ハーメルン・ノベルティック・ライダーズ   作:夢野飛羽真

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前回同様
クローズ&エボルのヒーローアカデミアの劇場版です。
今回はいよいよあのライダーが登場!?

https://syosetu.org/novel/265675/


劇場版 クローズ&エボルのヒーローアカデミア ピースサイン2

(エボルト視点)

 

「牙竜さんの様子は…」

 

『まだ起きてねえな。』

 

謎のライダー及び一緒に攻めてきたヴィランが一時撤退した後、俺達も町の工場に全島民を避難させて手当や給仕を行っている。俺は何とかグリードを倒すことが出来たが、牙竜と出久は重傷。

容態を聞きに来た八百万も道具創造しまくってるせいか少ししんどそうだ。

 

『お前もあまり無理するな。お前が倒れたらアイツが安心して起きれねえ。』

 

「ええ、ですがこんなところで手を止めるわけにはいきませんわ。」

 

八百万は頑張り屋さんだからこういう時に無理が祟っちまう。

後で飯でも分けてやらねえとな。

 

『さて、牙竜はどうだ?』

 

さて、他の奴らが忙しくしてる間にもアイツの横に居てやるのは俺の役目だ。

 

「まだ回復し切っていないみたい…」

 

出久は既に目を覚ましてはいるが牙竜はまだ回復していない。

 

「あ、あのっ…」

 

牙竜の様子を見ていたら治療室に1組の姉弟が入って来る。

さっき助けに行ったときに牙竜達と一緒にいた奴らで、確か島乃真幌と活真って言ってたな。

 

「もしかしたら僕の個性でそのお兄さんを治せるかもしれない!」

 

『それは本当か?』

 

「うん!僕もお兄ちゃん達の役に立ちたいから…」

 

『分かった。こいつの事頼んだぜ。』

 

俺が許可を出すと活真が牙竜に触れると、緑色のオーラがその身を包む。

 

「活真の個性は細胞活性なの。回復にすごく向いてる個性ね。」

 

『なるほど、中々ヒーローらしい個性じゃねえか。』

 

回復の個性を持つヒーローは救助の時に有難い存在だ。リカバリーガールや銃士のタドルレガシーは活躍の場が広いだろうな。

それは勿論この活真って奴も一緒かも知れない。

 

「けど僕…回復しかできないし…戦えないし…」

 

『それでも誰かの役に立てる。それだけでも十分だ。今俺達の中にも必死にサポートの為に動いている奴もいる。戦うだけがヒーローじゃないぜ。』

 

サポート的な面で救助活動に貢献するのも立派なヒーローだ。

 

「活真…あまり無理はしないで……」

 

「大丈夫…」

 

つっても牙竜の傷こそ治ってきているが、活真は既に体力の限界を迎えそうだ。

 

「んん…ここは……」

 

そう思っていた時、ようやく牙竜が目を覚ましやがった。

 

『ようやく起きやがったか。コイツが治してくれたんだぜ。』

 

「そうか、ありがとな!」

 

「ううん、どういたしまして」

 

牙竜の体力は十分に回復した様で起き上がり活真にニッと笑顔を見せる。

 

『さて、牙竜。戦いはまだ終わってねえぜ。』

 

「分かってる。まずはあのクソライダーブッ飛ばす!」

 

(3人称視点)

 

「牙竜君!?身体はもう大丈夫なのかい?」

 

「ああ、活真のお陰で完全復活だ!もう心配すんな。」

 

「良かったですわ!牙竜さん!」

 

目を覚まし、工場の事務室にやって来た牙竜の周りに飯田や八百万が集まる。

皆が心配こそしていたが、牙竜の身体はほとんど快復しており彼の言葉通り心配は無用である。

 

「で、とりあえずこっからどうする。アイツまだ島にいるんだろ?」

 

『アイツっていうかアイツらだな……』

 

しかしながら、現状雄英高校A組の戦況は良くない。

クローズとビルドを圧倒した仮面ライダーV9に加え轟と交戦したザイアとエボルにグリード軍団を派遣した古代王仮面ライダーオーズが敵陣営にいる。爆豪らがファルシオン・アメイジングセイレーンを倒す事こそできたが手強い相手が未だに彼らを狙っている。

 

「その件なら話は早い。私を囮に使いなさい。」

 

その話に島民の堀内が口を挟む。

 

「囮って……」

 

「奴らの狙いは私だ。的には私だけを狙わせればいい。」

 

菅野らが狙っているのは堀内だ。彼自身が囮になることで他の島民を危険から逸らすことも不可能ではない。

 

「そう言うわけにはいきませんわ!」

 

「ええ、一般の方を囮になんて……」

 

「私は一般の人ではない…私は嘗て…オールフォーワンの下で働いていた!ショッカーの科学者だったんだ!」

 

堀内がショッカーで働いていたという経歴が明らかになった時、生徒達は一気に静まり返った。

 

「ショッカーにいたってどういう…」

 

「ああ、私の個性は他の世界の観察だ。私は嘗て個性を活かして平行世界を研究する科学者だったんだ。だが、私の研究には誰も興味を持たず大学からも研究費を渡されなくなってしまっていた…そんな中私に資金援助をしてくれたのがオールフォーワンだった。」

 

超常社会になってからというものの科学は個性に関する物やヒーローのサポートアイテム関連のものばかりがスポットライトを浴びていた。

その一方で多くの研究分野が廃れてしまっており、平行世界に関する研究に出される資金はびた一文も無かった。

 

『なるほどな。それで?』

 

「私は平行世界間を移動できる平行世界ゲートを開発したのだが…それが間違いだった!ゲートを超えて他の世界の悪意がこの世界に来てしまった……」

 

『それがアークとショッカーか。』

 

そしてそのアークとオールフォーワンが結びついたことでこの世界にも悪の組織ショッカーが誕生してしまったのである。

 

「その後私はショッカーから逃げて生まれ育ったこの島に潜伏していた…しかし、同じショッカーの科学者菅野にこの場を嗅ぎ付けられてしまったそうだ。これ以上島民は巻き込めない!私が犠牲に……」

 

「わりいけど、俺は却下だ。」

 

堀内が平行世界ゲートを作っていなければ神野が甚大な被害を受けることもなかった。

この件に関しては堀内に責任はあるが、その責任を問うのは牙竜達の仕事ではない。

 

「その辺の話は全部公安とかがケリを付ける問題だ。俺達がやるべきことはまずはアンタ含め島民全員を守り切ることだ!」

 

「ええ、そうですとも!それがヒーローの役目ですから。」

 

「そこまで言うなら囮は無しでいい!ただ、ここの島民は守ってくれ!」

 

牙竜や百の言葉に負け、堀内は深々と頭を下げる。この島の住民にこれ以上危害を与えられることは堀内にとって一番望ましくないことだ。

 

「ああ、当然だ。」

 

『全員守り切る。いけるな?お前ら』

 

「勿論!」

 

「当たり前だ!」

 

「俺達に任せろ。」

 

ヒーローとしての使命、堀内の願い

 

「ああ、この島の人達にはお世話になったからな。」

 

「高橋さんのお刺身、またいただきたいですわ!」

 

そしてここの島民たちへの思いから牙竜だけでなく出久、爆豪、轟らA組生徒が立ち上がる。

 

「で、エボルト。作戦はどうする?」

 

『敵の数は不明。どこから新手が湧いてきて奇襲されるかは分からない。お互い助け合えるように一か所で固まって全員守り切るのが得策だ。』

 

だがしかし、敵は手強い。そう簡単に倒せる相手ではないため作戦は慎重に立てなければいけない状況だ。特に分散して各個撃破されてしまうリスクも考えられる。

 

「それならもう1つ言っておかなければいけないことがある。」

 

『どうした?』

 

「実は少し離れた島の古城跡に平行世界ゲートの試作機を隠してある…もし敵がそこを狙うなら……」

 

『そうか、となると島民をそこに集めて守り切るか。古城の地形を上手く使わないとな。』

 

平行世界ゲートが再び悪の陣営の手に落ちてしまえば、新たな脅威を呼び寄せられて再び大きな被害を及ぼしてしまうだろう。

 

「その島で守り切るってのは分かった。問題は敵をどうするかだ。」

 

爆豪の言う通り、問題はどのようにV9と戦うかだ。強力な個性を持つ彼に加えてザイア達をどのように古城で倒すかだ。

 

「確かあの時、負担が大きかったって言ってたよね…」

 

その時ふと出久はV9達が撤退した時のことを思い出していた。

 

「確かにアイツの能力1つ1つは強力だった…けど使う時に身体に負担がかかるなら……」

 

「長期戦に持ち込めば勝てるってことか!」

 

「そう!牙竜君の言う通りだよ!」

 

出久達と戦ったV9が披露した個性は天候操作、反射、使い魔、爪銃とどれも強力なものである。

しかしながらそれらを始めとした強力な個性を有する影響でV9の身体には大きな負担がかかってしまっている。

そのことが分かれば長期戦に持ち込むのが最適だろう。

他の敵との戦いに備えた陣容、V9を倒すための作戦がA組生徒全員で話し合われていく。

 

『よし、大体やることは見えてきたな。』

 

「ああ、この戦いに勝って島民の皆さんを守り抜こう!雄英高校1年A組!全員出動!!!」

 

「「「Pius Ultra!」」」

 

そして飯田の声と共に各々が戦いに備える。

街の住民や家畜の避難、備品の整理、古城跡の把握に動く。

 

そんな中、エボルトは3人の男と言葉を交わしていた。

 

『お前達3人の専用アイテム、ようやく調整が終わったぜ。』

 

話の相手は出久、爆豪、轟の3人だった。

 

「遂に使う時が来たんですね…」

 

『ああ、緊急事態だからな。今が一番の使い時だ。』

 

エボルトが掌を出して上に向けるとその上にパンドラボックスが現れる。

 

『これがそれぞれのアイテムだ。しっかり使い方も理解しておけ。』

 

パンドラボックスから3つの光の塊が出てきてそれぞれの手に収まる。

 

『そしてこの戦いにしっかり勝てよ。』

 

「はい!」

 

「当たり前だ!どんな奴が来ようとぶっ潰す!」

 

「ここを守り切ってみせる!」

 

3人は決意を胸にその場から去り、各々のすべきことをしに行く。

 

「あの!エボルトさん!」

 

その様子を見ていたエボルトの背後から今度は八百万が話しかける。

 

『何の用だ?』

 

「その…私も緑谷さんや轟さんの様にもっと牙竜さんのことをお支えしたいです!」

 

『つまりはお前も仮面ライダーになりたいってことか…』

 

「ええ…その通りです…」

 

『当たりか。』

 

これまで八百万は牙竜やエボルト達に守られることの方が多かった。

神野の時も病院から中継で様子を見守ることしかできなかった。仮面ライダーに変身できないから、いつも自分はおいて行かれてしまう。そんな劣等感を彼女は抱いていた。

 

『俺は構わねえ。幸い相澤センセにでも使わそうと思って調整していたモンがある。お前のヒーローとしての覚悟も牙竜を支えたいって気持ちも俺は認めてる。』

 

「ありがとうございます!」

 

『ただなあ、こんなことしたら俺は牙竜に何を言われるか…』

 

「それはどういうことですか…?」

 

少し困ったようにエボルトは言葉を続ける。

 

『仮面ライダーとして戦い続けることの大変さをアイツは1番よく分かっている。だからこそお前にそんな負担を強いたくない。それがアイツの気持ちなんだ。一般のヒーローよりもよっぽどキツイぜ、仮面ライダーになるのは…』

 

「それが牙竜さんの気持ち…」

 

『ああ、けど俺はお前の気持ちを尊重もしたいだから俺にできるのはこれだけだ。』

 

そう言うとベルトと2本のボトルを八百万に投げ渡す。

 

『変身用のアイテムだ。これを渡してはおく。ただこの後どうするかはお前が決めろ。』

 

「はい!」

 

『けどまずは島民の避難の指揮に戻れ。そういう場面でもお前は輝けるからな…』

 

そして一晩超えて翌朝

 

「ナイン、あの古城に平行世界ゲートがある。アレを確保すれば再び…」

 

「ああ、その奪取が今回の目的の一つだろう?」

 

島の北西には城跡が残る小さな孤島があり、そこに向けて菅野、仮面ライダーV9そして召喚された仮面ライダーザイアと古代王仮面ライダーオーズがその場に向かっている。

 

「さあて…来やがったな!」

 

その様子を古城跡の上から牙竜達が見ている。

 

「敵は3人、作戦通り3手に分かれますわ!」

 

「ああ、百、青山頼んだぜ!」

 

「わかりましたわ!」

 

「メルシー」

 

牙竜が指示すると八百万が大砲、青山がへそのレーザーを構える。

 

『今だ…撃て!』

 

「Can't stop twinkling! Super nova!」

 

敵が小島に到着した時、エボルトの指示で大砲と青山の最大火力のレーザーが足場に向けて放たれる。

 

「分断狙いか…」

 

足場が崩れ、ザイアと古代王オーズはV9達から引き離される。

 

「もう…限界……」

 

「青山さん!」

 

しかし最大火力を出し切った青山は腹の痛みからか倒れこんでしまう。

 

「ありがとよ、青山。後は俺達に任せろ!」

 

敵のライダー達が3箇所に分断されたのに対し、A組生徒達もそれぞれが倒すべき敵の下に向かう。

 

「さて、昨日の続きを始めようか。」

 

川辺に落ちたザイアの足元が凍り付く。

 

「轟君!切島君!梅雨ちゃん君!まずはこの敵を倒して牙竜君達に繋ごう!」

 

その周囲を飯田、蛙水、キャッスルハードスマッシュに変身した切島、そして仮面ライダーローグに変身中の轟が取り囲む。

 

「来るぞ!」

 

「おう!」

 

氷を突き破って彼らに攻撃しようとするザイアの進路をキャッスルが咄嗟に防ぐ。

 

「クッ…!」

 

キャッスルの盾に向けてザイアが拳を撃ち込むとその衝撃が切島自身にまで伝わってくる。

 

「コイツ…硬え!」

 

「いや、アイツは今の一瞬でお前の個性をコピーして使いやがったんだ…」

 

「ちょっと触れただけでコピーされんのかよ!」

 

「その辺は物間ちゃんとも似たような感じね…」

 

キャッスルが守りに入った時、切島は咄嗟に自身の個性である硬化を使いながら防御をしていた。

その切島に直接触れたザイアは一瞬で硬化をコピーしてその状態の拳でキャッスルハードスマッシュを殴っていたのだ。

 

「触れられるだけで厄介ね。」

 

「ああ、一体どうすれば…」

 

「なあ、もし仮にだがアイツが物間とは違って一度に保有できる個性が1つだけだったとしたら…」

 

雄英高校には彼らA組だけでなく牙竜の幼馴染でもある甲斐銃士属するB組もおり、そこには他人の個性をコピーできる物間寧人という生徒がいる。彼の個性コピーはこの場にいるザイア同様触れた相手の能力をコピーして使えるというものである。さらに個性は複数個同時にコピーできる上に5分間保持できる。

そうしたコピーに関する制約がザイアはどの程度なのか?それが現在分かっていない。

 

「その可能性は十分にあり得るな!」

 

勿論物間よりも能力の使い勝手が良い可能性があるが、そうでもない可能性もある。

 

「だったら話は早え!俺がアイツの攻撃を受け止めっからその間に分析してくれ!」

 

敵の特性を完全に分かったわけではない。しかしそれを把握するまで耐えることが出来るのが切島鋭児郎だ。キャッスルハードスマッシュに変身し、個性の硬化を使えば防御力はクラス最強レベルだ。再び攻撃を仕掛けるザイアのパンチを何発も耐え抜く。

 

「飯田ちゃん!轟ちゃん!」

 

「「おう!」」

 

その間に背後や側面から蛙水、飯田、そしてローグの3人が次々と攻撃を仕掛けていく。

 

「次は飯田か!」

 

蹴りかかってきた飯田を受け止めたザイアが彼の個性であるエンジンをコピーし、ふくらはぎにエンジンの器官を生成する。その器官で加速しながら蛙水に襲い掛かるが轟が氷を生成して止める。

 

「膨冷熱波!」

 

その氷に向けて炎を放って溶かすと共に空気の膨張で爆風を生成、ザイアの身体を吹き飛ばす。

 

「レシプロバースト!」

 

「ケロ!」

 

さらに地に落ちてきたところを飯田と蛙水の蹴りが襲うが、再びザイアは足のエンジンで加速して咄嗟に避ける。

 

「今防御しなかったわね…」

 

「ああ、切島君の個性を使わなかった…」

 

「個性を一個しか保持できないのか保持時間が少ないのか……」

 

「それを見極めるのはこれからだ!まずは攻め続けるぞ!」

 

飯田と蛙水らがザイアに攻撃を仕掛けていく中、古城跡の小島にある反対側の洞窟では…

 

「増えやがった!」

 

ビルドに変身する緑谷出久とグリスに変身する爆豪勝己が古代王仮面ライダーオーズと戦っていたが彼の多彩な能力を前に苦戦していた。

彼が初めに派兵したグリードたちがエボルトに敗れたためか彼らを吸収し、グリード吸収体となった古代王オーズはメダルの力を最大限まで引き出せる。

昆虫系のメダルの力で分身したオーズがビルドとグリスに襲い掛かる。

 

「ワンフォーオール!フルカウル!」

 

出久は全身に自身の個性であるワンフォーオールを張り巡らせることで全身を強化する。

 

「スマーッシュ!」

 

その状態で古代王オーズらを殴り飛ばしていく。

 

「死ねぇ!!」

 

大量の襲い掛かってくるオーズ達に爆豪も爆破を放って応戦する。

 

「何体居るんだッ…!」

 

何とか敵の大群に対処する爆豪だが、敵の数の多さに疲労感が見え始めている。

 

「クッ…!多すぎるッ…!」

 

恐ろしいのはこの古代王オーズはウヴァ、カザリ、ガメル、メズールを吸収したことで彼らのコアメダルの力を巧みに操れる。昆虫系コアメダルで分身した各個体も微力ながら他のコアメダルの力を扱い攻撃してくるのでより厄介だ。

出久もビルドラビットタンクスパークリングにビルドアップして泡を活かしながら何とか対処しているが…

 

「重力がッ…!」

 

サイ、ゴリラ、ゾウの3枚のコアメダルの力を発動され、発生した重力場がビルドを押さえつける。

 

「出久!あぶねえ!」

 

さらに古代王オーズの内一体がウナギメダルの力で手から生やした電気ウナギウィップをビルドに向けて振り下ろそうとしていた。

その間に咄嗟にグリスが割り込むが背にその攻撃をもろに受けてしまう。

 

「かっちゃん!」

 

さらに追い打ちとばかりに放たれた水流にグリスは吹き飛ばされ、生身を晒された爆豪が地面を転がる。

 

「大丈夫?かっちゃん!」

 

気絶した爆豪を抱きかかえ、ビルドは一旦離脱。

 

「かっちゃん、ここで待ってて。僕が何とかするから…」

 

しかしこの場から退けば牙竜らにピンチが訪れる。

古代王オーズを放置するわけにはいかないので、一度安全な所に爆豪を寝かせると出久は再び敵の軍団と向き合う。

 

「けど僕だって、やれるんだ!」

 

『ハザードオン!』

 

ビルドドライバーからスパークリングボトルを抜き、ハザードトリガーをセットすると懐から取り出した一本の長いボトルを振る。

 

『ラビット&ラビット!』

 

その、フルフルラビットタンクボトルを真ん中で折ってベルトにセットするとビルドドライバーのレバーを回す。

 

『ガタガタゴットン! ズッタンズタン!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

一度ビルドの姿がラビットタンクハザードフォームのものに変わり、ウサギ型の赤い強化アーマー・ラビットラビットアーマーを装着

 

『オーバーフロー!』

 

『紅のスピーディージャンパー! ラビットラビット!』

 

『ヤベーイ! ハエーイ!』

 

「僕はッ…退かないぞ!」

 

ビルド・ラビットラビットフォームにビルドアップを済ませるとすぐに、フルボトルバスターを手に古代王仮面ライダーオーズの分身たちに向けて走り出す。

 

「おっしゃ!今から攻めまくるぜ!」

 

「まずはウチらが!」

 

一方、島の正面側ではスタッグハードスマッシュ瀬呂と麗日、峰田がV9との戦闘を開始していた。

 

「受けてみやがれ!」

 

島にある岩を集めておいた麗日は、それらを自身の個性を使い重力から解き放ち宙に浮かせると瀬呂が肘から出したテープを岩に付けて次々とナインに受けて投げていく。

 

「全部弾いた!?」

 

「アイツの個性が反射って牙竜が言ってたな…」

 

「手強そうな個性…」

 

投げつけた岩は次々とナインに弾き飛ばされていく。

 

「これはどうだ!」

 

峰田が東部のもぎもぎを投げつけるがそれらも全て跳ね返される。

 

「あぶねえ!一旦退くぞ!」

 

瀬呂が二本の刀、ラプチャーシザースから斬撃を放ちながら後方へ引いていく。

 

「そう簡単には逃がさん。」

 

「来やがったぞ!瀬呂!」

 

「いいや、これで大丈夫だ!」

 

逃げる瀬呂達を追うV9、徐々に彼らに迫っていくが…

 

「これは…」

 

V9の足が止まる。

 

「引っかかったな!トリモチトラップだ!」

 

その原因は地面に落ちた峰田のモギモギだ。

彼が弾き飛ばして地面に落ちたもぎもぎボールを踏んでしまったことで地面と足が引っ付き動かなくなってしまうと…

 

「解…除…!」

 

ここで麗日が宙に浮かしておいた岩の無重力状態を解除すると、多量の岩が一気にV9に降りかかる。

 

「麗日。大丈夫か?」

 

「平気…だけど……」

 

大量のものを無重力状態に保つのは麗日にとって負担が大きい事であるが、今はそれに構っていられる場合では無い。衝撃波を放って岩から出てきたV9が彼らに襲い掛かる。

 

「第一段階は上手くいってるぜ、後は任せろ!」

 

だがそのV9に今度は空から稲妻が次々と襲い掛かって来る。

V9はその電撃を空に向けて反射することで咄嗟の攻撃を凌ぎ切る。

 

「アイツどんだけ跳ね返してくんだよ!」

 

空から電気を放っていたのは上鳴が変身したオウルハードスマッシュだ。

飛行しながら何度も電気を放ち、撃ち返されても躱していく。

 

「アシッドショット!」

 

さらにこの場に芦戸も参戦し、自身の個性である酸をV9の足元に向けて放つとV9が一瞬バランスを崩す。

 

「ダークシャドウ!」

 

そこを援軍にやって来た常闇の個性であるダークシャドウが爪で攻撃を仕掛ける。

 

「クッ…!」

 

V9も負けじと背中から2匹の竜を生やして、ダークシャドウの攻撃を防ぐ。

 

「それ!」

 

さらにその竜に芦戸が放った酸が次々と飛ばされていき、竜の身体の一部が溶け始める。

 

「このまま押し切るぜ!」

 

麗日を避難させた瀬呂と上鳴も2人に続いて各々の武器で攻撃、上鳴の電気とスタッグハードスマッシュの刀が2体の竜に炸裂すると、それらは爆散する。

 

「これでも食らえ!」

 

さらにスタッグハードスマッシュが刀で切りかかるが…

 

「また跳ね返しやがった…」

 

その斬撃が跳ね返される。

 

「けど根気よく攻撃すれば…」

 

だが次は常闇のダークシャドウ、芦戸の酸、上鳴の電撃による波状攻撃を浴びせていく。

 

「オイラだって!」

 

「ウチも!」

 

さらに今度は峰田のもぎもぎで束ねた木の柵を無重力で浮かせてV9に向けて投げる。

 

「いいタイミングだぜ!」

 

それをも衝撃波で弾くV9だがその隙を突いて上鳴が電撃を放つ。

 

「どうだ!」

 

相手が反射できない隙を突いた一発に、V9も流石に怯むだろうと思われたが…

 

「効いて…ない……」

 

しかしV9はダメージによって弱った様子を見せるどころか天に向けて右腕を上げると……

 

「おいおい、これって不味いんじゃ……」

 

A組生徒達が身構えたが時すでに遅し、彼らの身体が宙に浮かび上がっていく。

 

「竜巻だ!」

 

峰田が咄嗟に叫んだ時には、彼ら6人はV9が作り出した竜巻の中に閉じ込められてその中で飛ばされていた。

 

「これでまずは…一網打尽だ……」

 

その竜巻に向けて空に渦巻く黒い雲から雷が落ちてくる。

 

「耐えたぜ…」

 

一発目の雷を上鳴自らが避雷針となることで何とか耐え抜くが…

 

「ウェ~イ」

 

その一発の電力だけで上鳴の脳がショートしてしまった。

 

「おい上鳴!しっかりしろ!」

 

頭がショートした状態の上鳴も他のクラスメイト達も未だ竜巻の中に巻き込まれて宙に浮いたままである。そこに向けて2発目の稲妻が落ちる。

 

「クソッ…!」

 

雷撃のダメージによって全員が失神し、地面に落ちていく。

 

「こんなものか…」

 

「いいや…まだッ…まだだッ…!」

 

そして古城の頂上を目指して歩み出すV9だがその足元にスタッグハードスマッシュがしがみつく。

 

「お前を上にッ…行かせるかよッ……!」

 

「邪魔だ。」

 

だがその背に向けてV9の爪が放たれると、足を握る力が弱まり、瀬呂は手を放してしまう。

 

『アイツら、中々体張ってくれたんじゃねえか?』

 

「ああ、俺の為にな…」

 

その様子を上から見ていた牙竜とエボルト

A組のクラスメイト達は昨日の戦闘で負傷していた牙竜のことを気遣い先陣を切ってV9に挑んでいった。

そしてその間に牙竜とエボルトは対策を練っていた。

 

「アイツ、個性一個ずつしか使ってなかったな。」

 

『ああ、俺も見てたけどそうらしいな。同時にはあんま使えなさそうだな。』

 

「それに上鳴の奴が雷一発耐えてくれたから追加でもう一発ぶっ放してやがる。もしその負担がかかってるなら…」

 

『消耗は激しいだろうな。じゃあこっからは俺達のターンだ。』

 

2人が突き出した拳を合わせ互いの目を見る。

 

「あの…!牙竜さん!」

 

その場に八百万が駆け寄ると。

 

「これ、直しておきましたわ。」

 

そう言ってスカジャンを渡す。

 

「ありがとよ…」

 

それを受け取ると彼女のことをぎゅっと抱きしめて

 

「絶対生きて帰って来るから…待っててくれ…」

 

『ビルドドライバー!』

 

そう言うとスカジャンを纏いビルドドライバーを腰に巻いて敵に向かって走り出す。

 

「いくぜ…」

 

『ああ…』

 

『エボルドライバー!』

 

エボルトも自身の腰にエボルドライバーを巻き付ける。

 

『ボトルバーン!』

 

『オーバー・ザ・エボリューション!』

 

『クローズマグマ!』

 

『コブラ! ライダーシステム! レボリューション!』

 

そしてそれぞれがアイテムを挿し込み…

 

『『Are you ready?』』

 

「『変身!』」

 

『極熱筋肉!』

 

『クローズマグマ!』

 

『ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!』

 

『アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』

 

『フハハハハハハハハ……!』

 

2人はそれぞれ仮面ライダークローズマグマ、仮面ライダーエボル・ブラックホールフォームの装甲を身に纏い、V9に向けて一気に飛んで行く。

 

「来たか…」

 

早速、クローズがマグマを纏った拳をV9に向けて振り抜くがそれはすぐ反射の壁で阻まれてしまう。

 

「反撃かッ…!」

 

壁で阻まれたマグマが反射されて牙竜の方に飛ぶが…

 

『防御は任せろ。』

 

そのマグマをエボルがブラックホールを生成し、一瞬で消し去る。

 

「ああ、頼んだぜ!」

 

クローズからはパンチとキックの応酬がV9に向けて浴びせられていくが、彼の攻撃が反射されてもすぐにエボルトがブラックホールをぶつけて打ち消していく。

 

『さあ、打てるだけ打っちまえ!』

 

「はいよ!」

 

エボルトが反射してくる攻撃をカバーしてくれるお陰でクローズマグマは果敢に攻めることが出来る。

マグマを纏った拳を撃ち続けていく。

エボルが攻めに回ってしまえば反射した際の被害が大きくなってしまう。

そこでその力を全て防御に振ることで牙竜らが受けるダメージを減らしていく。

 

「オラ!どうだ!食らいやがれ!!」

 

反射する隙も無い程に拳が撃ち込まれていくと徐々に反射のバリアにヒビが入っていく。

 

『避けろよ。』

 

クローズが一度身を引くと、バリアに蓄積されたマグマがクローズに向けて噴射する。

だがそこに向けてエボルが掌の上で形成したブラックホールをぶつけるとマグマが一瞬で消し飛ぶ。

 

「『オラァ!』」

 

クローズとエボル、それぞれが蹴りを突き出すと、遂にバリアが破れてしまい2人の足がV9の胸板に突き刺さる。2人の足に突き飛ばされたV9の身体が引き下がってしまうと…

 

「攻めまくんぞ!」

 

クローズとエボルが交互にV9に向けて殴りかかっていく。

防戦一方に追い込まれたV9も背中から使い魔の竜を生やして抵抗するが、一瞬で2人に打ち砕かれていく。

 

『この距離ならバリアは張れないな。』

 

『スチームショット!』

 

そして腹部にライフルモードにしたトランスチームガンからエレキスチームの電気を纏ったエネルギー弾を解き放つ。

 

「また反射すれば…」

 

さらに飛び蹴りを仕掛けてくるクローズマグマに対して反射の個性を発動しようとしたが、上手く発動せずに蹴飛ばされてしまう。

 

「もう反射は出来ねえのか!」

 

『だったらここで一気に決める。』

 

個性発動による負担、牙竜達の攻撃による蓄積、そして腹部に打ち込まれたスチームショットのダメージで既に反射の個性を使えなくなってしまっていた。

 

『『Ready! Go!』』

 

『ボルケニックフィニッシュ!』

 

『ブラックホールフィニッシュ!』

 

『アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』

 

ここまでは完全に牙竜達の作戦通りだ。

瀬呂と上鳴達でV9を消費させてから牙竜とエボルトの2人で攻め立てる。

そして反射をできなくなったところで2人のライダーキックを同時に打ち込む。

だがV9も此処で負ける気はなく自身のエネルギーを右腕に集中させてライダーパンチを放つ。

 

「打ち破れ!」

 

必殺技の威力は牙竜達の方が圧倒的に上だ。

咄嗟に個性の一つである衝撃波を放つがそれすらも2人のライダーキックに打ち破られ、その強大なエネルギーをその身に受けたV9ば爆炎を上げながら吹き飛ばされて地面に落ちると共に爆発を起こす。

 

「やったか…!?」

 

『いや…まだだ……』

 

だが巻き起こる砂埃の中からV9の姿が再び現れる。

 

「俺をここまで追い込むとは…だが…これには耐えられるかな……?」

 

そのV9の身体には紫色の稲妻が流れ、体表のラインも紫色に染まっていく。

 

「何が起きやがんだッ…?」

 

「リミッター…解除……!」

 

その一声と共にV9の背中に4つある柱上のリミッターが突き出る。

それに合わせてV9の人工筋肉が膨張してその体躯は寄りマッシブなものに変わり、顎のマスクが開きクラッシャーが大きく展開する。爪はより鋭くなりその姿は正に獣である。

 

「お前たちはもう負けだ。菅野が既に平行世界ゲートを奪いに行ってる筈だ。」

 

『何ッ…!?』

 

「そしてお前達は…俺に狩られる……!」

 

V9の言葉通り、平行世界ゲートには既に菅野らが向かっていた。

 

「このライダー…強い……」

 

「防ぎ切れるかどうか……」

 

平行世界ゲートの試作機を隠していた小屋には堀内とA組の尾白、障子、耳郎の3人が陣取って防衛をしていたが、菅野と共に現れた仮面ライダーファルシオン・アメイジングセイレーンの吸収を受け、彼らは危機に瀕していた。

ファルシオンの使うアメイジングセイレーンのワンダーライドブックは複製されて他人に譲渡することが出来る。あくまで召喚された存在であるファルシオンだが、複製の能力により複数体に分身していた。

爆豪らが倒したのはその内の1体だ。複製されたファルシオンの内1体は菅野と共に堀内たちに襲い掛かっていた。

 

『必殺黙読!』

 

無銘剣虚無をブレードライバーに収めてからトリガーを一回引き

 

『抜刀!神獣無双斬り!』

 

抜刀してから剣を振るうと白い斬撃が尾白と障子に向けて放たれ、彼らの足元で爆ぜる。

 

「尾白!障子!」

 

吹き飛ばされた2人が地面に倒れこむ。

 

「さあ、観念しろ堀内!」

 

「いいや、そんな訳にはいかない…」

 

「だが、ここからどうやって勝つつもりだ?」

 

菅野とファルシオンがじわりじわりと歩み寄る。

剣を地面に引きずれば火花を散らしながらコツンコツンと足音を鳴らす。

 

「いいや、まだ諦めるわけにはいかない!まだ私にはこれがある。」

 

そう言うと堀内はUSBメモリを平行世界ゲートの試作機に挿し込み、装置を起動する。

 

「何をする気だ!?」

 

「私は仮面ライダー達とショッカーの戦いを見て一つの希望を見出した。きっとこれを使えば正義の仮面ライダーだって呼び出せる筈だ!」

 

「小癪な!やってしまえ!ファルシオン!」

 

平行世界ゲートに切りかかろうとしたファルシオンだが、装置から放たれたエネルギーに弾き飛ばされる。

 

「動けるのか!?こんなオンボロで」

 

「ああ…私の発明品だからね!」

 

並行世界ゲート中央にエネルギーが収束すると球状のゲートが形成される。

先程挿したUSBメモリにはとある平行世界の座標データが記されており、ゲートがその座標と繋がる。

そしてゲートの中から青い髪の青年が現れる。

 

「ここは…」

 

青年は平行世界ゲートの上から降りつつ辺りを見回す。

突然飛ばされてきた場所に戸惑っている様子だが地面に倒れる尾白らの方を見るとそちらに駆け寄る。

 

「大丈夫ですかッ…?」

 

「あ、あなたはッ…」

 

「そうだッ…!?お前は誰だ?」

 

尾白と菅野、それぞれから名前を聞かれた青年は立ち上がって菅野の方を見据える。

 

「僕は北条颯馬、どうやら悪いのはそっちみたいだね。」

 

そして懐から取り出したベルトの様な物を腰に付ける。

 

「もう安心して、後は僕がやる。」

 

『マーベルドライバー!』

 

マーベルドライバーを腰に付けた颯馬は尾白らの前に出て菅野とファルシオンの2人と向き合う。

 

「まさかお前も仮面ライダーなのか!?」

 

「うん、正解」

 

『ワカンダフォーエバー!』

 

颯馬が取り出したディスクにはマーベルヒーローの1人、ブラックパンサーの姿が描かれている。

 

「変身」

 

ディスクをマーベルドライバーのメインスロットに装填し両脇のスイッチを同時に押すとナノマシン製の装甲が彼の身体を覆っていきヴィブラニウム製の黒い鎧を纏う。

 

『ロイヤルアベンジャー!アッセンブル!』

 

ブラックパンサーを髣髴とする黒ヒョウの姿を模した姿、最強金属ヴィブラニウムの装甲、手指から生える鋭い爪。マーベルヒーローであるブラックパンサーと彼が国王と務めるワカンダ国の戦士達の力を秘めた戦士、仮面ライダーマーベル・ワカンダフォーエバーへと姿を変えた北条颯馬とファルシオンが互いに向けて走り拳を交える。

 

「あれが平行世界の仮面ライダー…」

 

「僕が仮面ライダー…マーベル!」

 

To be continued




仮面ライダーマーベルこと北条颯馬が遂に登場!

まずはワカンダフォーエバーでどの様な戦いを見せてくれるのか、必見です。

敵ライダーの詳細

仮面ライダーザイア
ゼロワンのVシネクストに登場したライダー
別名歩くサウザンジャッカー

古代王仮面ライダーオーズ
オーズのVシネマ、運命のコアメダルに登場
噛ませ犬の汚名返上ができるかどうか期待

仮面ライダーファルシオン・アメイジングセイレーン
セイバーのVシネマに登場
Vシネマ本編でも複数体いたのでこちらでも複数体召喚されているもよう
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