東方前進録   作:クラッカーV

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忘れ物→貸す→頭突き

「あ〜、かったるい」

 

俺は今日も学校への坂を歩いている

 

あの後弁当を作りながら考えたが、やっぱりあれは夢だったようだ。それにしては随分とリアルな夢だったような気がするが………いや、やっぱり気の所為なんだろう

 

弁当を作る前に冷蔵庫を見てみると弁当の分の材料しか無かった。昨日買い物に行ったのも夢だったのだろう、今日帰ったら行かなければいけない

 

そして全然関係無い話になるがそう言えば今日から授業がある。始業式の次の日から授業があるとはなんたることか、この学校は何を考えているんだ!

 

しかも休み明けテストは土曜日を使うだと!?学生の土曜日を何だと思ってやがる。土曜日と言えば一日中アニメにゲームし放題なのに!

え?日曜日?課題に追われるんだよ日曜は

 

俺は理系と言うことで今日は物理に数Ⅱ、化学、英語αとβ、現国だったか。面倒臭い先生じゃないといいな………

 

「あ〜!!そう言えば今日は数Ⅱがあるの忘れてたんだぜ!」

 

「そう、残念ね。私のクラスは数学ないから教科書は貸せれないわよ」

 

突然後ろからどこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。周りの生徒達もその声の主の方へ向く………てか殆ど既に向いていた

 

俺も首だけを後ろに向けた

 

「…………!」

 

そこに居たのは昨日の俺の夢に出てきた二人。霧雨と博麗だった

 

何故あの二人がいるんだ!?あれは夢だったはずだ!

 

「…………いや、そうか」

 

そこまで考えて俺は辞めた。あの二人の顔を知ってるのは昨日学校から帰る時にチラリとでも視界に入ったんだろう、だから知ってるんだ

 

それに二人の名前が本当に霧雨と博麗かはわからないじゃないか。それに昨日霧雨は髪の一部を三つ編みにしてなかったが今はしてるし

 

「………………」

 

俺は無言で二人を見る

 

しかし、やはり見た目は良いだけあって注目を集めるな。きっとずっと見ながら登校してる奴も居るんだろう

 

「…………あ」

 

「…………む」

 

目が合ったような気がした。俺の前を歩いていた男子が「あ、今俺、目合った」「ちげえよ、俺だよ」とか言ってる。いやお前ら、そんなのどうでもいいだろ

 

…………ん?もしかして俺もあいつらと同類になってないか?

 

そんなのは認めん

 

「い、いやぁ、お騒がせしたんだぜ!」

 

霧雨(名前わからないから取り敢えず霧雨にしておく)は頭を掻きながら手をぶんぶんと振る

 

もしかして自分が注目の中心に居ることに気付いてなかったのか?鈍いな

 

「やれやれだな」

 

俺は呟いて前を向いた

 

はぁ………学校めんどい

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢、今あいつと目が合ったぜ」

 

「…………そうみたいね。でもあの様子じゃ昨日のことは完璧に忘れてるみたい」

 

「流石パチュリーの魔法だな。少し悪い気もするが…………しかしあいつ、昨日より目付きが悪くないか?」

 

「死んだ魚みたいな目だったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

一時間目が終わった。最初は物理で移動教室だったが、今は戻ってきて自分の席に座って本を読んでいる。題名は『バカとテストと召喚獣』だ。かなり面白い

 

てかおい、今キンクリって言った奴出てこい。ジョジョについて語り合おうじゃないか

 

俺が一番好きなのは四部かな。仗助が好きなんだ俺

あ、でも承太郎も好きだな。そしてジョジョで一番感動したシーンはシーザーのあの名シーンだ

 

うん、一人で脳内で会話してる俺寂しい

 

そしてもう一つ気になることがある

 

「……………(チラッ」

 

「…………」

 

「……………(チラッ」

 

「………(汗」

 

なんだ?この状況

さっきから非行少女(仮)がチラチラとこちらを見てくる。何なのだろうか、俺が何かしたか?

 

まあいい、そんなことよりも次は数Ⅱだったか………

 

「ん?おい水無月、次は地理だぞ」

 

「……………は?」

 

俺が教科書を用意したらみっちーが突然そんなことを言ってくれやがった

 

「知らなかったのか?昨日変更があるってクラスのLINEで回って…………あ」

 

「俺クラスのLINE入ってねえし………」

 

「す、すまん………俺が送ってやれば良かったな」

 

全くもってその通りだ。ていうか授業初日から変更とはどういうことだよ

 

「地理の先生が明日急な出張なんだってよ。だから明日のと交換したらしい、ホントすまん」

 

なんだ、そうだったのか

 

「もういいさ。その代わりお前の地理の教科書貸せ」

 

「無茶言うな馬鹿」

 

「なんだとホモ」

 

「ホモじゃねえよ!?」

 

「知ってる」

 

本当にホモかと疑う時はあるけどな。こいつこの前他の男子に「お前笑顔かっこいいなぁ、惚れそうだわ!」とか言ってたし。まあ冗談なんだろうけど

 

「て、てめえ……………ん?おい、見ろよ水無月あれ」

 

「ん?」

 

みっちーが顎をくいっ、とやる。その方向を俺も見る

 

「えぇ〜………アリスも数Ⅱの教科書持ってないのかよ」

 

「今日は変更で無かったのよ。諦めて隣に見せてもらいなさい」

 

「なんか私が図々しいみたいじゃないか。それに隣知らないし」

 

「十分図々しいわよ………」

 

…………また霧雨か。今日はどんだけ霧雨見るんだよ。しかも名前が霧雨かどうかもわからんのに定着し始めちゃってるよ

 

「ありゃあ一組に来た転校生の一人だな。見た目と違って中身はボーイッシュらしい」

 

みっちーが俺の前の席に俺と向かい合うようにして座って説明を始めた

 

「へぇー」

 

「…………相変わらず興味無さそうだな。俺でも見たことの無い美少女達なんだから、水無月も反応すると思ったんだが」

 

「所詮三次元だろ」

 

「またそれを言う………」

 

「お前も昨日同意してたろうが」

 

ギロリ、と睨みながら俺が言うとみっちーは肩を竦めて「昨日はな」と答える

 

「あー!」

 

「「うぉ!?」」

 

いきなり耳元で大声が響いた

 

「なあ、これ数Ⅱの教科書だよな!」

 

「あ、ああ、そうだけど………」

 

こ、こいつ、いつの間に現れたんだ………

 

「貸してくれ!三時間目なんだ!」

 

パンッ!と音を立てて手を合わせる霧雨

 

「わ、わかった。わかったから辞めろ」

 

周りからの視線がすごい。なんか前にも似たようなことがあった気がする

 

「サンキュー!」

 

霧雨はそれだけ言うと俺の腕から教科書をひったくって行ってしまった

 

「…………………え、えぇ〜……」

 

何なんだあいつ………さっき誰かさんが言ってた通り十分図々しいじゃないか。それに知らない奴に見せてもらうのは悪くて貸してもらうのは良いのかよ

 

なんだかあの教科書、返ってこないような気がする。なんでかわからないけどそんな気がする

 

「水無月、ドンマイ」

 

「ドラッ!」

 

「ぶっ!」

 

みっちーがウザかったので叩いておいた。気分はスタンド使いの高校生

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。みっちーが急いで自分の席に戻る

 

はぁ………地理どうするか

 

「あの……」

 

「ん?」

 

非行少女(仮)に声を掛けられた。さっきからチラチラこっちを伺ってたのは話かけるタイミングを見計らってたのだろうか

 

だとしたらもう休み時間は終わったぞ。残念だったな

 

「教科書、一緒に見ますか?」

 

「なん……だと………」

 

まさか地理の教科書を見せてくれると言うのか?何ともありがたい

 

「それじゃ、お言葉に甘えて」

 

「はい、どうぞ」

 

俺は机を寄せて見やすいようにする

 

いやー、助かった。授業初っ端から勉強遅れるとキツイからな

 

机を寄せる時に他の男子からの嫉妬の目線が多かったが俺は気にしない。だってそれよりも勉強優先だもの

 

そして俺は無事に二時間目も乗り切るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「予感的中かよ………」

 

現時刻はPM15:30。完全に放課後だ

 

いつ返しに来るのかと待っていたら結局教科書は放課後になっても返ってこなかった

 

何て奴だ。人に物を借りて返さないとは、あいつの教室まで不機嫌MAXの表情で行ってやる

確か一組とかみっちーが言ってたな………

 

「……………なああんた」

 

一組から出てきた女子に声を掛ける

 

「え?なに………ひぃ!」

 

「このクラスに転校してきた金髪の人に教科書貸してるんだが……」

 

「き、霧雨さんなら帰りましたぁ!す、すいませんでした!」

 

「え?あ、おい」

 

俺が質問したら女子は何故か怯えながら答えて走ってどこかへ行ってしまった

 

「バーカ(コツン」

 

「む………何すんだ」

 

いつの間にか後ろに現れたみっちーに手に持つラケットで軽く頭を小突かれた

 

そう言えばこいつテニス部だったな………

 

「あんな威圧するような態度で聞いたらそりゃビビるだろうが」

 

「そんなに威圧的か?俺って」

 

「目がな」

 

「何と、俺はそんなに目力が強かったのか………」

 

「(腐った魚のような目が更に酷くなるだけなんだが………)まあ、そうだな」

 

しかし、霧雨は帰ってしまったのか。ていうか名前霧雨だったのか。名前もどこかで聞いたことがあったってことか?覚えてないな……

 

仕方ない。明日返してもらうか

 

「じゃあなみっちー。俺は帰るぞ」

 

「おう、じゃあな」

 

俺はみっちーに別れを告げて帰路に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、っと」

 

扉を開き誰もいない空間に言う。もちろん迎えてくれる人はいないわけであるが

 

「さぁって、アニメ見るぞ」

 

本当は買い物に行かなければいけないが、それは夕方でいいだろう

 

俺はノートパソコンの電源を入れ、ヘッドホンを装着した

 

 

 

 

少年アニメ鑑賞中…………

 

 

 

 

「っと、もうこんな時間か。買い物に行かないとな」

 

気付けば18時になっていた。やはり楽しい時間というのは早く過ぎる

 

俺はパソコンをシャットダウンする。財布と買い物用バッグを持って準備完了だ

 

「今日の夕飯は何にしようかな」

 

扉を開いて外に出た俺は階段を下りる。俺が住んでいるのは二階建てのアパートで、俺はその二階に住んでいる。安いアパートにしては防音性が良く、更に部屋は一人より二人で住んでちょうど良い、くらいの広さだ

 

下に下りた俺は中学の頃からお世話になっている自転車で買い物に出掛けた

 

「♪〜♪♪〜」

 

18時になり空も殆ど暗く染まっている、星が見え始めた空を上に見ながらつい鼻歌を歌ってしまう

 

「♪♪〜………ここは」

 

そのまま進んでいると夢で出てきた公園が出てきた。この公園は毎回通っているのでいつもと同じように中を通る

 

「……………!」

 

公園に人影が見えた

 

「おいおい、まさか正夢だったか?」

 

俺はその人影より離れた場所で止まる

 

「……………金髪?」

 

だが、そこにいたのは夢で見た青髪の少女ではなく、その場に蹲る金髪の少女だった

 

金髪で一瞬霧雨を連想してしまうがすぐに振り払う。少女の髪は霧雨程長くない、それにリボンをしている。ハーフか?

 

もし正夢だったのならこの子は青髪のレイヤーちゃんで、その後俺は気絶したらしく霧雨と博麗に助けられる………となるはずだが。正夢じゃなかったか

 

まあ人生そんなもんだ

 

「おい君、どうした?腹でも痛いのか?」

 

取り敢えず腹を押さえて蹲っているので自転車から降りて話しかける

 

「…………お腹、空いた」

 

「あら」

 

思わず態勢を崩してしまった

 

「そうか、だったら早目に家に帰った方が良いぞ。もう日も暮れてるしな」

 

俺はそれだけ告げて自転車に跨ろうとした

 

クイッ

 

「ん?」

 

だが少女に裾を掴まれてしまった

 

「どうしたんだ?もしかしたら一人じゃ家に帰れないのか?」

 

俺はそう問いかけるが少女は黙ったままだ

 

「?おい「ねえ」……なんだ?」

 

「あなたは食べられる人類?」

 

「なに?……っ!?なんだ、これ!」

 

俺の周りを急に黒いもやが覆った。黒いもやは俺を縛り付ける

 

「いただきます」

 

そして少女は浮いたかと思うとそう言って俺の肩を持ち、口をあんぐりと開ける

 

こいつ、まさか俺を食べる気か!?くそ………!

 

「俺は、食いもんじゃあ………ないっ!!」

 

近付いて来た少女の額に思い切りの頭突きをかます

 

「ふぎゃぁ!?」

 

「いってぇ!?」

 

こいつ、なんて硬さだ!?子供の強度じゃねえ!

 

だが頭突きは効いたようで、俺を縛る黒いもやは霧散する

 

俺は距離をとった

 

「つ〜…………なんなんだこいつ」

 

俺も俺で頭が痛い

 

「うぅ〜…………」

 

向こうも同じように頭を押さえている

 

「お前、何が目的だ。しかもさっきの黒いもやな……ん?」

 

俺が少女に問いただそうとした時、少女の上空に光る物が見える

 

「カード………?」

 

それは薄い長方形の形をしている

 

そして、それは少女の体へと吸い込まれて行った

 

「なっ!?」

 

「う、うぁ………」

 

すると少女の雰囲気がガラリと変わった。体を何かどす黒い物が取り巻いている

 

「……………う、あぁぁぁぁ!!」

 

「うわ、うるさっ!」

 

そして絶叫をあげる。思わず耳を塞いだ

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

少女は叫びながら俺に向かってくる

 

「やば………」

 

とても速い。何をしてくるかわからないが、とにかくやばいのは確かだろう

 

「あぁぁ!!」

 

そんなことを考えている間に目の前に来てしまった。少女は俺に拳を振り下ろす

 

ガシィ!

 

だがその拳は、俺に届くことはなかった

 

「大丈夫ですか?」

 

少女の拳を止めたのは、夢で見覚えのある赤毛のロングさんだった。唯一違うと言えば服が中国っぽい

 

「………………あ、はい」

 

少しの間惚けていた俺はすぐに我に返ってそう返した

 

「それは良かったです。咲夜さん!」

 

「言われなくてもわかってるわよ。中国」

 

赤毛のロングさんが誰かの名前を呼ぶ。それと同時に俺の目の前からロングさんは消えていた

 

……………いや、違う

 

「っ!?な、なんで!?」

 

俺が移動していた

 

「あなた、男にしては少し軽いわね。見た目は普通なのに」

 

横にはこれまた夢で見た銀髪さんがいる。何故かメイド服だが

 

「少しここで待っていなさい。すぐ終わるから」

 

状況が掴みきれない俺に銀髪さんはそう言って少女とロングさんの方へ駆け出す

 

「い、いったい何が起こってるんだ!?」

 

俺はただただ、驚愕するしかなかった

 





魔理沙が"忘れ物"をする

和哉が魔理沙に教科書を"貸す"(ひったくられる)

ルーミアに食べられるまえに"頭突き"!!

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