ハーメルン・ノベルティック・ライダーズ   作:夢野飛羽真

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2人の契約獣

 外道魔女の眷属を倒す事ができ、無事に釈放する条件を整えた俺達は、さっそく異世界ルフランへと向かう事になった。

 

 これまで、名前だけは聞いた事があるルフランという世界に対して、俺は疑問に思いながらもルカと共にルフランへと訪れる。

 

「ルカ、ここがルフランなのか?」

 

「そうだよ、レンにとっては珍しいと思うよね」

 

 そう、ルカは笑みを浮かべながらも、普段は身に纏っていない魔女の衣装と共に、周りを見せていく。

 

 そこは現代の町に比べたら、少し古く、あえて言うならばハリー・ポッターに出てくる町並みに似ていた。

 

 だが、それよりも気になるのは……

 

「なぁ、ルカ……この建物って何だ?」

 

「それは、お城だよ。私もあまり詳しくないけどね」

 

 その言葉を聞きながら、俺は目の前にある巨大な建物を指差す。

 

 それはまるでヨーロッパにあるような城を思わせて、とても大きく見えていた。

 

 そして、ルカから説明を受けた後で、今度は街を見て回ると、やはり現代とは違う部分が多くあり、特に気になったのは車やバイクではなく馬車だったりする事である。

 

 そんな感じで街中を歩いていると、ルカはある場所で立ち止まる。

 

「着いたよ。

 

 ここにあの人が居るんだ」

 

「えっと、ここか? なんか凄いボロっちいな……」

 

「まぁ、そういう人だからね。でも、悪い人じゃないんだよ」

 

 そうしながら、俺達は牢獄で目的の人物の元へと向かって行く。

 

 牢獄の奥に行けば、行く程、薄暗くなっていく中で、ようやく目的の人物を見つける事が出来た。

 

「久しぶりですね、メタさん」

 

「あぁ、久しぶりだな、レン」

 

 メタは牢屋の中で座りながらこちらを見ると、すぐに視線を逸らす。

 

 どうにもこのメタという人物は、見た目通りの性格ではないらしく、どこかぶっきらぼうな態度を見せていた。

 

 それでも、ルカとは知り合いなのか会話を続ける。

 

「それで、そいつがお前の契約獣なのか?」

 

「はい、そうです! 

 

 私の相棒であるレンです!」

 

「ふーん……」

 

 メタはそのまま見つめる。

 

「まさか、こいつが外道魔女の契約獣を3体も倒すとはな」

 

「でしょでしょ! 

 

 私の自慢です!!」

 

「そうか、にしてもまさか私を釈放するとは。

 

 相変わらず、お前は天才なのにアホなんだな」

 

「むぅ! また、メタはそういう事を言って!! とにかく、早くここから出しますからね!」

 

「止めておけ。

 

 どうやら、奴らにとって、私は邪魔な存在だからな」

 

「そんな事ないですよ!」

 

 そう、ルカは叫ぶ。

 

「確かにメタは甘いものは好きだが、辛いものや苦いものを嫌う。

 

 だがその実、ほとんど家に籠りきりで外の世界の知識は全て本から得た為見た目や言動に反して性格は幼いし、性格は傍若無人でかなり口が悪いです!」

 

「おい、契約獣。

 

 お前の主人は本当に私の親友なのか?」

 

 そう言いながら、俺に向けて、メタは話しかけてきた。

 

「それだけ互いに信頼しているという事だろ」

 

「ふっ……そうかもな。

 

 だが、その信頼が裏切られた時、お前ならどうする?」

 

「……その時になってみないと分からないな」

 

「ふん、そうか」

 

 それからしばらくした後、ルカとメタの会話が終わると、彼女はこちらに向ける。

 

「まぁ良い。

 

 それに、私がここから釈放されないのは、私が見た物に関係しているからな」

 

「見た物? 

 

 それって、メタが世界中を沼で埋め尽くそうとした計画の事?」

 

 あまりにも軽く言うが、それはかなり世界でも危機的状況じゃないのか? 

 

「あぁ、それをやっている時だ。

 

 私は偶然だが、ある奴を見つけた」

 

「ある奴?」

 

 それに、俺は首を傾げる。

 

「外道の魔女だよ」

 

「外道の魔女って、それって蜘蛛達の事?」

 

「違うな。

 

 外道魔女はそもそも幹部などいない。

 

 お前達が全て倒した契約獣は全て奴1人で契約している」

 

「なっ」

 

 これまで戦ってきた外道魔女の契約獣達。

 

 それはこれまで1人につき1体の契約という方程式を覆す衝撃だった。

 

「でも、なんで外道の魔女を見つけた事で掴まったのっ!」

 

「外道の魔女は、この世界の外道。

 

 つまりは人間のあらゆる負の魔法を使える。

 

 そんな奴の封印場所を私のような問題児が見つかれば、何かされる可能性がある」

 

「えっと……」

 

 その言葉にルカは困った表情を浮かべると、隣にいたレンが代わりに喋る。

 

「そういう理由で捕まえられて、ずっとここにいる訳ですね」

 

「あぁ、そうだ」

 

「でも、封印場所を見つけただけで、そんな問題になんて」

 

「そもそも、なぜそこにいる奴の世界で契約獣が暴れているのか、知っているのか?」

 

「えっ?」

 

 それに、俺もルカも思わず首を傾げる。

 

「いずれ封印が解かれる外道の魔女から逃れる為の侵略だよ」

 

「そんなっ」

 

 その事実に、俺も、そしてルカも驚きを隠せなかった。

 

「なんで、そんな事をっ!」

 

「移住を行う為には、住む場所を増やす必要がある。

 

 現地の人間が邪魔な場合は契約した契約獣で殺していく」

 

「それだったら、なんでその契約獣と戦う魔女もいるのっ!」

 

「お前のように何も知らない奴らが戦えば、向こうの世界も友好的だと思う。

 

 つまりはマッチポンプを狙った動きがあるんだよ」

 

 メタの口から語られる真実に、俺達は驚くしかなかった。

 

 まさか、あの蜘蛛達が自分達の都合で世界を滅ぼそうとしていたとは。

 

 そう考えていると共に、地震が起きる。

 

 地面が大きく揺れて、立っている事も困難だ。

 

 やがて、地震が収まると共に、街の外から悲鳴が聞こえる。

 

「一体何がっ」

 

「まさか、復活したのか」

 

 メタの言葉に疑問に思う。

 

「外道の魔女が出てきたんだよ」

 

「っレン!」

 

「あぁ、変身!」

 

 ルカの言葉と共に、俺はすぐに仮面ライダーレーキンへと変身し、そのままメタの牢屋を外した。

 

 同時にそのまますぐに外へと出る。

 

「なに、あれ」

 

 外へと出ると共に見えたのは、不気味な存在だった。

 

 様々な負の感情が入り交じった巨大な女性の顔が地面から出てきており、頭から伸びている足のような物は髪の毛だった。

 

 その髪の毛から歪な動物のような形になりながら、街を破壊していた。

 

「あれが、外道の魔女っ」

 

「あぁ、人間の負の感情を全て一つにした存在だよ」

 

「だったら、すぐに止める!」

 

「レンっ!」

 

 俺はすぐに地面を滑りながら、真っ直ぐと外道の魔女に向かって、突っ込む。

 

 周りの地面から巨大な土の拳を作り、そのまま外道の魔女に向けて、叩き込む。

 

 しかし、こちらの存在を気づいた外道の魔女は、その髪の毛を別の生き物の形へと変える。

 

「こいつはっ!」

 

 外道の魔女の髪の毛が変化したのは猿の契約獣だった。

 

 猿の契約獣はそのまま俺の放った拳を避け、そのまま殴りかかる。

 

 咄嵯に腕を使ってガードするが、衝撃を殺しきれずに大きく吹き飛ばされる。

 

 どうにか空中で体勢を整えた瞬間には、もう次の攻撃が迫ってきていた。

 

 それはまるでザリガニを人型にした姿の契約獣へと変わり、俺に向けて巨大な鋏を向けてくる。

 

 それをギリギリの所で避けたが、地面にぶつかった鋏が地面を大きく砕き、大きな穴を作った。

 

 だが、それと同時に外道の魔女の攻撃も未だに終わりが見えない。

 

 その髪の毛は次々と様々な契約獣へと姿を変え、俺に襲いかかってくる。

 

 その数は多く、対処するには少しばかり骨が折れそうだ。

 

 

 

 そんな事を思いながらも、俺は迫り来る攻撃をどうにか回避する。

 

 だが、それも長くは続かない。

 

 いくら回避しても次から次に新しい契約獣が生まれていき、一向に減らないのだ。

 

 そして、ついに外道の魔女本体からも、新たな契約獣が生まれる。

 

 それは狸のような姿をしており、太い豪腕と太鼓が埋め込まれた腹が特徴的な契約獣だ。

 

 その契約獣の豪腕によって、俺はそのまま吹き飛ばされる。

 

「ちっ」

 

 吹き飛ばされ、本当だったら、襲い掛かるはずの衝撃。

 

 だが、その衝撃は来なかった。

 

 見れば、メタが俺に落ちるはずだった地面を沼に変えていた。

 

 それによって、衝撃は完全に殺されている。

 

「ボロボロじゃないか」

 

「まだまだっなんとかできるさっ」

 

 そう言いながら、俺はなんとか立ち上がる。

 

「なぜ、そこまで戦おうとする」

 

「んっ?」

 

 それと共に、メタが俺に尋ねてくる。

 

「なんでって、ここの人達を守る為だよ」

 

「だが、お前の世界を無茶苦茶にしようとした連中でもある。

 

 そんな奴を助ける意味が、果たしてあるのか?」

 

 確かにこの世界では色々とあった。

 

 だが、それでもこの世界の人は悪い人だけじゃないはずだ。

 

 少なくとも、ルカみたいに良い人もいるはずなんだ。

 

「それに……」

 

「それに?」

 

「もしも、俺が知っているヒーローである仮面ライダーだったら、そんな理由で見捨てないからな」

 

 俺はそう、言いながら、立ち上がる。

 

「……まったく、貴様は馬鹿な奴だな」

 

「いや、確かに馬鹿だけど」

 

 俺はそう言いながら、思わずルカに言う。

 

「だが、そんな馬鹿ならば、これからやる馬鹿げた方法に乗る可能性もあるな」

 

「馬鹿げた方法?」

 

 俺はそれに疑問で首を傾げる。

 

「私と契約しろ」

 

 そうメタは俺に向けて言う。

 

「契約って、俺は既にメタと契約しているんだけど」

 

「あぁ、そうだな。

 

 だが、契約獣が複数の魔女と契約しては駄目というルールなどない」

 

「それは、そうかもしれないけど」

 

「まぁ、決めるのは、お前次第だがな」

 

 メタはそう言いながら、不敵な笑みを浮かべる。

 

 俺は思わず、迷っていると。

 

「レン、やろうよ!」

 

「ルカ」

 

 すぐ傍で、ルカが俺に話しかける。

 

「良いのか?」

 

「まぁ、普通契約獣が他の魔女と契約するなんて、夫が浮気するぐらい最低な行為だけど、私はメタの事も大好きだから! 全然平気だよ!」

 

「そういう事だ。

 

 さぁ、どうする、やるのか? 

 

 やらないのか?」

 

 その言葉に対して、俺は一瞬、迷うが。

 

「あぁ、やってやるさ!」

 

 その言葉と共に、俺は手を前に伸ばす。

 

 同時に満足したように、メタは俺の手を重ねる。

 

「さぁ、これから、お前は私の契約獣だ。

 

 私、沼の魔女であるメタ」

 

「そして、錬金の魔女であるルカ!」

 

「「2人の魔女と契約せし、契約獣! その名も!」」

 

 その叫び声と共に、俺の身体に大きな変化が起きる。

 

 これまでのゴーレムを思わせるその姿は丸く重厚な黒い鎧と白と内側の青色のマントを付けた騎士を思わせる姿へと変わっていた。

 

 身体のあらゆる箇所には錬金術を思わせる模様が描かれている。

 

「……これは?」

 

「これが、今のお前の姿だ」

 

 メタの言葉を聞きながら、俺は自分の姿を見ていると。

 

「底のない沼のように、限界のない錬金が行える。

 

 その名は仮面ライダーレーキン・オリジンとしておこう」

 

「オリジン、なんだか格好良いし、それで良いな」

 

 同時に俺はそのまま外道の魔女へと見つめる。

 

「さぁ、勝利を錬金するぜ」

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