TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

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感謝するよ猿先生!新鮮な猿鬼龍展開を脳に補給して完全復活だ!


第15話

 

 

 

 

 

 「よしっ、ここを超えれば村を出られるぞ」

 

 

崖下の道を超えたレオン達は深い渓谷と古びていながらも作動しているリフト乗り場の付近にいた。

 

背後ではリフトの起動音が聞こえ、その眼の前には道を塞ぐ壁と見間違うほど分厚く重々しい扉。明らかに元の村には無かったであろう仕掛け扉、人間の頭部をもした彫刻が彫られている。

 

 

 「なるほど、こういうことか」

 

 

よく見ればその彫刻の片目から薄っすらと光の様な物が漏れ出ているのに気が付いたレオン。ポケットに仕舞っていた村長の義眼をかざした。義眼がまるで彫刻の目と見つめ合うかの様にかざされれば、彫刻の目からはっきりと光が一直線に現れて義眼に照射される。

 

 

一瞬の間の後、ガシャンという起動音、扉のロックが解除された音と共に重苦しいその扉が左右へと開いた。その先に見えるのは村の外へと続くであろう坂道だ。

 

 

 「開いたぞ」

 

 「義眼に刻印されたコードか何かを読み取ったか」

 

 「はーっ何か達成感で感慨深いのね」

 

 「しかしようレオン、よくその義眼が通行の証だと気付けたな 俺や武器商人でさえ知らなかったのによ」

 

 「何となくそう思ってな、あるだろ?この鍵は何処で使いそうだとか、もうこの鍵は使わなそうだなとか…感覚で解ったりすることが」

 

 「うーん、私はそんな経験ないけどな…」

 

 「ねーっなんなのその能力」

 

 「ふぅん直感というわけか」

 

 

7人は仕掛け扉の先へと進んでいく。寒村特有の冷たい風は城の方角から吹いていた。

 

 

 

 

そしてレオン達は城へと続く一本の坂道を登っていった。アシュリーに後方を歩かせ前方のレオンと鬼龍が咄嗟の奇襲に備えて警戒して歩く、その道自体は長くはない。

 

だが坂道も中腹に差し掛かったその時、道の向こう側から大勢の足跡と共に黒服の集団が殺到する。その者たちは瞬く間に道を塞いでレオン達の行く手を阻んだ。その数、20人程。

 

 

 〈鴨ガ葱ショッテヤッテキタゼェ、グヘヘヘへ〉

 

 

その黒ずくめの集団の先頭に立つのは深紅のローブと頭骨の仮面の人物。先の話に出た教団の信徒を率いるという幹部だった。その男が手を前に出して合図をすれば左右から武装した信徒が進み出る。

 

 

 

 「早速お出ましか、コイツの事か?赤服の幹部ってのは」

 

 「そうだ、儀式とか抜かして人を殺す事を楽しむクソ野郎だぜ」

 

 「得意気にふんぞり返るなよ、貴様が奥に潜んでいることなどとうに気付いていた」

 

 

 

扉を抜けた先でのその襲撃を予想していたのか、鬼龍とレオン達は少しの同様もなく各々の獲物を構える。その後ろでアシュリーを庇うために警官達も今だ緊張しながらも銃を抜く。

 

 

 

 〈フン、ヤハリ余所者ナンテ低知能ノクズバカリダ オ前ラミタイナ蛆虫ハ豚トデモファックシテルホウガ似合ッテルゼ〉

 

 〈連戦ヲ超エタ連戦デモウオ前ラニハ弾モ体力モ残ッテナインダヨネ〉

 

 〈 死 ネ 〉

 

 

 

罵倒と共に攻撃の号令を放とうとする赤ローブの幹部、レオンがすかさず背中に下げた新たな銃器を取り出して赤ローブに標準を合わせた。

 

 

 「そう簡単にいくかどうか、試してみるか」

 

 

 〈盾ダッ〉

 

 〈シャアッ〉

 

 

その言葉で発砲より早く盾で武装した信徒が幹部の前に滑り込む様に躍り出た。その盾は木盾なれど厚く広い、信徒と後ろの幹部を完全に覆い隠して来たる銃撃に備える。その強度は通常の拳銃程度なら容易く防げるだろう。

 

そして聞こえる引き金を引いた音、幹部が仮面の下で口角を上げる。しかし響いたそれは拳銃の発砲音ではなかった。

 

 

 〈ブヒィッ!?〉

 

 

安全なハズの幹部が出血を起こして仰け反った!片口から血が吹き出して、前にいる盾を構えた信徒は頭が弾け飛んで死んでいた。厚いはずの盾には円形状に貫く破壊痕があった。

 

 

レオンの両手に構えられたそれはボルトアクションのライフルだった。レオンが手動で機構を動かし弾を込めれば不要となった空の薬莢が地面へと落とされる。

 

その事態に戦闘態勢だった信徒達は出鼻をくじかれ動揺する。

 

 

 

 〈ナッ…ナンデナノン!?狙撃銃ナンテコノ村ノ何処デ…!〉

 

 

 

取り乱す幹部を前に答え合わせをするかのように鬼龍達の背後に控えていた武器商人が顔を出す。

 

 

 「ばぁっ 超有能協力者、武器商人でェーす!」

 

 

 〈アワワッ オ前ハ城ニモ来テイタ武器商人!コ、コイツラニ手ヲ貸シタトイウノカ!?〉

 

 

 「だからそうだと言ってるでしょ、君も頭が悪いなぁ」

 

 

 〈ソノ銃ハオ前ガコイツラニ!?デ、デハ弾薬ノ消耗ハ無イ…?ヨ、ヨク見タラガラドールヲ向カワセタノニ一人モ殺セテナイ…〉

 

 

 「ゲス野郎のアテが外れた様だな」

 

 

 〈ハウウッ………ク、クククク〉

 

 

 「どうした?恐怖でとうとう頭が完全にイカれたか」

 

 

 

狼狽する幹部が一転くぐもった笑い声をこぼし始めた、すると次の瞬間、遥か後方からガシャンという何かの起動音と怒号、そして大勢が大挙する足音が聞こえてきた。

 

咄嗟に振り返るも、本当は振り返るより速く、何が起きたのか理解は出来ていた。脳裏に浮かんだ最悪の想像。

 

 

 

 〈ソノ扉ハ一度開ケバシバラク開イタママナンダヨ 蛆虫野郎ーッ!〉

 

 

 

仕掛け扉の向こう、鬼龍達が通ってきた村の方角から更に数十人の信徒達が加勢に現れた。瞬時に鬼龍達に追いついてこれにより一本道での挟み打ちの形となった。

 

 

 「ならーっ!?」

 

 「はひーっ挟み打ちですぅ!」

 

 「嘘…ここに来るまではいなかったじゃない!」

 

 

 「……もう片方の詰め所に潜ませていたのか」

 

 

 

 〈ブヘヘ正解ダ蛆虫、オ前達ガ何方ノ道ヲ通ルカナンテノハオ見通シ シバラクシテココニ集合スルヨウニ命ジデイタノヨ〉

 

 〈消耗シテヨウガシテナカロウガ、ドノミチオ前ラハ皆死ヌンダヨ〉

 

 

 

一本道での挟み打ちという危機的な状況、すぐさま警護対象のかアシュリーを真ん中に移動させ、前後を残りの者達で食い止める陣形を取る。

 

しかしルイスからの説明通りに信徒達は村人に比べて肉体の耐久力も装備の攻撃性も格段に強化されている。

 

そしてそれらが数十人、前後合わせて50人近くいる。

 

 

 

 

 「アシュリーを死守しろ!コイツらを通すなよ!」

 

 「お前たちは背後だけ何とかすればいい、前のクズ共は俺が全員殺してやるよ」

 

 「簡単に言うけどな!コイツら戦闘経験も村人の比じゃ無いんだぜ!」

 

 「数で押し切られたら銃が強力でも無意味なのね」

 

 

 「お、教えてくれ…オッサン達はともかく俺達二人は生き残れるのか…」

 

 「ウム……今回こそ死ぬかもしれないんだなあ」

 

 「あううっもう襲ってくるわ…!」

 

 

 

 〈幹部デアル俺ノ名ヲ以テ…大統領ノ娘ヲ除イタ余所者共ニ死刑ヲ言イ渡ス……殺セーッ!〉

 

 

 〈〈〈ウオオオオオオオオッ〉〉〉

 

 

 「来るぞっ構えろ!」

 

 

 

前後にいる信徒が同時に武器を手に駆け出した、覚悟を決めたレオン達が迎え撃とうとしたその時─

 

 

 

レオン達の誰の物でもない、激しい銃器の発砲音が連続して鳴り響いた。一発一発が一部の間も開かない高速連射、それは引き金を引き続ける限り弾丸を撃ち出すマシンガンの類だとレオンは気が付いた。

 

 

弾丸による破壊的な鉄製の豪雨、それが襲い掛かった相手はレオン達では無い。レオン達の後方より走りくる増援の信徒達に向けて放たれていた。

 

 

 〈エッ〉  〈ナンダアッ〉  〈ウギャッ〉

 

 

 

それらは的確に信徒達の脚を撃ち抜いては地面に転倒させていく。構えられた木盾も横合いから足を狙われれば意味を成さない。

 

 

 「なにっ」

 

 「ほう…」

 

 

 〈ナンダ!?ナニヲヤッテイルンダ!?〉

 

 

 

両者にとって予想外の動揺が走る、そしてそれからより速く立ち上がったのはレオン達。

 

 

 「今だ!」

 

 

声を張り上げてそう叫ぶ、仲間の動揺を覚ますと同時に謎の援護の正体も一旦捨て置き、取り出した散弾銃を前方に3連射。

 

走り寄っていた信徒達を吹き飛ばし、或いは盾を粉砕して怯ませた。その隙を攻めんと飛び出した、そしてほぼ同時にレオンのその動きに追従して追い越す黒き風。

 

勿論、鬼龍!既に信徒達の目と鼻の先まで接近し、その片足は振り上げられている。

 

 

 「ばぁーっ」

 

 〈ハ、ハヒーッ〉

 

 

 

鬼龍の回し蹴りが信徒達複数をまとめて襲う、より高い適合率で強化された肉体、薬物と洗脳によって鈍らされたダメージ、頭部などの急所を防護する鉄仮面。

 

 

悪魔を超えた悪魔の破滅をもたらす剛脚はソレらをまるで無いものとして、信徒達の体を肉と言わず骨と言わず全身のあらゆる主要臓器ごと粉砕して絶命させる。

 

 

 「俺と鬼龍が前に行く、後方は任せた!」

 

 

 「おう!何だが解らねぇがチャンスだ!」

 

 「赤ローブは逃がすと厄介だからちゃんと仕留めるのね!」

 

 

 

ルイスと武器商人が後方の戦闘に回った、その間にも一度接近した鬼龍は信徒達の集団にこれでもかと破壊を振り撒いていた。

 

 

 「はっはーっ 下衆の断末魔とは心地が良いものよ!」

 

 

銃弾にも迫る霞打ちの連打が信徒達の脳を揺さぶり、腕を砕いて手にした武器を失わせ、胴体に命中して吹き飛ばす。

 

そして怯んだままの者は例外なく龍腿によって蹴り砕かれる。

 

 

 〈イイカゲンニスルダヨーッ〉

 

 

黒服の信徒達の中から紫のローブを纏う信徒が大鎌を振り上げて現れた、それは農場で警官達とアシュリーを襲撃した者と同様、一つ上の地位につく信徒。プラーガの適合率も一般の信徒より更に優れている。

 

 

しかしその大鎌は振り下ろされなかった、拳銃の発砲音が連続して4発、抜き放ったレオンのハンドガンから煙が上がる。

 

 

 〈カウッ〉

 

 

その4発は両手足を見事に撃ち抜いて、大鎌を手から落とされると同時に膝をつく体制で動けなくした。

 

そしてその顔面を鬼龍が蹴り上げた!その起動が一直線に発射されたロケットを幻視させる程の破壊力。

 

つけていた鉄仮面などお構いなく頭蓋骨を叩きつけたスイカのように破壊する。

 

 

 「レオンめ…俺に援護など不要だ」

 

 「さっさと終わらせるに越した事は無いだろ?さぁ行くぞ!」

 

 「ふん、まぁ良いだろう…この程度のクズは相手にならん!」

 

 

 

そしてまた戦闘が再開される、前方より迫る信徒達には既に同様も気後れも無い。しかしながら余りにも戦力に差があった、レオンと鬼龍は最小の動きで敵を倒す、それに対し信徒の振るう武器は躱され、または振るうことも出来ずに怯ませられて仕留められる。

 

 

それを前にした赤ローブの幹部は遂に勝利は失われたと見て逃走を測った。

 

 

 〈ク、クソボケガーッ!〉

 

 

脇芽も振らずに全速力で駆け出した、この先にある城への架け橋を下げたままにしていたのは正解だったと内心で自賛する。

 

 

 〈蛆虫ノクズ共!城ニ戻ッテ信徒ヲ補充シテヤル!イイ気ニナルナヨ!今度ハ“ノビスタドール”ト戦ラセテヤルヨッ〉

 

 

次なる作戦を立てて更に足を前へと踏み出す、しかしレオン達から距離を取ることは許されなかった。

 

またライフルの甲高い銃声が響けば、赤ローブの幹部が躓いたかのように転倒する。痛みなど感じない幹部は何が起きたのか解らなかったが、片足から吹き出す血液と脛の途中から千切れて失われた足の先を見ると何が起きたのか理解した。

 

 

 〈ハワーッ…ギィイ〉

 

 

後ろを振り向けば、蹴散らされる信徒達の一瞬の隙をついてライフルを取り出してこちらめがけて発砲したレオンの姿が視界に映る。此方を睨むその両目と視線が合い、久しく失われていた幹部の生命体としての死の恐怖が復活して湧き上がった。

 

 

 〈ヒィッ、ハヒヒヒッ〉

 

 

もはや痛みの有無など関係なく、物理的に走れなくなった幹部は足を引き釣りながら出来得る限りの速度で這ってかけ橋へと移動する。

 

血で出来た道標を作りながらも這いづる幹部、既に背後から戦闘の雄叫びや銃声が聞こえなくなっているのに不幸にも気が付いていた。

 

 

 

 〈ヤ、ヤメテクレ…私モ被害者ナンダ…〉

 

 〈キ、教団ニ入信スルシカ無カッタンダ…ソレシカ道ハ…〉

 

 〈私ニハ悲シキ過去ガアルンダアッ〉

 

 

 

 「そうだな、お前は村にいたときからクソみたいな殺人を繰り返して廃村に隠れていたくらいだからな」

 

 「プラーガへの適合率が高いってだけで殺人鬼から一転して神官様とは笑わせるぜ」

 

 

 「追いついたぞ、さぁもうおしまいだ」

 

 「気をつけるのねレオン、一撃で仕留めなければ寄生体を出して反撃してくるのね」

 

 「クズの命乞いなど聞く価値も無い、さっさと終わらせろ」

 

 

 「な、何とか生き残れた」

 

 「もしかして…俺達はツイてるんじゃないスか?」

 

 「お疲れ様…っていうのは何か変だよね」

 

 

 

挟み打ちが予期せぬ援護で不発となってからは決着まで速かった。狭い道が裏目に出て武器商人から補給された手榴弾や貫通性能のあるライフルがその力を発揮した。

 

レオン達に追いつかれた幹部はどうにかここから生還する作戦を考える。

 

 

 〈アノウ…城ノ化物ノ情報言イマショウカ?〉

 

 「お前に聞く必要はない」

 

 「ノビスタドールだろ?武器は透明化と鉤爪に口から吐き出す硫酸、群れで獲物を襲うが、飛翔時には耐久性が著しく低下する弱点を持つ」

 

 

 〈アノウ…城ノ中ノ使エソウナ場所教エマショウカ?〉

 

 「それもお前に聞く必要はない」

 

 「ムフフフ城の中なら何度も出入りしてるんだよね、俺個人の商店スペースも幾つか持ってるくらいなんだよね」

 

 

 「ほらどうしたゴミクズ、他には無いのか」

 

 

 〈………………〉

 

 〈ウガアアッ!俺ガ助ケロト言ッタラ黙ッテ助ケルンダヨーッ蛆虫共ーッ!〉

 

 

 

 「救えない奴だ」

 

 

 

俯いてた体を突然跳ね上がらせて掴みかかる奇襲を仕掛ける幹部、そんなものが今更通用する筈もなく、反撃を予想していたレオンとルイスの放った銃弾に怯まされて奇襲は失敗。

 

寄生体すら出せないように鬼龍に頭部を踏み砕かれて絶命した。

 

 

 「自分を失う危険があっても寄生体を出せばまだ戦えただろうに…土壇場でそれすら出来ないヘタレ野郎め」

 

 「村に居た時からコイツはブチのめしてやりたかったぜ」

 

 

 

幹部とその手下を退けたレオン達、噴水のある少広場から見える大きな古城は、不穏な気配が立ち昇るかの如く見るものの不安を掻き立てる。

 

 

 「それで…あの城にあるサンプルってのが、ルイスの言う連中との交渉材料なんだったな」

 

 「あぁ場所なら覚えてる、最もサドラーの野郎が移動させて無ければだが…」

 

 

 「話は変わるけどよぉ、さっきのアレは何だったんだ」

 

 「俺達を助けた…んだよな?」

 

 「あの銃声はマシンピストル、俺の商品の中にもあるタイプなのね」

 

 「つまり味方って事なの?」

 

 「そうとも限らない、現に姿を表さないからな…だが…」

 

 

鬼龍の脳裏にまた廃屋での置き紙の事が浮かぶ、アレを書き残した者、その正体が想像通りならば─

 

 

 「何か思い当たる事があるのか、鬼龍」

 

 

 「……さぁな」

 

 

全てが憶測でしか無い故に鬼龍は口を紡ぐ。ただ鬼龍の直感は既に一つの答えを導き出していた。

 

 

城へと渡る架け橋を超えながらも7人はより強くなる寒気にもにた不吉な気配を肌で感じていた。

 

 

 




◇次回、古城編開幕…
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