TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

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コルミロスは荼毘に伏したよ 存在は猿空間に沈めてある


第10話

 

 

 

 

 

 

 「簡潔に言う アシュリー、俺はレオンSケネディ、任務により今から君を本国まで護衛する」

 

 「こっちはルイスと鬼龍、…まぁ、任務の協力者だ」

 

 「よろしくどうも、お嬢様」

 

 「え、えぇ よろしく」

 

 「おい、自己紹介は結構だが何時までもここに居座る気か?」

 

 「そうだな、あの窓から横道に出られそうだ そこから逃げ出すぞ」

 

 

一通りの紹介を手短に終えて、包囲された教会からの脱出のため動き出す。教会の窓を破壊し、倉庫のような場所に出れば、外へと続くドアがあった。

 

 

 「なんだよ、俺達は紹介してくれないのかよ」

 

 「すっげー虚脱感…」

 

 

 

会話の間も教会を取り囲む村人の熱狂が加速していくのが中からでもハッキリと感じられた。

 

 

 

 

 

 「これから包囲を突破して脱出するぞ、アシュリーの安全が第一だ」

 

 「作戦はこうだ、まずここから飛び出して奴らと応戦する」

 

 「その隙をついて一人がアシュリーを護衛して包囲を密かに抜ける その後は見つからない場所で隠れてやり過ごすんだ」

 

 

言い終わるとレオンは振り向き、鬼龍に向き合った。

 

 

 

 「アシュリーを連れていく役は……鬼龍、お前に頼みたい」

 

 

 

それを聞く鬼龍の顔は無表情、他の4人に妙な緊張が走る。

 

 

 

 (確かに鬼龍のそばなら安全か…だが)

 

 (しゃあけど…)

 

 (また化け物相手に暴れるとか言い出すんじゃないスか?)

 

 

 

しかし鬼龍が悠然と答えた返事は4人には意外な物だった。

 

 

 

 「良いだろう、下衆共は決して近づかせはしない」

 

 「お前に従うわけではない、だがクズの思いつきで価値ある者が傷つくなど許せない」

 

 

 

鬼龍はその提案を受け入れた、鬼龍にとって目の前の女性を守ることは、不愉快な敵を叩きのめす事より遥かに重大なことなのだ。

 

大統領からの事前の通達でそのことを知らされていたレオンは、特に面食らう様子もなく今度はアシュリーに語り掛ける。

 

 

 「それで良いか?アシュリー」

 

 

アシュリーの顔には未だに不安と恐怖が色濃く映る、だが助けが来たことの安心からかもう取り乱すことはない。

 

 

 「わかったわ、この人についていけば良いのね?」

 

 

 

いよいよ外から聞こえる熱狂が高まり、遂に教会の扉が破壊される音が聞こえてきた。

 

 

 「よしっ じゃあ行くぞ!」

 

 

ドアを開けて飛び出し、手筈通りにまずは鬼龍とアシュリーを除いた4人が村人の集団目掛けて駆け出した。

 

 

 

 「うわあああ!御戦闘だあっ」

 

 「勢いで飛び出したのを後悔してるのは…俺なんだ!」

 

 

 「おいっ 前も言ったが俺を撃つなよな」

 

 

 

先に先制の攻撃を与えたのはレオン達。

 

散弾銃を構えるレオンが村人を数人まとめて吹き飛ばす。

 

ルイスの通常よりも一発の威力が大きいハンドガンの銃撃が村人の頭を正確に撃ち抜いて破壊する。

 

警官達も拳銃を発砲し応戦する、そのままならすぐに死にそうだからと武器商人から渡された防護アーマーに身を包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 〈ウアアア!ヤツラガネリムカッテキテル!〉

 

 

 〈ククク、グッチャグッチャニシテヤルヨ〉

 

 

 

 

戦闘が始まったのを確認し、後方で待機していた二連チェーンソーの巨漢が動き出す。背後にいるチェーンソーを構えるもう3人に命令を下した。

 

 

     チェーンソー・フォー

 〈出番ダ! 四大怪人 ヨ!〉

 

 

 

3人のうち一人は鬼龍が村中央で対峙した大男とそっくりの見た目をしていた。ズタ袋を被り、その肉体は筋肉質。

 

 

 〈私ハ…弟ヲ殺サレタ悲シキ過去ガアルンダ!〉

 

 

 〈マズ一人目!チェーンソー・ボビーノ兄、 電ノコ ノ ミノル!〉

 

 

 

続く二人はズタ袋代わりに顔には包帯を巻き、服装や体格をよく見れば二人とも女性であることがわかる。

 

 

 〈村長ヲ殺シタラシイ侵入者ヤン〉

 

 〈元気シトン?〉

 

 

 〈殺戮姉妹イモータル・ツインズ!〉

 

 

 

背後で高鳴る3人の殺気とチェーンソーの電動音を感じながら四大怪人最後の一人が悠々と教会前付近で暴れている侵入者めがけて進軍を開始した。

 

 

 〈ソシテコノ俺、死神屠殺師 マーフィー様ダァ〉

 

 〈死ンダッテ忘レラレナイ苦痛ヲ与エテヤルヨ〉

 

 

既に村人の1/3は倒されたようだが、歩みを進める4人の怪人物はこれから味合う殺戮の快楽に思いを馳せ、その他の思考の一切がかき消されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激突する両者の後方、鬼龍がアシュリーを背後に隠すようにして気配を消しながら少し遅らせて慎重に進んでいた。

 

 

 「………………」

 

 

アシュリーは何も言わない、少し離れているとはいえ肉眼で見える位置で大規模な殺し合いが展開されている。

 

大統領の娘といえど中身はごく普通の大学生、人が思い描く非日常など遥かに越えたこの異常事態を前に動揺を隠しきれと言うのが無理な話。

 

 

 

 

 「不安か」

 

 

振り向くことなく鬼龍がアシュリーに語り掛ける。

 

 

 「えっ…い、いやそんな」

 

 

 「隠す必要はない、それでいい」

 

 「至極当然の反応だ、こんな狂人共と関わってしまったからと言って自分まで真っ当な感性を捨てることは無い」

 

 

 

鬼龍は今なお激化する戦場を見ながらそう答える。常に己の歩幅に合わせて歩き、油断なく構えられた両腕は、何が起きようともすぐさま自分を守るためだとアシュリーは気付いた。

 

 

 「鬼龍…って言ったわよね、貴方は…あっ!」

 

 

 

問いの続きは中断され、アシュリーの顔が驚愕と恐怖に染まる。視線の先には戦場に合流しようとしたのか、松明を持った村人が群れから離れて、アシュリー達の近くまで来ていた。

 

 

村人の視線は既にアシュリーと合っており、すぐに口を開いて仲間を呼ぼうとしていた。

 

 

 

 〈ハーッ オメッ…〉

 

 

そしてそれよりも速く、鬼龍がこの村に来てから最高速度の疾風となり、文字通り瞬きする間に村人の頭を蹴り砕いて両断した。

 

寄生体の出現すら許さぬその速さ、夜の暗闇と怒号と銃声に紛れ、一連の出来事を認識したものはアシュリー達以外にはいなかった。

 

 

 

 「行こう、アシュリー」

 

 「……!えぇ!」

 

 

最初に抱いていたアシュリーの鬼龍の厳しい外見からくる警戒は、今や殆ど消えかかっていた。これは計算されたものではなく、一重に鬼龍の本心からなる女性への愛と敬意がこれを可能にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で教会前の墓地広場での激戦はレオン達が優勢、既に村人の半分が倒れていた。もはや突破どころか全員を倒し、撃退するのも不可能では無いと思われたその時、

 

 

月明かりが照らす闇夜の墓地に、チェーンソーの電動音が響き渡る。複数の電動音が重なり響くそれは、否応なしに聞く者の思考をそれに向けさせる。

 

 

 

 「なんだあっ」

 

 「この音は…?」

 

 

その音を聞いた途端、レオン達のみならず残る村人達も戦いの手を止めた、だがその意味を理解したのか歓声を上げて背後からくる者達に道を譲る様に掃けていく。

 

 

そして開かれた道の奥から姿を表す四人の人物!

 

 

 

 

 〈バアッ!超危険精鋭集団、四大怪人デェース!〉

 

 

 

先頭は一際巨大な大男、背後に続く大男に似た姿の男も、包帯を顔に巻いた血濡れの女二人も、皆一様に手には唸り声を上げるチェーンソーが握られており、先頭の大男の物に至っては刃がニ枚の特別製だ。

 

 

 

「なんだ?悪趣味なサーカスか何かか?」

 

 「コイツら…恐らくプラーガの適合率が高い個体だ」

 

 「あぁ、つまり少しは骨がある奴らってことか」

 

 

 

そうこう話している間に、先頭をいく大男は既に目の前まで接近していた。そして誰もが予想した通り、手にしたチェーンソーを振り回して襲い掛かった。

 

 

 「俺がやる、下手に援護はするな」

 

 

 「おい、レオン!」

 

 

 〈ウラーッ!シュラスコ見タイニ肉ヲ切リ裂サイテヤルゼ!〉

 

 

 

 

大男はまず一番距離の近かったレオンを標的に決めた、その二連チェーンソーをデタラメに振り回しながら接近する。

 

だが当たらない、レオンはバク転やステップ、時には墓石を器用に利用して隙を付き、その猛攻をことごとく躱していく。

 

しかし遂に追い詰められ、背後には図らずも出来た村人達による壁が迫っていた。

 

それを認識した瞬間、レオンは何を思ったか、前へと踏み出した。

 

二連チェーンソーの刃が吸い込まれる様にレオンに向かい、しかし直前でレオンの姿が刃の通る起動から消える。

 

前方への踏み込みからのスライディングで大男の下をすり抜け躱していたのだ。ほんの少し見誤れば即死の一手。

 

見ているルイスと警官達が息を飲んだ。

 

 

 

 

 〈踊レルヤナイケーッッ!〉

 

 

 

すぐさま振り向き、またチェーンソーを振り回し突進する大男。だが背後に回り込んでいたレオンは既に散弾銃を構えている。

 

銃声とフラッシュが炸裂し、撃ち出された弾丸は大男の頭に命中、うめき声を上げて大男が吹き飛ばされた。

 

しかしプラーガの適合率が優れている大男はダメージこそあれどその程度では死にはしない。すぐに地面に両手を付いてうつ伏せの状態から立ち上がらんとする。

 

 

その間に追撃を見舞わんと思われたレオンは、しかしあらぬ方向を向いていた。

 

その先には大男を除いた四大怪人の他3人がいる。

 

レオンは彼らにも理解できるようわざわざこの国の言語で語りかけた。

 

 

 

 「揃いも揃って見ているだけか?木偶ってのは楽でいいよな」

 

 

 

3人には一瞬その言葉の意味が理解できなかった、しかし一度理解すれば油を撒かれた烈火の如く、怒りの炎が吹き上がる。

 

 

 

 〈人間如キガ…!〉

 

 〈我ラ四大怪人ヲ愚弄スルノカ〉

 

 〈フザケルナッ!〉

 

 

 〈〈〈遊ビハ終ワリダッ!〉〉〉

 

 

 

我先にとチェーンソーを唸らせ殺到する3人の四大怪人。

 

レオンを挟んだその奥では、先陣を切った大男が昏倒から復帰していた。これによりレオンの前方と背後、両方に敵が現れたのだ。

 

 

 

 〈アレェ!?戦イハ常在戦場デショ?余所見ナンカシチャダメダメ〜!〉

 

 

 

前方の3人同様、背後の大男もチェーンソーの間合いに踏み込んだ。振り上げたチェーンソーを振り下ろし、声高らかに勝利を確信した言葉を放つ。

 

 

 

 「あぁ、知ってるよ」

 

 

 

そこからレオンは右側に転がり抜け出した。次の瞬間、チェーンソーの刃が肉を巻き込み切断する、身の毛もよだつ音がなり、大量の血飛沫が赤い雨となって降り注ぐ。

 

 

 

大男の二連チェーンソーは確かに深々と切断して致命傷を与えていた、眼前にいる他ならぬ四大怪人の一人の肉体を。

 

ボトボトと音を立ててこぼれ落ちる内臓、脊髄ごと切断された寄生体。

 

 

 

 

 〈エッ〉

 

 〈ハ?〉

 

 

 

唖然とする四大怪人、起きたのは何てことない同士討ち。

 

本来、これを防ぐために互いの戦闘中は付近に近寄らないという暗黙の了解めいた認識があったのだが、レオンから受けた愚弄への怒りが僅かながらのその理性すら消し飛ばしてしまった。

 

 

 

 

 「どこを見てるんだ」

 

 「ハウッ」

 

 

残り二人となった前方の四大怪人の付近に忍び寄ったレオン。挑発をすれば残る一人が慌ててチェーンソーの刃を声のした方向目掛けて振り抜いた。

 

 

 〈貴様ーッ!〉

 

 

レオンはしゃがみ込んで容易く躱す。だが力の限り振り抜いたチェーンソーの刃の起動には、またもや不幸にももう一人の四大怪人の姿が。

 

 

 〈アッ〉

 

 〈ウギャッ〉

 

 

チェーンソーの高速回転する刃が鮮やかに一太刀で包帯を巻いた仲間の頭部を切り飛ばした。

 

 

青ざめる暇もなく、背中に散弾銃の銃弾が命中し、不意打ちと余りの衝撃に吹き飛ばされた。

 

その先には二連チェーンソーの大男が。

 

 

 

 〈ウワアッ ア、危ナイ!〉

 

 〈ヤ、ヤメロッ〉

 

 

 

巻き込まれる身の危険を感じた大男が咄嗟にチェーンソーを振り払って自分に迫る何かを弾き飛ばして防御しようとする。

 

例によってその何かが仲間だと言うことは頭から抜け落ちていた。

 

 

 

 〈ウギアアアアアア!〉

 

 

 

断末魔を上げて真っ二つに両断され、左右に転がる四大怪人の一人。瞬く間に大男以外の三人がなんと全滅していた。

 

 

 

 〈ア、アワワ〉

 

 

 

口に手をかざして慌てふためく大男、それを見るレオンの目は馬鹿らしい物を見たかの様に冷え切っていた。無言で構えた散弾銃の引き金を引き、大男に弾丸を浴びせる。

 

そうすればやはり散弾銃の破壊力には抗えず、またもや吹き飛び、地面に転がる。

 

立ち上がろうとした大男の胸に、球体に似た何かが投げつけられた。

 

 

それは呆れた目のレオンが投げつけた、武器商人から購入した手榴弾、既にピンは抜かれていた。

 

 

 

 〈 ウ ア ア ア ア ! 〉

 

 

 

大気を揺るがす爆音と、灼熱を帯びた熱風が巻き起こり、爆心地にあった大男の肉体は細かな肉の欠片となって四散した。

 

 

 

全てが終わり、静まり返る墓地広場、村人達は未だに事態を認識できずにいた。

 

 

またもやレオンが無言で散弾銃を発砲、村人数人の頭を撃ち抜けばようやくそこで村人達にも理解が広まる。

 

 

武器を構え、まだ戦いを続行しようとする村人達、しかし明らかに先程と比べて戦意が薄い。

 

レオンが手榴弾をもう一つ、群れの中央に投げ入れて爆発が起きる、まとめて十人近くが粉砕され、そこでようやく敗北を悟った村人達が退却し逃げていく。

 

 

村方面に続く洞窟がある森の中に村人全員が消えていった後、ようやく構えていた銃を下ろす4人。

 

辺りは既に夜が明けて、少し明るかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これで終わりか?」

 

 「みたいだな、鬼龍とアシュリーは?」

 

 「鬼龍がいるんだ、無事だろ 近くにいるさ」

 

 

 「俺達も何人か倒したんだよね」

 

 「二人がかりで数人だけどなブヘヘヘ」

 

 

 

緊張状態から解放され、疲労が4人を襲う。墓地の隅にある小屋の中から身を潜めていた鬼龍とアシュリーが姿を表した。

 

 

 

 




◇次回、6人は…?
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