TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

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バイオハザード4リメイクを祝して鬼龍クロスオーバー作品を投下だあっ

面白く無かったらごめんなあっ


第1話

 

 

 

ここはスペインの山奥の寂れた寒村。

 

その離れにあるとある一角。

 

人の気配のまるでないその場所には不気味な静寂が満ちていた。

 

まず見えるのは年季の入った木造の一軒家。

 

森の中のその家を、伸び切った草が囲んでいた。

 

さらに近くに見えるは半ば外部と隔絶されたその村の、外界と繋がる唯一の道

 

長年放置されていたのであろう、雑草が生い茂るその道。

 

 

 

 

 

 

その道を高速で疾走する影があった!

 

それは車であった。艷やかな漆黒を携えた洗練されたフォルムのその車は、誰が見ても高級車そのものだ。

 

まるで舗装もされてないその道をお構い無しに疾走する!

 

そして突然急ブレーキを踏んで停まる高級車。

 

荒々しくドアが開かれ、中から出てきたのは一人の男!

 

だがただの男では無かった!

 

 

東洋人にしてはかなりの高身長、上下黒尽くめの服装、その上に着られた風にはためくロングコート、見るものを威圧する厳しい顔付き、その顔に付けられた横一文字の傷跡

 

 

そして何よりも、鍛え抜かれた尋常ならざる屈強な肉体!

 

 

一目見るだけで常人という言葉からは対極の存在だと誰もが理解する!

 

 

その男は視界の先にある木造の一軒家と、その先にあるであろう村の存在を認識すると

 

口角を上げて獰猛に笑う!その顔はまさに悪鬼と表現するほか無い!

 

 

 

 

 「ぶっ壊してやろうか…!」

 

 

 

男は傲岸不遜に言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り

 

アメリカ合衆国、大統領邸

 

 

 

 「クソッ!何てことなんだ!こんな…」

 

 

自由の国アメリカ、世界一の大国であるその国の大統領、アメリカに住む全ての国民を導く大人物。

 

その男がこれ以上無く動揺し、狼狽していた。

 

 

 

     大統領の娘  誘拐!

 

 

 

その報は大統領の国のトップとして築き上げられた強固な精神と信念を持ってしても心胆を凍りつかせた!

 

犯人は恐らく身代金目当ての犯罪グループだとアメリカ当局は判断した。

 

勿論ただ狼狽えるだけでは大統領は務まらない。

 

すぐさま犯行グループの居場所を特定!

 

信頼の置けるエージェントに既に令嬢救出の指令が出されている!

 

 

 

だが一人の娘を持つ父親として、冷静でいられるわけがなかった。

 

 

 

 (たった一人で手に負えるだろうか…しかし事を大きくするのは…!)

 

 

 

務めて冷静でいなければならないという反面、居ても立っても居られない気持ちが相反していた。

 

 

そこに

 

 

 

 「ククク、愛ってのは痛みを伴うものなんだ」

 

 

 

一人の男の声が響く。

 

 

 「なにっ」

 

 

視線を向けた先に立つのは一人の東洋人。

 

厳重な警備が敷かれている筈のこの場所に、いつの間にやら姿を表したこの男。

 

恵まれた体格に鍛え抜かれた鋼の肉体、黒尽くめの服にロングコート、厳しい顔を横走る傷が一つ。

 

 

大統領はこの男を知っていた。

 

なにせこの男こそ、大統領が最も恐れた男と呼ばれし者。

 

怪物の様な戦闘力と悪魔の頭脳を併せ持つ男。

 

悍ましいまでの自尊心とプライドを持ち、逆らう者は誰であろうとねじ伏せ、嘲笑し、恐怖で持って支配する。

 

大国アメリカであろうとその男には手が出せない。

 

 

悪魔を超えた悪魔、蓋世不抜の超人、傲岸不遜の嗤う龍

 

 

多くの恐ろしい異名を持つその男の名は

 

 

 

 「お、お前は…」

 

 

 

 

        「 鬼 龍 ! 」

 

 

 

 

 

そう、この男の名は宮沢鬼龍。日本のある古流武術を収めた武人である。

 

大統領の驚愕を無視して鬼龍が口を開く。

 

 

 

 「フン、笑えるな アメリカの大統領がこうも狼狽えるなど」

 

 

 「ぐっ…鬼龍よ、何が目的か知らないが今は…」

 

 

 「お前の娘が誘拐されたらしいな」

 

 

 「な、なんでそれを」

 

 

 「不穏な空気を察する能力には長けているほうでね」

 

 

 

大統領を前にして鬼龍の不遜な態度は留まるところを知らない。

 

それどころかごく一部の者しか知らないはずの此度の大事件をどういうわけか既に知っているのだ。

 

葉巻を加え、煙を揺蕩せながら鬼龍が言う。

 

 

 

 「犯人の居場所を教えろ」

 

 

 「何だと…?」

 

 

その言葉で大統領の困惑はさらに深まる。

 

 

 

 「俺も行くのさ 勘違いするなよ、お前のためじゃない」

 

 

 「生理的に社会のクズは受け付けない 殺したい気分になる」

 

 「それに…どうせなら凶悪な奴らを殺した方が楽しめる」

 

 

 

 「き、鬼龍…お前は…」

 

 

困惑極まる大統領を前に、鬼龍は嗤う。その姿はまさに人間の形をした悪魔!

 

 

 

 「ククク、グッチャグチャにしてやるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今

 

 

車から降りた鬼龍は目の前の一軒家に向けて歩いていた。

 

 

 

 

 

あの後、教えないのなら知っている者をぶちのめして聞くと言い放った鬼龍。

 

大統領はこの男は脅しではなく本当にそれを実行すると知っている。熟考の末に被害を出さないため仕方なく犯人達の潜伏先を鬼龍に教えたのだ。

 

だがそこには打算もあった。

 

何の気まぐれかは知らないが、この男が形だけでも味方となるのなら…と。

 

この男は傲慢にして暴虐無道、その考えはおおよそ常人には理解できない。

 

だが同時に欺瞞や卑劣といった行いも嫌悪している。

 

であれば、この男には先の言葉以上の考えは無く、此度の任務の一助となるかもしれない。

 

どのみちこの男がそう決めた以上、自分がなんと言おうとそれは止められない。

 

 

 

 

そのような経緯で鬼龍はこのスペインの寒村に足を踏み入れたのだ。

 

 

 

古びた一軒家の前に立つ鬼龍。

 

 

攫われた大統領の娘を探すために、普通ならこの家の持ち主に聞き込みといった所だが鬼龍にその気はない。

 

鬼龍の本能が、長年で培った危機を予感する野生動物以上のその本能が告げていた。

 

この場所の正体を、ここに巣食う脅威の存在を。

 

鬼龍が感じ取ったのは気配 それも死の気配だ。

 

凄惨な殺害現場などに見られる、不気味な程冷え切った空気。

 

 

 

だがこの男は怪物を超えた怪物、鬼龍!

 

怯むどころか、喜々としてその家のドアを蹴破る。

 

土足で家を荒々しく踏み荒らし、気配の元に向かう鬼龍。

 

 

 

 「醜悪な顔を見せろ……!」

 

 

 

廊下の曲がり角を曲がった先。

 

そこにいたのはリビングの暖炉に薪を焚べる一人の中年男性。

 

しかし鬼龍に気付き、振り向いたその顔にあるのは困惑では無い。友好的な感情とは無縁の、泥沼の様に濁った殺意のみ。

 

 

 〈ア~ン?〉

 

 

その男の視線が鬼龍の視線と合う。

 

 

 〈オウオウ, イテルヤンケ ミキセイウジムシガッ オレタチナメトッタラチェーンソーデバラバラニシタンドッ〉

 

 

スペイン語で放たれた怒声と共に、立てかけられていた斧を手に取り鬼龍目掛けて襲いかかる!

 

 

 〈ゴングヲナラセ! セントウカイシダ!〉

 

 

手にした斧を振ろうと駆け寄る男。

ほんの少しの躊躇いも無く、他人の命を奪わんとする男。

 

 

 

       精 神 異 常 者

 

 

 

そのまま斧を振り下ろそうとしたが、その瞬間周囲に空気を叩いたような音、鞭打ちの音に似た異音が響き渡る。

 

  

       パァン

 

 

 

 

 〈パウッ〉

 

 

気が付くと男は宙を待っていた。顔に強い衝撃を受けたと思えば視界が激しく揺れ動き、自動車に跳ねられたかのように吹き飛んだのだ。

 

 

テーブルと椅子を巻き込み破壊しながら床に叩きつけられる男。うめき声を上げながら何とか立ち上がろうとする。

 

 

 〈ナ、ナニガオキタノン…?〉

 

 

そして顔を上げた瞬間、鬼龍にその顔を蹴り砕かれた。

 

鬼龍の足は靭やかで強靭、大腿直筋が先天的に異常発達した特異な剛脚。龍腿と呼ばれる百万人に一人の武術家が持つとされている物。

 

その龍腿による鬼龍の蹴りの破壊力はまさに鋼鉄のスレッジハンマーによるフルスイングの如し。

 

 

完全に沈黙した男を見下ろす鬼龍。

 

 

 

 「フン…やはり事件に関係があるようだな」

 

 

余りにも明確に殺意を持って突然襲いかかるその男の異常性。

 

普通ではないその様子から事件との関係を鬼龍は確信する。

 

 

 (それにしても 霞打ち を食らって立つか)

 

 

先程男を吹き飛ばしたのは鬼龍による打撃。

 

目にも留まらぬ超高速の打撃、相手は攻撃されたこともわからず失神する。鬼龍が最も得意とする打撃の技、霞打ちである。

 

しかし男はそれをモロに受けて立ち上がろうとした。常人どころか並の武闘家も一撃で失神させる霞打ちを。

 

動きを見るに格闘術の心得も体を鍛えているようにも見えなかったが。

 

 

視線を移し、2階に続く階段に向かう。

 

その階段横のスペースから漂う腐敗臭。覗けばそこには大量の腐りかけの、或いは白骨化した人間の頭部が打ち捨てられていた。

 

常人なら恐怖に取り乱し、吐き気を催す程の悍ましい光景。

 

 

だがこの男は鬼龍!

 

この世にあるあらゆる道徳に相反する傲慢の武人。

 

スラム街ですら平然と練り歩くこの男にしてみればこの光景ですら取り乱すには及ばない。

 

 

 

 

 「ククク、退屈はしなさそうだな」

 

 

 

そして武術家としての危機察知能力がこの家を取り囲む複数の敵意を感知する。

 

獰猛極まる危険な笑みを浮かべながら階段を駆け上がる。

 

そして2階の窓をその勢いのまま突き破り、外に飛び出した。

 

 

 

 〈ナニッ〉

 

 

 〈ナ、ナンダアッ〉

 

 

上空から確認できた敵の姿は3人。

 

鬼龍はそのうちの一人目掛けて落下、頭部を踏み潰しながら着地する。

 

 

 

 「ばあーっ」

 

 

残りの2人に向けて挑発をする鬼龍。

 

 

 

 〈コ、コノチンカスガ!〉

 

 〈アシコシダケヤナイ チンチンマデタタンヨウニシタンドゴラァ!〉

 

 

手にした農具を武器として、走り寄る2人。

 

しかし2人とも武器を振るうより先にやはり霞打ちの餌食となる。

 

 

      パ パァン

 

 

 〈アウッ〉

 

 〈ブッ〉

 

顔面を霞打ちで揺さぶられ、たたら踏む男達。

 

そこに鬼龍の龍腿による悪魔的な威力の回し蹴りが炸裂する。

 

吹き飛ばされ、そして2人揃って沈黙した。

 

 

 

 

 

 

その後、村の内部へと進む鬼龍。

 

道中はやはり村人達の襲撃を受け、しかし難なくそれらをねじ伏せる。

 

突き出された鍬を見切って躱す、投げられた斧を蹴り返す、素手で掴みかかる者の腕をへし折る。

 

そしてその剛腕と剛脚でもって粉砕する。

 

 

しかし鬼龍には疑問があった。

 

村人達の戦力自体は鬼龍にとっては取るに足りない物。

 

しかし戦えば戦うほどにその異常性が見えてくる。

 

  

            タフネス

まず上げるとすればその耐久力。

 

明らかに素人なのだが鬼龍の攻撃を受けて立ち上がる者もいた。

 

最終的には頭部を砕かれ倒れるとしても、並の武闘家を超えたタフさだ。

 

急所である頭部への攻撃以外は効果が薄いとさえ言える。

 

 

 

次に恐怖への耐性。

 

横で仲間が倒されようが気にも留めない。それどころか手足が折れても構わずに襲い来る。

 

痛みは感じているようだが、その後の恐怖や焦りがまるで無い。

 

明らかに普通の状態ではあり得ない。

 

 

 

 「変な薬でもやっているのか…もしくは何者かによる強烈な洗脳か」

 

 

 

薬物、洗脳等で自国の兵士を死すら恐れぬスーパー・ソルジャーに改造する。

 

 

そんな都市伝説はよく聞くだろう。無論、闇の世界の住人である鬼龍はそれが都市伝説などでは無い事を知っている。

 

 

 

この先の村の中央に向かえば、先程の比では無い程の村人達に襲われることは想像に難くない。

 

 

まともな思考回路ならば退却以外の選択肢は無い。

 

 

しかしこの男は鬼龍!

 

 

恐怖すら感じない殺人者の集団との戦いを前にしても不遜に嗤う。

 

 

 

 「恐怖を感じないとは面白い」

 

 

 「恐怖を刷り込むのは俺の専売特許だ」

 

 

 

その姿まさに、傲岸不遜の嗤う龍!

 

 

 

 

先に進むに連れてますますこの村の異常さが顕になる。

 

辺りの草むらに隠されて設置されたトラバサミ。

 

それはまだ可愛い方で場所によっては爆薬の仕込まれたワイヤートラップすらあった。

 

勿論、神の肉体と悪魔の頭脳を持つ男と呼ばれし鬼龍にとっては足止めにもならない。

 

 

そうして進めば幾つかの家屋が並ぶ広場に出た。

 

辺りには日々の仕事にいそしむ村人達。

 

だが鬼龍は気付いている。その者達には既に人間らしい情緒など存在しないことを。

 

数回に渡る戦いを経て、鬼龍は結論を下す。

 

 

 

 「奴らは既に死んでいる」

 

 

 

勿論、そのままの意味ではない。だが連中の中には人としての意思、己の意思というものが無いと鬼龍は考える。

 

痛みを受ける反応も今目の前で作業に勤しむ姿も全て模倣。

 

感情の全てが支配されている。自分達以外の人間を見たとき彼らの思考は攻撃という思考のみに染められる。

 

薬物か洗脳か、はたまた己の知らぬ何かしらの方法か。

 

自分の意思を何者かに奪われているであろう彼らを指して鬼龍は 死人 と表現したのだ。

 

 

それはIQにして200にもなる鬼龍の天才的な頭脳から来る推察力と長年戦いに身を置いて得た直感がその答えに辿り着かせた。

 

 

 

今は鬼龍に気付いていない連中も、姿を表せば作業を止めて攻撃してくるだろう。

 

それが解っていて近づく者はいない、普通なら。

 

 

しかしこの男は鬼龍!まるで至極当然の事かのように広場の村人達に歩み寄る!

 

 

 

 「おい蛆虫」

 

 

 〈アン?〉

 

 

呼びかけに反応して振り向いた村人の頭を蹴り抜いた。

 

数メートルは軽く飛び、倒れ伏して動かなくなる村人。

 

そうすれば周囲の村人も鬼龍の存在に気付いた。

 

 

 

 〈ナンジャアッ コノキタナイニンゲンハ〉

 

 〈アノウ ホカノレンチュウヨンデキマショウカ?〉

 

 〈イケドリニシマショウカ?〉

 

 〈イカシトクワケアルカア〉

 

 〈アノウ チェーンソー・ボビー ヨビマショウカ?〉

 

 

瞬く間に広場中の村人が集まってくる。

 

それだけではない。広場の先の扉からも続々と村人が広場に集結する。

 

 

その様子をどうする訳でもなくただ静観する鬼龍。

 

やがて村人の数が数十人に上り、包囲が完成した時、

 

鬼龍がまたもや不遜極まる悪魔の笑みを浮かべる!

 

 

 

 

 「フン、良いだろう 敵は多い方が刺激的で楽しめる」

 

 

 「何人集まろうと、下衆の拳など掠りもしないわっ」

 

 

 

 

 〈ナンダア コノジョウキョウデヨユウカア〉

 

 〈ジボウジキダロ〉

 

 〈ブヘヘ、カマウコトハネェ アイテハヒトリサ〉

 

 

 

 

一瞬の静寂の後、互いの殺意が爆発する!

 

 

 

 

 〈〈〈タゼイニブゼイダ イッケェ!〉〉〉

 

 

 

 「はーっ 滾る! 武闘家としての血が滾るぞ!」

 

 

 

広場で死闘の幕が上がった。

 

 

村人の群れ目掛けて鬼龍が突撃する!

 

その弾丸の如き余りの速度に、周囲に突風が巻き起こる!

 

 

 〈エッ〉

 

 〈ナニッ〉

 

 

一瞬で目の前に移動してみせた鬼龍に目を剥く村人達。

 

その速度を乗せたまま鬼龍は攻撃を繰り出す。

 

一人の村人がハイキックで粉砕される。

 

ようやく反応できた数人の村人が武器を構えるより速く、鬼龍の回し蹴りが数人纏めて吹き飛ばす。

 

それを見ても怯まず攻撃する村人達。

 

しかし繰り出した農具による攻撃のどれもが躱される。

 

 

そしてまた空気を高速で震わせる、鞭打ちの異音が響いた。

 

鬼龍の得意打撃、霞打ちだ。

 

ある者はわけも分からず吹き飛ばされ、ある者は怯んだ所を仕留められる。

 

恐怖もダメージも無視して戦える村人達。

 

しかし人間の体を持つ以上、世界最高峰の武術家である鬼龍にとって人体の弱点を的確に破壊し、無駄なく殺害する事は容易なのだ。

 

しかも吹き飛ばされた村人は他の村人を巻き込んで更に被害が拡大する。

 

 

 

 〈ア~ッ ナニガオキテルカワラネェヨ ボウッ〉

 

ソバットで背後にいた村人の頭部を砕く。

 

 

 〈イマオレタチガレッセイッテホントウカ? フギィ〉

 

右のストレートで10メートル近く吹き飛ばす。

 

 

 〈チョウシニノルナヨ アッ〉

 

中指を立てた握り拳で人中を突く。

 

 

 〈アヒャヒャヒャ コノニンズウニカコマレタンダモウオワリダ! グビッ〉

 

裏拳が命中し敵の首が180°回転する。

 

 

 

ありとあらゆる暴力で村人達の命を奪い回る鬼龍!

 

ある時は純粋な腕力で、ある時は洗練された武術で

 

それでも構わず襲い来る村人達、応戦する鬼龍!

 

だが次第に動揺が走り始める。

 

 

 

 〈モシカシテ…オレタチデハコイツハコロセナインジャナイスカ? ハウッ〉

 

 〈マテヨ、タタカイハコレカラユウリニナッテイクンダゼ グベッ〉

 

 

その動揺の隙を察知し、更に動きの速度を上げて村人を蹂躙する鬼龍。

 

 

残った村人達の中からとうとう戦意を失くす者が出始める。

 

 

 

 〈ナ、何デヤンスカ コレハ…〉

 

 

 〈コノ暴力ハ人間ノ物デハ無イ、悪魔ダ! 悪魔ノ力デヤンス!〉

           デビル ハザード

 〈様々ナ暴力ヲ内包シタ 悪魔 災害 デヤンス!〉

 

 

 

気が付けばあれだけいた村人は残り数人になっていた。

 

 

 

 「脆弱だ 全てが脆弱に過ぎない」

 

 

 〈ヒ、ヒィ!〉

 

 

並ぶものなき蓋世不抜の超人を前にして、遂に村人達を操る何者かが施した死をも恐れぬ精神が恐怖に飲み込まれた。

 

にじり寄る鬼龍への恐怖から退却しようにも震えて足が動かない。

 

 

しかしその時

 

 

 

 

 〈ドケ蛆虫 俺ガ仕留メル〉

 

 

一人の野太い声が聞こえた。

 

 

 〈ア、アナタハ!〉

 

 

そして辺りに重々しい電動音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 「ほう…チェーンソーか」

 

 

 

鬼龍の前に立つのは一人の大男。ずだ袋で顔を隠し、その手には荒々しく唸り声を上げるチェーンソー。

 

さながらホラー映画の殺人鬼といった風貌だ。

 

 

その男が口を開く。

 

 

 〈アーッ ハヨ バラバラ シタイノオ〉

 

 

 

意味のある言葉ではあるのだろうが、それを発した大男にマトモな理性や意識があるようにはとても見えない。

 

 

まるで重度の薬物中毒者の様に虚ろな目を不規則に動かす。

 

 

 

 〈……ククク、オ前ラ余所者ハ正義感ブッテテモ死ヲ前ニスレバ全員泣キ叫ブノヨ〉

 

 〈ソノ薄汚イボディニ俺ノゴ機嫌ナ チェーンソー ヲ ブチコンデヤルゼ ククク〉

 

 

言うや否や大男がチェーンソーを振りかぶって鬼龍に襲い掛かった!

 

 

 〈俺ノチェーンソーヲ舐メテルト大怪我スルゾッ〉

 

 

大男が間合いに入った直前、またあの異音が、鬼龍の霞打ちが炸裂する!

 

顔面に一発、胴体に二発命中した。

 

 

だが

 

 

 〈効イテナイヨォォ〉

 

 

吹き飛ぶどころか怯みもしない大男。

 

そのままチェーンソーを振り下ろす!

 

 

 「なにっ」

 

紙一重で回避する鬼龍!一瞬前までいた場所を電動音をたてながら通り過ぎるチェーンソーの刃。

 

 

 〈確カニ速イガ、残念ナガラ破壊力ガナイワ!〉

 

 

鬼龍の得意技、霞打ちが通じない!

 

並の武闘家なら動揺は免れなかっただろう。

 

しかしこの男は鬼龍!怯むどころかその逆、嬉しそうに闘気を滾らせる!

 

 

 「面白い」

 

 「クズは凶悪で屈強なほど殺したとき愉快なものだ」

 

 

鬼龍の全身から発せられる気迫は龍の眼力を思わせる。

 

 

 「本気で殺してやるよっ」

 

 

今までの比では無い速度で突進する!

 

そして霞打ちの異音が連続で響き渡る!

 

霞打ちによる連撃、連弾霞打ちだ。

 

まるでマシンガンのようなそれを受けながらも大男は怯まずチェーンソーを振り回す。

 

攻撃を止めて、飛び引いてチェーンソーを回避する鬼龍。

 

 

 〈ハイッ 雑魚確定 ブッ殺シマス〉

 

 

 「ノロマの振るう武器など虫も止まるわっ」

 

 

大男の挑発に霞打ちで返す鬼龍!

 

大男が霞打ちに耐えてチェーンソーを振り回す。

 

鬼龍がそれを避けながらまた霞打ちを放つ。

 

お互いに決め手のない、しかし緊迫した戦いが繰り広げられた。

 

 

それに痺れを切らした大男がチェーンソーの大振りを繰り出した!

 

 

 〈イイ加減殺シテヤルヨッ〉

 

 

しかし鬼龍はこの攻撃を待っていたのだ。

 

 

振り下ろされたチェーンソーを持つ大男の右手首が、鬼龍の放った前蹴りによって蹴り砕かれた!

 

あらぬ方向に手首が捻り曲がり、持っていたチェーンソーは勢い余って後方に吹き飛んだ。

 

 

〈ナニッ〉

 

 

流石の大男もこれには驚く。しかしそこに恐怖や焦りは無く、平然とその場に残っていた他の村人に命令した。

 

 

 〈オイ蛆虫、俺ノチェーンソーヲ拾ッテコイ〉

 

 

 〈エッ…ソノウデデモツノカ?〉

 

 

 〈俺ハチェーンソー・ボビーダゼ チェーンソー以外ノ武器ヲ使ッタラ俺ガ俺デナクナルダロウガ〉

 

 

 〈早クシロ、蛆虫〉

 

 

傲慢に言い放つ大男。その背後に悪逆無道の悪魔が迫る!

 

 

 〈エッ〉

 

 

振り向いた時には既に目の前に 鬼 龍 !

 

 

 

 「愚か者めっ 弱いものは更に弱いものを見つけて戦いを挑めっ」

 

 

両腕の掌で大男の両耳を左右同時に強く叩きつける!

 

 

 「ハーッ 灘神影流!鼓爆掌!」

 

 

大男の視界から一切の光が消え失せ、平衡感覚が消失する!

 

 

 〈アウッ〉

 

 

そこに鬼龍のハイキックが命中、巨体が嘘のように吹き飛んだ。

 

その先には大男の命令どおり拾ったチェーンソーにエンジンを入れて持ってきていた村人が。

 

 

 〈ヘッ?〉

 

 

 〈 ウ ア ア ア ア ア ア  ! 〉

 

 

 

衝突し村人は押しつぶされ、大男はチェーンソーの刃が胴体に食い込み、大量の血飛沫と臓物を撒き散らして沈黙した。

 

 

その戦いの結末を見た残りの村人は村の奥に逃げていく。

 

まるで決着のゴングかのように村の協会の鐘が鳴らされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに立つ鬼龍はこれからの激戦を予感し、喜びに震えていた。

 

 「こんなに血が滾るのはいつ以来か…!」

 

 

興奮のまま、鐘のなった協会の方に向かうとする鬼龍。

 

 

 

その背後から腹から臓物を垂らした大男が起き上がり、襲い掛かる!

 

 

 

 〈ウガアアア!ガナードハ頭サエアレバ生キテイケルンダヨオ!〉

 

 〈死ィネエ!〉

 

 

 「ほう…」

 

 

 

そして振り上げた左拳が振るわれる前に一発の銃声が響き渡り、大男は眉間に穴を開けて倒れ伏して永遠に沈黙した。

 

 

それをやったのは鬼龍の後方に現れた一人の男。

 

 

整った顔の金髪の男性。ジャケットを羽織り、先程の銃撃は彼の手にした拳銃から放たれたのだとわかる。

 

その男が鬼龍に語り掛ける。

 

 

 「宮沢鬼龍だな 大統領から話は聞いてる、俺はレオン S ケネディだ」

 

 

 「大統領お墨付きのエージェントというわけか」

 

 

 「ひとまず情報が欲しい この村はどうなっているんだ?あの村人達は一体」

 

 

 「さあな どうだろうと興味はない 俺は誘拐の犯人に会いに行くだけさ」

 

 

 「……お前が会って何をするっていうんだ?」

 

 

 

その言葉に鬼龍は振り向いて答える。

 

その顔に悪魔の様な笑みを浮かべて。

 

 

 「決まってるだろ 愛してやるのさ」

 

 

 

ここスペインの寒村で悪魔を超えた悪魔の介入による、大統領の娘救出ミッションが始まった。

 

 

 

 

 




◇この作品の目的は…?
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