無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

投稿が遅れて申し訳ありません。

仕事が繁忙期の為、帰宅後速攻爆睡の日々が続いておりました…。

今回も楽しんでいただければ幸いです。


足止め

未踏大陸

 

真・魔王城、機工隊格納庫。

 

真・魔王軍幹部のガモッサは自身の愛機である巨神外骨格『ロンゴディナ』を見ていた。

魔族の身体能力を向上させる『闘技』。

魔族の〝覚悟〟の強さによってその効果は異なる。故に、発動出来ても、効果が安定しないことが有り、使いこなせる者が少なかった。

ローズバルトが率いていた旧魔王軍でも、使いこなせる者は幹部相当か、一部の兵士のみだった。

その欠点を解決する方法として立案されたのが、この『巨神外骨格』である。

闘技の基礎技である『金剛』を疑似的に再現した装備である。

鎧の延長線上でもあるが。鎧よりも頑丈で、装着者の生存率も高いのだ。

巨神外骨格は魔族が1人スッポリ収まる人型の外骨格である。サイズは魔族1人の身長の約1.5倍に相当する。

故に、魔族1人1人に合わせて作られている巨神外骨格は基本オーダーメイドなのだ。一般隊員達には汎用型の巨神外骨格が与えられる。

だが、幹部クラスはそうはいかない。機工隊を預かるガモッサとロンゴドルの2人は勿論のこと、それぞれの隊を預かる隊長達には専用の巨神外骨格が与えられている。

武装や外見など、細かく調整された特別製だ。

ガモッサの専用巨神外骨格『ロンゴディナ』は汎用型よりも防御力を強化したものだ。

汎用型の標準装備である『鉄剣』ではかすり傷すら付けることが出来ないほどの強度を持ち。腕や脚などの各部に魔法無力化用の魔法石を埋め込んでいる。

装備は鉄剣よりも頑丈で斬れ味も良い『高硬度鋼剣』を装備している。

 

「行くのか?」

愛機を見つめている親友にロンゴドルが声を掛ける。

「ああ。敵は四足歩行の敵が5機、数ではこちらが有利だ。敗けはしない」

「そうか」

「お前はどうする?」

「帰還した部下の報告を聞く。連中、ヨクゼン大陸で仲間を増やしたそうだからな」

「未踏大陸に上陸した適応者の対処をしている内に、敵の戦力が整いそうだな」

「だから、上陸した適応者を早く片付ける必要があるな」

「ガイコツとブギョルも出撃した。そろそろ片が付く頃だろう」

「だといいがな」

「それより、ガイコツが攫ってきた少女はどうした?」

「ああ、地下牢でおとなしくしてるぜ」

「奴も趣味の悪いことだ」

「まったくだな」

嘆息し、ロンゴドルは踵を返すと、そのまま城内に戻って行った。

 

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ヨクゼン大陸、カラワヤ港。

 

ルーデウス達は渡航船の出航時間を待ちながら、物資の調達をしていた。

食料をメインに調達していく。怪我の治療などは、ルーデウスやアノス達の魔法で可能である為、医薬品は少量で済む。

物資を調達後、船着き場に集合の予定となっている。

ルーデウスとエリスが買出しから戻ると、なにやら船着き場が騒がしかった。

渡航受付の窓口に人だかりが出来ていた。数人ではなく、30人はいる。

「なにかあったのかしら?」

「訊いてくるよ、エリスはここでみんなを待ってて」

ルーデウスはエリスを残して受付窓口へ向かった。

 

「おい、ふさけんじゃねえぞ!」

「船が出ないってどいう事だ!?」

「商売があるんだ。困るんだよ!」

三者三様の声が飛び交う。受付嬢は捌ききれずにアタフタしている。

「ですから! ガジーエー大陸に魔王軍が上陸した為、渡航船を一時、運航停止しています!」

受付嬢の前に上司らしき人物が現れて状況を説明する。

「それでも船を出すのがお前たちの仕事だろうが!」

「この損失、どうしてくれるんだ!」

(言いたい放題だな…)

自分たちの言い分や望みだけを通そうとしている。ルーデウスは踵を返して、エリスのもとへ戻った。

 

待ち合わせ場所にはエリスと、戻ってきたアノス、サーシャとミーシャと百代達がいた。

「どうだったの?」

エリスが訊ねる。なぜか右手に串焼きのようなモノを持っている。百代が同じものを持っているため、おすそ分けしてくれたのだろう。

「この先のガジーエー大陸に魔王軍が上陸して船が出せないみたいだ」

「敵は未踏大陸への移動手段を潰しにきた、ということか」

アノスがルーデウスを見る。サーシャとミーシャもどうすべきか思案している。

「戻りました~」

少女が2人戻ってきた。カトルツ共和国でアノス達と対峙した紫色の長髪の拳銃使い、深見レナ。もう一人はカトルツ共和国で合流したSORDの鯨瀬・クリスティナ・桜子(通称クリス)。2人ともハルトの仲間だ。

「あれぇ? マスターは戻ってませんか?」

レナが周囲を見渡す。

「蒼井さんはまだ戻ってませんよ」

ルーデウスが答える。それを聞いてレナはガッカリするのだった。

 

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ハルトは屋台が並ぶ通りから裏路地を抜けて隣の通りに来ていた。

(敵がこちらの動向を探っているかもしれない。そういう連中が居そうな場所を探してみよう)

通りを抜けて、別の裏路地に入る。

しばらく歩いていると声が聞こえた。足音を殺して近づくと曲がり角の向こうから男の話し声が聞こえる。

曲がり角に身を寄せて会話を聞く。

 

「だから、ここでやっちまった方がいいって言ってんだ!」

「声が大きいぞ。落ち着け」

「落ち着いてるよ! 連中をガジーエー大陸に渡れないようにした。あとは連中をこの大陸ごと海に沈めればいいだろうが」

「エンリクス様からの指示を待て。どうやっても適応者がこの大陸から渡る術は無い、時を待つんだ」

 

「―――なら、あなた達はどうやって来たんですか?」

曲がり角からハルトが姿を現す。男たちはハルトの姿を視認すると戦闘態勢になる。

1対6。ハルトは腰の刀に手をかける。

「お前は、適応者か!?」

「リムルさん達の話では、そうみたいですね。で、あなた達はどうやって来たんですか?」

「死ねぇぇぇぇ!」

男の1人が得物を構えて襲い掛かる。

「いや、答えになってないし」

ハルトは腰を落とし、刀を振り抜く。

「バジルシュ!」

先頭の男の首を斬り落とし、その首を掴んで別の敵に投げつける。

生首は真っすぐ敵の顔面に激突する。

「ぐぇっ!?」

「オ~ケ~イ、ワンダ~ウン」

生首をぶつけた程度では、怯みはするが倒れはしない。

生首をぶつけられて怯んだ敵に肉薄し、左胸、つまり心臓に刀を突き刺す。突き刺した刀を少し捻ることで内臓を複雑に損傷させる。

敵は苦悶の表情で死に絶える。

ハルトは別の敵を視界に捉え、足を一閃。

3人目の敵の脚にパカッと斬り傷が開くと鮮血が飛び散る。

「ぐぅお!」

足を斬られた敵はその場に膝から崩れ落ちる。

すかさずハルトは首を刎ねて4人目の敵へ向く。

「ひ、ひぃぃぃ!」

「逃げろぉ!」

残りの3人はハルトに背を向けて逃げ出す。

「敵に背を向けて逃げちゃダメじゃない?」

ハルトは追撃する。刀を最後尾の男の背に突き刺し、その勢いのままその前を走っていた敵も串刺しにする。

刀を抜くと、敵2人は苦悶の表情で蹲る。ハルトは2人の首を刎ねると6人目を追撃する。

「く、来るなぁぁ!」

敵は振り向きざまに火球を放ってくる。しかし、そこはハルト。持ち前の眼の良さで軌道を読み、難無く躱すと脚へと斬りかかる。

火球を放つ為に振り向いたことで、僅かに逃げ足が減速した敵は躱せず脚を斬られて転倒する。

「く、くそぅ…」

「仲間達の所に連行するから、知ってることを話してね」

ハルトは男の動かない右足を持つと、引きずりながらアノス達の待つ集合場所へ戻るのだった。

 

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集合場所にはハルトとオルステッド、アレクの3人以外が集合していた。

変わらず、渡航船の運航は停止のままだ。

「先に進めないんじゃ、どうすることも出来ないな」

リムルは屋台で買ってきた揚げ芋を頬張りながら受付を見やる。

変わらず、人で溢れている。

「アノスさんのアイビスで船を作って渡りますか?」

「オルステッド達が戻ったら、そうするとしよう」

「マスター、遅いな~」

レナは机に突っ伏して項垂れていた。

 

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オルステッドとアレクはハルトが居た路地とは別の路地にいた。

屋台の商人達が『裏路地で〝変な奴〟を見た』と言っていたためだ。適応者なら仲間に勧誘し、敵なら情報を得るために捕縛する必要がある。

「………オルステッド様」

「お前も気付いたか」

「はい、います。1人ですが」

2人は同じ方向に視線を向ける。

路地の曲がり角。住居の角に不釣り合いな剣先が曲がり角から覗いている。

「姿を現せ」

オルステッドが静かに威嚇する。曲がり角の向こうから感じるのは、殺気だ。

アレクも戦闘態勢をとる。

「さすがは適応者、旧魔王軍のザコ四天王が敵わなかったのも納得だ」

声の主が姿を現す。

男は1メートル程の黄金の剣を手に、左手で長髪をクルクルと弄っている。

「お前は、敵か?」

「その通りだ、龍神オルステッド。私は真・魔王軍幹部12柱の1人、『雷鳴のエンリクス』。貴様たちをこの先に行かせぬよう、足止めするのが私の役目だ」

「オルステッド様、僕が」

「任せる」

アレクは両手剣を構えて突撃する。エンリクスは雷撃を放ち応戦する。雷撃がアレクを翳め、皮膚を僅かに焦がす。しかし、アレクは気にも留めずに突撃する。エンリクスは持っていた剣をアレク目掛けて投擲する。

アレクは両手剣でそれを弾き飛ばすとさらに加速する。

間合いに入ると両手剣を振り下ろす、しかしエンリクスは雷撃を体に纏わせて両手剣の斬撃を弾く。両手剣は床に刺さり、路地のレンガ床が粉々に飛び散らせる。エンリクスはお返しとばかりに手刀を繰り出す、無論、雷撃を纏わせた、だ。

アレクは両手剣を振り上げ、手刀と斬り結ぶ。

両手剣が手刀に抑え込まれる。エンリクスは空いた左手で雷撃をアレクの顔面目掛けて放つ。

アレクは避けるが態勢を崩し、その隙をエンリクスに突かれて蹴り飛ばされる。

空中で態勢を立て直して再び斬りかかる。

エンリクスは両手の手刀に雷撃を纏わせると頭上でクロスさせる、そのままアレクの一撃を受け止めるため構える。

しかしアレクは両手剣を投げ飛ばす、剣を投げ飛ばす北神流の技だ。エンリクスは意表を突かれて初動が遅れた、その隙を逃す北神三世アレクサンダー・ライバックではない。

がら空きの腹部に蹴りをくらわせる。エンリクスは苦痛の声を上げながら吹き飛ぶ、壁に激突して吐血する。

「な、なかなか、やりますね…」

エンリクスは立ち上がり、再び手刀を構える。

「まだやりますか?」

アレクが両手剣を拾い上げて構える。エンリクスは口元を歪めると手刀を解く。

「いえ、この辺にしておきますよ。目的も果たせましたしね」

そう言うとエンリクスは背後に次元の裂け目を出現させ、その場から姿を消した。

 

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カラワヤ港。

 

「お待たせしました」

運航停止で足止めをくらい、手持無沙汰になってきた一行の元にハルトが戻ってきた。男を1人、引きずりながら。

「マスター!」

戻ってきたハルトにレナが電光石火で抱きつく。

「レナ、離れろ。鬱陶しい!」

「えへへ~、嫌だね~、お断りだね~。絶対に離さないもんね~」

ハルトはレナを振り解こうと身を捩るが、両手足でガッチリとホールドされている為に振り解けない。

「その男はなんだ?」

リムルはハルトが引きづってきた男を見る。ハルトはレナを投げ飛ばしてから説明を始めた。

「裏路地にいた敵兵です。俺達を『この大陸ごと海に沈める』と話していましたので、連行しました」

「なるほどな~。………おい、お前達は魔王軍か?」

リムルはハルトの説明に頷くと、目線を男と同じ高さまで落として睨みつける。

「違う、と言っても信じないんだろう?」

「そうだな。じゃあ、質問を変える。お前達の目的はなんだ?」

「答える訳ないだろう。いいから殺せよ」

男は答える気が無さそうだ。

するとアノスが男に掌を翳す。

「『隷属―イージェ―』」

アノスが使用した魔法は、対象を支配することができる魔法。主に動物などの知性の低い対象に使用するものだが、男には効いたようだ。

男の眼から光が消える。

口は半開きとなり、脱力したように覇気がない。

「こちらの魔族に使うとこうなるか。…さて、もう一度訊く。お前達の目的はなんだ?」

半開きの口が動き、言葉を紡ぐ。

「適応者をヨクゼン大陸ごと海に沈めることだ、エンリクス様が作戦を立案された」

「エンリクスとは誰だ?」

「真・魔王軍の幹部、雷鳴のエンリクス様だ」

「どうやってこの大陸を海に沈める?」

「大陸の外周に次元式の魔法を仕掛けてある。時間になれば魔法が発動し、この大陸は海に沈む」

「魔法の無効化は可能か?」

「魔法の解除に必要なキーオブジェクトはエンリクス様が持っている。キーオブジェクトを破壊すれば魔法は解除される」

「エンリクスとやらはどこにいる」

「分からない。エンリクス様は異次元に隠れていることが多い。用が無ければ姿を見せないだろう」

 

 

 

「要するに、エンリクスって幹部の持つオブジェクトを破壊すればいいってことだな?」

「そのようだ。そのエンリクスとやらを見つけねばならんな」

「異次元に隠れているなら、探しようが無いな」

「俺達の世界を襲った敵と同じ原理の異次元ならば、見つけることは出来るかも知れんな」

リムルとアノスが話しているところにオルステッドとアレクも帰ってきた。

「エンリクスとやらとは、先程アレクサンダーが交戦した」

オルステッドがリムルとアノスを見て言う。

「オルステッドさん、エンリクスはどんな奴だった?」

「雷撃を手刀に纏わせた戦闘方法をする男だ。アレクサンダーが撃退した」

「その時、どんな風に逃げた?」

「異次元に逃げ込むようにして撤退した」

そう言うとオルステッドは剣をリムルに差し出した。先程の戦いでエンリクスが回収しなかった剣だ。

「これは?」

「ヤツが落としていった剣だ。何かの手掛かりになるかもと回収してきた」

「おぉ! 早速解析してみるよ」

リムルは剣を受け取ると、究極能力〈智慧之王―ラファエル―〉が解析する。

《どうだ?》

《解。この剣は、ここではない次元と引かれ合っています。敵の現在地を常に示すコンパスになります》

《敵の居場所は分かるか?》

《解析。……………完了しました》

《どこだ?》

《北東の海岸の岩場です》

「北東の海岸だ。そこにいる!」

「では、行くとするか」

リムルとアノスは天に上昇すると、北東へと向かった。

 

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「手痛い損害ですね。同行させた部下も全滅、私も無傷とはいかない状況….異次元に滞在する体力も無いときました」

エンリクスはカラワヤ港から北東の海岸の岩場の陰に隠れていた。

まだアレクにくらわされたダメージが回復しておらず、こうして隠れて時を待っていたのだ。

(あと10分ですか、このままここに隠れてやり過ごすことにしましょう)

 

「―――やっぱりここにいたか」

背後から声を掛けられ、エンリクスは振り返る。

そこにはリムルとアノスが立っていた。

(気付かなかった。何故この場所が分かった!?)

エンリクスはそこでリムルの手に握られている剣に気付く。アレクとの戦いで落としたままだった自身の剣だ。

リムルは剣を地面に放り捨てる。

(私の剣は無くしても私の元に戻ってくる、そういう剣だ。しかし今回はその特性を逆手に取られたか)

「魔法解除の為のキーオブジェクトを出してもらおうか」

アノスがエンリクスに手を伸ばす。伸ばした手に魔法陣が展開される。

「……渡すのを断ったら?」

「力づくで奪うだけだ」

「抵抗しましょう。魔法発動まで、もう間もなくですから、時間を稼ぐだけですしね」

「そうか、なら奪い取るとしよう」

アノスは〈獄炎殲滅砲―ジオ・グレイズ―〉をエンリクス目掛けて放つ。

漆黒の太陽がエンリクスに迫るが、全身を雷撃で包みそれを防ぐ。

「器用なものだ」

「馬鹿にしないでもらいたい。私は魔王軍の幹部、手加減して勝てると思わないことだ!」

「そうか、それは失礼した。なら少々本気で行くぞ!」

アノスは〈極獄界滅灰燼魔砲―エギル・グローネ・アングドロア―〉を放つ。

終末の火が七重の螺旋を描いてエンリクスに迫る。

「ロドア・ギオ・グネェル・デロウィン!」

エンリクスは突如、魔法を詠唱した。エンリクスの体を包んでいた雷撃の威力が強まり、天へと昇っていく。

腕を眼前でクロスすると、天へと昇った雷撃が降り注ぐ。

雷撃はエギル・グローネ・アングドロアへと降り注ぎ、エギル・グローネ・アングドロアの威力を弱体化させる。

しかしエギル・グローネ・アングドロアは消えず、エンリクスへ直撃する。しかし弱体化されたその威力ではエンリクスを倒すことは出来なかった。

「そのような魔法があるとはな」

「私からキーオブジェクトを奪いたければもっと本気を出せ。これで終わりでは無いだろう!?」

「今度は俺が相手をするよ」

リムルがアノスの前に出る。

「貴様は私からキーオブジェクトを奪うことが出来ますかね?」

「奪ってやるよ」

「ならば、本気で来ることです。私から奪ってみ―――」

 

「―――キーオブジェクトとは、これなのではないか?」

アノスがほ放り捨てられていた剣を拾い上げる。

「何の、ことでしょう?」

エンリクスはアノスを見ている。その頬には少し汗が浮かんでいる。

「お前は俺達の意識を自身に向けようとしていた。言動からしてそうだ、不自然なほどにな」

アノスはエンリクスに向き直ると、指を漆黒に染めて刀身を掴む。

「それはキーオブジェクトがこの剣だからではないか?」

アノスは刀身を掴む力を強くする。刀身がミシミシと音を上げる。

「ま、待て。それはただの剣だ。キーオブジェクトは私が―――」

 

パキンッと音を立てて剣は真っ二つに折れた。

「あ、あぁ。あぁぁぁぁ!」

エンリクスは頭を抱えてうずくまる。

「どうやら当たりのようだな」

「解除成功だな」

アノスとリムルは顔を合わせると頷き、エンリクスに向き直る。

「これで、勝った気にならないでいただきたい!」

エンリクスは立ち上がると、次元の裂け目を開き、撤退していった。




お読みいただきありがとうございました。

次回の投稿ですが、一週間ほど期間が空きそうです。

前書きにも書きましたが仕事が忙しい為、落ち着くまでは週一投稿になるかもしれません。

今後も見放さずお読みいただければ幸いです。
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