無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。


どのように決着させるか思い浮かばず迷走していますが、皆さんにひと時でも楽しんで頂けるよう書いて参ります。


破剛

「喰らい尽くせ、『暴食之王―ベルゼビュート―』!」

リムルがかざした掌から黒い霧とも雲とも煙とも言えぬものが噴き出してカシュロントに襲い掛かる。

「そんな攻撃では、倒せぬ!」

カシュロントが両腕を顔の前で十字に組むと、地響きを立てるかのように叫ぶ。

「金剛ゥ・神!」

カシュロントの体が金色に輝く。リムルはお構いなくベルゼビュートでカシュロントを飲み込んだ。

ところが、結果はリムルの想定とは違っていた。

ベルゼビュートがカシュロントの体に触れることを〝拒む〟ような反応を見せたのだ。

「飲み込めないのか!?」

リムルは驚愕の表情を浮かべる。こんなことは初めてだからだ。

《告。敵の体から放たれる金色の光にはスキル等の干渉を阻害する効果があると考えられます。ベルゼビュートのスキルが光に近づくほどに弱体化されています》

ラファエルからの現状の解析結果を聞いてリムルは少々焦りを見せる。

《オウェルポスの『金剛』よりも強固ってことか?》

《告。一時後退することを進言します》

リムルは一歩ずつ後退するが、カシュロントも一歩ずつ前進するため距離は離れない。

ベルゼビュートがカシュロントの纏わりついて動きを制限している為、一気に距離を詰められることは無いが、決定打に欠けるのも事実だった。

「俺の金剛を旧魔王軍幹部のものと一緒に、するな!」

カシュロントは十字にクロスしていた両腕を解き、振り払うようにベルゼビュートを掻き消した。そして。

「ワイルド・ワイド・ボーン!!」

叫びと共に両拳を突き出した。

衝撃波が真っ直ぐリムルに迫る。しかし、リムルは微動だにせず、両手でそれを受け止めた。

背後にシオンとランガがいたということもあるが、後退することが無駄だと判断したためである。

足と腰に力を入れてその場にて踏ん張るが、ジリジリと押されてくる。

「このまま押し、潰す!」

衝撃波は弱まることなく、むしろ強くなる。

(攻勢に出られない…、何かないか…)

リムルは打開策を模索するが、これといった策が浮かばない。衝撃波はリムルの予想を大きく上回るほど強力なものだったのだ。

 

 

 

ダンッ、と何かを蹴るような音をリムルは聞いた。そこは自分達がいる場所より高い位置、クリス達がいる場所だった。

次の瞬間だった。カシュロントの背中から鮮血が飛び散った。

『ワイルド・ワイド・ボーン』を放つ際に解除していた『金剛・神』の隙を突いた者がいたのだ。

黒いコートを靡かせたその者は日本刀にてカシュロントの背中に斬り込んだのだ。

黒いコートの男―――レンヤは刃をカシュロントの背中に滑らせながら着地すると、振り抜いた刀を再び振るう。

二撃目を貰うまいとカシュロントは『ワイルド・ワイド・ボーン』を止め『金剛・神』を発動する。

レンヤの二撃目はカシュロントの金色に輝く体に傷を付けること敵わず滑る様に抜ける。

「硬いな」

三撃目の刃も防がれたレンヤは飛び退いて距離を取る。

レンヤと対峙するカシュロントの背後からリムルとシオンが仕掛ける。

三方から取り囲むようにして攻撃を仕掛けるが、それらの攻撃は防がれる。

「離れろ!」

声がして3人は飛び退く。

次の瞬間、カシュロントが爆発を起こす。頭上からターニャが爆裂術式を込めた弾丸を放ったのだ。

黒煙が晴れる前にリムルはカシュロントへと再び斬りかかる。想定通り防がれるが、金色の光が僅かに鈍くなっていた。

「まだまだ、これからだ!」

カシュロントが振るう大剣が黒煙を払い、肉薄していたリムルへと振るわれた。

しかし、リムルは体を捻って回避すると、再び斬りかかる。一撃だけではない、二撃、三撃と繰り出される攻撃を防ぐたびに、カシュロントを包む金色の輝きは鈍くくすんでいく。

リムルと反対側からレンヤが斬りかかる、殺意を込めた瞳を向けた先にいるカシュロントの胴を執拗に狙っている。

レンヤの攻撃をいなしつつ、挟み撃ちに攻撃を仕掛けてくるリムルにも対処する。

リムルの刀が振り下ろされると、カシュロントは左腕でそれを受け止めようとする。

しかし、先程までのように防ぐことは出来なかった。振り下ろされた刃が僅かに左腕に食い込み、一筋の血が滴り落ちたのだ。

「限界か!」

切断、とまではいかないがリムルが振り下ろした刀は確かにカシュロントの『金剛・神』を破った。

無論、そこに至るまでの攻撃みよってカシュロントの『金剛・神』が消耗していたからこそだが。

(鉄壁のように思えるが、波状攻撃や連続攻撃を重ねることで消耗させることは出来るみたいだな)

リムルは現在の状況から『金剛・神』の弱点を理解したが、それでも完全に突破出来たわけではないのも事実。

「シオン!」

リムルとは別の位置から飛び出したシオンに指示を出す。「お任せを!」と返事を返してシオンは剛力丸を振り上げた。

振り下ろされた剛力丸は大剣で受け止められたが、それによって両手を塞がれたカシュロントはその場に抑え込まれる。

リムルとシオンは得物を振り下ろす力を弱めることなくカシュロントを抑えている。

カシュロントの背後にレンヤが刀を抜き放ち肉薄する。

そして突き出された刃はカシュロントの腹部を貫いた。遂に鉄壁の闘技である『金剛・神』を破ったのだ。

 

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「各員、敵集団に一斉射用意!」

ターニャの指示を受けた部下達が銃を構える。ターニャを先頭とした魚鱗陣形をもって東京上空を飛翔して敵集団の頭上を取るとターニャは斉射の号令を出す。

放たれた計6発の爆裂術式は敵集団を爆炎で包む。

「突撃!」

ターニャは高度を地面スレスレまで下げると、敵兵士の攻撃を掻い潜りながら銃撃を行う。無論、現地勢力には当てないようにである。

僅かに散開しながら各員が敵兵士を銃撃し、速度を落とすことなく戦場を抜けて飛び立っていく。

一撃離脱戦法による奇襲で、敵兵士は地上の現地勢力とターニャ達を同時に相手をしなければいけない事態となった。

「カシュロントは何をしていますの。あの脳筋は!?」

シティックが鞭を振るいながら別の場所で戦う同僚の悪態を吐く。そこに、振るわれた鞭を掻い潜るように接近する人物がいた。

 

ハルトだ。

両手に一振りずつ、つまり二刀流で刀を抜き放ちシティックとの距離を詰めていく。

持ち前の視力をもって鞭の軌道を瞬時に読み、必要最低限の回避でもってうねる大蛇の如き鞭の猛攻を掻い潜る。

「あと15メートル。もう慣れた」

そう呟くハルトの目は確かに鞭の軌道を読んでいた。

その気になれば銃弾の軌道ですら読むハルトの目をもってすれば鞭の軌道を読むことも可能だった。

シティックは先程から惜しげもなく鞭を振るいこちらを近づけまいと牽制してきた。

鞭の軌道とその癖は大体理解できたハルトは一気に距離を詰めるべく動いたのだ。

「近づけませんわよ、ブギーマン!」

シティックが振るう鞭が大きく跳ねる。地面のコンクリートを抉り、ハルトへと襲い掛かる。、

ハルトは上半身を90°捻って縦方向にする。ハルトのすぐ脇を鞭が翳めるが、目もくれず走る。

距離は遂にクロスレンジまで縮まった。

縮まった間合いなら刀を使用するハルトに分がある。シティックの鞭は刀の間合いよりも長い間合いにて有効となる武器。

故にお互いの距離が縮み切った今となってはハルトに利があるのだ。

「『風弾』!」

シティックの頬と顎、さらに下部の喉までもが膨らんだ次の瞬間だった。

風が弾丸のように口から撃ち出され、ハルトの頬を翳める。

頬に一筋のかすり傷を作りながらもハルトは刀を振るう。右手の『不知火』を振りかぶり横一文字に一閃、後退されて躱されるが構わず左手の『陽炎』を下から振り上げる。

振り上げられた切先がシティックの右頬を翳めて、そのボリューミーな金髪を散らす。

シティックは鞭を封じられた間合いの為『風弾』に頼るしかない。しかしそんな状況を見逃すハルトでもなく、距離を離されないように肉薄して刀を振るう。

連続して撃ち出される圧縮された衝撃波の弾丸の軌道を見切り、回避しながら追い詰めていく。

(焦って顔ばかり狙ってきているな。読みやすくて助かるけど…)

シティックのワンパターンの攻撃に心中でお礼しながらもハルトは刀を振るう。

刀がシティックの頬を翳める。薄皮を斬る程度ではあったが、少しずつハルトの攻撃が届こうとしていた。

(躱しきれない!? このままでは殺られますわ!)

シティックは現在の状況を覆す方法を考える。しかし、そのような方法は浮かばなかった。

しかし、シティックに加勢が現れた。シュトライドだ。

ステラ達ブレイザー組の攻撃を躱してシティックの元へとやってきたのだ。

「『光弾』!」

両手を合わせたかと思えば、その両掌をハルトへと向けて開いたのだ。開かれたシュトライドの両掌から握り拳大の大きさの光弾が無数に放たれる。

光弾は拡散しながらハルトに襲い掛かった。ハルトは光弾を回避するために飛び退く。それによって詰められたシティックとの距離が再び開いてしまった。

「マスター!」

レナがM4カスタム銃『レギウス』を連射しながら走って来る。照準はシュトライドに向いている。

撃ち出された銃弾の大半はシュトライドの体を翳めて抜けていく。しかし数発は脇腹に着弾した。

シュトライドは表情を険しくしながらも光弾を放つ両掌を目の前から両腕を開くようにして散らせる。

扇状に放たれる光弾はレナのすぐ隣を翳めると眩い光を放ち炸裂した。

レナの周囲だけではない、レナに続いて追いついてきたマキやハルトの周囲でも光弾が炸裂した。

「姉さん、危ない!」

そんな声が聞こえた直後、レナの視界は大きく揺れた。次に認識できたのは、自信の視界が先程よりも低い位置にあることだった。しかも何故か横を向いている。

「え…、何…?」

体を起こそうとするが、うまく起こせない。体が重いのだ。

しかし、その理由はすぐに理解できた。

マキが上に覆いかぶさっているのだ。

「……ッ! マキ! 大丈夫マキ!」

覆いかぶさるマキの体を揺するが返事は無い。

「レナ!」

ハルトの声がして、足音が近づいてくる。レナの傍に着いたハルトは膝をつくとマキをレナの上から移動させる。

隣に寝かされたマキを見るレナの表情は絶望そのものだった。

「ねぇマスター。マキは? マキは大丈夫なんだよね!?」

「衝撃で気絶しているだけだ。マキは体は丈夫だからね」

ハルトの言葉にレナはホッと胸を撫でおろす。ハルトは立ち上がると再び二刀流の構えをとる。

シュトライドは再び『光弾』を放つ姿勢をとる。

「さすがに光は斬れないな…、どうするか…」

ハルトの視力をもってすれば『光弾』の軌道を読むことは出来る。しかし、炸裂する『光弾』を斬ることはハルトにも出来ないのだ。

背後にはレナと戦闘不能のマキがいる。よって、彼女達を守りながらの戦いとなる。

「レナ。マキを背負ってクリスのいるビルの屋上に行けるかい?」

こちらを見上げるレナにハルトは訊ねる。

レナは「わかった!」と力強く頷くと。マキを背負ってその場を後にする。そして―――

 

 

 

―――再び『光弾』が放たれる。

ハルトは回避行動をとるが、扇状に広範囲に放たれた光弾の内の数弾はレナへと飛来する。

「レナ、避けろ!」

叫んだハルトの視線の先にはこちらを振り向くレナ。一瞬の遅れによって生じた隙を突くように光弾はレナに迫る。

レナは妹を背負った状態で守る様に立つと、自信を盾にするかのように立ち尽くした。

「『障波水蓮』!」

どこからともなく声が響いた次の瞬間だった。レナの目の前に水が噴き出したのだ。

壁ともカーテンとも形容出来るソレは光弾を飲み込み、見事に消滅させた。

光弾が防がれたシュトライド目掛けて球体上の水が弾丸のように飛来する。

飛来するそれを身を捻って回避しつつ光弾で反撃するシュトライドに、続けざまに水弾が飛来する。

シュトライドの視界に水弾を放つ者―――珠雫が映る。

水と氷を操る珠雫は水弾でシュトライドを牽制する。その間隙を縫うようにステラが脇から飛び出した。

ステラがシュトライドに肉薄し、『妃竜の罪剣―レーヴァテイン―』を下から斬り上げる。

振り上げられたレーヴァテインの剣身が炎を纏う。その軌道は頭を狙い、シュトライドは回避の為に大きく体勢を崩されることになる。

頭のすぐ横をレーヴァテインが翳める。纏った炎が髪を焦がす匂いを鼻腔に感じながらもシュトライドは距離を取る。

「私が相手よ!」

ステラがシュトライドの前に立ち塞がる。レーヴァテインを正眼に構えて睨みつけるその瞳は闘志に燃えていた。

「一度この私に操られた貴様達に勝てるとでも?」

シュトライドは口角をつり上げるように挑発するが、ステラは平静を装い口を開く。

「今度は勝つわ」

そう言った次の瞬間だった。

腰を落としたステラが目の前に肉薄していたのだ。シュトライドは突然の事に対応が一瞬遅れる。

振り下ろされるレーヴァテインが炎を纏う。

シュトライドを両断し、焼き尽くそうと迫る剣身をシュトライドは見ていることしか出来なかった。

パチンッという音を立ててレーヴァテインが弾かれる。

左方向を見るとそこには、鞭を振り上げるシティックがいた。




お読みいただきありがとうございました。

仕事の都合で次回投稿は少し遅れそうです。

今後もお付き合い頂ければ嬉しいです。
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