こっころー様
まじ様
ありがとうございました!
本編どうぞ!
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この一週間、花音はどうもおどおどしていた。いつも以上におどおどしていた。それはなぜか……
「あの……陽頼君……。」
「っ!な、なんだ……?」
「そんなにびっくりしないでよぉ……。」
「わ、悪かった……。」
「もう……。陽頼君にね渡したいものがあるの。でもね、ここじゃ渡せなくて……。」
「何渡すつもりだ……?もしかして…いや、なんでもない。」
「陽頼君……また変な妄想したでしょ?もう!私はそんな危なくないよぉ~!」
「本当に……ごめんな。」
「ううん、良いんだよ。危ないものじゃないからね、ちょっとこっちに来て。」
「あ、ああ……。」
そうして二人は人気のない体育館裏に移動していった。この時、花音は陽頼が歩きやすいように歩くペースを意図的に落としていった。ナイスプレーよ、花音。
一方陽頼は表情こそ崩さないものの、杖を掴む右手が震えていた。花音は気づいているのかしら。
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「おい……なんでこんなに一目の付かないところなんだ…!何を渡す気だよ……!」
「だから……危なくないよ……?陽頼君、もしかして私が陽頼君のこと襲うと思ってる…?」
「い、いや……」
「嘘だよね……?何もしないから警戒しないでほしいなぁ……。」
「そうかよ……。ごめんな。いっつも警戒しちまうんだよ。」
「そっかぁ…。私も、異性のこと、ちょっと怖く思っちゃうからその気持ち分かるかなぁ……。」
「やっぱりか……。花音って男子と話すときになんかおどおどしてるもんな。」
「うん……ちょっと怖いんだよね…。陽頼君とおんなじ理由かもね。なんだか襲われそうで。」
「ああ……そういうことか…。ちょっと分かるかも。」
そうね。まずはこういう当たり障りのない話から入るのよ。これで陽頼との距離はぐっと近くなったはず。さすが花音よ。
「そっ、それでね!これを渡したかったの!」
「これは……?なんだ?遊園地?」
「うん!今度連休があるでしょ……?そのときに一緒に行こうよ!……だめ?」
ここで花音は上目遣いと涙目で陽頼を攻撃した。花音がやれば大ダメージ。陽頼の方も花音の可憐さに少し顔が赤く火照る。これは確信した。成功したと。でもその考えはどうやら甘かったらしい。
「ダメだ……。」
「えっ…?陽頼君……?どうしたの……?」
「勇気を出して俺に……渡して……くれたのによ…。」
「……」
「ごめん……俺に……。俺に渡してくれたのに……っ…」
「陽頼君!待って!」
重い右足を引きずりながら陽頼はどこかへ行ってしまった。その陽頼を目に焼き付けてその場に固まってしまった花音。普通だったら花音を断った陽頼をその場で問い詰めたい。「なんで断ったの!」と大声で陽頼に罵声を浴びせたかった。
でもそうは行かなかった。去り際の陽頼の左頬に涙がこぼれていた。そこで分かった。陽頼は断りたくなかった。それにずっと右腕が震えていた。どうしても陽頼を問い詰める気にはならなかった。
それと花音の方は……やっぱり泣いていた。悔しかったのか、憐れんだのか、はたまたどっちもなのか。私には分からないし分かろうとするのも花音に申し訳ない。私は花音を目に焼き付けて固まるしかなかった。
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その夜、一通のメッセージが来た。差出人は花音だった。
メッセージは「フラれちゃった。」の一言だった。
私はそれに「そっか。」とだけ返した。
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