戦目といくぞ。覚悟し―――」

 

 

「―――覚悟するのはお前だ、ローズバルト。お前に王を名乗る資格はない」

アノスでも、オルステッドでも、百代でも、リヒト―でもない声が響く。

「貴様は!」

ローズバルトがアノス達の頭上に視線を向けて驚愕の声を漏らす。

「遅かったな、待ちくたびれたぞ?」

対照的にアノスは頭上を見上げることもなく冷静に話す。

「悪かったなアノス。それとありがとう、みんな」

上空から声の主が降りてくる。降り立った人物の背後から2つの人影が姿を現す。

1人は一輝、もう1人は刀華。

そして―――

「ローズバルト。お前、生きて異世界に戻れると思うなよ?」

降り立った人物。リムル=テンペストがいた。

 

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シオンとランガはリムルと分かれて本陣に戻って来ていた。

「シュナ様!」

「シオン、戻ったのですね?」

本陣にてシオンとシュナが再開を喜ぶ。

「シオンが戻ったということは、リムル様も?」

「はい。ローズバルトの元に向かいました」

「現在、アノス様やオルステッド様達が迎え撃ってくれています。各戦線も、異世界の方々の助力もあって持ち堪えています」

「そうですか。一般人に被害は?」

「ありません。ただ…」

途中まで言いかけてシュナは言い淀む。そんなシュナにシオンは首を傾げる。

「シュナ様?」

「ガビルさんが敵幹部と交戦した際、重傷を負いました。フルポーションでも回復しません」

「そんなっ!?」

「現在、異世界の方々とハクロウが協力して戦っています。お兄様はエリスさんと一緒に北方戦線に向かいました」

「では、私もハクロウの援護に向かいます」

そう言うとシオンは愛刀〝剛力丸・改〟を肩に担ぎ、本陣を後にした。

「頼みましたよ、シオン」

シオンが向かった先にシュナは言葉を零した。

 

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「なんだか体が軽いな」

ハルトは木の陰に隠れて軽くジャンプする。

「危ないよハルト、敵は正面にいるんだから」

傍に隠れているムラサキに注意されたハルトは大人しく姿勢を低くして隠れる。

現在ハルト達SORDの面々がいるのは北西戦線の北寄りに位置する森林だ。

敵幹部であるエンリクスを他の戦線に向かわせないために足止めしている。

レナが新たに持参したアサルトライフル『M4レギウス』でエンリクスを牽制するが、エンリクスを囲むように放たれる電撃に阻まれる。

「銃弾が効かないよ~、マスタ~」

「とりあえずは足止めだ。リムルさん達がローズバルトを撃破するまで、あの敵をここで食い止める」

「了解!」

レナがレギウスで正面から牽制し、エンリクスをその場に釘付けにする。

 

(こちらを牽制するのが目的。ローズバルト様の元へ行かせない為ですか)

エンリクスはハルト達の狙いを看破していたが、レナとマキによる銃弾の弾幕の濃さによって動けずにいた。

雷撃を放てば銃弾を無力化できるが、エンリクスが警戒しているのは他のSORDメンバーだ。

(ヤツらは5人いたはず。現在蒼髪と他2人は確認できますが、他の2人は何処に?)

エンリクスは木の陰から銃弾の射線を辿る。その先には確かにハルトを含む3人がいた。

しかしそもそも、エンリクスは大きな勘違いをしている。正確には敵は7人いるのだ。

ハルト達が元の世界に一度戻り、マキとグミを連れてきたことをエンリクスをはじめとした敵魔王軍は知らないのだ。

無論、他の適応者の加勢もである。

周囲を警戒しているエンリクスの足元にスモークグレネードが投げ込まれる。

ムラサキがハルト達から離れてエンリクスの右側面側に迂回し、投げ込んだのだ。

「ゲホッ、ゲホ。鬱陶しいですね!」

エンリクスがスモークグレネードが投擲された方向に雷撃を放つ、しかしすでにムラサキの姿はそこにはなかった。

(手応えが無かった。…どこに!?)

煙で周囲の状況が確認できないエンリクスにレナとマキが放つ銃弾が襲いかかる。

エンリクスは発射音を確認してから雷撃を自身の周囲に展開するが、数発をその身に受ける。

「ぐっ、あぁ!」

苦悶の声を上げてその場に蹲る。しかし、エンリクスに迫るのは銃弾だけではなかった。

「っ!?」

咄嗟に反応したエンリクスは両腕に雷撃を纏わせてガードの態勢をとる。

そこに間髪入れずに一本の刀が振り下ろされる。

煙とレナ達の牽制の隙を突いてハルトが突撃したのだ。

「奇怪な武器を使いますね…。厄介ですよ!」

振り下ろされた刀を両腕で抑えながらエンリクスは毒づく。

「あれ、銃を知らないの? てっきりその辺の情報は持ってるんだと思ってたのに」

ハルトはエンリクスの言葉に疑問を投げかける。

これまでハルトは敵が自分たちの情報を掴んでいるものだと思っていた。無論、銃の存在も敵は掴んでいると。

しかし、今目の前にいるエンリクスの反応を見る限り、ハルトの思い違いだったのかもしれない。

「煙とは想定していませんでした。おかげでこのザマですよ」

「でもこれで一つ、こちらの戦力を知ることが出来たんだから、よかったんじゃない?」

「おちょくっているのですか?」

「いたって真面目なんだけどな~」

軽口を叩きながらもハルトは振り下ろす力を緩めない。

体重を乗せているため、エンリクスは徐々に押されてくる。

「もう後が無いよ?」

「ええ。しかし、まだです!」

エンリクスがクロスさせた両腕のガードを横にずらすと、振り下ろすために体重を乗せていたハルトの態勢が崩れる。

エンリクスは態勢を崩し、その場に倒れそうになるハルトの顔面に掌をかざすと、そのまま最大出力で雷撃を放った。

しかしハルトは上体をずらしてそれを回避すると、地面に手を着いて態勢を戻して距離をとる。

エンリクスはハルトを追撃したがレナとマキの放った銃弾がハルトの背後から襲い掛かる。

エンリクスは雷撃を前面に展開して防ぐ。

しかし、次の瞬間。右方向の陰から現れたムラサキがカスタム自動小銃『ニンジャガン』から銃弾を放った。

銃弾はエンリクスの右二の腕に吸い寄せられるように命中した。

「ぐッ、くそぉっ!」

エンリクスは構わずハルトに突進する。

しかしハルトはステップで後方に距離をとる。

2人の距離はまだ遠い。

 

 

 

パスン。表現によってはストンとも聞こえるだろうか。

そんな音とともにエンリクスの足元を一発の銃弾が翳める。

これまでとは違う射撃だと察したエンリクスは一瞬歩みを止めて振り返る。

(5人目。ここからは見えない。遠くからの攻撃ですか!)

5人目が行った攻撃が〝狙撃〟だとエンリクスが理解するのに要した時間は一瞬だった。

しかし、その一瞬を見過ごすことなく放たれた銃弾が、エンリクスの喉を貫通した。

 

(何故、何故だ! 敵は5人ではなかったのか!?)

喉を撃ち抜かれたことで言葉を出すことが出来ないエンリクスは、自信の喉を撃ち貫いた銃弾の射線を目で追った。

そこには―――

 

 

 

「ふ~。危なかったでありますな、ハルト殿」

グミの『ステアーAUG』から放たれた銃弾が、エンリクスの喉を貫いたのだった。

 

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ローズバルトは感じた。

「…エンリクスか。役立たずめ」

エンリクスが戦闘続行不能になったことをである。

部下の醜態に毒づきながら拳を振り上げる。

「引き際か…」

そう言って振り下ろした拳をリムルが刀で受け止める。

「逃がさないと言っただろ」

リムルは身を翻してローズバルトの顔面に蹴りを見舞うが、足を掴まれて叩きつけられそうになる。

スライム形態になって脱出すると、一旦距離をとる。

リムルの右隣にはアノスが、左にはオルステッドがいる。回復したルーデウスも合わせた8人でローズバルトを取り囲んだ。

「この世界での目的は達成した。我は次の目的の為にここは撤退する」

「引き際を弁えていることは評価するが。逃げ切れると思うか?」

アノスが訊ねるとローズバルトは大声で笑う。

「…何がおかしいんだ?」

リムルが感情を殺した低い声で訊ねる。そんなリムルとは対照的にローズバルトは笑っている。そして空を見上げて言った。

「この世界に侵攻した我が軍の戦力は、ほんの一部。そして貴様達を滅ぼすために用意した〝モノ〟を見せてやる!」

ローズバルトが言い終えると同時に空の彼方から〝ナニか〟が降り立った。

激しい轟音と地響き、そして土煙を上げて着地したそれは―――

 

 

 

 

 

―――巨人だった。




お読みいただきありがとうございました。

それでは次回でお会いしましょう。
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