無職転移 ー魔王も一緒に転移しちゃった件ー 第二部   作:かまぼこポテト

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今回も楽しんでいただければ幸いです。


衝突

飛空城艦が未踏大陸を南下していく。

 

目指すは真・魔王城。

 

飛空城艦艦橋では、ミサが操舵を担当し、サーシャとミーシャ、それとレイが周囲の警戒をしていた。

艦長席に座るのはアノス、その背後にはシンが控えている。

 

それと、もう2人。

「敵の攻撃が全く無いな」

「こちらの飛空城艦を敵は捕捉している筈ですが…、もしかしたら、もう敵はいないのでは?」

「そうなったら最悪だな、敵がどの世界に行ったか分からないとこちらも動けないぞ」

リムルとルーデウスが話している。

リムルの言うとおり、敵が既に誰かの世界に侵攻したのなら、リムル達は行方が分からない為、1つ1つ調べるしかない。しかし、その間にも敵の侵攻は激化する。

「急ぐしかあるまい。まずは辿り着いてからだ」

アノスがミサに目配せをすると、ミサは飛空城艦を加速させた。

 

 

しかし、加速しなかった。

飛空城艦は〝何かに押さえつけられる〟ように減速した。

「ミサ、どうしましたか?」

シンがミサに駆け寄り声を掛ける。シンを振り向いたミサの表情は驚愕の一言だった。

「お父さん、何がなんだか…」

「落ち着きなさい。魔力を込めて、ゆっくり加速しなさい」

「は、はい…」

ミサとシンは舵に魔力を込める。レイも加わり、飛空城艦はゆっくり加速をはじめた。

 

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「へぇ~。『重撃』を受けても進むのか」

アノス達の乗る飛空城艦を目視で捉え、青年は笑みをこぼす。

「感心している場合か。敵の増援かもしれん、ここで仕留めるぞ」

青年の隣に立つ眼鏡を掛けた軍服の男は右手を肩付近で構える。すると、右手の先に鉄塊が出現する。

「足場を作ってやる。お前が行け」

そう言うと眼鏡の男は鉄塊を飛空城艦目掛けて投げつけた。しかも連続で。

直後、青年は手に持っていた太刀を抜刀姿勢で構えて跳躍する。眼鏡の男が投げた鉄塊を足場にして、それを踏み台にして一歩、また一歩と飛空城艦へ肉薄する。

 

まるで〝閃光〟のように。

 

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「無数の何かが飛んで来てるわ!」

サーシャが鉄塊の飛来を知らせる。

「誰か来るな」

アノスがそう言った直後、鉄塊が飛空城艦に直撃する。艦内が激しく揺れる。

間髪入れず、艦橋の目の前に1人の男が着地した。

長めの銀髪を靡かせ、黒い軍服に身を包んだ青年だった。

「敵か!?」

その場にいる全員が構える。青年は艦橋と外を隔てるガラスをコンコンと叩いた。

「あの~。あなた方は魔王軍ですか?」

「それに敵対するものだ。お前は?」

答えたのはアノスだ。青年は合点がいったのか両手を上げる。

「てことは、あなた方も適応者?」

「そう呼ばれている。魔王ローズバルトに用があって魔王城を目指している」

「そうだったのか、これはごめん、敵の増援が魔王城に向かっているのだと思ったから」

「悪いが先を急ぐ。この重力のような攻撃を解いてくれ」

「ああ、わかった。すぐ解くよ」

そう言うと青年は来た方向に戻って行った。直後、飛空城艦は加速を開始したところで青年が戻ってきた。

「今度はなんだ?」

リムルが半分疲れたように問う。

「ボク達も連れて行ってくれないかな? 目的は一緒みたいだし」

「構わぬぞ、共に戦うならな」

「勿論戦うよ。じゃあ、この先で仲間を乗せてくれないかな?」

「いいだろう。ミサ、着陸だ」

「はい、アノス様」

ミサが飛空城艦を着陸させると、青年を含めて4人が乗り込んだ。

 

艦橋に張り付いた青年はリヒトーと名乗った。

それとジェイルという眼鏡の軍人。それと、化け物のような顔の道安。長い黒髪を靡かせる眼鏡っ子、園原。

以上の4人を乗せて、飛空城艦は真・魔王城を目指す。

 

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真・魔王城、円卓の間。

 

ロマール達幹部が集合していた。

「ガイコツ、進捗は?」

ロマールに訊ねられたガイコツはカタカタと顎を鳴らして笑う。

「準備は完了ぅしているぅ。指示ぃがあればぁ、いぃつでぇもぉ発動ぅ可能だぁ」

「よし。ロンゴドル、ガモッサ。機工隊の準備は?」

「出来てるぜ。いつでもいける!」

「問題ない」

ロンゴドルとガモッサが頷く。そこでミニッサが立ち上がり、全員を見渡すと口を開いた。

「では作戦を説明します。ガイコツが結界魔法を発動すると同時に世界転移の魔法を発動します。それによって機工隊と歩兵を適応者の世界に転移させます」

「転移までの流れは分かったぜ。だが、ローズバルト様はどうするんだ。ここに残られるのか?」

「いえ、機工隊と歩兵が転移した後に転移します」

「ミニッサ、ちょっといいか?」

「シュトライド、何でしょうか?」

「どの世界に侵攻するのだ?」

「第一目標は―――――――――」

 

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真・魔王城。魔王の間

 

魔王ローズバルトは静かにその時を待っていた。

 

不本意な形ではあるが、適応者達の世界に侵攻する。

そして全ての世界を手中に収める、その時が近づいているのを肌で感じていた。

 

「………もうすぐだ」

閉じていた瞳を開き、眼前に跪くロマールを見る。

しばらく前に来て、結界魔法の準備完了の報告をしてからずっと跪いている。

「…ロマール」

「はっ、ここに」

「ようやくここまで来ることが出来た」

「不本意な形ではございますが、ローズバルト様の悲願も近いと存じます」

「お前はよくやってくれた」

「もったいないお言葉です」

「侵攻作戦には我も参加する。お前には城の守りを任せる」

「必ずや、守り抜いてみせます」

「期待しているぞ。……行け」

「はっ!」

そう言うとロマールは立ち上がり、魔王の間を後にした。

「奴等は来るだろう。行きがけの駄賃に、奴等を捻り潰してくれる!」

ローズバルトが拳を突き出すと、先の時空が歪み、一振りの戦斧が現れる。

それを掴み立ち上がると、城中に轟く声で告げた。

 

「作戦を開始せよ!」

 

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真・魔王城、中庭。

 

ロマールを中心とする結界魔法部隊が魔法陣を形成する。

直径30メートル以上ある魔法陣が出現し、光の柱が天へと伸びる。

「いつ転移出来るんだ?」

ロンゴドルがミニッサに訊ねる。ミニッサは結界魔法陣から目を離さず答える。

「安定するまであと30分はかかります。適応者が近くに来ています、警戒をお願いします」

「わかった、任せろ」

ロンゴドルが持ち場に戻ると、周囲を警戒していた部下が声を張り上げた。

「北の方角から、飛行物体が来ます!」

ロンゴドルはすかさず見通しの良い高台に昇る。すると、飛空城艦が迫ってきているのが目視で確認できた。

「やべぇぞ…。砲撃を開始しろ、近づけるな!」

兵士が魔王城の外壁上部に備え付けられた大砲に魔力を込める。

 

飛空城艦目掛けて砲撃が開始された。

 

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「撃ってきた!?」

飛空城艦に砲弾が迫る。

トーカが狙撃を試みるが、高速で飛来する砲弾、しかも魔力を纏った砲弾は銃弾が翳めるだけでは撃ち落とせない。

百代が甲板に躍り出ると掌に闘気を込める。そのまま掌を迫りくる砲弾は向ける。

「川神流奥義、星殺し!」

掌から放たれたエネルギー波が砲弾を消し去る。

休む暇も無く第2波が迫るが、道安の『重撃』を受けて地面に落下する。

「あの光に向かってください!」

甲板で様子を伺っていたルーデウスが艦橋に告げる。

 

「ミサ、進路はそのままで全速前進だ」

「はい。アノス様!」

飛空城艦がさらに加速し、魔法の光へと向かう。アノスは立ち上がると背後に控えるシンを振り返る。

「ここは任せる」

「御意」

返事を受けて、アノスはレイと共に甲板に向かった。

甲板にはリムル、リヒトー、オルステッド、そして魔導鎧を纏ったルーデウスが待っていた。

「先に行くか?」

甲板に現れたアノスにリムルが訊ねる。

「いや、一度で行けばよかろう」

「そうだな」

6人は甲板の先に行くと、そのまま床を蹴り、魔法の光の元へと飛び去った。

 

 

魔法の中心、真・魔王城の中庭に6人は降り立った。

無論、敵が迎撃態勢に入るが、悉くを倒していく。

ガイコツとミニッサがアノス達を食い止めるべく立ちはだかる。

「あの骸骨の相手は俺がします。オルステッド様は先へ!」

「任せる」

「眼鏡の女の子の相手はボクがする」

「頼んだぞ!」

ルーデウスはガイコツと、リヒトーはミニッサと相対する。

4人はそのまま魔法を詠唱している結界魔法陣に向かう。しかしそこに、ローズバルトが現れた。

「邪魔はさせぬ。返り討ちだ」

ローズバルトが体からエネルギー波を放つと、4人はエネルギー波を受けて動きを止める。ローズバルトと相対する4人。

「ちょうどお前に用があったんだ」

「我には無いな。リムル=テンペスト」

「そう言わずに聞けって。お前を倒して、この戦いを終わらせる」

魔王と戦う勇者みたいなセリフを言った自分に羞恥心を覚えるリムル。実際のところ相手は魔王なのでこのセリフで合っているのだが、恥ずかしいことに変わりはなかった。

「貴様達に我は倒せぬ、我はこのまま貴様達の世界に侵攻し、力を得る。貴様達の命を、行きがけの駄賃にしてくれる!」

ローズバルトはそう言うと、魔法陣を描き、雷撃を放った。

4人は躱すが、続けざまに放たれた衝撃波は躱しきれずに直撃を受けた。

「魔法の発動時間が短くなっている。連携せねば勝てぬぞ」

アノスはリムル達に告げると魔法陣を展開する。

「『獄炎殲滅砲―ジオ・グレイズ―』」

「レイとオルステッドさんは俺に続いてくれ!」

リムルの言葉に2人は無言で頷くと、ローズバルトへ向かうジオ・グレイズを盾にして斬り込んだ。

「小賢しい」

ローズバルトは戦斧でジオ・グレイズを払うと、斬りかかったリムル達の攻撃を受け流した。

攻撃が失敗した3人はアノスの元まで退避する。

「意外と速いぞ。前回、よくあんなの倒せたな、アノス?」

「いや、強さの次元が前回の比ではない。今回は本気なのだろう」

「マジモードか。あの奥の魔法を止めないと、何が起こるか分からないな」

「もう一度行く?」

霊神人剣エヴァンスマナを握り直してレイが訊ねる。リムルは頷くとオルステッドを見る。

「俺とオルステッドさんでローズバルトに攻撃をして隙を作る。そうしたらアノスとレイが奥の魔法陣へ抜ける作戦だ」

「いいだろう」

オルステッドは頷くと、リムルと共に仕掛けた。

ローズバルトは先程と同様に戦斧で受け流すが、間髪入れずに再度攻撃をする。

それを数回繰り返すと、ローズバルトはリムルとオルステッドにかかりっきりになる。

その隙をアノスとレイは逃さなかった。

ローズバルトを抜けて、結界魔法部隊へと仕掛けた。

 

しかし、それは阻まれた。

敵、ではない。――――――光だ。

 

結界魔法から放たれた光の奔流に阻まれて、アノスとレイは動きを止める。

そこでアノスは見た。

魔法の光から放たれたヴェールが真・魔王城を包んでいく様子を。そして、魔法の光に足を踏み入れた敵兵の姿が一瞬で消えるところを。

『ミサ、聞こえるか?』

『何でしょうか、アノス様?』

飛空城艦にいるミサと『思念通信―リークス―』で会話する。

『飛空城艦を光に突っ込ませろ』

『えぇ!? 本気ですか?』

『敵は魔法陣で別の世界に向かっている。俺達も追うぞ』

『わ、分かりました!』

直後、飛空城艦が加速し、魔法陣から天へと伸びる光に突撃する。

艦首が光によって阻まれるが、飛空城艦は減速することなく突撃する。徐々に艦首が光にめり込んでいく。

アノスは再度、光に触れる。バチッと音を立てて弾かれるがお構いなく右手を突っ込んだ。

「いけるな」

右手が光の内部に入ることを確認したアノスは上空を見上げる。

飛空城艦の半分が光に入り込み、さらにのめり込んでいる。

次の瞬間、つっかえが取れたように一気に飛空城艦が光に包まれて消えた。

 

アノスは飛空城艦が消えるのを確認すると。自身も魔法陣の内部へと一気に入り込んだ。そして、自身が光に包まれるよりも速く、イ・グネアスによってリムル、オルステッド、リヒトー、ルーデウス、レイを魔法陣の内部に引き寄せた。

自身と戦っていたリムルとオルステッドが突然転移したことにローズバルトは気付くと、アノスの方を振り向く。

既に魔法陣の内部にはアノス達6人の適応者がいた。それが何を意味するか気付いたローズバルトは魔法陣内部にいるアノス達へ戦斧を振りかぶった。

「先に行っているぞ」

そのアノスの言葉を最後に、6人は光に包まれて消えた。




お読みいただきありがとうございました。

出張の為、次回の投稿日が遅れそうです。

次回も楽しんでいただければ幸いです。
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