東方前進録   作:クラッカーV

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叫ぶ→戦う→ぶつけ合う

「…………あんたを、変える?わけがわからないわ」

 

博麗は心底面倒臭そうに言う。その様に腹の底が熱くなるのを感じた

 

「わかるはずないだろ。お前なんかに………」

 

「それもそうね。………で?諦めるつもりは無いってことで良いわけ?」

 

「無論だ!」

 

俺は博麗に向かって走り、腕を振りかぶる

 

「へぇ、やろうっての?」

 

「やられた分はやり返す!例え女でもな!!」

 

まだ鼻は痛むが、血は既に止まっている

何故こんなにも血の止まりが速いのかはどうでもいい

 

「オラァ!」

 

「…………おっそ」

 

俺が振り抜いた拳は博麗に難なく止められる

 

「はず、れない……!」

 

何でこんなに握力が強いんだ!本当に女か!?

 

「実力行使に対して力で応戦するのは良いけど、相手との実力差を考えなさい」

 

「っ!?」

 

拳を掴まれたまま投げ飛ばされる

レイヤーちゃんに攻撃された時のように視界が反転する

 

「ぐはぁ!」

 

そして、空中で腹を蹴られ俺は吹き飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、夢幻荘の食堂

 

食堂へ残った他の面々は、紫がスキマを作り二人の様子を見ていた

 

「あちゃ〜………幾ら何でもそれはやりすぎだぜ霊夢」

 

「容赦の無い攻撃……霊夢さんらしいと言えばらしいですが、相手は一般人なのに」

 

魔理沙は手で顔を覆い、早苗は顔を顰める

 

「あやや、あれは痛そうですねえ」

 

「痛いなんてものじゃ無いでしょ。確実に肋骨が数本折れてわよ」

 

射命丸 文《しゃめいまる あや》は片手に持つカメラのシャッターを切り、それを見ているアリスが肩を竦める

 

「普通の人間なら、折れてるでしょうね」

 

不意に紫がそう言った

 

「…………紫様、それはどういうことでしょう」

 

紫の式である八雲 藍《やくも らん》は九本の尾を僅かに揺らしながら聞く

 

「だって彼、普通じゃないもの」

 

紫のその言葉に、その場の全員が反応した

 

「どういうことなんだぜ?」

 

「それは……「紫様〜」橙。どうしたの?」

 

そこに藍の式の八雲 橙《やくも ちぇん》が、一人の少女を連れて食堂に入ってきた

 

「ルーミアちゃんが起きました!」

 

「…………いい匂いがする。お腹空いた!」

 

食堂に入ってきて第一声、それにその場の全員が脱力する

ルーミアは関係無い、と言うように鼻をヒクつかせながら彷徨う

 

「あれ?」

 

スキマの前で止まった

 

「……………」

 

スキマの中を覗き込み目を細める

 

「どうかしましたか?あ、昨日の残りなら向こうにありますが……」

 

様子の変わったルーミアを魂魄 妖夢《こんぱく ようむ》が訝しげに見る。だがその言葉を聞いたルーミアはすぐに元に戻り反応する

 

「どこ!?ご飯!」

 

「こ、こちらです」

 

理由を聞くことも無く、妖夢は気圧されるように案内した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、地面にボロ雑巾のように転がっていた

 

「か………あ、ぁぁ……」

 

痛い………体中が痛い

 

俺、よく気絶してないよな。こんなに体丈夫だったっけ?………忘れたな。こんなことになったこと無いし

 

立ち上がらないと………

 

「ぉ……ぉぉおおお」

 

何度も転びそうになりながらも立ち上がる

 

「なんでよ」

 

「あ……?」

 

「なんでそんなに立ち上がるのよ。立ち上がってもまた痛めつけられるだけなのよ?」

 

…………そんなことか

 

「さっき、言ったろう………。俺、は……変えるんだ。俺の世界を……!」

 

「それがわけわからないって言ってんのよ。世界を変えるだの何だのと……」

 

それもさっき言ったんだけどな………わかるはずないって

 

「…………あんたはただ意気がってるだけよ」

 

「?」

 

俺が……意気がってる?

 

「現代に来て初めて知ったことだけど、こっちじゃ私達みたいな力を持った人間はまずいないみたいね。感想としては………とても広い人里、って感じ」

 

「それが……なんだ」

 

「あんたは、自分があり得ない現象に出くわしたことで、他の人間とは違った特別な人間だと思い込んでる」

 

「…………は?」

 

何を言ってるんだ?こいつは

 

「周りと自分は違う。そう思い上がって、自分に出来ないことをしようとする」

 

「違う!俺は、自分の望む道を進みたいだけだ!その道を歩むために、俺は「だから、思い上がってんじゃない」なんだと!?」

 

違うんだ。俺はこんなつまらない世の中から逃げ出したいだけなんだ!こんな腐った世界いらない、そう思っているから俺は関わろうと決めたんだ!

 

「勝手な正義感振り回すのはあんたの自由だけどね。それは別のところでやんなさい

あんたみたいなのが居ると「…………今、何て言った」………え?」

 

「お前、今何て言った!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、今何て言った!!」

 

霊夢の言葉を聞いた和哉は今までにない程の鬼気迫る表情で怒鳴る。そして一歩ずつ霊夢へ向かって歩み出した

 

「お前は!今、俺に!!勝手な正義感を振り回していると、そう言ったのか!!」

 

「な、何よ……」

 

完全に雰囲気の変わった和哉に霊夢は少し後ずさる

 

「俺が!!この俺が!!正義感と言うモノで動いていると!そんなモノが俺を動かしていると!そう言ったんだな!?」

 

霊夢の目の前まで来た和哉は霊夢の胸倉を掴む

 

「お前は俺の何を見てそう言った!?お前は俺の何を知ってそんなことを口走りやがった!!」

 

「離しな、さい!」

 

霊夢は無理矢理和哉を振りほどいて突き飛ばす

だがそんなこと構いはしない、とでも言うように和哉は霊夢を睨み付け言う

 

「お前に何がわかるんだ!俺が望むモノを持っているお前に何が!!お前は俺がどう言った気持ちで毎日過ごしていたかわかるのか!?どうやっても手に入らないモノを、どんな気持ちで夢見ていたかわかるのか!?」

 

和哉は嘆くように叫ぶ

 

「毎日毎日、つまらない日々を過ごして!毎日、現実から逃げ続けるしか出来ないこの俺の!何がわかるっていうんだ!!」

 

膝を着き、何度も何度も地面へ拳を叩きつける

 

「何にも希望が持てなくなって!叶えられないモノしか望めなくなって!社会の理不尽に嫌気がさして!思い通りにいかない世の中に嫌気がさして!もう何もかもどうでもよくなって!!

死んだら楽になれるんだろうけど、死ぬのも恐いから自殺も出来なくて!無理矢理世の中に希望を持つようになって!」

 

打ち付ける拳が血に塗れ、それでも叩き続ける

 

「本当は自分でわかってる!!腐ってるのは世界なんかじゃなく、自分だって!そんな俺が!こんな腐った俺が!正義感だと!?ふっざけんじゃねえ!!

俺は自分以外なんかどうだっていい人間なんだ!自分の身近な人を大切にするのも、俺が悲しみたくないからだ!結局自分主義の人間なんだよ!俺が今言ったことだって全部、自分勝手なことでしかない!そんな俺に正義感なんてあるはずがないんだ!」

 

ズガァ!

 

和哉は打ち付ける拳を止める。その最後の一振りは、拳より一回り大きい窪みを作った

 

「はぁ………はぁ……。俺は、自分が変わりたいだけだ」

 

「あんた……….」

 

「なんだよ………」

 

「いや、なんでもないわ。…………ごめん、私あんたのこと何もわかっていないのに、勝手なこと言ってたわ」

 

霊夢は腰に手を着いてそっぽを向くようにして言う

 

「あんたは正義感なんかじゃなく、自分の為だけに動いてる。だったら、これからのことは自己責任よ」

 

「これか……ら?」

 

違和感のある言葉に首を傾げる和哉。その姿を見た霊夢は溜息を吐く

 

「許可してあげるって言ってんの。あんたのその意志に免じて。あんた、どれだけ痛めつけても諦めそうにないから」

 

「ホントか?……ホントに、「でも」?」

 

「自分勝手なことばかり言うあんたには少し腹が立ったから、一回ぶちのめすわ」

 

「は?…………っ!」

 

何かに気付いた和哉は大きく仰け反った。そして、さっきまで和哉の頭があった場所を霊夢の拳が通った

 

「!……へぇ、避けるのね。まぐれ?」

 

「どうだろうな…………そう言えば、俺もお前にやられた分返してなかった……なっ!」

 

和哉は蹴りを放つ。だがその蹴りは片手で受け止められた

 

「(さっきよりも威力が段違いに強い……?)」

 

「(体が軽い。博麗の動きが見易くなってる!)ああぁぁぁぁ!!」

 

素早く足を戻し、ラッシュを叩き込む。霊夢も同じようにラッシュをラッシュで牽制する

 

「あんた、なんで急に強く、なってんのよ!」

 

「なんでだろうな!俺もわからん!」

 

更に打ち合いは激しくなる

 

「……………埒が明かないわね」

 

霊夢は和哉の腕をあらぬ方向へ弾き、距離を取った

 

「これで終わらせるわよ。霊符【夢想封印】!!」

 

「っ!技名………必殺技か!?」

 

懐から取り出した一枚の札が光る。そして次に霊夢の回りに巨大な光の球が現れた

 

それ等は和哉に向かって襲い掛かる

 

「負けるか!!」

 

和哉は拳を引き絞る

 

「(札に封じ込めているのは生命エネルギーか何かのはずだ。だったら、俺にも出来るはず!!名前は…………適当に!)おおぉぉぉぉぉ!!」

 

そして、前へと打ち出した

 

「願符【夢幻解放】!!」

 

和哉が叫ぶと同時に、和哉の回りに霊夢と同じように巨大な光の球が現れた

霊夢の球と和哉の球はぶつかり、押し合う

 

そして、和哉の視界は白へと染まった

 

 




和哉が"叫ぶ"

和哉と霊夢が"戦う"

二人のスペカが"ぶつかる"

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