無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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新年あけましておめでとうございます!


今日から再開しようと思いますので、今後も温かく見守っていただければ幸いです。


迎撃戦

「ところで。お前達も異世界から来たのか?」

リムルは握手を交わしている2人に割って入る様に声を掛ける。2人は握手を解き、リムルに向き直るとアインズが話し始めた。

「その認識で間違っていない。私はアインズ・ウール・ゴウン、アインズと呼んでくれれば幸いだ」

アインズは両手を広げて名乗ると、先程ターニャにしたように手を差し出す。

「魔国連邦盟主、リムル=テンペストだ。さっきは助かったよ」

先程の戦闘の礼を述べながらリムルは握手を交わす。

「帝国軍第203航空魔導大隊、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐だ」

「軍人さんだったのか。協力感謝するよ」

ターニャとも握手を終えたリムルは真下の戦闘に目をやる。

市街地ではいまだに戦闘が続いている。ランガやシオン達も現地勢力に加勢しているが、敵幹部を抑えるのに精一杯のようだ。

「ついでに頼みたいんだが、〝アノ敵〟の掃討に力を貸してくれないか?」

「上位存在が撤退しても戦闘を継続しているということは、アレらの大将は先程の敵とは別ということか?」

ターニャは真下を見下ろしながら訊ねる。リムルは「おそらく」と答えた。

「ここまで付き合ったのだ。もう少しぐらいいいだろう」

アインズはリムルに対して頷くと、ゆっくりと降下していった。

「我々は敵の航空戦力を叩くぞ!」

「「「「「了解!」」」」」

ターニャも部下達に指示を出す。

「助かる。俺は動けない仲間を避難させてから戦闘に参加するよ」

そう言ってターニャと分かれたリムルが向かった先は、大破した飛空城艦だ。

甲板―――もとい甲板だった場所には刀華と一輝がいた。刀華は回復しているが、一輝はいまだ意識を覚ましていない。

「刀華!」

刀華達の近くに着地すると、急いで駆け寄っていく。

「リムルさん、無事でよかったです。アノ敵は?」

周囲を見渡しながら刀華が訊ねる。リムルは笑顔を作り口を開いた。

「別の世界の戦士が協力してくれたおかげで撃退出来た」

「そうですか…」

「それより、急いでここから降りよう。一輝は俺が担いで行くよ」

「わかりました。お願いします」

「クリスがいるビルの屋上に一輝を運んだら戦闘に参加するよ。刀華はまだ戦えるか?」

そう訊かれた刀華は僅かに笑みを湛えて頷いた。

「勿論です」

リムルは飛空城艦を何とか東京湾に着水させると、一輝を担いで市街地へと向かった。

市街地ではシオンとランガが敵幹部のカシュロントと交戦していた。

シオンの得物は大剣『剛力丸・改』。対するカシュロントの得物も大剣。

両者が剣を振るうたびに大気が荒れ狂うように揺れる。それぞれの剣を振るい、刃を打ち合わせる。

鍔迫り合いの間隙を縫うようにランガが『声振砲―ボイスカノン―』を放つ。咆哮は衝撃波となってカシュロントに襲い掛かる。

しかしカシュロントは大剣の剣背の部分をランガに向けるように地面に突き立てると、自身を剣に隠すように構える。

衝撃波はカシュロントとの間に突き立てられた大剣に阻まれる。しかしその威力は凄まじく大剣は大きく振動し、カシュロント自身も大剣を支える腕を振るわせながら耐えるほかなかった。

シオンはボイスカノンに対して防御姿勢をとるカシュロントの背後に回り込み愛剣を振るう。

「『金剛・神』!」

しかし、剛力丸はカシュロントに届かなかった。

いや、正確に言えば届いた。カシュロントが発動した闘技『金剛・神』によって阻まれたことに目を瞑るならば。

カシュロントの体全体だけではなく大剣すらも金色に輝き、極限まで強化されたその防御力で剛力丸を受け止めたのだ。

それと、先程までボイスカノンによって震えていた大剣とそれを支える右腕も今や震えていない。

「この程度、か!」

カシュロントは大剣を振り抜く。体全体で回転を加えて振るわれる大剣による一撃をシオンは剛力丸で受け止めようと構える。

しかし直後、悪寒が走り回避行動をとった。

横に飛び退いた刹那、確かにシオンは恐怖を感じた。「コレを受け止めるのはマズい。不可能だ」と脳が危険信号を発した感覚になり、事実その直感は当たることになった。

シオンが先程までいた場所の延長線。つまりカシュロントが大剣を振り抜いた先に目を向ける。

「なッ…!」

驚愕し、安堵し、そして僅かに恐怖した。

大剣が振り抜かれた先にはビルがあった。シオンにとっては〝大きな建物〟という認識でしかないソレが、上と下に真っ二つにされていた。

剣筋は斜めに入り、ビルを両断している。直後、ビルの上部が滑る様に道路に落下した。

幸い、中にいた者はいなかった。早い段階で現地勢力であるリコリスを中心に避難していたからだ。

(真正面からアレを受け止め切れただろうか、私は?)

自身の強さには多少の自信があるシオンであるが。これはあまりにも想定外だった。

「次の一撃で、仕留める!」

カシュロントが大剣を振り上げる。

そこでランガが動いた。狼にしては大柄なその体躯をもってカシュロントに体当たりをしたのだ。

それは、雷による広範囲攻撃が出来ない現状から導き出された手段だったがカシュロントの意表を突くことが出来た。

大剣を振り上げたことによって無防備となったその脇腹に強烈な衝撃を受けたことでカシュロントは態勢を崩した。

「はぁぁぁぁぁ!」

シオンは剛力丸を上段に構えて突撃する。ランガの体当たりで態勢を崩したカシュロントは一瞬反応が遅れた。

「『金剛・し―――」

闘技の詠唱を言い終える前に振り下ろされたシオンの剛力丸がカシュロントの肩口から上半身に斬り込んだ。

刃は不完全に発動された『金剛・神』によって心臓のすぐ上のあたりで止まったが。深く、カシュロントの体に傷を負わせた。

「ぐぅッ、ブフゥッ。ガァ!」

言葉にならない苦悶の声を上げるカシュロント。真っ直ぐシオンを見上げるその瞳は、いまだ闘志に燃えている。

「まだだ。これで勝てたと、思うな!」

カシュロントは剛力丸を片に受けたまま立ち上がる。シオンは立ち上がらせまいと斬り下ろす力を強めるが、カシュロントはお構いなしに立ち上がる。

そして。

「『風紋・神』!」

闘技の詠唱の後、カシュロントは空気を肺一杯に吸い込む。そして両頬をプクゥーと膨らませたまま地面に顔を向けて。

肺一杯の空気を自身の足元へと勢いよく吹き出したのだ。

吹き出された空気は地面へ届くと全方位に拡散され、衝撃波となってシオンとランガに襲い掛かった。

ランガは踏ん張っているが、じりじりと押されている。シオンは剛力丸を握る手に力を込めて離れない。

が、カシュロントは持っていた大剣で自身の肩に食い込んだ剛力丸を下から叩くように斬り上げた。

剛力丸がカシュロントの肩から抜けたことで衝撃波の衝撃をさらに受けることとなったシオンは態勢を立て直すことも出来ずに吹き飛ばされた。

「驚いた。たかが体当たりに不覚を、取るとはな!」

シオンによって斬られた傷口を抑えながら2人を交互に見る。そして大剣を地面に突き立てると、拳を握りファイティングポーズをとる。

「第2、ラウンドだ!」

カシュロントは地面を蹴って跳躍すると。ランガへと迫る。

握った拳を振りかぶり、上空からランガ目掛けて突撃する。ランガは〝迎撃〟ではなく〝回避〟を選んだ。

カシュロントの拳が黒く染まったかと思った次の瞬間、ランガの体が地面にめり込んだ。

めり込んだと言っても頭のみであったが、ランガは何が起こったのか理解できずにいた。

唯一理解できたことは〝自身が攻撃を食らったこと〟であったが、それを理解するまでに数秒を要したことで追撃を食らうこととなった。

ランガの体は鈍器で勢いよく殴られたかのような衝撃を受ける。

しかも一箇所ではない。頭、胴、後ろ足、前足などをランダムのように殴られ続けた。

カシュロントは上空に滞空したまま拳を突き出している。

「ランガッ!」

シオンが剛力丸を盾のように構えてランガとカシュロントの間に割って入った。

盾のように構えた剛力丸に連続で衝撃が走る。

「くぅっ、重いッ!」

シオンは剛力丸に受ける衝撃の強さで、ランガが地面にめり込まされた理由を理解した。

(拳の軌道が見えない。防御を解くこともできないとは!)

このままではジリ貧、こちらが消耗するのが先だとシオンは考えた。

しかし逆転する手段が無いのも事実。どうすべきか悩んでいた、その時だった。

 

 

 

「―――散々好き放題してくれたな」

 

一つの影が、シオン達の頭上を抜けてカシュロントに肉薄した。

その声、そして地面に映ったシルエットでシオンとランガは誰が来たのかを理解した。

先程の声の後、衝撃波はピタリと止んだ。シオンとランガが頭上の声の主を見上げると、そこには。

「お前の相手は俺だ」

リムルが、眼光を鋭くしてカシュロントと対峙していた。

 

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「これじゃキリがないわ!」

ビルの屋上にて愛銃『417D』のスコープを覗いたままトーカはぼやく。

スコープの先ではハルト達が戦闘を繰り広げている。ハルト、レナ、マキ、の3名を援護するように狙撃を続けていた。

「それには同感でありますが。ぼやいても仕方ないでありますよ?」

「わかってるわよ…」

隣で『ブレイザーR93』を構えているグミにそう言われたトーカは若干苛立った様子だったが、すぐに狙撃を再開した。

「敵との戦力差は無くなりつつあります。ここが正念場ですよ」

そしてもう一人、リムルに担ぎ込まれた一輝の手当てをしながら戦況をパソコン端末でモニタリングしているクリスがいた。

「リムルが言ってた髑髏や空飛ぶ兵士は味方でいいのよね?」

狙撃を続けながらトーカが訊ねる。クリスは手当てが完了した一輝を寝かせるとトーカを振り返って答えた。

「そのようですね。こちらは敵魔王軍のみを攻撃するようにってハルトさんも言ってましたから、このまま続行ですね」

「わかったわ」

「了解であります」

クリスはトーカとグミの返事を聞くと再びパソコン端末を操作する。現在の分布図や戦力差などを入力し、今後の敵軍の動きを予測するためだ。

しかし、クリスは戦術予報士でも軍司でもないので作戦を練ることは出来ない。

しかし、得られたデータを各人に共有することで被害を抑えようとしたのだ。

クリスはレナやマキのように前線で敵と殴り合えるほど強くはない。だからこそ見つけたクリスなりの〝戦い方〟なのだ。

クリスは後方支援のスペシャリスト。衛生兵、通信兵などを1人で兼ねる存在である。

だが、戦闘はからっきしである為。

「見つけたぞ!」

「ッ!?」

屋上に上ってきた敵兵士へクリスは『ボディーガード380』の銃口を向けるが、敵兵士が持っていた槍に弾き飛ばされる。

「クリス!?」

トーカとグミが背後の異変に気付いて振り返るが、間に合わない。

敵兵士は槍を構えて、クリス目掛けて突き出した。

 

 

 

 

「―――来てくれ、陰鉄」

声と共に風が吹き抜ける。先程までクリスの隣で横になっていた一輝が目を覚まし、陰鉄を抜き放った。

突き出された槍の穂を下から打ち払うと、そのまま飛び上がるように斬りかかった。勢いよく横薙ぎに振られた陰鉄の刃は敵兵士が着用する鎧の胸当てを一閃、上下にパックリと割るだけではなく敵の胸部にも横一文字の傷をつける。傷からは血が滴り落ちる。

「ハァ、ハァ…」

一輝は表情を険しくして敵兵士へ2撃目を加えようと陰鉄を振りかぶり、刃を振り下ろした。

しかしピギュティアから受けたダメージが抜けきっていない状態での2撃目であったために敵兵士に見切られてしまった。

敵兵士は槍で陰鉄の刃を防ぐと、体重を乗せるように押し込んできた。

「手負いで何が出来る!」

「ここを守るぐらいは出来るッ…!」

足裏に力を込めて踏みとどまる一輝だが、本調子でない故に徐々に押されてきている。

「無駄だ、無駄なことをして何に―――」

 

 

 

 

「―――無駄じゃあ、ないだろ」

声がした。この場にいる誰の声でもない、男性の声が。

その次の瞬間だった。一輝と対峙していた敵兵士の首がズルリと落ちた。

首を落とされた敵兵士の体からは力が抜け、ドサリと崩れるように倒れた。倒れた死体の付近には、その体と先程までくっついていた首が転がっている。

そして、その向こう。先程まで敵兵士の体に隠れて良く見えなかった人影。

黒髪の男が立っていた。

胴体を守るための黒い鎧と黒のロングコート。どこぞのベータテスターを彷彿とさせる出で立ちだが、少し違う。

青を基調とした腰当てと、何より得物は〝日本刀〟だ。それも二刀流ではない。

「大丈夫か?」

男が手を差し伸べる。一輝はその手を掴んで立ち上がると、姿勢を正して頭を下げる。

「ご助力、感謝します」

そう言われた男は僅かに笑うと頷く。

「気にするな。この世界の人間じゃないな、俺達と同じ境遇だろ? 手伝うぞ」

一輝は頭を上げると、手を差し出す。

「助かります。僕は黒鉄一輝。あなたは?」

「ああ、俺か?」

そう言うと男は日本刀を鞘に納めると、差し出された手を握る。

「冒険者のクナギ・レンヤだ」




お読みいただきありがとうございました。

今回から新しく『二度目の人生を異世界で』が登場です。

作者様の炎上騒動などがあり賛否が分かれる作品ですが、私個人としては好きな作品です。

リコリコ世界での話はあと数話ほどを予定しております。
今後もお付き合いくださいませ。

それでは次回でお会いしましょう。
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