無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部 作:かまぼこポテト
かなり投稿期間が空いてしまいました。
日々、仕事で忙殺されております。
少しづつですが投稿していきますので、今後もお付き合い頂ければ嬉しいです。
時は少し遡る。
巨人が降り立ち、真・魔王軍に対して攻撃を開始した直後。遅れる形で2隻の飛空城艦も進入していた。
進入ポイントはギアーデ連邦の東部戦線。レーナ達がいる西部戦線とは対極に位置している。
2隻の飛空城艦は上空から戦況を見ていたが、ギアーデ連邦軍からコンタクトを受けた。
来訪した飛空城艦がシンエイ達が搭乗していたものと同形状のものであったことから、新たに来たルーデウス達が味方だとエルンストは判断した。
だが、敵である可能性を捨てきれない参謀達が使者を送りコンタクトを図ったのだ。結果として、ルーデウス達が味方である証明が出来た。
西部戦線に新たな敵が襲撃してきたという報告を受けていた司令部はルーデウス達に西部戦線へ来援を要請した。
ルーデウス達はそれを受諾し、アインズとアルベド、ターニャ達を移乗させて西に舵をきった。
戦況は、遠くからでも確認できた。
巨人による虐殺を目の当たりにしたルーデウスは飛空城艦を加速させる。
「アノスさん達は無事でしょうか…」
そう零したルーデウスの横で戦況を見ていたオルステッドが口を開いた。
「どうやら、真・魔王軍ではなさそうだな」
「真・魔王軍の幹部と交戦しているようですね」
シャンドルの視線の先ではジャイアントガモッサが巨人によって蹂躙されている。
それを迂回するように移動している独立打撃群を視界にとらえたルーデウスは背後のターニャを振り返る。
「デグレチャフ少佐。あの白い機動兵器が見えますか?」
訊ねられたターニャは艦橋から戦場を見渡し、レギンレイヴ群を視認する。
「確認した。あれは味方か、敵か?」
「味方です。あれらの移動の支援をお願いできますか?」
そう懇願されたターニャは「了解した」と頷き、艦橋を後にする。
「ルーデウス。このまま巨人に接近できるか?」
巨人から視線を外すことなくオルステッドが訊ねる。ルーデウスは「可能な限り接近します」と返答し、飛空城艦を前進させた。
「戦友諸君、戦争の時間だ。ここが我らの世界とは異なる世界であっても、軍人たる我らが成すことは1つ!」
閉じた底部ハッチを背にしたターニャが副官たちに向けて声を上げる。ターニャの目の前には彼女の部下達が姿勢を正して耳を傾ける。
ターニャから見て左から副官であるセレブリャコーフ少尉、副長兼第二中隊長ヴァイス中尉、第三中隊長ケーニッヒ中尉、第四中隊長ノイマン中尉と続き、第二中隊所属のグランツ少尉の計5名が完全装備でターニャの次の言葉を待つ。
「帝国に仇なす敵を粉砕することが我らの使命。上位存在と真・魔王軍、これらを野放しにしておけば我が帝国にとっても脅威となるだろう」
ターニャの背後の底部ハッチが開き、勢いよく風が吹き込む。各人の髪を跳ね上げさせながら吹き荒れる突風を背に受けても尚、ターニャは普段の表情のまま悠然としている。
「我等は異世界の戦士達とともに、これらの敵を粉砕し、殲滅する。これより先は、我らの戦いだ!」
言い終えたターニャは底部ハッチに向くと、発艦態勢をとる。
「各員、続け!」
「「「「「了解!」」」」」
ターニャを先頭にして飛び立った203航空魔導大隊の面々は、魚鱗の隊列で戦場に急行した。
「武運を、ターニャ」
飛び去るターニャ達を視界に収めてアインズは漏らす。後ろに控えるアルベドも、ターニャ達を見送る。
「アインズ」
オルステッドが歩み寄って来る。アインズは視線をオルステッドに向けると、髑髏の奥の瞳を煌めかせる。
「なんだ?」
「あの巨人に有効と思える魔法はあるか?」
オルステッドの問いにしばし思考を巡らせるアインズ。結論を言うと、有効打になりうる魔法はある。
だが、アインズはオルステッド達を完全に信用していなかった。故に、一歩引いた対応をしていたのだ。
「…どうだろうかな。私もあのような敵は初めてなのでな」
故に、ぼかした回答をした。
返答を受けたオルステッドの表情は険しい。普段からそうだと言われればそうなのだが、今は一際険しく見えた。
「…ッ!? アインズ様、アレを!」
ふと戦場に視線を落としたアルベドが焦りの声を上げる。
アインズとオルステッドがアルベドの指す方向を見た。その先では、ジェイル達がグイアと戦闘していた。
「ジェイル達か。敵は1人のようだな」
オルステッドと、隣のアインズとアルベドの反応は対照的だった。冷静なオルステッドと違い、アインズとアルベドは憎悪と怒りの混ざった視線をグイアに向けていた。
「………アインズ様、この場は私が―――」
「―――私が行く。 アルベド、手を出すなよ」
アルベドの言葉を遮り、アインズは怒気の籠った声を上げる。
「すまないが、私は〝アノ敵〟を相手にする。手出しは無用だ」
アインズの迫力にルーデウスは気圧されるが、オルステッドは静かに「わかった」と頷いた。
「感謝する」
そう言うとアインズは『上位転移―グレーター・テレポーテーション―』で甲板に移動すると、魔法を発動する。
「『生命の精髄―ライフ・エッセンス―』『魔力の精髄―マナ・エッセンス―』『魔法最強化―マキシマイズマジック―』『魔法抵抗難度強化―ペネトレートマジック―』」
バフ魔法を重ね掛けしていき、これから放つ魔法を最大まで高める。
「…真・魔王軍だか上位存在だか知らないが。その〝槍〟は、お前如きが触れていいモノではない」
低く、唸るように言葉を紡ぐ。視界にとらえた敵を今にも惨殺してやりたい衝動を僅かな理性で抑えてアインズは詠唱する。
「『万雷の撃滅―コール・グレーター・サンダー―』!」
上空に浮かぶ飛空城艦から放たれた雷撃は真っ直ぐに地上のグイア目掛けて落雷する。
見事雷撃が直撃したことを確認したアインズは飛空城艦から飛び降りた。
「篭手か、殴り合いも出来るようだな。『光輝緑の体―ボディ・オブ・イファルジェントベリル―』」
殴打耐性魔法を掛けつつ降下するアインズ。
「すまないが、その武器は私の大切な者の武器だ」
静かに、戦場に、怨敵グイアの目の前に降り立つ
「何故お前が持っているのかは、この際どうでもいい」
怒りを堪えて、言葉を紡ぐ。
「おとなしく、…返してもらおうか!」
そして今に至る。
『何故、返す必要がある?』
グイアの言葉がアインズにあるはずのない脳に響く。
目の前の敵が千束達の世界で交戦した敵と同類であると判断したアインズは一歩近づく。
「そのスポイトランスは私の大切な者が所持している武器だ。返還を要求することは至極当たり前だと思うが?」
冷静に努めて言葉を発するアインズ。
首を傾げるグイア。アインズが言ったことが本当に理解できないのだ。
そんなグイアに対し、アインズが取った行動は。
「では、力づくで返してもらおうか!」
実力行使だった。
「『心臓掌握―グラスプ・ハート―』」
アインズが眼前のグイアに手を翳し、即死魔法を詠唱する。しかし、結果は不発。
だがこの結果は予想出来ていた。先のスぺビアとの戦闘においても、この魔法は無効だった。これはあくまで情報を得るための行為であった。
(やはり魔法耐性は同等で間違いないようだ。ならば)
アインズは再び魔法を詠唱する。
「『連鎖する龍雷―チェイン・ドラゴン・ライトニング―』」
翳した掌から龍のような雷撃が放たれる。
雷撃は対象を焼き尽くさんと巻き付くが、グイアは表情を崩さずその場に佇んでいる。
『動けない、訳ではないな。時期尚早だった、ここは退く』
チェイン・ドラゴン・ライトニングを振りほどき、天高く跳躍していくグイア。その姿はみるみるうちにアインズの視界から消え去った
「逃がしたか………」
視線を落としたアインズの隣にアルベドが降り立つ。
「アインズ様………」
「アルベド、方針は決まった」
振り返ったアインズの声音には確かな決意の色が浮かぶ。
「リムル達に全面的に協力し、管理者を名乗る者達を討つ!」
この時、本当の意味でアインズはリムル達の仲間になった。
お読みいただきありがとうございます。
次回以降は出来るだけ早く投稿出来るよう頑張ります。
それでは次回でお会いしましょう。