ここまでお付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました。最終回にもお付き合いください。
本編どうぞ!
「お待たせ陽頼君!待ったかな……?」
「いや…そんな待ってねえぞ。」
7/15 午前10:00
二人の男女が駅前の街頭で出会った。改めて二人を見ると髪色も相まってか明るくというか…キラキラして見える。果たしてそれは髪色だけが原因なのだろうか。私には分からない。うざったいくらいの晴天の下、人、音、様々な有象無象を知覚できる。そんな中、二人だけがなぜか眩しく見える。
「ほう……あの子猫ちゃんが花音の相手なのかい?なかなか優しそうな青年じゃないか…。儚い。」
そう私の隣で呟くのは私の幼なじみ。今日の尾行に伴いついてきてもらった。普段はその口癖やら手癖やらが気になってしょうがない人なのだが、今日に限っては安心感すら覚える。一人でいるよりずっと気持ちが楽なのだ。
「花音の服……その……なんつうか……」
「うん…?私の服…変?」
「に、似合ってるよ……。」
「……」
「変なこと言っちまったか?すまねえ……。」
「ち、違うよ!その……」
「ん?」
「嬉しいというか……ちょっと恥ずかしいなぁ……。」
「……そ、そうかよ。なんだか俺も……。」
陽頼が言った一言で二人して顔を赤らめ、目をそらす。おそらく陽頼は「柄にもないこと言っちまったな…」とか思っているのだろう。でもその柄にもない一言が余計二人のムードを高めた。これには見てる"この人"も……
「おやおや。二人して顔を見れなくするなんて……。陽頼。君はなんて罪深い男なんだ。」
……やっぱりいつも通りだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そ、それで…花音。どこ行こうか…。」
「陽頼君はどこか行きたいところはある?」
「……どうしよう。」
「もしかして陽頼君…思い付かなかった…?」
「……ああ。」
「エヘヘ…面白いなぁ。」
「一応こういう行き先とかって彼氏がリードするんだったよな…。なのに俺…なにしてんだよ……」
「そ、そんな悪く思い込まなくていいよ…?」
「ああ……小学校の大半を入院に充てたから遊ぶ場所とか全く分からない……どうすりゃいいんだよ。これもう詰んでねえか?」
「き、きっと歩けばどこかいい場所に行けるよ!だから今日は気ままに歩こうよ…ね?」
「ああ……そうだな。そうするか。」
10分後……
「あ、花音。」
「うん?どうかしたの?」
「あそこに古着屋がある。行くか?」
「え?あるの!?じゃあ行こうよ!陽頼君をコーディネートしてあげる!」
「俺を…?俺はいいから花音の好きな服を…」
「ううん。私じゃなくて陽頼君をコーディネートしたいの。やっぱり彼氏をコーディネートするのって…彼女の役割でしょ…?」
今日はやけに積極的な花音。上目遣いを早速仕掛けていった。もう陽頼がこれに弱いことは分かっているらしい。花音。あなたかなりの知将ね。
というわけで二人は古着屋に入っていった。
早速服を見繕ってるようだ。
「うーんと……陽頼君って好きな色はある?」
「ああそうだな……赤かな。」
「赤だね。うーんと……あった!ってこれは……」
「うわあ……派手というかロックというか……。俺はこれを着る勇気は無いな。」
「うーん…あ!じゃあこれ!ってこれも……」
「ああそうだな……今度は装飾にチェーンまでついてるぞ……。」
「これは…革ジャケット……今の時期は暑いよね。」
「暑いな。」
「……他の場所行こっか。」
「ああ…そうだな。」
大体ショップに入ったら服を見つけて試着までするのがオーソドックスなところだけど……今日は運が悪かったみたいね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
正午
もうじき昼食をとろうと二人は商店街の脇道の、人気の無いところを闊歩していた。初々しい火照りを保ったまま。
すると前から男女5人組が歩いてきたが、それを見るなり陽頼の右手が震えだした。
「っ!……あいつら…なんでここに…。」
「あっれれ~!?陽頼君じゃーん!」
「陽頼君、あの人たちは誰なの?」
「あいつらは……俺をはめた奴らだ。」
「ふえっ!?つまりあの人たち……全員陽頼君に暴力をふるってきたってこと!?」
「……そういうことだ。もう会わないと思ってたのに……なんでよりにもよって花音がいるときなんだよ!」
「陽頼君……」
なるほどね。あいつらが陽頼の右足を死なせた奴ら……。なんて醜いのかしら。今すぐにでも貶めたい気持ちが出てくるが、あの二人の前でそんなこと出来るはずがない。ここは気持ちをぐっとこらえた。
「陽頼~。その女だれー?もしかしてあんたの彼女~?」
「黙れ!お前らに教える義理はねえんだよ……。」
「アハハハ!ウケるんだけど~!強気なくせして怖がってるくせに~!」
「……」
「つーか、陽頼のとなりの女もなんなの?オドオドしちゃってさあ~!よくこんな男と付き合ってられるよね~。」
「…………陽頼君を」
「あん?」
「バカにしないで!」
大きく、乾いた音が人気の無い路地に鳴り響いた。花音のビンタがあの女が予想にもしてなかったことなのか、頭が混乱している様子。完全に花音の気迫に圧されつつある。
「いったーいぃ。なんなのコイツ?もう先輩方ぁ~この女はもうやっちゃってくださいよ~!」
「そうだな!こんな女、もう容赦しなくていいぞ!」
「おう!」
これ以上は花音にも陽頼にも怪我が及ぶ危険な状態になる。いざ私達が踏み切ろうとした瞬間だった。
陽頼の左の拳に、力が込められた。
「……おい。」
「ああ?」
「花音を……」
「んだあ?小さくて聞き取れねえよ?」
「傷つけんじゃねぇ!!」
花音とは正反対な鈍い音が、取り巻きの男の顔面から発せられた。男は豪快に吹き飛ばされ、陽頼の圧に屈したのか全員逃げていった。なんて痛快なことだろう。
「花音……怖かったよな…。もう……大丈夫だ。」
「陽頼君も……怖かったよね。」
「え?あ、ああ……。情けねえよな。今も手が震えるよ。」
「ううん。情けなくなんかないよ。それよりも……守ってくれてありがとう。」
「花音こそ……勇気を出してくれて……ありがとな。」
「えへへ。おなか、空いちゃったね。」
「ああ。そうだな。速いところなんか食べようぜ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ…いただきます!」
「…いただきます。」
「うーん!美味しい!」
昼からケーキを贅沢に頬張るなんて…なんて贅沢なのかしら。
ということでとあるケーキ店に来ている。ちなみに二人を見渡せる端っこの席に私たちは座っている。
それにしてもさっきから陽頼の様子がおかしい。
「陽頼君…どうしたの?調子悪い?」
「え?い、いや……そうじゃなくてな……。」
「どうしたの?」
「え、えーと……ほらよ。」
「……え?」
「…………あーん。」
これには笑いたくなるわよ。陽頼の顔が最高潮に赤く火照ってるし、花音もちょっと混乱してるし…。でも花音も顔が赤くなってるじゃない。
「た、食べていいの…?」
「速く食べてくれ……。結構俺もこれやるの恥ずかしいんだよ……。」
「じゃ、じゃあ……うん!美味しいね!」
「恥ずかしくてしゃあねえよ…」
「陽頼君!」
「な、なんだよ……」
「えーと……その……あーん。」
「……」パクっ
「……ど、どうかな……?」
「…美味しいぞ。」
二人が恥ずかしさのせいでまともに喋ることが出来ていない。話せるのがやっとの状況なのだろうか。
「薫、ブラックコーヒーはいるかしら?」
「ああ。千聖もかい?」
「ええ。今日は砂糖なしで飲める気がするわね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
午後14:00
商店街からはちょっと離れた海辺に来ていた。私たちは木陰に隠れて二人を見守った。……これやってることが完全にストーカーじゃないかしら?
二人は防波堤の岩に腰かけて、話し始めた。
「ねえ……陽頼君。今日は空が綺麗だね。」
「ああ。天気に恵まれたな。」
「そうだね。……私ね、今すっごく幸せなの。ずーっと前から好きだった人と、一緒にいるんだもん。」
「俺な……小学生の頃から花音が気になっていたんだ。」
「……え?」
「小学生なりの恋って感じでさ……。でも俺に、恋なんて許されるのかなって。理不尽に負けた惨めな奴が恋なんてしていいのかって。」
「そうだったんだね…。」
「でも……それを受け止めてくれたのは…他でもない花音だ。」
「私なら……陽頼君の力になれるなら……。そんな嬉しいことはないよ。」
「なんだかさ……花音は…俺にとって…その……いや、なんでもない。忘れてくれ。」
「えへへ。陽頼君らしいなぁ……。」
「だからよ……。その……花音のこと……」
「……うん。陽頼君のこと……」
「「大好きだよ。」」
コントラストにグラデーションを END
読了、ありがとうございました!あんまり上手な挿し絵じゃなくてごめんなさい。
さて、私の後書きという言葉を借りた一人語りになります。読むのがメンディーって方はここでブラウザバックしていただいても構いません。
まず今回の小説は6話完結の超絶短い小説でした。しかも初めての恋愛小説。自分が持てる最大の構成力と表現力で書いたつもりなのですが、多くの読者の心を引くことは出来なかったようです。オリ主を登場させるということはそれだけ本来のバンドリーマーが求めるものから遠ざけることに繋がると思っています。やはり今の私の力では皆さんが満足行くようなキャラ設定や、心情表現を作ることが出来ませんでした。申し訳ありませんでした。
それでもこの小説は、私が書きたかった小説なんです。実際、書いてて楽しい小説でした。ベタな展開だったかもしれませんが、それでも楽しかったのです。完全に私の自己満足です。この反省点も、次に生かしていきたいと思いますので応援、よろしくお願いします。
それと、感想をくださったこっころー様、お気に入り登録してくださった7人の方々、本当にありがとうございました。この小説を書く最高のモチベーションになりました。この場を借りて礼を申し上げます。
最後に、これは私からの図々しいお願いなのですが、この小説を読んでみての率直な感想をお願いします。「ベタ」「これじゃなかった感」「もっと勉強したらどうだろう」など、批評でも構いません。私は、小説を通じて皆さまと繋がりたいのです。本当に図々しくて、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
最後に、ここまで約700回も読んでくださったすべての方々、誠にありがとうございました!