東方前進録   作:クラッカーV

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能力→原因→後悔

「………今何時だ」

 

新しい誓いを立てた俺は、現在の時刻が気になった。部屋を見渡して見ると壁に掛けられた時計を見つける。21時だ。マズイ、最近オンラインゲームにまともにログイン出来ていない。そろそろお暇させて頂こうと思う

 

「よいしょ、っと」

 

ベッドからスリッパに足を通して立ち上がる。寝てたからか少し体が怠いが、何も問題無い。怪我もしていたのに全く痛みが無いあたり八意先生の手腕は素晴らしいと言わざるを得ないだろう。まあ、素晴らしいで済むのかどうかは知らんが

 

俺は部屋の扉の前に立つ

 

ガチャリ

 

一人でに扉が開いた

 

「ん?」

 

「?………あなたは」

 

部屋に入ってきたのは金髪の少女だった

 

てかこいつ………

 

「人食い少女………」

 

「失礼しちゃうわ。確かに食べようとはしたけど」

 

ならば人食い少女だろう………。しかし、まだこの子は見た目も幼い。今のうちから教えておかなければ

 

「いいか、人は食べちゃ駄目なんだぞ。幻想郷ではどうか知らんがな」

 

「そーなのかー」

 

「そうなんだ。人食い少女、君はここに何しに来たんだ?」

 

目的を聞いてみる。ここは医療室のような部屋らしいから、この子が用があるとは思わない

 

「かくれんぼしてるのよ」

 

「かくれんぼ?」

 

一体誰とやってるんだ?この子以外子供は見てないが

 

「…………そうか、精々見つからないように頑張るんだな」

 

人食い少女の頭の上に手を置いて何度か優しく叩く。子供は嫌いじゃない。無邪気に遊んでいる姿は微笑ましいものだ

 

「……………」

 

「じゃあな」

 

人食い少女はその後頭を押さえていたが、痛かったのだろうか?いや、あの子は石頭だから問題無いだろう。それよりも早く帰ってゲームへログインしなければ。思えば一日ログインしていないのだ。まあそれも仕方ないとしか言えないが

 

 

 

「………大きくて、冷たい手ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーミアはどこだー!」

 

「うおっと!」

 

階段から青髪の子が降りてきた。ぶつかりそうになったので慌てて後ろに退く

 

青髪の女の子はそのまま食堂の方へと走って、角を曲がって行った

 

「ん?」

 

今の子に見覚えがあった。あのレイヤーちゃんだ。あの子もここにいたのか………まあ、きちんと救出されていて良かったな

 

…………それよりも、早く帰ってゲームがしたいな

 

さっきは約束を破ったことを悔やんでいたのに、今はこんなことを考えている俺はポジティブと言っていいのか………どちらにせよ、ゲームが好きなんだなということと、俺は駄目人間だなと思う

 

そんな変わらない俺に若干安心しているのが、なんとも憎い

 

まあ、そんなことはどうでもいいか

 

「取り敢えず、挨拶してから帰ろうか」

 

俺が出た部屋は一階の奥の方にあったようだ。前方遥か彼方に食堂が見える。遥か彼方は言い過ぎか………

 

一つ一つの部屋を見ながら食堂へと向かう

 

食堂の目の前に来た時、中から話し声が聞こえる。今日起こったことでも話をしているのだろう

 

俺はドアノブに手を掛けた

 

「幻想郷の住人達が消える理由は、和哉君の能力にあるの」

 

「……………え?」

 

聞こえてきた声に、俺は耳を疑った

 

「そ、それどういうことなんだ!?」

 

霧雨の声が聞こえた。他にも動揺している声が聞こえてくる

 

だが、それどころじゃない

 

え?今理事長は何て言った?俺の能力が幻想郷の住民達を消していた、って言ったんだよな…………?

 

「和哉君の能力の名前、それは《思いを力に変える程度の能力》。彼の力は、彼の意志や感情などによって左右されるの」

 

《思いを力に変える程度の能力》………?それが俺の能力の名前………

 

「それが、なんで幻想郷の住人が消えることに繋がるのよ」

 

この声はマーガトロイドか?…………そうだ。何故だ?なんで俺の能力が原因なんだ?

 

「皆も、忘れてはいないわよね。幻想郷とは忘れられた存在が集う場所。それは言い換えると、もうこの現代に必要とされなかった存在が集まる場所でもある、と言うことよ」

 

それは話に聞いていた。今現代では妖怪の存在などを信じる人間は少ない。だから現代では存在が保てなくなり、幻想郷へと移り住むのだと………

 

「逆に言えば現代で必要とされた場合、現代に戻ることが出来ると言うことよ」

 

確かに、そうなるな。だが、まだわからないことが多い

 

「でも、自分の意思で現代に来てるわけじゃないでしょ?」

 

「そう、皆無理矢理に現代へと消えているわ。大きな力に引っ張られるように」

 

っ!………まさか。いや、そんなはずはない………。いやでも、まさか…………!

 

「彼の能力が、彼の非日常を望む心が、私達幻想郷の住人と言う異形を必要とする思いを力として変え、それがどんどん大きくてなって行ったの。いつしか、それは幻想郷の住人を現代へと連れ去ってしまうほど」

 

「っ!」

 

俺の予想が、当たってしまった

 

俺が、幻想郷の住人を連れ去っていた!?俺が望んだから、それに俺の能力が反応して、それがどんどん積み重なって大きな引力を生んだ、ってわけか!?

 

と、なるとだ。そうなると………

 

「俺の所為で、皆の大切な人が………消えた?」

 

俺の所為?俺が、俺が原因………。俺が知らずして大切な人を奪っていたんだ!

 

「なんだよ、なんなんだよそれ…………」

 

俺の中の何かが、軋む音がした。気付けば走り出していた

 

夢幻荘の玄関を開け、全力で走り出す

 

「はぁっ…………!はぁっ…………!」

 

俺は、全然見覚えの無い場所で立ち止まった。随分と体力が落ちたものだ

 

「はっ、はっ…………は、はははは、ははははは!!」

 

狂ったように笑い出す。自分でもわけがわからない

 

俺の所為で誰かの大切なモノを奪ってしまったことは、俺にとって胸を締め付けられるような痛みへと変わり、俺を蝕んだ

 

それくらい、俺には重かった

 

だって、俺が望んだ力は人の迷惑にしかなっていなかった。この非日常は、元を言えば俺が原因で始まったものであり、誰かの犠牲の上で成り立ったものだった

 

「クソがぁ!!」

 

地面に拳を叩きつけた。皮が向け血が出るが、気にはしない

 

俺は、人の大事なピースを奪っていた。俺が言う、自分と自分の人生を形成するピースのことだ。それを隠していたんだ。奪い、遠い場所へ放り投げた

 

駄目だ………!駄目なんだ!そんなこと、しちゃいけない!俺は………俺は、それがどれだけ大事なモノかを知っている!今のその人があるのは、その人自身でいられるのはそれのおかげだからだ!!それに触れ、感じたことが全て、自分になる。それを、俺は………!

 

俺の中の何かが、更に軋んだ

 

「……………」

 

俺は、悔やむ。俺の能力を、悔やむ

 

昔から、親に俺は他人のことになると、一人で背負い込みすぎだと言われる。優しすぎると………

 

そう言われる俺だから、こんなに悔やむのかもしれない

 

「こんな、能力………」

 

俺の無意識に、他人に迷惑を掛ける能力なんて………

 

「いらなかった………」

 

 

 




和哉の"能力"《思いを力に変える程度の能力》
和哉の能力、和哉の感情や意志を力に変えることが出来る。力だけでなく他の事情なども強化出来る可能性がある。可能性があるだけでまだわかってはいない

幻想郷の住人が消えた"原因"は和哉だった
和哉「なんだよ、なんなんだよそれ………」

和哉は能力があることを"後悔"する
和哉「こんな、他人に迷惑を掛ける能力なんていらなかった………」
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