「…………ん……はっ!」
俺はベッドの上で目を覚ました
「俺は………そうか、あの後押し負けて気絶したのか」
そうだった。あの後、俺の技と博麗の技がぶつかり合って、俺は負けたんだったな
部屋を見渡してみる。何もない部屋だ
外から日差しが入ってきている。まさか、一晩中眠っていたのか!?
「あら、起きたのですわね」
「!………理事長」
部屋に理事長が入ってきた
「おはようございます。和哉君」
「おはようございます」
挨拶されたので返しておく
「今何時かおわかりかしら?」
「いえ……何時ですか?」
「7時50分ですわ」
なん………だと!?
理事長の言葉を聞き俺はベッドから跳ね起きた
「しまった!全然支度してないし……遅刻する!」
「それは理事長として見過ごせません。スキマで家までお送り致しますわ」
マジか!それは何てラッキーなんだ!
「お願いします!」
「はい。それでは………あ、そうそう。これを渡しておきますわ」
「ん?」
理事長は二枚の札を取り出して俺に渡す。この札は………
「スキマを作り出す札と、あなたのスペルカードです」
「…………スペルカード?」
「それは今日の放課後説明しますわ」
今日の放課後?
「と言うことは、学校が終わったらここに来ても良いと言うことですか!?」
「勿論。あなたは昨日、霊夢が許可を出した時から私達の正式な仲間ですわ」
「あ………はい……」
「?」
ん〜………仲間、か。言ってしまうと駄目なんだけども、馴れ合う気ってのが全く無いんだよな
「札、ありがとうございます。それでは」
俺は札を使ってスキマを開く
………これ、空間に貼れるってどういう原理だ?何にしても、スキマの開き方はこれであってるのか
「また放課後に」
そして俺は、スキマの中に入って行った
「何ですか?今の態度」
和哉が出た後、部屋には藍が入ってきた
「…………彼は……可哀想な子ね」
紫は閉じて行くスキマを見て、悲しそうに呟いた
「紫様?」
「さあ、行くわよ藍」
二人の前にスキマが開く
「……はい」
そして、二人はスキマの中へと消えていった
「あ〜、かったるい」
スキマで家まで帰った俺は身支度をして制服に着替え、只今学校に到着し席に座った所だ
どうやらスキマってのはどこからでも俺の家、もしくは夢幻荘に繋がってるらしい。学校にスキマで行こうとしたら繋がらなかった
迷子になっても家に帰れるな、これ
「おはようございます」
「あ?」
不意に隣から声を掛けられた
「え、えっと………(目、目が腐ってる!?昨日はあんなに生き生きしていたのに……)」
ああ、なんだ非行少女(仮)か。てか俺、こいつの名前知らないな
「はよっす」
取り敢えず聞こえる様には挨拶を返しておいた
「あ、はい(挨拶は返してくれるんだ…)」
さて、一時間目は………数Ⅱか。霧雨に教科書返してもらわないと
「なあなあ、今日の宿題プリントやってねえ?」
「………みっちー、霧雨の組は何組だったか」
俺はおはようの挨拶もせずに俺の鞄を漁り始めた馬鹿に聞く。するとみっちーは顔を上げ訝し気に顔を顰めた
「教科書貸してるんだ。一時間目だろ?数Ⅱ」
「ああ、そう言うことか。てか昨日教えなかったか?」
「忘れた」
「ったく、お前は………一組だ。早く行ってこい」
「サンキュー」
みっちーに形だけのお礼をして教室を出る。何故形だけのお礼かと言うと人の鞄を漁る奴に心から感謝する必要は無いってわけだ。因みに俺は宿題プリント何ぞ知らん、ドンマイみっちー
「お!丁度良い所に現れるじゃないか」
教室から出て一組の前まで来ると霧雨が出てきた。右手には俺の教科書を持っている
「こっちのセリフ。次それなんだ、返してくれ」
「おう。悪かったな」
霧雨の手から教科書を手渡された。これで用は済んだ、周りの視線も気になるし帰ろう
俺は踵を返す。すると目の前に見慣れたリボンが躍り出た
「珍しいわね。魔理沙が人に借りた物を返すなんて」
博麗だった
「おいおい、それは無いだろう。私は借りた物は返すぜ、狩った物は返さないけどな」
買った物?アホか、買った物は誰に返すまでも無くお前のだろ
まあいい。目の前に急に現れて驚いたが早く帰ろう
俺は博麗の横をユラリと通り抜ける
「あんた、つまらなそうね」
俺と擦れ違う際、博麗はそう言った
つまらない、ね………
「………何のことやら」
本当に何のことかわからなかったのでこう言うしかなかった
俺がそう言うと博麗は鼻を鳴らす。俺は気にせずに教室へと向かった
「え〜、このX=3はここに代入して……」
「………」
先生の声と、春のそよ風の音、生徒達のヒソヒソ話しか聞こえない教室。俺は黒板に書かれて行く白い文字をノートにゆっくりと書き写して行く
…………ここら辺は簡単だな。問題無い
ノートに黒板の文字を書き写しながら勝手に問題を解いている俺はもう既に理解が出来ていた。数学自体は嫌いじゃない、と言うか得意だ。もう得意過ぎて困るくらい、いやーはっはっはっ!
はぁ………
「早く学校終わらないかな」
俺は肘をついて窓の外を見ながら誰にも聞こえない様に呟いた
「きりーつ」
今週の日直がやる気の無い声で号令を掛ける
只今SHRの終わりである。なに?さっきまで一時間目の授業じゃなかったのかって?キンクリだキンクリ。ほら皆さんご一緒にぃ、キーングクリムゾン!
「れーい」
『ありがとうございました〜』
「よっし、帰るか」
俺は早めに荷物を纏め肩に提げる
今日は早足で帰って夢幻荘へ行かなければいけない。スペルカードと言う物の説明も受けなければいけないからな。楽しみでしょうがない
思わず顔がニヤけてしまう
「水無月〜…………何ニヤけてんだ。目が爛々としてて気持ち悪いぞ」
「黙れ。お前の頭をかち割った後脳みそを綺麗に取って川に流してやろうか」
「何気グロい!?」
「この脳みそ太郎が」
「産まれるの!?脳みそ割ったら俺産まれてくんの!?」
相変わらずうるさいな
「それより、何か用か。俺は用事があるんだ」
「用事って言ってもどうせアニメとゲームだろうが………いや、昨日LINEでよ、日曜に新しいクラスになったってことでパーティしようぜ、って話になったんだけど………どうするよ」
パーティ……?
「行かない。行くよりアニメ観たい」
「だろうな、お前らしい」
ふん、わかってるなら聞くなよ
「じゃあな。また明日」
「ああ、また明日」
俺はみっちーと軽く挨拶を交わして教室を出た
「ただいま」
玄関の鍵を閉め、靴を脱ぎ捨てる
鞄を適当な場所に置いて制服のボタンを外していく
「…………よし、行くか」
ぱっぱと黒いジャージに着替えた俺は制服をハンガーに掛ける
「持っていく物は財布と、ケータイ……イヤホンも持って行くか」
小さいポーチに詰め込んで準備OKだ。ポケットにはスペルカードを、右手にはスキマの札を持つ
俺はスキマを開いて、夢幻荘へと向かった
「あやや、これはこれは。和哉さんじゃありませんか」
スキマから出た俺の目の前に黒髪の女が現れた
てかなんで名前で呼んでんだ。フレンドリー過ぎるだろ
「誰?」
「あぁ、申し遅れました。私は射命丸 文と申します。一応あなたの先輩ですよ」
先輩?ってことは三年生なのか
「これはどうも、先輩でしたか」
出会い頭に誰?は失礼だったな。これからは気を付けなければいけないな
「それで、今日はどういったご用で?」
「これから首を突っ込ませてもらうんで、取り敢えず毎日ここには来ようと思ってますよ。それにどうやら、まだ知らないことがあるみたいですしね。これとか」
俺はスペルカードを取り出し先輩に見せる
「スペルカードですか。昨日はビックリしましたよ〜、まさかいきなりスペカ使うなんて思いませんでした。偶然ってあるんですねぇ、是非記事にしたかったです」
「昨日?…………まさか、昨日のあれ見られてたんですか?」
「はい!終始全部見せてもらいましたよ!」
「oh………何てことだ」
俺のあの叫びが聞かれていたと言うのか…………結構恥ずかしいな。柄にも無く大声も出したし
「…………待てよ。スペカって、スペルカードの略ですよね?俺が使ったって………もしかしてあの技がスペルカードなんですか?」
「技ですか………まあ間違いではないですね。スペルカードとは幻想郷ではあらゆる揉め事を解決する為に行われる、弾幕ごっこに弾幕と一緒に使われる物です」
「弾幕?ごっこ?」
「あなたの言う光る球が弾幕と呼ばれる物です」
ふむふむ、成る程な。あれは弾幕って言うのか
つまりスペカとはその弾幕を強化した………必殺技で良いんだよな、結局
「弾幕ごっことは「文さん。そろそろ行きませんか?………あれ、和哉さん」
先輩の説明を遮って現れたのは飛行少女(仮)。何故お前も俺を名前で呼んでいる
てか今いいとこだったのに………
「もうそんな時間ですか?」
「いえ、今日は大事な話があるから早めに戻って来た方がいいらしいですから。その分早く行こうと」
「わかりました。それでは和哉さんすみません、また今度取材させてくださいね!」
「それでは、ゆっくりして行ってくださいね」
「え?ちょ………」
二人はスキマを開いて何処かに行ってしまった
「…………はぁ」
「溜息はよくありませんわ」
「どわぁ!?」
後ろから急に声を掛けられた。心臓に悪いことをしてくれる………
振り向くとそこには理事長がいた。俺の反応を見てクスクスと笑っている
「それでは、皆が戻ってくる前にやるべきことはやっておきましょう」
「やるべきこと?………っ!?」
俺が首を傾げていると昨日のように足元にスキマが開いた
そのまま落ちて行って昨日、博麗と戦闘した場所へと着地する
目の前には理事長がスキマを椅子のようにして座っていた。あれ、座れるのか………
「ここは………理事長、どう言うことですか」
「和哉君。あなたが私達と共に戦うとなると、必ず習得していなければならないことがあるのです」
「習得していなければならないこと……?へぇ……」
それって弾幕とかのことか?だったら願ったり叶ったりだな。面白そうだ
「まずは………空を飛ぶことから始めましょうか」
「……………はい?」
空を飛ぶ………だと!?めちゃくちゃ面白そうじゃないか!
「さあ、始めましょうか」
理事長の言葉を聞いた俺はテンションMAXになる
「いよっしゃあ!やってやる!!」
俺は左手に右拳をパンッ、と打ち付ける
特訓てわけだな!いいねいいね、いいなおい!燃えて来たぜ!!
和哉が"起きる"
水無月 和哉は"可哀想"
"特訓"が始まる