無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

そんなこんなで第8話です。

今回の内容は、サブタイトルの通りです。
お楽しみいただければ幸いです。


合流

リムル達一行はギロン港に戻ってきていた。

 

目的は未踏大陸に渡るための手段を探すためだ。

しかし、港の受付嬢や商人達に訊いて回っても情報は得られない。未踏大陸に渡る正規の手段が無いのだ。

 

そこで思いついた。

 

〝無ければ作ればいい〟と。

早速アノスが『創造建築―アイビス―』で船を作った。しかし、ただの船ではない。空を飛ぶ城、飛空城艦だ。

「宙に浮かぶ城か、ラ〇ュタみたいだな」

「リムル様、ラピュ〇ってなんですか?」

「いや、なんでもない。なぁアノス、これで未踏大陸に渡るのか?」

「ああ、これはかつて俺の配下だった者が創造したものを参考にしたものだ。未踏大陸に渡ることなど造作もないぞ」

「よし、じゃあ乗り込もう!」

一行は飛空城艦に乗り込み、ギロン港を出発した。

 

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未踏大陸。北部の船着き場。

 

蒼い巨人のコックピット内で、少年は未踏大陸に向かってくる飛空城艦をコンソール越しに見ていた。

「おぉ! 空飛ぶ城。あれはまさしく〇ピュタではないですか!」

少年は飛空城艦へと巨人を稼働させた。

 

 

「敵…、ではなさそうですね。使うなら船でしょうし」

これまで少年は未踏大陸からガジーエー大陸へ出航する敵船を撃沈したことがある。それはあくまで〝海に浮かぶ船〟だった。

しかし今、目の前にあるのは〝空を飛ぶ船〟というか城なのだが、これまで敵が使用した移動手段には無かったものだ。

少年の乗機『イカルガ』は飛空城艦に並ぶと、並走しながらコンタクトを試みた。

『こちら、フレメヴィーラ王国、銀鳳騎士団団長のエルネスティ・エチェバルリアです。そちらの所属を教えてください』

マイクで呼びかけると、飛空城艦の外に人影が現れた。リムルだ。

「魔国連邦の盟主、リムル=テンペストだ。俺達は別の世界からこの世界に来た、城内には同じ境遇の者が他にもいる」

リムルは敢えて『魔王』という肩書きを隠した。もし向こうが同じ適応者なら、『魔王』と名乗ればローズバルトの仲間と思われるかもしれないからだ。

『あなた方は真・魔王軍ではないのですか?』

やはりローズバルトとの関係を訊いてきた。予想通りだと安堵しながら、言葉を紡ぐ。

「それに敵対する者だ。そちらも同じ境遇なら一緒に戦わないか?」

『……………』

沈黙が返ってきた。

こちらの発言に噓が無いか考えているのだろう、とリムルは思った。

しばらくすると、答えが返ってきた。

『わかりました、このまま進むと未踏大陸の船着き場に着きます。そこで合流しましょう』

そう言うとイカルガは速度を上げて先に行ってしまった。

 

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「あれは、ロボットだね。異世界ってのはなんでもアリなんだね」

リムルとエルネスティのやり取りを聞いていた一行。ムラサキが感嘆の声を漏らす。

「仲間になってくれるといいね」

「そうですね」

ハルトとクリスも飛び立つイカルガを見ながら話している。するとリムルが城内に戻ってきた。

「このまま進もう。向こうは先に行って待ってる」

「急ぐとしよう」

アノスは飛空城艦の速度を上げた。

 

 

 

しばらく進んでいると、大陸が見えてきた。未踏大陸だ。

そして、海岸に佇むイカルガを目視で確認すると、飛空城艦は海に着水した。

一行が上陸すると、イカルガから1人の少年―――エルネスティが降りてきた。

一行とエルネスティが向かい合う。

リムルが一歩前に出た。

「俺達と一緒に戦うってことでいいのか?」

「はい。僕も真・魔王軍と敵対している身ですので、皆さんと目的は同じだと思います」

「エルネスティと言ったか。お前は今までどこにいた?」

訊いたのはアノスだ。エルネスティはアノスの眼を真っ直ぐ見据えて口を開く。

「僕はこの地―――大陸に飛ばされました。その直後から真・魔王軍に攻撃を受けてきたのです」

「ここには魔王軍の軍勢がいるのか?」

「はい、真・魔王軍はこの大陸で勢力を拡大しています。敵兵士が話しているところを聞きましたが、どうやら僕たち適応者をこの世界で殺して、その後、各世界を攻撃するつもりのようですね」

「俺達はそれを止めたいと思っている。力を貸してくれ」

リムルが差し出した手をエルネスティは両手で握った。

「よろしくお願いします」

 

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真・魔王城、円卓の間。

 

「適応者がこの地に辿り着いたそうだ…」

ロマールが肘をつき、俯き気味に言う。

「シュトライドとグワッツェの作戦が失敗したそうじゃねぇか。そのせいだろ?」

「ロンゴドル、そこまでです。これからの事を考えましょう」

「ミニッサの言うとおりだ。上陸した適応者の殲滅を優先し、総力をもってあたる。他の幹部も異論は無いな?」

ロマールが幹部を見渡す。こういう時、ロンゴドルは必ず反論するが、今回は状況が状況の為に黙っている。

しかし、意外な者から反論が出た。

「おいらかぁらぁ提案なぁんだがぁ~」

ガイコツだ。

「なんだ?」

ロマールが舌打ち気味に問う。ガイコツは得意げに続けた。

「いっそのぉこぉとぉ、やぁつらのぉ世界をぉ攻めぇるのはどぉうだぁ~?」

「その間に魔王城を攻撃されるぞ?」

「すぅぐじゃぁないぃ。魔ぁ王城を守ぉるぅ結界を構築すぅるぅ、それぇでぇ適応者ぁはぁ手ぇ出しぃが出ぇ来なくなぁるぅ」

「いつまでに結界は完成する?」

「数日ぅまぁでにぃは出来るぞぉ」

「………他の物はどう思う?」

「賛成だな。適応者の世界に行けば、注意をそちらに逸らせる。適応者も自分達の世界なら〝守るもの〟も多いだろうからな、戦いにくいんじゃねぇか?」

賛成したのはロンゴドルだ。

「私も賛成です」

ミニッサも賛成する。それに続いて他の幹部も同意する。

「…では、結界魔法が完成次第、適応者の世界に侵攻する。ローズバルト様には私から報告しておく。では、解散」

ロマールの号令で幹部たちが円卓の間を出ていく。

全員が出て行ってからしばらく、ロマールは考え事をしていたが、立ち上がり、ローズバルトの元へと向かった。

 

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真・魔王城、魔王の間。

 

魔王ローズバルトは玉座に腰を下ろし、頬杖をついて眼前の配下を見下ろしている。

ローズバルトの眼には、首を垂れるロマールが映っている。

幹部同士での話し合いの報告に参じたロマールを見下ろしながらローズバルトは考えていた。

 

〝こんなものか〟と。

 

かつてウロナ大陸の北部に城を構えていた時の幹部は全滅。兵士も多数が死ぬという結果だった。

その頃には未踏大陸の侵略をほぼ完了していたローズバルトだったが、アノスに敗れたことで計画に歪みが生じた。

ロマールはウロナ大陸時代からの配下だ、未踏大陸の征服の責任者を任せていた。

見事、ロマールは未踏大陸を征服した。それどころか、ローズバルトが復活するまでの間に『真・魔王軍』として軍団を再編して準備を進めていたのだ。その時、ローズバルトは〝ロマールは使えるな〟と感じたのだ。

ならば先程の感情は何なのか。それは他の幹部に向けられたものだ。

〝12柱〟などと呼称されているが、実際ローズバルトにとって、ロマール以外は眼中にないのだ。

結界魔法の話をロマールから報告されたローズバルトは一言『好きにしろ』と言った。

適応者の世界への侵攻、そして征服は目標である。

部下からその意見が出たことは嬉しいが、もっと良い意見が出なかったのか? と失望もした。

故に〝こんなものか〟なのだった。

 

しかし、結界魔法を用いた作戦が妙案であることは間違いない。

今回こそはやり遂げる、ローズバルトはそう決意した。

 

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エルネスティと合流した一行は未踏大陸を南下していた。

飛空城艦にイカルガを格納し、中央部を目指す。エルネスティがこれまでに撃退した敵兵の通信にあった情報の真偽を確かめるためだ。その情報とは〝中央部の兵站拠点を適応者に奪われた〟というものだった。

1人だった為に迂闊に動かなかったエルネスティだったが、リムル達と合流したとなれば話は変わる。早速情報にあった中央部を目指すこととなった。

 

「エルのロボット、カッコイイな~! 機体名は何ていうんだ!?」

格納されたイカルガを前にして、リムルは興奮を隠せずにいた。

「『イカルガ』といいます。僕が設計・開発した、僕の専用機です」

「自分で作ったのか!? スゴイな~、俺でも操縦出来るのか?」

そう訊かれ、エルネスティは少し思案すると、口を開いた。

「別の世界から来たリムルさん達では難しいと思います。『幻晶騎士―シルエットナイト―』を操る為の魔法形態が違うと思いますから」

「そっか~。ところで、海上で話した時『銀鳳騎士団』と言ってたけど、それってなんなんだ?」

「はい、元の世界で僕が所属している騎士団のことです。イカルガの他にも多くの幻晶騎士がありますよ」

「いいなぁ~。もしエルの世界に行くことがあったら、他の幻晶騎士も見せてくれよ!」

「その時は、ぜひ銀鳳騎士団が誇る幻晶騎士をご覧に入れますよ」

転生者同士、話が合う2人なのであった。

 

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飛空城艦、艦橋。

 

アノスは椅子に座り、前方の空を見ていた。傍にはシンが控えている。

操縦はミーシャとサーシャが担当し、レイとミサは周囲の警戒をしている。

「アノス様、あれじゃないですか?」

ミサが地上の一点を指す、その地点には純白の機械兵器と1両の装甲車が並んでいた。

「エルネスティと同じような技術体系の世界からの来訪者なのかもしれぬな」

純白の機体はこちらを警戒するように構えている。

「サーシャ、着陸しろ」

アノスがサーシャに指示を出すと、サーシャは表情を険しくする。

「いきなり攻撃してこないかしら?」

「する気があるなら、とうにしていると思うけどね」

レイが肩を竦める。

飛空城艦は着陸し、アノス達は城内から外に出た。すると、向こうの適応者の一団から声が飛ぶ。

『止まりなさい。こちらは共和制ギアーデ連邦、第86独立機動打撃群指揮官ヴラディレーナ・ミリーゼ大佐です。そちらの所属を述べなさい』

向こうの装甲車から発せられた問いに答えたのはアノスだ。

「暴虐の魔王、アノス・ヴォルディゴードだ」

『魔王、とは、どういう役職なのでしょうか? 私達に攻撃を仕掛けてくる敵は〝魔王軍〟と名乗っていましたが、何か関係が?』

レーナはアノスが言ったことが理解できなかった。むしろ敵と思われてしまった。

「あ~、ごめんごめん。こちらに交戦の意思は無いんだ、多分そちらと同じ境遇だと思うから、話し合いをしたい」

リムルがアノスの横に並び、弁明する。

そうすると装甲車から1人の少女が降りてきた。青みがかった銀髪を長く伸ばし、軍服に身を包んだ少女はリムル達と向き合う。

少女を守るように四足の機動兵器が展開するが、少女は手でそれを制止する。

「同じ境遇とは、どういうことでしょうか?」

「お前達は『別の世界』から『この世界』に来たのではないか?」

アノスが訊ねるとレーナは少し考えて口を開いた。

「確かに私達はこの世界の人間ではありません。ではあなた達はどこから来たのですか?」

「俺達は別々の世界からこの世界に来たんだ。そちらの敵ではないから、1度話し合いの場を持たないか?」

リムルの提案を受けて、レーナはしばし考えると、その提案を受け入れた。

 

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飛空城艦の1室でレーナとリムル達はソファに座り、向かい合っていた。

リムル、アノス、ルーデウス。それと百代とハルトがL字になったソファに座る。向かいのレーナの背後には四足歩行兵器のパイロットの少年が直立で姿勢正しく立っている。

「では改めて。俺はリムル=テンペスト、元の世界では魔国連邦の盟主と魔王をやっている」

「アノス・ヴォルディゴードだ。元の世界では暴虐の魔王と呼ばれている」

「ルーデウス・グレイラットです。よろしくお願いします」

「蒼井ハルトです。元の世界ではSORDのハンドラーをしています」

「川神百代だ。元の世界では武神と呼ばれてる」

各々が短く挨拶をすると、レーナも自己紹介をはじめた。

「共和制ギアーデ連邦、第86独立機動打撃群、指揮官のヴラディレーナ・ミリーゼ大佐です。よろしくお願いします」

レーナの自己紹介が終わったタイミングで背後の少年が口を開く。

「第86独立機動打撃群、機甲班総隊長。シンエイ・ノウゼン大尉です。」

腕を後ろで組んだまま、淡々とシンエイは自己紹介する。

「それで、あなた方はどのような世界から来たのですか?」

レーナの問いに答えたのはリムルだ。

「バラバラだよ。巨大ロボットが動く世界から来た者もいれば、魔法が使える世界から来た者など様々だ」

「皆さんの目的は、元の世界に帰ることなのですよね?」

「そのために行動している。この世界の魔王が俺達の世界に侵攻してくる前に、こちらから出向いて倒す。その為の仲間を集めている」

アノスが答えると、ルーデウスが疑問を投げかける。

「ミリーゼ大佐は、どうやってこの世界に来たのですか?」

「出撃直前に、私を含む7人の体が突然光りだして、気が付いたらこの世界に来ていました」

「ここにいる者は皆、同じようにこの世界にやってきた。ミリーゼ大佐は、元の世界に帰りたいか?」

アノスに問われたレーナは間髪入れずに答える。

「勿論、帰りたいです」

「では、目的は同じということだな」

そう言うとアノスは立ち上がり、手を差し伸べる。

「改めて、よろしく頼む。ミリーゼ大佐」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

レーナは姿勢正しくその手を握った。

 

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「おぉぉ! 四足歩行メカ。陸上戦に於いて理にかなった設計。ロマンです!」

格納されたイカルガの横に鎮座する四足歩行メカ。シンエイ達の乗機であるギアーデ連邦製フェルドレス『レギンレイヴ』を舐めるように隅々までエルネスティは堪能していた。

レーナ達の世界での戦闘兵器は『フェルドレス』と呼ばれる四足歩行の機動兵器が主流である。

肘の長い四本の脚部と、赤い一つ目のセンサー。背面にはそれぞれのプロセッサーの戦闘スタイルに合った火器が装備されている。

シンエイ達が駆るこの機体は、機動力は高いがプロセッサーへの負担が大きい機体である為に乗り手を選ぶ機体だ。

シンエイ達〝エイティシックス〟と呼ばれる者達は、このレギンレイヴより性能の劣る『ジャガーノート』で長年、絶死の戦場を戦い抜いて来たのだ。

「こんなアルミの棺桶のどこがいいんだ?」

レギンレイヴの〝プロセッサー〟兼副官役のライデン・シュガが嘆息する。

「グレーテめに見せてやりたいのぉ。お主等が散々酷評した機体を絶賛する者がいるのが、よもや別の世界というのも皮肉じゃが」

ライデンの横で小柄な少女―――フレデリカ・ローゼンフォルトが肩を竦める。

「これは遠距離狙撃に特化した機体ですか。こちらは火力支援、こちらはミサイルランチャーですか。各々の戦闘スタイルを反映させることで戦術の幅を広げるとは、すばらしい!」

エルネスティの顔は興奮の一言だった。

「…これが隊長機ですか?」

レギンレイヴを順番に見て回っていたエルネスティが、1機のレギンレイヴの前で足を止める。

シンエイの駆るレギンレイブ〝アンダーテイカー〟だ。

「ああ、シンの機体だ」

ライデンが答える。

シンエイ達プロセッサーには戦場でのコールサインのような役割の〝パーソナルネーム〟が有る。

シンエイは〝アンダーテイカー〟

ライデンは〝ヴェアヴォルフ〟といったものだ。

そして、それぞれのパーソナルネームをマークにして機体に描いている。

シンエイの機体であるアンダーテイカーにはシャベルを持った首の無い死神が描かれている。

 

エルネスティはアンダーテイカーを見つめている。

「そんなに気になるか?」

「この機体には、強い意思のようなものを感じます」

エルネスティの返答を受け、ライデンは少し笑みを零すと口を開いた。

「意思か…。この機体というよりかは、シンのだろうな」

「どういうことですか?」

「シンは、俺達の死神だからな」

「死神…、ですか?」

「ああ。みんな、あいつに連れて行ってもらった」

その言葉を聞き、エルネスティは察した。

死神がみんなを連れて行く。そしてパーソナルネームのアンダーテイカー。

アンダーテイカーとは〝請負人〟〝葬儀屋〟などの意味がある。

 

死んでいった仲間を連れて行く〝葬儀屋〟

 

「仲間の死を、受け継ぐ存在…」

ぽつりと言葉がこぼれた。

 

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翌日。

 

飛空城艦の朝は早い――――――わけではなかった。

ルーデウスはエリスに抱き枕のように抱き付かれていた。それも、骨が軋むような強さで。

「エ、エリス…。もっと、やさし、くぅ…」

苦悶の表情を浮かべるルーデウスとは対照的に、エリスはご満悦の表情で熟睡していた。

 

 

 

起きると、食堂の方からいい匂いがした。

エリスと並んで食堂に着くと、レーナ達の仲間のアンジュが台所に立っていた。その横でクリスも調理している。

「あら、おはようございます」

ルーデウス達に気付いたクリスが挨拶してくる。

「おはようございます。朝食を作っているんですか?」

「ええ、もう少しで出来ますので座って待っていてください」

クリスに促され、ルーデウスとエリスは椅子に座る。

しばらくすると料理が運ばれてくる。

カレーだった。

スパイスの香りが辺りを包む。香りに誘われてリムル達も食堂にやってきた。

 

カレーをひと口頬張り、リムルが歓喜の表情を浮かべる。

「う~ん、美味い!」

「お口に合って良かったです。おかわりもありますから、どんどん食べてくださいね」

少し遅れてやってきたレーナにカレーをよそいながらクリスが笑顔を向ける。

一同は朝食を堪能すると、そのまま会議を始めた。

 

「…1つ気になったのですが」

ルーデウスが切り出した。全員の視線を受けてルーデウスは続ける。

「俺達がこちらに来ていることを敵は知っているはずです。その間にこちらの世界に侵攻してくる可能性はないでしょうか?」

昨日から引っかかっていた疑問をぶつけた。敵は前回以上に勢力を拡大しているという情報は得ている、なのに敵がこちらに割く戦力が少ないと感じていた。

レーナから聞いた未踏大陸での戦闘情勢はルーデウス達よりも熾烈だった。

それもそのはずだろう、ここ未踏大陸は敵の本拠地がある大陸。ルーデウス達は敵の喉元まで迫っているのだ。

しかし戦力差では合流前のルーデウス達の方が大きいはずだ。この差はなんなのか、昨日からずっと疑問だったのだ。

ルーデウスの疑問に答えたのはアノスだ。

「可能性はあるだろう。差し向けられた戦力の違いは、迎撃の優先度だろうな」

「しかし、差し向けられた戦力は基本変わりませんでした」

レーナが割って入ると、レーナにリムルが問う。

「ミリーゼ大佐、〝変わらなかった〟というのはどういうことだ?」

「こちらが敵の兵站拠点を制圧した後、3度の襲撃を受けました。1度目の襲撃を迎撃した後の2度目の襲撃では、1度目より数人多い程度で、3度目は2度目と同じでした」

「こちらを倒す気があるなら、2度目以降は戦力を増やすはずだよな。なんでそんな中途半端なことを………」

「進撃させず、撤退させず。その場に釘付けにするという意図があったんじゃ?」

ルーデウスが口を開く。リムルは合点がいったようにハッとする。

「最低限の戦力でこちらを抑えて、その内に俺達の世界に侵攻する気か?」

「もしそうなら、急いだほうが良さそうだ」

アノスが全員を見渡して最後にリムルに視線を向けると、リムルは無言で頷く。

「今日、これより、真・魔王城を攻撃する。敵が動く前に、こちらから仕掛けるぞ!」

リムルの号令に全員が頷いた。




お読みいただきありがとうございました。

ナイツマを出したのはアニメを最近視聴したのが理由です。ご容赦ください。

それではまた次回でお会いしましょう。
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