無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部 作:かまぼこポテト
投稿が遅れたこと、この場でお詫びいたします。
仕事が少し落ち着いてきたので、投稿を再開していこうと思います。
今後もお付き合い頂ければ嬉しいです。
「リヒトーか。ルーデウス達は一緒ではないのか?」
ガイコツの頭蓋を掴んだままアノスが訊ねる。
訊ねられたリヒトーは若干苦笑いをしながら答える。
「俺達だけ敵の攻撃で異次元に飛ばされていたんです。ここに出られたのは偶然ですよ」
「なるほど、イレギュラーが起きたのだな。丁度いい、北の方角でミリーゼがノウゼン達を指揮している。そちらの加勢に向かえ」
アノスがガイコツを投げ飛ばして振り返る。リヒトーは「了解」とだけ答えて道安達と共にその場を離れた。
「さて…」
アノスは投げ飛ばしたガイコツに目を向ける。亀裂が生じた頭部を抑えながら立ち上がったガイコツはアノスを睨む。
実際に目は無い為、本当に睨んでいるのかは定かではないが。アノスには睨んでいるように見て取れた。
「リヒトー達は無事みたいだね」
少し離れた場所で戦っていたレイがやって来る。その横にはミサもいる。
「そのようだな。あとはミリーゼに任せることにしよう」
「たしかに、この世界の地形や地理を知っているミリーゼ大佐が指示を出した方がいいだろうね」
そんな2人の元に、敵兵士を切り伏せたシンがやって来た。
アノス達の視線の先には、ガイコツとその配下の兵士がまだ大勢いる。
「そろそろ終わらせるか」
そう言ったアノスの瞳が、標的である1人の髑髏を見据えていた。
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西部戦線北部にて独立打撃群を指揮しているレーナの搭乗する装甲指揮者ヴァナディースの装甲がノックされる。
「誰じゃ?」
フレデリカが首を傾げながら搭乗ハッチに向かう。
ハッチの前に立ったフレデリカは大声で「誰じゃ!」と訊ねる。
『あ、その声はフレデリカだね。リヒトーだよ、リヒトー・バッハ』
その名前を聞いたフレデリカの顔は驚愕に歪んだ。
それもそうだろう。リヒトー達が異次元から現れたのを目の当たりにしたアノスでもない限り信じることは難しいだろう。
「どうする、ミリーゼ?」
フレデリカはレーナを振り向く。当のレーナもどうしたらいいのか困っている様子だ。
「…キュクロプス。ヴァナディースの搭乗ハッチの外にいる人物の特徴を報告してください」
知覚同調で直衛戦隊である『ブリジンガメン』の戦隊長である『キュクロプス』ことシデン・イーダに指示を出す。
ヴァナディースの外にいる人物が本当にリヒトーなのかがはっきりしない以上、警戒を怠らない。
『了解だ、女王陛下』
すぐに返事が返って来る。その十数秒後だった、再びシデンとの同調が繋がる。
「黒い軍服を羽織った背の高い優男と、眼鏡を掛けた堅物そうな男。目付きが人間じゃない男と、ヒョロっとした黒髪の女―――」
リヒトー達だとレーナは思った。少なくとも特徴は合致している。
ハッチを開けようとフレデリカを振り返った瞬間。
「―――それと、赤茶色の髪のメイド」
動きが止まった。
(メイド? 誰ですか? メイドはいなかったはずですが…)
レーナが思考を巡らせるが、アノスやリムル達を含む異世界の仲間達の中にメイド服を着用している者などいなかった。
故に、開けるべきかさらに悩むことになってしまった。
「…開けてください」
数秒考えた後、レーナはフレデリカにそう言った。
「了解じゃ」
フレデリカがハッチを開く。その向こうには、レーナ達が見知った人物達が立っていた。
「やっと開けてくれた」
リヒトーはげんなりとした声で言うと、隣のアイシャの手を引いて前に出す。
「本当にリヒトー上級大将でしたか、失礼しました。敵の可能性もあったので…」
レーナが謝辞を述べると、リヒトーは頭を振る。
「気にしてないよ。それより、アイシャちゃんを乗せてくれないかな?」
そこでレーナはメイドを見る。メイド服を着たアイシャはこの場においてフレデリカ以上に異彩を放っていた。
「こちらは…?」
「ルーデウスの妹だよ、こっちの世界に来る途中で会ったんだ」
そう言われ合点がいった。ルーデウスが「妹を敵の幹部に攫われた」と言っていたのを思い出したのだ。
そうとなればレーナの判断は早い。
「わかりました。アイシャさん、座ることは出来ませんがこの中なら安全です。さ、どうぞ」
レーナに促され、アイシャはハッチからタラップを上がり、ヴァナディースの車内に入る。
「じゃあ、ボク達も戦闘に参加するよ。どうすればいい?」
リヒトーに訊ねられたレーナは、司令部から要請があった増援としてリヒトー達を向かわせた。
モニターに向き直ったレーナに同調が繋がる。相手はリトだ。
『敵機動兵器に動きがありました。先遣隊を壊滅させたタイミングでこちらに前進を開始しました!』
レーナはモニターを切り替える。たしかに『クレイモア』と『サンダーボルト』の展開している戦線の敵機動兵器に動きがある。
レーナは西部戦線全体の分布図に切り替えると、モニターを凝視して数秒固まる。
その後、同調を繋いで指示を出した。
「第五戦隊『リュカオン』は北西方面に向かってください。『クレイモア』『サンダーボルト』の両戦隊は敵機動兵器の動きに注意して後退!」
レーナは第五戦隊『リュカオン』が敵機工隊を撃退したことを確認すると、北西方面への支援を命じる。
『『リュカオン』了解』
第五戦隊長レキ・ミチヒからの応答の後、『リュカオン』は北西へと移動を開始した。
「『ノルトリヒト』『スピアヘッド』両戦隊が敵幹部のものと思しき機甲部隊と会敵!」
マルセルがモニターを睨みながら報告する。エルネスティ達がジャイアントガモッサと戦っている戦線から北に位置する戦線での会敵。
南で戦っているアノス達の状況が分からない。アノス達は知覚同調が出来ない、連携の為にも現状を把握する必要がある。
「『キュクロプス』。南側で戦闘しているアノス陛下達の支援に向かってください」
直衛の『ブリジンガメン』戦隊の戦隊長、シデン・イーダに同調を繋ぐ。
すぐさま返事が返って来る。勿論、反対の意思を示す言葉で。
『冗談だろ女王陛下!? 直衛が離れるわけにいくかよ!』
「現状、敵軍がここまで到達することはないでしょう。それに、アノス陛下達の現状を確認する必要があります」
そう言うと、しばらくの沈黙が返ってきた。
数秒後、シデンの「了解だ」の返事の後に『ブリジンガメン』戦隊はシデンのレギンレイヴ『キュクロプス』を先頭に南方方面へと向かった。
「あの巨人は幹部で間違いないじゃろうな」
フレデリカがジャイアントガモッサが映るモニターを見る。その後、シンエイ達『スピアヘッド』戦隊が展開している戦場の状況を見る。
シンエイ達が相対している敵機工隊を見たフレデリカは思った。
―――似ている、と。
シンエイ達が搭乗している『レギンレイヴ』は純白のカラーリングの四足歩行兵器だ。蜘蛛を思わせるフォルムと、本体上部に乗せられた大型火砲。
しかし、モニターに映る敵機工隊は四足歩行ではなかったが、前側左右二足と後ろ側中央に一本の支柱のような脚部を持つものだった。
フレデリカがシンエイ越しに見る敵機動兵器の挙動はまさに〝フェルドレスそのもの〟だった。
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「おい、こんなの異世界でも遭遇しなかったぞ!」
ライデンが『ヴェアヴォルフ』のメイン武装である40㎜機関砲を連射しながら前進する。その遥か前方では、シンエイの『アンダーテイカー』が辻斬りの如く敵機動兵器を両断していく。
両断と言っても、一度で出来はしない。斬り抜けを繰り返し、ダメージを蓄積しての両断だ。レギオン相手でもこうはならなかったために、シンエイにも若干の焦りが見える。
『どうするんです隊長、数を減らしても増援されたんじゃぁキリがありませんぜ?』
知覚同調が繋がる。声の主は『スピアヘッド』戦隊と同時に展開している『ノルトリヒト』戦隊の戦隊長ベルント・ベルノルトである。
シンエイ達が会敵している敵機工隊集団は、いわば前衛部隊。いくら撃破したところで後方から増援される。
独立打撃群以外のギアーデ連邦軍も同戦線に参戦しているが、敵前衛部隊を突破出来ずにいた。
現状の数による戦力差は覆せない、あまりにも数が違いすぎるのだ。
シンエイもそれは分かっていたし、それをレーナが分かっていない訳がないこともシンエイには分かっていた。
だからこそ、レーナが打開策を見出すための時間を稼ぐ必要がある。
ならば今、シンエイ達が取るべき行動は―――
「『スピアヘッド』『ノルトリヒト』両戦隊は遅滞戦闘を続行。これ以上進軍させるな」
―――敵を現在位置から先に進ませないことだった。
アンジュのレギンレイヴ『スノウウィッチ』を筆頭に、複数のレギンレイヴのミサイルランチャーが一斉に火を噴いた。
連続して打ち上げられたミサイルは軌道を曲げて敵前衛部隊に降り注ぐ。
爆炎と衝撃が敵に襲い掛かる。敵の大半は衝撃によって吹き飛ばされる。地面を数回バウンドして静止すると、数秒後には機体を起こして再び進軍を開始する。
吹き飛ばされて横転した敵機にクレナのレギンレイヴ『ガンスリンガー』を中心とする狙撃部隊の88㎜狙撃砲による連続狙撃が襲い掛かる。
その連携を掻い潜った敵機工隊集団をシンエイやセオ達が叩いていく。
だが、敵前衛部隊の後方にはまだ戦力が残されている。
率いるのは真・魔王軍幹部のロンゴドル。
ガモッサと双璧を成す真・魔王軍の機工隊指揮官だ。
乗機である専用機甲巨神外骨格『オルディエンス・イータ』に搭乗し、前衛部隊の状況をモニターしている。
オルディエンス・イータは通常の巨神外骨格とも、ましてや機甲兵器とも一線を画す外見と性能をしている。
蜘蛛のような左右3本ずつ計6本の脚部ユニットの上部に接続された巨神外骨格の上半身。腰より下が蜘蛛型の脚部ユニットになっており。多脚による立体戦闘が可能となっている。
「流石の〝死神〟も、数の暴力なら抑えられるか。………だが」
ロンゴドルは前衛部隊の後方に控えさせている増援部隊を見渡す。いまだ多数の機工隊が残っているが、ロンゴドルには焦りが見える。
数に於いて圧倒的戦力差を持つロンゴドルが焦っている理由は1つ。
「〝抑えている〟が、〝押して〟はいないか…」
これであった。シンエイ達を前進させない程度には抑えているが。裏を返せば〝優勢でもない〟のだ。
拮抗した戦況を打開出来ずにいるのは魔王軍側も同様であった。
「………行くかな」
ならば己の力で打開する。ロンゴドルは自身の中でそう結論を出した。
オルディエンス・イータの脚部ユニットが姿勢を落とす。
「まぁ、退屈してたしな。丁度いいか」
ロンゴドルはオルディエンス・イータの内部で口角を上げると。視線の先で前衛部隊と交戦している一機のレギンレイヴを補足する。
「勝負だ、潰してやるよ…。死神!」
視線の先のレギンレイヴ。『アンダーテイカー』目掛けてオルディエンス・イータが跳躍。放物線を描いて襲い掛かった。
お読みいただきありがとうございました。
ロンゴドルが搭乗する『オルディエンス・イータ』ですが、形としてはガンダムOOの『アグリッサ』を思い浮かべていただければと思います。
それでは次回でお会いしましょう。