その日は、普段と変わらない日常だった。
未だに鳥の外道魔女の行方を見つける事はできない。
これまでの戦いで外道魔女はすぐに見つかると思っていたが、案外見つからない。
「それは、普通に見つからないだろ」
「それで、お前はなんで当たり前のようにいるんだ」
俺は目の前で当たり前のように昼食を食べているバンに言う。
それと共に彼は
「お前が変な行動を監視するのも仕事だからな」
「いや、それでカレー食べないでくれる。
私の食べる量が減るじゃない」
「いや、ルカも結構食べているからな」
そう、俺は呆れたように言う。
「それに、そろそろ奴も動き出す」
「動くって、誰だ?」
「それは」
そう言っていると共に何かを感じた。
「これはまさかっ」
「おいっ」
感じた気配と共に、俺はすぐに走っていた。
これまで、幾度も感じた直感と共に走り出す。
「おいっ、まったく、このままじゃやべぇのに」
そう、バンの声が聞こえたが気にせずに向かった。
そうして向かった先には巨大な影が見えた。
その容姿から見ても、おそらくは蛙である事は間違いないだろう。
レーキンへと変身した俺が始めに行ったのは、腕を巨大化させて目の前にいる蛙の契約獣を殴ろうとした。
だが、それよりも早く、蛙の契約獣はその攻撃を簡単に避ける。
軽々と人を超える力を持っているはずの、この巨大で太い拳を避けるなんて芸当が出来るとは思わなかった。
だけど、驚いたのも一瞬の事だった。
俺はすぐに攻撃の軌道を変えて、もう一度拳を振るう。
──―その拳を再びかわす蛙。
ただ、今度の回避はさっきよりも素早かった。
しかも、ただ攻撃を避けるだけではない。
その背中にあるだろうボールをこちらに向けて投げていった。
それ程、勢いはなく、むしろ周りに散らばるように。
放たれたボールが迫る。
だが、そのゆっくりと迫るボールに俺は危機感を覚えた。
すぐに身体を覆うように土の壁を覆う。
それと共に襲い掛かる衝撃。
「ぐっ」
同時に土の壁が崩れながら、俺はそのまま後ろに下がる。
見ると、そこにはボールが落ちたと思われる箇所が爆発したと思われる箇所があった。
「爆弾かよ」
ボールを模した爆弾。
それが蛙の契約獣の攻撃方法だと分かると共に、やはり戦い方を理解している事が分かった。
恐らく、あの蛙の契約者は頭が回るタイプだなと判断する。
しかし、だからといってどうにもならない訳ではない。
確かに手強い相手で、油断するとやられる可能性だってある。
その為には、まずは相手との距離を離さないと話にならない。
そう考えて、俺は土の道を作り上げると同時に、それを一気に駆け出した。
そして、走りながらも右手を突き出し、土の拳を伸ばす。
それに対して、蛙の契約獣は即座に反応して、避ける。
蛙の契約獣の頭上を通り過ぎる魔力弾。
けれど、それは予測済み。
だからこそ、次の瞬間には先ほど作り出した土の道から飛び出して、そのまま空中にいた契約獣に向かって、飛び蹴りを放つ。
宙を蹴ったような感覚とともに、速度を上げて敵に迫る一撃。
しかし、それでもぎりぎりまで引き付けてからの回避行動によって、避けられる。
だが、それで終わりじゃない。
着地と同時に、俺は懐からソザイダマを取り出す。
『ワシ! ロウソク! マゼラレール!』
その音声と共に、俺はその姿を変える。
『レーキン! 無謀な飛行! イカロス!』
その音声と共に、俺の背中からは翼が生える。
その翼は、蝋燭で出来ている為か、ふわふわとしていて頼りない物だった。
「さて、行くぜ」
その言葉と共に、こちらに向けて、再びボール型爆弾を放っていく。
それに対して、背中にある蝋燭の一部をまるで弾丸のように放つ。
放たれた蝋燭の弾丸が爆弾に触れるとその部分を爆発させる。
それによって、軌道が変わった爆弾が向かってくるのを見て、俺は一気に翼を動かす事でその場から離れる。
爆風の風を受けながら、俺はそのまま空を飛ぶ蛙の契約獣に向かって、飛ぶ。
そのまま相手の腹を狙って右足を前に出して蹴りを入れる。
もちろん、そんな攻撃に当たってくれる訳がなく、直ぐに蛙の契約獣は空へと飛んでいた。
そして、そこでお互いが向かい合う形になる。
そのまま俺に向かって、蛙の契約獣は、背中にあるボールを投げようとした。
だが、それよりも俺は蝋燭を真っ直ぐと放つ。
「っ!!」
蝋燭の蝋が、蛙の契約獣の背中を焼ける。
同時に、蛙の契約獣は、ボールを取る事ができない。
『レーキンフルオープン! イカロスストライク!』
同時に上空にて俺の身体を軸に蝋燭の翼で全身を包み、白い錐のような姿となって激しくドリル回転しながら敵に急降下突撃し、蛙の契約獣に激突した。
──ドォンッ!! 激しい音を立ててぶつかり合い、敵の装甲を破壊していく。
そして、それと同時に蛙の契約獣もかなりのダメージを負ったのか、そのまま地面へと墜落していった。
それと共に、俺はソザイダマで蛙の契約獣の力を回収する。
「ふぅ」
ゆっくりと、俺は戦いを終え、そのまま解除しようとした時だった。
カショッ……カショッ……と、特徴的な足音が鳴り、振り返る。
そこには一人の契約獣がいた。
全身は薄いガラスを思わせる全身を身に纏う。
その内部は人間の内臓が僅かに見える。
「お前が噂の錬金の契約獣か」
「お前は?」
「俺はホムンクルスの契約獣。
お前が泥の魔女を解放しようとしているな」
「だとしたら」
「ここで潰す」
その言葉と共に、ホムンクルスの契約獣が襲い掛かる。