東方前進録   作:クラッカーV

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励まし→葛藤→遭遇

♪〜〜♪♪〜〜

 

「………………」

 

部屋にケータイの着信音が響いている

 

♪〜〜♪♪〜〜

 

「………………」

 

現時刻は土曜の午前10時。誰からだろう。…………母さんか

 

♪〜〜♪♪〜〜

 

「こんな時に………もしもし」

 

布団の中で蹲っていた俺は這い出て電話に出る

 

『もしもし、カズ?』

 

「………なにか用?」

 

無愛想にそう返した。因みにカズとは俺のことだ

 

母さんが電話してくることは別に珍しくない。二週間のうちに何か用を見つけては俺に電話してくるのだ。何か学校からの大切なプリントはない?とか、ご飯食べてる?とか、そんな感じだが

 

一人暮らしの息子が心配なのはわかるが、もう少し放任主義でも良いと思う

何故に毎日毎日おはようからおやすみまでメールしなければならんのだ。帰ったなどメールしなければならんのだ。そして何故最近反抗期気味の妹について相談されなければならないのか、そんなこと父さんと相談しろよ。なんで俺に来るんだよ。そもそもあいつが反抗期なのはあんたが過保護過ぎてもう受験生なのに友達との時間を大切にさせてやらないからだろ。あいつ勉強はちゃんとしてるんだからさ、友達の家に泊まりに行かせるぐらい良いじゃないか…………

 

とまあ、不満を挙げると結構あるのだが、これも母さんからの愛の形だと思うと何故か無下に出来ない。不満をぶつけてしまえば必ず泣く。そうなると面倒臭い

 

さて、長々となったがここまでの主要時間約2秒だ。用件はなんだろうか

 

『特に無いよ』

 

ブチ切るぞゴラ

 

『ただ、カズが何か悩んでそうだな〜って』

 

「……………」

 

母さん、鋭すぎるだろ

 

「……別に、何も無いよ」

 

『うそ〜?またまたぁ。お母さんが相談乗ってあげるよ?ほら!ほらほら!』

 

なんでそんなにテンション高いんだよ。やめてくれよ俺今そんな気分じゃないんだって

 

「何も無い…………」

 

『ふーん、そう』

 

俺は母さんに話さなかった

今の俺を母さんが理解出来るはずがない。無理に心配させてもアレだし

 

それに実は、一晩寝たら昨日よりはだいぶ楽になったからだ。まだ心につっかえる物はあるが、昨日のように地面に拳を叩きつけるほど後悔しているわけじゃあない。拳は下手に触ると痛いがな

 

『カズ』

 

「…………何さ。用が無いならもう切りたいんだけど」

 

これから俺は寝る予定なんだ。昨日のことなんぞ夢と一緒に忘れ去る予定なのだ

 

『自分のせいとか、思っちゃ駄目だよ』

 

「っ!」

 

…………おいおい、エスパーかよ

 

『あら、図星?カズさ、悩みがある時いっつもムッとした感じの声出すよね。すっごくわかりやすい』

 

「……………」

 

『しかもそう言う風に悩む時はいっつも自分を責める』

 

「マジかよ………」

 

エスパーじゃなかった。普段からどれだけ母さんが俺達のことを見ていたかわかった気がする

 

『もしお母さんの言葉を聞いても悩むんなら、全部自分で解決しな。今までだってそうしてきたでしょ』

 

「……………全くだよ」

 

まさか、こんな何の気無しにかかってきた電話に気付かされるとは………。母親って偉大なんだな

 

「ありがと、母さん」

 

『いえいえ…………それよりも聞いてよ〜!朋子が今日お母さんに内緒で友達のお家に遊びに行ってるのよ!?しかも泊まりで!』

 

「言ったら母さんうるさいでしょうが。今年から受験生なんだし、切羽詰まる前に遊ばせてやりなよ。あいつ、頭は良いんだからさ」

 

『でも〜…………』

 

「はいはい。…………それじゃあ切るよ」

 

『は〜い、次はいつ帰って来るの?』

 

「…………ゴールデンウィークは帰らないと思う。夏休みは多分帰るからさ」

 

これから忙しくなるだろう。長期の休みには帰れると思うが………て言うか、いつまで続くのかがわからない

 

『そっか、わかった』

 

ん?案外すんなりとOKしたな………珍しい。俺の意図を組んでくれたのか?

 

「んじゃ」

 

『それじゃ』

 

挨拶を交わして通信を切る

 

色々と吹っ切れた。さて、これからどうしようか?夢幻荘に行こうか、それともこのまま外に出てパトロールへ行こうか。…………そう言えばパトロールはやったことがないな

 

そもそも能力を上手く使いこなせていないらしい俺がいざ戦闘となるとまた暴走してしまうのではないか?だとしたら理事長に能力の使い方を教授してもらう他ないか

 

昨日、俺が話を聞いていたことは知らないだろう。俺が変に態度に出さなければいい話だ

 

俺としても能力が暴走してしまうことは迷惑極まりない。《思いを力に変える程度の能力》は使いこなせるようになれば強力だろう。この前俺が博麗と互角にやりあえたのもこれのおかげだろうしな

 

だがしかしあの時は無意識と言えど使えていた。俺の意思が関係しているのか?

あの時は博麗への怒りと必ずやり返すと言う気力、あとはどうしても認めさせると言う思いがあったから、それが力になったんだろう

 

ではスカーレットの時はなんなんだ?やり返したい、必ずスカーレットを連れ戻す、この二つだと思うが

この二つを比べると、何故あの時暴走したのかがわからない。俺としては博麗と戦った時の方が意思的なモノは強かったと思うんだがな

 

「はっ、まさか口約束のためなんかでそこまで躍起になったわけじゃああるまい」

 

そうだ。俺は約束は守るために頑張るんだが…………俺はそれより自分のことを優先するはずだろ。博麗に認めさせたい、と言う思いを越えることはないと思うんだ

 

だけども実際は越えてるわけで…………

 

「うむ!わからん!」

 

そして俺は考えるのを辞めた

 

取り敢えず腹が減った。朝飯も食ってないのだから当然と言えば当然か

 

「コンビニ行こう」

 

財布をポケットに入れる。次に家の鍵と自転車の鍵を………

 

「あ」

 

そう言えばバハムート号を修理に出すのを忘れていた。バラバラになったサドルをなんとか掻き集めて瞬間接着剤で繋げて形にしたバハムート号のサドルは棚の上に置いてあった

 

「これ、修理するより新しいの買った方が良いよな。絶対」

 

残念ながらバハムート号とはここでおさらばらしい。悲しきかな、中学に上がる時に買ってもらったこの自転車は俺の遠い遠い旅路の途中で置いて行かなければならないのか。すまんバハムート号………!今まで、ありがとう…………

 

「さ、コンビニ行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてコンビニに着いた俺は、今焼きそばの前で腕を組み唸っている

 

「ふむ………ここは焼きそばを買うべきか、塩焼きそばを買うべきか………」

 

悩む。これは悩むぞ

どちらかと言うと俺は塩焼きそばが好きなのだが、しかし普通の焼きそばには肉が沢山乗っている。何故こっちの塩焼きそばは肉があまり乗ってないのだ。乗ってたらこっちを選んだのに

 

だが塩焼きそばに肉が入ってないわけではないので、やはりこっちにしようか

 

「はっ!」

 

悩んだ末塩焼きそばを手に取ろうとした俺の右上に、とある物が見えた

 

「や、焼きそばに………炒飯が付いて、しかもその上に肉が乗っているだと………!」

 

な、なんだこれは。腹が減っている俺からしたら最高の一品ではないか

運動はしてないと言えど俺だって男子高校生。食べる量は結構多い。だが食べてもあまり体重が増えないので調子に乗って食べ過ぎてしまう時もあるが…………そんな女子みたいな悩みがあるわけじゃないんだがな

 

「決めた。これにしよう」

 

俺は焼きそば&炒飯に手を伸ばす

 

「……………はっ!」

 

更にその右側、俺はある物を見た

 

「わさび焼きそば……….だと?」

 

な、なんだこれは。新感覚か?新感覚を求めているのか?このコンビニは何がしたいんだ。めっちゃ気になるじゃないか。食べてみたすぎる!案外いけるかもしれない…………

 

「だが、内容量が少ない…………!(ギリィ!」

 

このわさび焼きそばは内容量が少なすぎる………!何故か人気が無いのか、それとも皆警戒して買わないのか知らないが在庫は余っている。だが二つ買うとなると金の無駄遣いなような気がするし負けた気がするから嫌だ!だとしたら焼きそば&炒飯を買うべきか!?

 

「あの〜、どうかされました?」

 

「……………いえ、何でもないです」

 

目の前で立ち尽くしてる俺を不審に思ったのか店員さんに声を掛けられた

 

これ以上不審に思われても嫌なので一旦ここから離れよう。そう思い隣のスイーツが置いてある売り場へ向かった

 

「…………最近のコンビニはレベルが高いんだな」

 

スイーツ売り場をあまり見ることがない為か、少し驚いた。店で売ってある物には劣るだろうが、ケーキなどもある上に、ティラミスとか普通のプリンより大きいプリンとか………

 

「これもすごいな」

 

期間限定、超巨大ティラミス!!これ美味しいよ!と書かれた店長のオススメ感のあるデカイティラミスがあった。バレーボール大の大きさの物が異様な雰囲気を放ちながらそこに鎮座している。何故に期間限定なのかわからない。季節的な果物が乗ってるわけでもあるまいし………

 

値段は2900円…………高っ

 

「あ〜、この超巨大ティラミスどうしましょう。今月はもうお小遣い厳しいですし………でもでも、期間限定でいつなくなるかわからないし…………」

 

角から緑色の髪をした女子が姿を現した

 

こ、こいつは………

 

「…………あ」

 

「非行少女、(仮)…………」

 

そう、非行少女(仮)こと…………非行少女(仮)だった。いつ(仮)がとれるのかは神のみぞ知る

 

「か、和哉さん………って、非行少女(仮)!?」

 

向こうも向こうで心底驚いたようだ

 

まあそんなことはどうでもいい。こいつに一つ問うてみよう

 

「あんたは新感覚と特典付き、どっちが良いと思う」

 

「……………は?」

 

何言ってんだこいつ?みたいな顔をされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私もよくあるんですよ。悩むこと」

 

「ングング………そうか」

 

コンビニ近くの川の畔にあるベンチに腰掛け俺は買ったチキンを、東風谷はプリンを食べながら話をしている。非行少女(仮)と呼ぶのは辞めろと全力で言われてしまった。どうやらあれは地毛らしい。普段は認識阻害やらなんやらで黒髪に見せてるらしいのだが、俺には何故か効かないんだそうだ。能力が関係しているのかもしれない

 

能力と言えば昨日のことで何か言われるかと思ったが、俺があの話を聞いてたことを知らないからか何も言われることはなかった。そして俺は結局わさび焼きそばを買うことに決めた。チキンが美味い

 

て言うか何故俺達はベンチに座って話をしているんだ。こんなところを学校の奴に見られたら俺の立場が危ういことになるんだが、そうなる前に早く帰りたい

 

何やら話があるとか言っていたが………なら早く話せよ。ここで焼きそば開けちまうぞ?

 

「コンビニのスイーツって美味しいですよね。休日には食べ歩きが楽しいんです」

 

「そうか」

 

俺がそう返すと東風谷は悩みの末買ったであろう超巨大ティラミスを取り出す

 

こいつ、長期戦に持ち込む気か………!てか買ってたのか!

 

「ん!これ美味しい〜!普通のティラミスより美味しく感じます!」

 

「それより話ってなんだ」

 

「やはりコンビニは侮れませんね………今度はドーナツを買いましょう」

 

「……………」

 

帰るか

 

「ちょ、なんで帰ろうとしてるんですか!?」

 

「焼きそばが冷める」

 

「ここで食べればいいじゃないですか」

 

「用も無いのに外で食べる気にはならん。それに俺はあんたが話があるからとここに着いて来たんだ。話をしないのならここにいる必要も無いだろう?」

 

何が悲しくて日の照る中ベンチに座り一緒にいるのが目撃されれば面倒事に繋がる奴と飯を食わねばならんのだ

 

「わかりました!話しますから!」

 

「…………手短にしろよ」

 

最初からそうしろよ

 

そう思いながらベンチに座り直す

 

「て言っても、お話をしませんか?って声を掛けただけで、特にないんですけどね」

 

……………

 

「帰る」

 

「いいじゃないですか!ほら、このティラミス美味しいですよ!」

 

「いらん。離せ」

 

地味に力が強いなこいつ………

 

「私ここらへんは初めてなんで案内して欲しいんです!」

 

「そう言うのは案内無しに自分の勘で突き進め。その方がきっと楽しいしティラミスも美味しくなるぞ」

 

「ホントですか?」

 

「知らん」

 

「ちょっと〜!」

 

くっそ、しつこいな。そんなに案内してもらいたいなら学校のお友達でも呼んでキャイキャイ楽しくしてれば良いだろ。なんで俺なんだ

 

「帰らないでくださ………っ!」

 

「?どうした………!」

 

背中に僅かながら悪寒が走った。つい最近までこう言ったのは感じたことはない。これは間違いなく敵意だ

 

「………おい、東風谷」

 

「わかってます。人払いの札を発動させました」

 

東風谷は札を体に貼りながら言う。東風谷も巫女なのか、しかし脇が露出しているが………流行ってるのだろうか?

て言うか人払いの札なんてあったのか………知らなかった。俺もそれ欲しいな

 

バシャッ!

 

「「!!」」

 

川から何かが飛び出して来た

 

『GECO!!』

 

「…………デカイ、蛙」

 

「蛙?………まさか、諏訪子様が!?」

 

東風谷は辺りを見渡す

諏訪子様って誰だ?

 

「いない……」

 

「おい、諏訪子様とやらが誰かは知らんが…………やるぞ。共同戦線だ」

 

「…………はい」

 

『GECOooo!!』

 

蛙は跳び上がり俺達の所へと落下してくる

 

いっちょやってやろうじゃないか

 




和哉母の"励まし"
母『頑張れ〜♪』

コンビニでの"葛藤"
和哉「焼きそば&炒飯か、わさび焼きそばか………どっちだ、どっちにすれば良い!?」

どでかい蛙との"遭遇"
『GECOooo!!!』
早苗「まさか、諏訪子様が!?」
和哉「デカ蛙キモ………てか諏訪子様って誰」
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