俺と対面するように座る理事長。何だか雰囲気的に足を組んだ方がいいだろうか?よし、組もう
「………やっぱやめよ」
足を組んだのはいいが似合わなかった
周りからの視線が変なものに変わった気がするが俺はそんなの気にしない
「ここは夢幻荘、ということは聞きましたわよね?」
「はい。………まずは昨日、俺に何が起こったのかからお願いします」
「わかりましたわ。………霊夢」
理事長が博麗に声を掛ける。声を掛けられた博麗は面倒臭そうな顔をした
「面倒臭いから掻い摘んで話すわよ。チルノって言う青い髪の子見たわよね」
青い髪の子?………ああ、あのレイヤーちゃんか
「チルノって言うのか。あのレイヤーちゃん」
「レイヤー?まあいいわ。あんたはそのチルノってのに攻撃を受けて気絶したのよ」
「そこで私と霊夢がお前を助けた、ってわけだぜ」
…………ふむ、成る程な
「しかし何故攻撃を受けたんだ?人食い少女にも襲われたが」
レイヤーちゃんは今日会った人食い少女みたいに襲って来たのはわかった。だけどその理由がわからない
「人食い少女……ルーミアね」
「あなたが襲われた理由は私から話しますわ」
急に理事長が割って入って来た
「和哉君。突然なのだけれど、あなたは妖怪や幽霊と言った類のモノを信じ「勿論信じる」………即答ですわね」
「当たり前ですよ。じゃなきゃやってらんない」
それらを信じなきゃ他に信じる物は殆ど無い
「ならば話は速いわ。…………ここ、夢幻荘に住む住人は全員、妖怪や幽霊、妖精、蓬莱人、神、仙人等が住んでいる。または住む予定ですわ」
………………what?
「勿論人間もいますのよ?」
「ナ、ナンダッテー!!」
俺は思わず椅子から立ち上がって叫んでしまった
ば、馬鹿な!!ここは人外の集まりというわけか!?
「え!?じゃあ理事長も妖怪!?霧雨も、博麗も、十六夜さんに紅さんも妖怪!?さっきの人食い少女やレイヤーちゃんも!?」
「私と魔理沙と咲夜は人間よ」
「じゃあ他は妖怪!?」
「チルノは妖精だけどな」
マ、マジか………これはすごい。俺の周りに妖怪がいる……こんな、こんな………!
「いいぃぃぃぃやっほあぁぁぁぁぁぁ!!」
俺はさっきバハムート号が壊れた時よりも大きな声で喜びを叫んだ
「うるさいのよあんた!」
「げぶっ!」
博麗から放たれた光の球が顔面に当たり衝撃が走る。マジで痛い………
「光の………球!なあ、今のどうやって出したんだ!?」
だが痛いのは関係無い。俺は博麗に詰め寄って問いただす
「なあ!なあ!今の教えてくれよ!!」
「ちょ、詰め寄って来るな!何なのよあんた!」
博麗が何か言ってるが気にしない。………そう言えば紅さんも同じようなの放ってたな!
「もしかして、ここにいる全員が同じこと出来るのか!?」
「ええ、出来ますわ」
俺が理事長の方へ向くと理事長は掌に光の球を出現させる
「これの説明も後でするから、まずは説明の続きて行きませんこと?」
「本当ですか!?はい、今すぐしましょうすぐしましょう!」
後で教えてもらえるのか!やったぜ!
俺はガッツポーズをして椅子に座り直す
「それでは次に、私達の目的をお話ししますわ」
「む……」
理事長の雰囲気がガラリと変わった。なので俺も真剣な表情に切り替える
「私達の目的、それは消えた幻想郷の住人を連れ戻すことですわ」
…………?また新しいワードが出てきたな
「幻想郷?」
「…………幻想郷、それは忘れられた存在が集う場所ですわ。現代では妖怪や幽霊は忘れ去られた存在なのです」
「確かに、現代では幽霊の存在は科学現象とかで無いとされてますね。………じゃあ連れ戻す、とは?」
実際科学等では証明出来ない現象もあるような気がするのだが……。いや、全ては科学で証明出来たっけか。まあそんなことはどうでもいい
「私達は元々、幻想郷に住んでいました。私達は妖怪だから、現代では生きられないのです」
成る程、忘れ去られた存在だから現代……と言うのは俺のいる世界だよな?ここでは存在出来ないと言うわけか
「ん?ちょっと待ってください。じゃあなんであんたらは現代にいるんすか?」
おかしいじゃないか。辻褄が合わない
「私達にはとある処置が施されていますが、他の住人はそうはいきません。私達の住んでいるこの街でしか住人達は存在出来ないのです」
「それは何故?」
「私がこの街を覆うように結界を張ったからですわ。それのおかげで存在することが出来、それのおかげで妖怪達が外に出ることも無いのです」
「成る程………続きに戻りましょうか。連れ戻すってことはその幻想郷から妖怪等が現代にやってきたってことですよね」
「ええ、そういうことですわ。それも、この街を限定して………理由はまだわかっていません」
この街を限定して………?何故この街だけなんだ?
「突如力の持つ住人が消えたのです」
「それの理由も………わかってないみたいですね」
理由を尋ねようとしたところ、理事長は顔を顰めた
「消えた幻想郷の住人は必ずこの街のどこかに潜んでいます。それを捜し、連れ戻すべく私達は毎日街を捜索しているのです」
ふむ………肝心な所がわからないなぁ。まあそっちの方が燃えるけど
「なぁるほどね、だいたいわかりましたよ」
様するにこの人達は幻想郷と忘れ去られた存在が集うと言う素晴らしい所から来た。それは幻想郷から消えた妖怪達を連れ戻すため。その妖怪達はこの街のどこかに潜んでいて、この人達はそれを毎日捜索している、とこれまではわかったんだが………
「そう言えばまだ人を襲う理由を聞いてませんでしたね」
「それについては……これに見覚えは?」
理事長はスキマを探り何かを取り出す
それは薄い長方形…………あれは!
「人食い少女の時に見た、カード」
「どうやら見覚えがあるようですわね。このカードは幻想郷の住人の中に入り込み、心の闇を暴走させます」
「へぇ……」
心の闇の暴走、か。何とも物語に多くありそうな展開だ
しかし………解せないな
「人食い少女はカードを取り込む前に襲って来たんですが?」
そこんとこどうなんだ?
「………………」
え?無言?
「まあ、ルーミアだし」
「それはしょうがないんだぜ」
え、えぇ〜………何それ。妖怪だから人を襲うとかそんな感じなの?
「ま、まあいい。当然、それに対抗する策とかはあるんですよね?」
そんなわけわからない物があるなら当然あるだろうな。それをひじょうに知りたい
「ええ、勿論。それがこれですわ」
理事長は次に札を取り出す
「この札は力の依り代です」
「依り代………?」
力の依り代ってことは……あの札には何かが宿ってるってことか?
「この札には私の力が入っています」
「理事長の力がですか?」
「そうです。………この札は所謂私の力そのもの。ここ、現代に来る時に封じ込めた、ここに存在するための策の一つですわ。この札を自分の体に貼ると……」
理事長は札を自分の腕に貼る。するとどうだろうか、理事長の体が光を纏う
そして光の中から出てきた理事長の服装は変わっており、先程の紫の服から変わり真ん中にデカイお札みたいな模様が垂れている服に変わった
「へ、変身……!仮面ライダー理事長と言うわけですか!!」
「いえ仮面はしてないのだけれど……続き良いかしら?」
「あ、はいどうぞ」
熱くなってしまった。話の続きを聞かなければ
「元々私達の中にあるこの力をこの札に封じ込めることで、私達の存在はそこら辺の人間と何ら変わらなくなると言うわけです」
理事長がそう言うとまた光を纏ってさっきの姿に戻る
……………存在が?
「てことは、今の理事長は人間と言うわけで?」
「………言い方が悪かったわね。私達の存在はこの世界には人間として認識させています。ですが、私達の存在そのものは変わっていないのです。ただこの世界にそう認識させているだけですわ」
「ん〜………」
つまりあの札は、理事長達の妖怪としての力を封じ込めているだけでなく、現代に存在出来るようにするための物でもあって………あの札を自分の体に貼ればその力は戻ってくると言うわけか
簡単に言うとコップの中身の飲み物を違うコップに移しるってわけだ。例えコップが違っても飲むことは出来る
「待てよ?だったらなんで博麗や理事長は光る球を出すことが出来たんすか?封じ込めてるんですよね」
「全ての力を封じ込めてしまったら死んでしまいますわ。封じ込めるものは適量で良いのです。この世界で許容される量で……」
「成る程、そう言うことか」
封じ込めている物は生命エネルギーに近い何かと言うわけだ
確かにそれを全部封印しちゃあ死んでしまうよな
「……………話を纏めましょう」
納得した顔をする俺を見て理事長は言う
「私達の目的は突如消えた幻想郷の住人達を捜し出し連れ戻すこと。その際必ずと言って言い程出現するカードの元凶を突き止めることですわ」
「確かに、カードの元凶が幻想郷の人達を消した原因であるかもしれませんからね」
「……………」
ん?何で黙るんだ?
「どうかしましたか?理事長」
「いえ………そうですわね。何にしても、元凶は突き止めなければなりませんわ」
「そっすよねぇ。そこで一つ相談なんですが理事長」
「?なんでしょう?」
きっと今の俺の顔はニコニコとしているだろう。自分でも口角が上がってるのがとてもよくわかる
今から俺が言おうとしていること。もうわかってるよな?
………誰に言ってるかはわからんが
俺は椅子から身を乗り出す
「この件、俺にも一枚噛ませてもらえませんか?」
「……………それは、私達の目的達成の為の手助けをして下さると言うわけかしら?」
「!…………」
いきなり雰囲気変わりやがった。くそ、ズルイだろそれ………威圧感なんて出しやがって
少しだけ驚いてしまった。だがまあそれでも俺の意志は変わらないが
「はい、そう言うことっすよ」
俺は威圧に耐えながらも言い切った。そんな俺を見て理事長はニヤリと笑う
………お?これはOKが出るかm「駄目よ」なに?
「なあ博麗、なんで駄目なんだ?」
俺の問いに答えたのは博麗だった。さっきから他の人達共々静かにしていたと思えば……
「あんたに何が出来んのよ」
む……何が出来るか、と来たか
「俺は野球やってたからそこら辺の石や何やらで遊撃とか………あと色々?」
「巫山戯てるの?これは遊びじゃないのよ」
「わかってるさ」
実際食われそうになったからな。下手すると死ぬことくらいわかってる
「それでも俺はやりたいんだ」
こんなチャンスきっと二度と来ないぞ。どんな無理を通してでも俺は関わってやるからな
「…………口で言ってもわからないようね。紫、どっか広い場所に跳ばして」
跳ばす?何処にだ……
「良いの?霊夢。彼……「好きにさせてやれよ、紫」魔理沙……」
「私も説明だけはしてやっても良いと思ったが、こっち側に来るってのには反対だぜ。他の奴らもそう思ってる」
霧雨は周りを見渡しながら言う。俺もそれにつられて見渡すと全員が俺を複雑な顔で見ていた
…………なんだ?そんなに駄目なことなのかよ
「はぁ………賛成なのは私だけだった、と言うわけね」
理事長は溜息を吐く。あんた話のわかる人だ………
そして再度札を取り出して腕に貼った
「それじゃあ………お二人様、ご案内♪」
そう言って理事長は扇子を振る
「ご案内されま〜…………すぅぅ!?」
ご案内されま〜す♪と返そうとしたらいきなり足下に穴が空いた!なすがままに俺は下に落ちる
「め、目玉!?ここ、スキマか!!」
どうやら穴の正体はスキマらしい。だが……これはどこに繋がってるんだ?
「…………お」
そうこう考えてると出口が見えた
あれ?このまま落ちてるってことは…………着地態勢取らないと駄目じゃないか?
思い立ったが吉日とは誰かが言ったもんだ。俺は着地に対応出来るように態勢を取る
「やっぱ思った通り!!」
出口から出たらそこは広い凹地だった。随分と荒れてる場所だ
「とうっ!」
そして俺は見事に着地した。衝撃が殺しきれなかった………足痛い
「やっぱり巫山戯てるようにしか思えないわね」
「む?」
博麗は先に着いていたようだ。服装がさっきと変わっている。脇と肩を露出した赤い……巫女服か?に身を包んだ博麗が俺の目の前に立っていた
「それがお前が封印してる力か?」
「そうよ。………さて、始めましょうか」
「始める?何を「実力行使」がっ!」
俺の視界がいきなり暗くなる。それと同時に走る衝撃、俺の体が浮くのを感じた
「がっ!ぐぁ、はっ!」
そのまま吹き飛ばされ地面に転がる。体が何度も打ち付けられるが、それよりも顔面の痛みの方が勝っていた
「が………な、何しや、る……」
痛い。ただ純粋に痛みだけが俺を支配した
痛い、痛いいたいイタイイタイ痛いいたい!!なんだこれ!?鼻が折れたんじゃないのか?鼻血が出ている!歯も折れてるかもしれない!
「今のでわかった?あんたが関わろうとしていることは、こういうことなのよ」
「ぐ………い、てえ………」
「痛みで聞こえてないみたいね」
聞こえている。だが今は反応していられないだけだ
俺は痛みに必死に耐えながら立ち上がった
「へぇ、立ち上がるんだ」
「わ、るいか………立ち上がっ、ちゃ……」
視界が歪んでいる。涙が出てるみたいだ
「あんた泣いてるじゃない。わかったでしょ?私達の戦いにはその痛みが着いて回るのよ。諦めなさい」
「……………嫌、だ」
絶え絶えになりながら答える。博麗は呆れてるのか、ボヤけている視界の中、肩を竦めているのがわかった
「俺、は………やっと、見つけ……た!」
そうだ、俺はやっと見つけたんだ
「俺の、せ……界を………変えてくれるモノを!!」
痛みが大分和らいで来た。それにより喋るのもマシになる
「腐った、この俺は!やっと変わろうとしているんだ!!」
俺の叫びにも似た声は、虚しく辺りに響いた
説明を"聞く"
霊夢に"断られる"
和哉の声が"響く"