組織と再び戦う事になった俺だが、それでも何時ものメロンパン屋での日常は変わりない。
「よっしゃぁ!今日も良い感じに焼き上がった!!」
「あんた、結構五月蠅いわね」
そんな俺の日常に現れるように新たな人物もいる。
その人物の名は沢渡アカネ。
年齢としては、高校生ぐらいだが、その冷たい目に俺は思わず呆れる。
「お前な、なんでここにいるんだよ」
「別に。
組織の情報が来たら、すぐにあんたには働いて貰わないと困るから」
そう言いながら、沢渡はスマホを見ながら、こちらを見ようとしない。
俺が組織と再び戦うきっかけとなってしまった沢渡だが、1週間は過ごしたが、未だに分からない事ばかりだ。
それでも、無碍にする事はできず、俺はそのまま次のメロンパンを焼こうとした。
「あれ?」
そんな俺は、ふとベンチを見る。
ふらふらと歩きながら、まるで倒れ込むように座る人物。
彼は確か。
「佐藤さんか?」
少し前からいなくなった佐藤さんだった。
彼は普段はサラリーマンとして働いており、真面目な性格だ。
俺の店にも、時々メロンパンを買っているお得意様だが、様子が可笑しい。
「佐藤さん、大丈夫か?」
俺はその疑問と共に佐藤さんに話しかける。
すると、先程まで虚ろだった目で、ゆっくりとこちらを見つめる。
「あれ、ここは?
というよりも、瓜生君なのか?」
「大丈夫ですか?」
明らかに様子が可笑しい。顔色は悪く、目は血走っている。
まるで何かに取り憑かれているようだ。
そして何より、彼の言葉使いもおかしい。
まるで別人のように変わっていた。
「一体どうなっているんだ……」
そう思いながらも、彼に事情を聴くことにした。
しかし、話を聞いてみると、やはりというべきか。
病院の話ばかりするのだ。
だが、聞いてみると、明らかに異常だ。
事の経緯はこうだ。
どうやら、佐藤さんは野上という犯罪者に間違えられて精神病院に入れられたらしい。
何度も自分は野上では無いと訴えるが聞く気が無い異常な職員達に「佐藤さんね、正常正常」等の暴言を吐かれた挙句自分は野上では無いという訴えを精神異常者の発狂と誤認され薬漬けにされ自我が崩壊しかける。
最終的に解放されるのだが自我崩壊寸前の交渉により誤認逮捕と名誉毀損等の慰謝料を正当に支払われずに、ここに来た記憶は僅かだ。
「ごめんな、瓜生さんにこんな事を言って」
「気にしないでください。
それよりも、メロンパンを良かったら」
「あぁ、久し振りのまともな飯だぁ」
そう、涙を流しながら佐藤さんは言う。
「さて、それじゃ、少し行きますか」
そう、俺は佐藤さんを少し慰めた後、彼が行ったという精神病院へと向かう事にする。
「あんた、行くつもりなの」
「あぁ、さすがに異常だからな」
俺の言葉に対して沢渡と共に向かう。
精神病院として、機能しているのか?
明らかに人権を無視するような所に、俺はそのまま病院に向かう。
その病院は、山奥の閉鎖病院。
周りには逃げ場などないように思えた。
そして、病院に入れば、あちらこちらから不気味で異常な声が響いていく。
中には、自分で眼球を二つを「いらない」と言う理由で摘出する奴までいる。
そんな異常な光景に対して、思わず戦慄する。
「本当に病院として、機能しているのかよ」
「ある意味、実験場としての方が正しいかもしれないね」
そう言って沢渡は冷静に呟く。
確かに、こんな異常な光景の中で、どんな事があっても問題ない。
そういう意味では、胸糞悪い。
「さて、ここの院長を探すか」
俺と沢渡はそのまま目的の人物を探すように歩く。
なるべく目撃者のないように、慎重に。
そうして辿り着いた先には一つの部屋。
そこには、気味の悪い奴がいた。
「キヒヒッ、この薬を売れば、ヒヒッ」
「あれは、まさか」
「薬だね」
それは、裏で出回っている麻薬。
その花だ。
まさか、ここは麻薬の製造所でもあるのか。
「その為の実験所か。
という事は奴は」
「あぁ、どうやら植物に関係する奴のようだね」
「とりあえず、奴は潰す」
その言葉と共に、俺はそのまま地面に降り立つ。
それと共にこちらに気づいた。
「だっ誰だ、お前はっ」
「この病院を燃やす親切な人ですよぉ」
その言葉と共に俺はそのままアサシンドライバーを腰に回し、そのままバックルを装填する。
「変身」『Kamen-rider-SiSi!AkoARMOUR』
その音声と共に、俺は死使へと変身する。
「こっこんな所で、死ねるか」
その言葉と共に奴は、その体が変わる。
姿は、まるで植物に、その各部には花が生えている。
だが、同時に気味の悪い印象の業モンだ。
『……』
業モンは、無言のまま右手を構える。
同時に、その身に宿ったツタが俺に襲い掛かる。
「……ッ!!」
俺はそれを横に跳んで避けながら、腰にある日本刀で切り裂く。
相手は後ろに跳び退り、そして手に持っていた蔦を鞭のように奮う。
俺はそれも難なく避ける。相手の武器はそれだけだ。
しかし、油断はできない。
蔦を変幻自在に操る業モンに対して、俺はただひたすら逃げていた。
逃げることしかできないのだ。
だって蔦とかムカデみたいな虫みたいに気持ち悪い。
それと共に、俺は負ける為に逃げる訳じゃない。
少しずつ、業モンに近づきつつ、必殺の一撃を繰り出すタイミングを見計らう。
「私はここでいずれトップになるんだぁ!!」
「あっそ、じゃあ、そのままハイになって、落ちてな」
その言葉と共に日本刀を鞘に納めながら、そのまま居合斬りで切り裂く。
「ぐっ、そんな一撃だけで」
「誰が一撃だ」
―――それはまるで……雨のような斬撃だった。
俺の持つ日本刀から放たれた無数の刃が、業モンに向かって降り注ぐ。
それによって、業モンは瞬く間に切り刻まれ、そして。
「ふぅ」
それが戦いの終了を合図した。
「にしても、こんなやばい奴がトップじゃな。
いや、トップじゃなくても、腐っているのか」
「病院は誰かの傷を癒す為の場所でね」
そう、沢渡は未だに無表情ながらも溜息を吐く。
「とにかく、あとはこの情報をマスコミでばらまくぞ」
それだけ言い、俺は事務所にある資料を取り、そのまま出ていく。
そうして、俺の資料をマスコミにばらまいた。
佐藤さんの話から聞いても、警察に渡しても無駄だ。
そうして、バラまかれた資料によって、精神病院は潰れた。
その精神病院にいた患者は別の病院へと移送されました。
しかし、また別の精神病棟に移されただけでした。
だが、それが正解かどうかは分からない。
それでも
「なんだか、少しすっきりしたような気がします」
佐藤さんは、そのまま警察から謝罪を受けた。
あまりにも理不尽な目にあっていたあの人が少しでも浮かばれば良い。
「さて、たぶん、そろそろだな」
「そろそろって」
「組織から刺客が来る」
その言葉に、俺は覚悟を決めなければいけないようだ。