東方前進録   作:クラッカーV

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目覚める→走る→遭遇

「………………ここは、どこだ?」

 

俺は今、真っ暗な空間にいた

 

「さっきまでチャリで帰宅中だったはずなんだけどな」

 

あれー?おかしいな。気付かぬうちに夜になってしまったのか?

 

「帰らないと。腹も減ったし…………どっちがどっちかわからない」

 

これは困ったぞ。どうすればいいんだ?

 

「ここは走るのみ!」

 

取り敢えず走ろう。何度もぶつかれば地形を把握出来るかもしれない

 

それに久しぶりにランニングと言うのもオツだろう。いや、どちらかと言うと乙だろう

 

「ほっ……ほっ………やべ、体力落ちてる」

 

走り始めて数分。全盛期の時のスピードで走っているが既に息切れし始めた。体力落ちすぎだろ俺………

 

「ほあっ!?」

 

そんな時、体に浮遊感を感じた

 

「な、なんだ!?」

 

更に落ちてる感じもする

 

「やばい!このままじゃペッシャンコになるかもしれない!!」

 

そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「潰れたトマトになるかもしれないぃぃぃぃぃ!!」

 

「うるさい」

 

「おふっ!」

 

顔に衝撃が走る。まさか顔面から落ちたのか!?

 

いやしかし、痛くも痒くもないな。強いて言えばなんか柔らかい

 

「………………クッション?」

 

ぽて、と俺の顔から膝の上に落ちてきた物を見ると、そこには丸いクッションがあった

 

「起きたかと思えばいきなり叫び出してるんじゃないわよ」

 

「あ、すみませ……………」

 

俺は声の主の方向に向いて謝ろうとし、声を詰まらせた

 

「なに?私の顔に何か付いてるわけ?」

 

「い、いや。何も付いてないっすよ?敢えて言うなら大きいリボンだなーと」

 

「関係無いでしょ?」

 

「あ、そっすね」

 

本日………果たして本日なのか怪しいところだが三回目の驚愕。この人も美少女だ

 

なんなんだ今日は、なんでこんなにも美少女を見るんだ。明らかにおかしいだろ

 

「てか、ここどこっすか?」

 

俺は部屋を見回す

 

その部屋は広いのだが何とも簡素で、家具なんか必要最低限の物しか置いてない。よく見ると部屋の端の方に何かを祀ってあるみたいだ。それと今気付いたが何故かお賽銭箱がある。何故部屋にそんな物が…………女の子の服装はジャージっぽい何かだが、もしかして巫女さんなのだろうか

 

「私の部屋よ」

 

「……………なんと」

 

俺は頭を押さえた

 

知らぬうちに見知らぬ女の子の部屋に上がり込んでいようとは、しかも三次元とは、俺は二次元愛好者の風上にもおけない野郎だ。俺のバカヤロー

 

まあ、二次元愛好者だからと言って駄目なわけじゃないんだが、俺の中での取り決めというやつだ

 

しかし何故俺はそんな状況になっているのだろうか?皆さんも一緒に考えてもらいたい。いや、皆さんって誰だよ

 

「あんた、何も覚えてないわけ?」

 

「え?いや、俺記憶喪失にはなってないっすけど?俺の名前は水無月 和哉。今年で17歳になる元気の無い高校生。好きなアニメはソードアートオンライン。好きなラノベもソードアートオンライン。ゲームもラノベも大好き。俺の家族構成は「もういいわ。てかそういうことじゃないし」…………どういうことっすか?」

 

「はぁ………ホントに覚えてないのね」

 

何故溜息を吐かれなければならんのだ

 

だがよく考えてみよう。確かに俺はここにいる経緯をまったく思い出せない。てか今の今まで俺は寝てたってことになるのか?ベッドに寝転んでたっぽいし

 

………………ベッドに寝転んでた?

 

「ほあっ!!」

 

俺はその思考に辿り着くと共に行動を開始した

 

まずすぐさまベッドの上に立ちひゅんっ!と効果音が付きなそうな感じで飛び上がる。そして華麗にこの部屋の主である女の子の隣に着地し頭を下げた

 

「ベッド占領してすいませんでした!」

 

見ろこの綺麗な直角を。これならきっとどんな悪い事しても許される

 

「い、いや………別にそれは構わないけど」

 

む、若干引いてるっぽいな。だが三次元の女子に引かれようが知ったことじゃあない。此方は此方の用件を済ませさっさと帰るのみだ

 

「それで、何故俺はここに運び込まれるような状況に?」

 

「……………いや、ただ公園であんたが気絶してたから運んで来ただけよ」

 

成る程、この女の子は優しい娘と見た。まさか今の時代にこんな良い娘がいようとは、二年前に会ってたら求婚を申し込む程かもしれない

 

「それだけっすか?」

 

「それだけよ」

 

「そっすか」

 

「そうよ」

 

…………………

 

「それじゃ!ありがとうございました!さよなら!」

 

俺はそう告げるとこの部屋のドアに向かって駆け出しドアノブを捻る

 

「え?」

 

女の子は状況が掴めてないらしい。それも仕方ないだろう、いきなりなのだから

 

そう言えば今日の22時からオンラインゲームで知り合った友達と一緒に狩りに行く約束してたんだった。これはまずい。今何時かは知らないが買い物から帰ってる時間が17時だったから………気絶してたんだとすると結構危ない時間かもしれない

 

俺はそのままドアを開け放ち外に出る

 

気絶していた経緯とかは知らないが命があるのならそれで良い。ついでに現在進行形で助けてもらった人に失礼なことをしているがもう会うことも無いだろうしいいかな

 

「急げ、急げ」

 

部屋は廊下の一番端にあったようで俺はそこを真っ直ぐ突っ切ると曲がり角を曲がる

 

だが、急いだのが間違いだった

 

「おぉ!?」

 

「ファッ!?」

 

曲がった瞬間、金髪の女の子とエンカウントしてしまった

 

「「あだっ!」」

 

そのままぶつかってお互いに後ろへ倒れる

 

「いってぇ…………誰だよいきなり」

 

金髪の女の子は腰を押さえながら言った。服装は黒いシャツにジーンズ。腰に白い布を巻きつけている。更に美少女だ、俺もうツッコまない

 

……………ん?黒、白?

 

「あ、お前起きたのか?」

 

「黒、白…………何か思い出せそうな」

 

「ん?おーい?」

 

女の子が何か言ってるが今はどうでもいい。それよりもこの二つの色が気になる

 

「あら魔理沙じゃない。…………何してんの?」

 

「ああ霊夢か。飯の時間だから呼びに来たんだが、こいつとぶつかってしまってな」

 

黒、白…………何処かで見たんだ。思い出せ!思い出せルキア!!………いや俺ルキアじゃないし

 

「こいつ、いきなり飛び出して行ったのよ。お賽銭も入れずに」

 

「おいおい霊夢、こっちに来てまでそんなガメついこと言うなよな。金に困ることはないだろう?」

 

「それでもあって損は無いでしょう?」

 

いや、黒と白なら毎日見てるんだよ。シャツは白だし、髪の色は黒だし。まあ見てると茶髪やら金髪やら、今日初めて見たけど緑色やら染めてる奴はいるけどさ

 

「おい。おーい?」

 

でも何か違うんだよな。なんだったかな…………

 

「無視するんじゃあないぜ」

 

「あべしっ!」

 

いきなり頬を叩かれた。何気に痛い

 

「……………あべし?」

 

「何すんだよ。痛いな」

 

何たることか、暴力はいけません

 

「お前が話を聞かないからだろ?」

 

「…………それはさーせん」

 

どうやら俺が悪かったみたいだ。だからと言って叩くのはどうなのだろうか、主に女子として

 

「ったく。それで、体の調子はどうだ?」

 

「体の調子?とてもじゃないが元気っすよ」

 

今すぐ帰ってゲームしながらアニメ見たいくらいだ。さっきも言ったとおり今日は約束があるし何より積みゲーがまだまだある。それを消費していかねばならんのだ

 

「……………なんで敬語なんだ?」

 

「なんとなく、初対面だから?」

 

年下かどうかもわからない初対面の人に敬語を使うのは普通だと思うが。まあ相手の態度に寄るが、見た感じさっきの大きいリボンの女の子の友達っぽいからな

 

「ふーん。……しかし、お前結構元気そうだな。チルノの攻撃を直撃じゃないにしろ受けたんだし、他にも体に異常があってもおかしくないんだけどな………」

 

え、何この娘。何か恐いこと言い出したんだけど

チルノって誰だよ。てか攻撃ってなに?なんかあったの?

 

………………って

 

「あー!!」

 

「うおっ!?」

 

「うるさい」

 

「げぷぉっ!?」

 

大きいリボンの女の子に叩かれた。さっきより痛い

 

……………しかし思い出した。思い出したぞ!

 

「あんたら、公園の………!」

 

そうだ。俺は公園で突然視界が反転して、それで地面に叩きつけられて気絶したんだ!

 

「あら、思い出したのね」

 

「なんだ?忘れてたのか?」

 

ああ、思い出した。思い出したぜ思い出しましたよ!

 

「な、なあ!あれってどういうことだったんだ!?俺に何が起こったんだ!?」

 

一体俺の身に何が起こったのか。俺の記憶を辿るに車に轢かれたわせでもなさそうだ。だったら他に考えることは一つしかない

 

非日常的な何か(・・・・・・・)が俺の身に起こったとしか考えれない。他にも何かあるんだろうが、それしか考えられない辺り俺はどれだけそう言った事に飢えてるのだろうか

 

だが今はそんなことどうでもいい。ゲームのことも忘れ去った。友達には悪いが遅れたら「ごっめーん、用事があったんだ。てへぺろ♪」で許してもらおう。きっと許してくれるはずだ

 

「教えられるわけないでしょ?あんた何言ってんのよ」

 

「お願いだよ。教えてくれよ!」

 

俺は両手を合わせて拝むように頼む

 

何が起こったかわかれば、もしかしたら俺の世界が変わるかもしれない。この腐った世界から抜け出せるかもしれない

 

こんな絶好のチャンス、逃すわけにはいかない………!

 

「ん〜………まあいいんじゃないか?霊夢。教えてやっても」

 

「はあ?何考えてんのよ魔理沙。こいつはただの一般人なのよ?」

 

「まあまあ、説明は紫にさせればいいさ。えーっと………お前名前なんだっけ?」

 

これは、OKってことなんだよな

 

「俺の名前は水無月 和哉」

 

「そうか。私は霧雨 魔理沙《きりさめ まりさ》。普通の……おっと、これは後のお楽しみだな」

 

何かを言おうとして止めた。後のお楽しみ………?気になるな

 

続いて霧雨さんは大きいリボンの女の子を親指で指す

 

「それでこいつは博麗 霊夢《はくれい れいむ》だ」

 

「……………ま、覚えなくてもいいわよ」

 

………む、何かカチンと来る言い方だな

 

「霧雨さんには・く・れ・いさんだな」

 

博麗の部分だけ強調して言ってやった。すると博麗さんは俺を睨む

 

………おぉ、怖い怖い。今にも噛み付いて来そうだ

 

「別にさん付けなんていらないぜ。ついでに苗字じゃなくて名前の方がいいな」

 

え、えぇ〜?いきなりそれはちょっとな………

 

「いや、遠慮させてもらう。…………でもまあ、さん付けは無しにしようかな」

 

「うーん…………ま、今はそれでいいぜ」

 

今はって……正直言って起こったことが知れたらそれに俺の方から突っ込んで行くだけで、よろしくしようとは思って無いんだがな………。いや、バトル的な展開だった場合そうなるのか?

 

てか霧雨は「〜だぜ」口調なんだな。まあいんじゃない?

 

「それじゃ下に行くか。和哉」

 

「え?」

 

下に行くってなんで?てかなんで名前で呼ばれてんの?俺

 

「言っただろ?説明してやるって。ほら行くぞ、それに丁度飯の時間だ」

 

「おわっ、と………ちょ、押すなよ」

 

霧雨が俺の背中を叩いた後に押してくる

 

ちょ、遠慮無さ過ぎだろこいつ……!

 

「………………」

 

後ろから博麗も無言で着いてくる。さっきから機嫌が悪いようだ

もしかして俺のせいかな。だとしたらごめんね、と心の中だけで謝っておこう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧雨の後に着いて下に下りる。どうやらこの建物は3階建てのようだ。しかもとても広く、ちょっとした旅館ぐらいはあるんだそうだ

 

…………そんな場所うちの近くにあったかな。ここはもしかしたら、うちからとても遠い場所なのかもしれない

 

「ここが食堂だぜ。もう皆集まってる」

 

霧雨は大きな扉の前で立ち止まる

 

「皆?皆って、他にも誰かいるのかよ」

 

「ああ、結構沢山いるぜ」

 

げぇ、マジかよ。人の多いところは苦手なんだよな

 

「グズグズせずに早く入りなさいよ」

 

まだ博麗は不機嫌なのか。そんなに嫌だったのか、俺に名前覚えられるの

 

「まあそう言うなよ」

 

そう言いながら霧雨はドアを開いた

 

そしてその瞬間、俺は目を疑う

 

「あー!やっと来たんですね魔理沙さん。もう、遅いですよ!………って、あれ?」

 

まず俺の視界に入ってきたのはどこかで見覚えのある緑色

 

「何してるんですか?早く席に座って………そちらの方はどちらですか?」

 

次に何か白いオタマジャクシみたいな物を浮かせているリボンを着けた白髪の女の子

 

「誰?この人」

 

更に更には頭にうさ耳を着けた女の子。この三人の向こう側にも複数の人影が見える

 

………………一言、この状況に一言言うとすれば

 

「なんっじゃこりゃあ………」

 

いや、マジで。なんじゃこりゃ………

 




気絶から"目覚める"

帰るために"走る"

色んな奴らと"遭遇"

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