TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

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RE4さん…貴方に一つ言いたいことがあるんです
貴方は神ゲーだ


第25話

 

 

 

 

 「探すとは言ったが何処から行くか、まさかもう領主の間まで連れてかれちゃいねぇよな?」

 

 

三手に別れた後、レオン達と同様、古城の中をひた走るルイス。その途中も寄生体に操られた信徒達の襲撃を受けるも確かな腕前と寄生体への知識を駆使して突破して突き進む。

 

 

 「クソッ、汗水垂らして走り回るなんて俺のイメージにあってねぇ、何処にいる、嬢ちゃん」

 

 「それに俺の予想が正しければ教団の目的は…だとすると嬢ちゃんが……急がねぇとな!」

 

 

焦燥に駆られながらも努めて冷静に探索を続ける、城の中の大まかな作りは頭に入っている、商人から受け取った地図でより鮮明だ。

 

 

 「やっぱ三獣の石板、アレの先だろうな…最後の一つを探すべきか?隠すとしたら…騎士の間か?ホールの地下室か?」

 

 

廊下らしき場所に辿り着き、何度か角を曲がって進む。その先に見えたドアも越えようとするが鍵が掛かっているのか開かない。

 

 

 「ここは…開かねぇか」

 

 

仕方なく立ち止まり、別の道を探そうと振り返るルイス、だがそれより速く、その背に向かって語り掛ける声が聞こえた。

 

 

 「ようやく一人になったわね、貴方にしては柄にもなかったんじゃない?ルイス」

 

 

ルイスの動きが一瞬だけ停止する、その声には聞き覚えがあった、つまりいま後ろにいる声の主が何者かが理解できた。

 

 

 「…無線では話したが会うのは初めてだよな、何の用だ」

 

 

そこにいたのは艶のある黒髪の美女、真紅のチャイナドレスとハイヒールは何処か妖艶で危ういような雰囲気を醸し出す。

 

 

 「用なんて一つしかないわ、解ってる筈よ」

 

 「サンプルか、悪いがまだ手元に無ぇ」

 

 「そうみたいね、でも忘れないで、サンプルが無いならご褒美も無しよ」

 

 「手厳しいこった…解ってる、サンプルは必ず手に入れる、あと定期的に連絡を取る話だったが悪かったな、なんていうか…成り行きっていうかよ」

 

 「あの怖い武術家さんに睨みを効かされていたものね、いいわ、下手に警戒されてもやり辛くなるだけだから」

 

 「全部知ってんのかよ?そうか、やっぱりあの時の援護もアンタだったのか、だったら遠慮なくチームに加わってくれても良かったんだぜ?」

 

 「ふざけないで、ここから生き延びる事だけ考えるのね…それと、彼女を探すのなら急いだほうが良い、貴方の予想は当たっているわ」

 

 「…そうか、やはりアシュリーは」

 

 「えぇ、既に寄生体を埋め込まれている、もう教団の目的も解るでしょう?」

 

 「従順な信徒と化した要人を送り返して国を乗っ取るつもりか、一人ずつしかし着実に手下に変えていく…まるで悪趣味なゾンビ映画だぜ」

 

 「言い得て妙ね、それに寄生体を埋め込まれたと言う事は…制限時間も付いてくる、貴方も知っての通り」

 

 

 「…あぁ、寄生体が成長し、発作が始まる頃だ」

 

 

 

 

 

 

 

 「ハァ…ハァ…やっとか…!」

 

 

食堂の先の個室にて、新手たる孤島の精鋭群の仕掛けた罠に掛かってしまったレオン、鉄檻の中で一人、悍ましい怪物との正真正銘のデスマッチを強いられる。

 

相対するは最恐の再生者、リヘナラドール。

 

こと再生力に関してはレオンが遭遇した生物兵器の中で最も秀でた怪物。ガラドールやノビスタドールと比べれば速度こそ劣っているが、逆に耐久力、殺傷能力、純粋な膂力はどれも勝っていた。

 

 

そして戦闘開始から数分が経過した後、リヘナラドールは上半身が膨張し破裂、残った下半身が数歩歩いて転倒、やがて完全にその活動を停止して絶命した。

 

 

 「ど、何処までもふざけた肉体だ…!」

 

 

レオンの所有する銃弾は心許無い数にまで減少していた、レオンがリヘナラドールを仕留めるのに使用した銃弾数、

 

 

ハンドガン 34発

 

ショットガン 14発

 

ライフル 11発

 

手榴弾 2個

 

ナイフでの裂傷、切断 21回

 

 

そこまでの凄まじいダメージと損傷をその肉体に刻み込まれ、ようやくリヘナラドールは再生の限界を迎え死亡した。

 

 

伸縮して間合いなど関係無しに掴みかかる両腕をナイフで切り落として対応する。

 

牙を剥き出しにして噛み付く攻撃にはショットガンで頭部そのものを吹き飛ばして無効化。

 

距離が空いたらライフルと手榴弾を浴びせて大きな損傷を与える、脚を破損し転倒すれば素早いハンドガンやナイフで何度も追撃を与えた。

 

そしてその状態からでも構わず反撃にでるリヘナラドールの生物兵器としての恐ろしい能力に背筋が凍る感触を味わいながらなんとか狭い檻の中で回避する。

 

精神的、体力的、そして残弾数までもが大きく消耗した戦いとなった。

 

 

 

 〈カチヤガッタ…〉

 

 〈アンナセマイオリノナカデ…リヘナラドールニ〉

 

 

 〈トンデモナク タフ ナ野郎ダナ〉

 

 

 「はっ、ようやく気付いたのか?さぁ次はどいつだ?この檻の中に入ってくる度胸があるなら相手してやるよ」

 

 

 

 〈ウム……〉

 

 

 〈ヨシ、ジャア企画変更シテ二匹目ヲ投下シヨウ〉

 

 〈〈ハイデース〉〉

 

 

 「……は?」

 

 

 

ガスマスクのガナードの号令と共にまたもや天井の隠し通路が作動して開き、その中から死肉の様な怪物が再び、黒檻の闘技場へと降り立った。

 

 

 「…マジかよ」

 

 

 〈連戦ッテヤツダ!リヘナラドールノ再生ノ仕組ミヲ知リタイダロウ?コノ檻カラ生キテ出テコレタラ教エテヤル、ウハハハ!〉

 

 

レオンの姿を視認するなり白濁の幽鬼は唾液と殺意を振り撒いて、剥き出しになった牙を突き出して迫りくる。

 

 

 「クソッ もう付き合ってられるか!」

 

 

それに対しレオンは悪態をつくのとは裏腹に、その接近を攻撃して阻止する事は無い、ただ背後の檻を背にして何もせず対面する。

 

 

 〈ハッハーッ 絶望ノアマリ諦メタカアッ〉

 

 

 「今だ!」

 

 

リヘナラドールがレオンの眼前まで到達する、瞬時にその体を右後方に大きく仰け反らせる、そして反動と力を込めた右腕の振り下ろし、鋼鉄のスレッジハンマーの全力殴打の如き破壊の一撃。

 

それを限界まで引き付けて、横に抜ける前転で回避するレオン、標的を失ったリヘナラドールの右腕が向かう破壊の対象は、レオンからレオンの背後にあった檻へと変わる。

 

 

即ち、強固な錠前で施錠されていた檻の入口となる鉄格子へと迫り、重く激しい打突の破壊音を立てて錠前を破壊して取り外す。

 

 

 〈エッ〉

 

 〈アッ〉

 

 

 「何が最恐の再生者だ!剣闘士ごっこは化物同士でやってろ!」

 

 

 

右腕を振り抜いて隙を晒したリヘナラドールの背に、レオンの渾身の後ろ回し蹴り、リヘナラドールが吹き飛ばされ、入口の鉄格子を勢いよく開け放ち檻の外へと追い出される。

 

 

 「お前達でも手に負えないんだろ?」

 

 

 

 〈ア、アワワ、アワ…ヒ〉

 

 〈ヒエエエ!リヘナラドールガ檻ノ外ニ!〉

 

 

 〈 ウ ア ア ア ア ア ! 〉

 

 〈 イ ヤ ア ア ア ア ! 〉

 

 

 

ゆっくりとリヘナラドールが仰け反りから体勢を正す、そのまま背後へと視線を向けて、檻の中へと戻ってレオンと戦闘を再開する、そうなる筈が運悪くその視線が背後へと戻り切る前に、たまたま近くにいた戦闘員のガナードの一人がその視界に入ってしまった。

 

 

 〈フシュウウウ〉

 

 〈エッ アッ〉

 

 

 〈止メロ!止メテクレ リヘナラドール!〉

 

 

 〈ガアアアア!〉

 

 〈ボウッ〉 

 

 

そのまま何の躊躇も無く、力任せに腕を薙ぎ払う剛腕一線、まともに受けた戦闘員の首が折れ曲がるを通り越して千切れ飛んで宙を舞った。

 

元よりリヘナラドールには正常な思考などない、ただ目の前の生命を破壊して摘み取るだけ。最初に定めた標的から逸れようとも関係無い、視界に入る事が即ち攻撃の条件。

 

 

 〈ヒエエエ!〉

 

 

更に運悪く、動揺と恐怖の悲鳴に釣られてリヘナラドールがその方向へと視線を向ける、つまり新たな標的の更新、同族であるはずのガナード達に向けて進軍を開始した。

 

 

 〈アーッナンデコウナルカワカンネェヨ! ハウッ〉

 

 

腕を乱雑に突き出して伸縮させれば二本の豪槍となって迫る、胸を強く打ち付けてその下の臓器も骨も叩き潰して絶命させる。

 

 

 〈ウアアア!ボウソウダ−ッ!タスケテクレーッ ヒャンッ〉

 

 

錠前を破壊してみせた仰け反りからの振り下ろし、もろに命中すれば人体など容易く破壊する、その前にはプラーガによる痛みの麻痺などまるで役に立たず、首の脊椎があらぬ方向に折れ捻じ曲がる。

 

 

 〈アノウ…オチンチンミセマショウカ?アノウ…コウモンミセマショウカ? ブヒィッ〉

 

 

両腕で頭部を挟み込む様な殴打、手の開かれたそれは人間同士なら悪くとも軽症で済むような一撃も、リヘナラドールの手に掛かれば人間の頭部が水に濡れた菓子を叩いた様に容易く破壊される。

 

 

 

 〈ク、クソボケガーッ!〉

 

 

 〈ギィアア〉

 

 

ここに来てようやくプラーガの攻撃性が恐怖を掻き消し、指揮をとっていたガスマスクのガナードを動かした。

 

電流の迸る高電圧スタンガンを殴打するかの様な勢いでリヘナラドールに叩きつける。凄まじい電流の衝撃がリヘナラドールの全身を走り、銃弾による一箇所の破壊よりも効率的なダメージを与える。

 

だがそれ以上でもない、その程度では一瞬怯むのみ、半端な攻撃はリヘナラドールの意識を自分に向けるだけ、処刑台に進む列の順番が変わるだけだ。

 

 

 

 〈ア…アハ、アハ、アハハ…〉

 

 

 

リヘナラドールがスタンガンのガナードの肩を両腕で掴む、万力で締め上げられ、肉も骨も握り潰されるのではないかと思うほどの握力が加わるが、それはガナードの意識の外にあった。

 

ただ開いていくリヘナラドールの顎、その凶悪極まりない牙の群れと身の毛もよだつ腐臭を漂わせる唾液で満たされた口内が目の前で展開されていく、ただそれしか見えていなかった。

 

 

 〈ガウウウッ!〉

 

 

 〈 ウ ア ア ア ア ア ア ! 〉

 

 

 

鮮血の噴水がまた一つ吹き上がり死がもたらされる、個室の中は完全なるパニックに陥っていた。

 

 

 「どうぞごゆっくり」

 

 

その隙をついて先へと進む出口に忍び寄るレオン、音を立てずゆっくりとドアを開き、通過した後は締めたドアに鍵をかける。

 

ドアを閉める際、最後に見えたのはリヘナラドールがガナードの頭を鷲掴みにして、投げ捨てようとしている光景だった。

 

 

 「時間を無駄にした、急ごう」

 

 

レオンもまた古城の更に奥へと進んでいく。

 

 

 

 

 

古城深部─

 

 

ノビスタドールの巨大な巣がぶら下がる部屋に辿り着いたアシュリー、余りの悍ましさに圧倒される。

 

 

 「こ、こんなものが…こんなものがあっていいの!?中から化物がたくさん…周りにもいる…!」

 

 「と、とにかくここに居てはいけない!」

 

 

そのホールの出入り口は二つ、アシュリーが入ってきた扉と架け橋の先の扉、ただし上がった架け橋を下ろす手段が無い、装置のような物も見えるが、それに近づくと間違いなくホールの上空を飛び交うノビスタドール達に発見される。

 

 

来た道を戻る選択をするアシュリー、後ろの扉を開けて速やかにホールに続く廊下へと出る。その視線を扉から廊下に向ければその廊下に立つ影の姿が視界に入る。

 

 

 「何処か別の道から合流して…あっ!」

 

 

 

来たときは当然いなかったその姿が廊下に立つ、真紅のローブに教団のシンボルが描かれている、そのフードは外され異形の貌が晒されている。袖から伸びる刃と化した指、裾から覗く鞭のようにしなる凶器の尾。

 

 

城主の腹心にして処刑人、ヴェルデューゴだ。

 

 

 「ドウヤラ私ガ一番乗リノヨウダ…ドウダッタ?ノビスタドールヲ産ミ増フヤス為ノ巣、我等ガ主ガ創造セシ偉大ナル恩寵ハ」

 

 

 「…ぐっ、あ、あんなものただ醜いだけよ!私を攫ったのもそうだけど、こんな怪物を生み出して貴方達は何がしたいの!?」

 

 

 「私達ハ、デハナイ、サドラー様ハ、ダ…我等ノ全テノ力、全テノ意思ハサドラー様ノ為ニアル、ソレコソガ真理デアリ絶対」

 

 

 「どうかしてるわ!あの村もこの城の人達も皆!そんなにサドラーって人の言葉が大事なの!?人を殺しても?自分が化物になってしまっても?これじゃあ宗教に変なイメージでも持ってしまいそう!」

 

 

 「安心スルガイイ、イズレ…世界カラ教団以外ノアラユル宗派ハ消エ去リ、サドラー様以外ノ神ナド存在シナクナル」

 

 

 「目的は世界征服?やっぱりどうかしてる!そんなのできっこない!レオンもルイスも鬼龍も!彼等が貴方達の企みを打ち砕くわ!」

 

 

 「ソノ者達ハマダ来テイナイヨウダガ?ソレニオ前サエ此方ニ渡レバ後ハ誰ガ何ヲドウシヨウト無意味ダ、オ前ガ我等ノ悲願、ソノ先駆ケトナルノダ」

 

 

 「私が…なんですって?何を言っているの…?」

 

 

 「フム、ソウダナ、モウ教エテモ良イダロウ、ドウセ時間ノ問題ダカラナ」

 

 「我等ノ目的ハ金ナドデハナイ、ソンナモノハ幾ラデモ調達デキル…真ノ狙イハ米国大統領ノ娘デアルオ前ヲ尖兵トシテ国ニ送リ返シ、教団ノ教エヲ広メル足掛カリトスルコトダ」

 

 

 「ツマリ…オ前ニハ既ニプラーガヲ植エ付ケテイル」

 

 

 「……え?」

 

 「私が…?プラーガって、貴方達の…そ、そんなの」

 

 

驚愕の余り硬直する様を凍り付くと表現する場合があるが、この時のアシュリーは正しく心胆から冷え切って動きを停止していた、その胸の奥の心臓だけが対象的に鼓動を速めていく。

 

 

 「そんな訳…!ッ…ゴホッ、グッ…!ゴホッ」

 

 

否定する叫びを上げようとしても、突然胸の奥からこみ上げる痛みを伴う咳がそれを中断させる。口元を抑えた手を離すと、その手は血で真っ赤に染まっている、身体の異常を示す吐血の跡だ。

 

 

 「な、何よ…これ…!」

 

 

 「ソレガ予兆ダ、体内ニ潜リ込ンダプラーガガ潜伏期間ノ後、成長ヲ始メル、吐血、頭痛ハソノ兆候」

 

 「喜ブノダ、オ前モ時期ニサドラー様ノ崇拝者タル資格ヲ得ル、ソシテ教団ノサラナル繁栄ノ為、神ノ御使イトシテ任務ニ当タル名誉ガ主ヨリ授ケラレルノダ」

 

 「マズハオ前ノ父ト親族、ソノ関係者、国ノ上層部、ヤガテハ全テノ国民共…アメリカヲ掌握シタ後ハ世界中ノ国ニサドラー様ノ祝福ハ降リ注グダロウ」

 

 

 

 「い、嫌…やめて、来ないで…!」

 

 

 「サァ、大イナル主ノ導クママニソノ身ヲ捧ゲヨ」

 

 

 

判明した恐ろしい真実はアシュリーの心中を動揺と恐怖で染めあげる、賛歌を謳い上げるが如く教団の真の目的を言い放つヴェルデューゴがゆっくりとアシュリーに歩み寄る。

 

アシュリーが後退りしようにも震える足は上手く動かず、やがて数歩の位置まで接近したヴェルデューゴが手をかざす様にしてアシュリーにゆっくりと掴みかかる。

 

 

 「やめて…!」

 

 

 「サドラー様ノ為ニ、神ノ名ノ元ニ!」

 

 

 

その時、ヴェルデューゴの手がアシュリーに触れようとしたその瞬間、窓から夜の光が照らすその廊下に、低く威圧の効いた男の声が聞こえる。

 

 

 

 「ほう…神か」

 

 「ならば俺は貴様が縋るその神をブチのめす」

 

 「神も仏もそれを騙るペテン師も、全てを軽蔑する」

 

 

 

そこに現れたのは一人の男、漆黒のシャツとズボンの出で立ち、風にはためくロングコート、オールバックの黒髪に横一文字に顔を走る傷跡、屈強という言葉すら控えめに見えるその筋骨の発達した肉体!

 

神の肉体と悪魔の頭脳を持つと呼ばれた男、その名は

 

 

 

 「鬼龍!」

 

 

 「キサマ、モウココマデ…!」

 

 

 「……クークク、ダガ問題デハナイカ、サァコイ女!」

 

 

 「えっ、うああ!」

 

 

 「フハハハ、オ前ガイル限リコイツモ…」

 

 

 「もう口を開くな」

 

 

 

予想外の事態を受けてもヴェルデューゴの行動は速い、すぐさま近くのアシュリーを人質にせんと掴みかかる。

 

だがその時、また予想外の事態が起こった、鬼龍が言葉を発する、それが耳に届くより前に、ヴェルデューゴの顔面を衝撃が襲い、その肉体が仰け反りを通り越して吹き飛ばされる。

 

 

 「アガガッ」

 

 

そのまま床に転がされる事は無く、空中で体勢を整えて軽やかに着地する、ダメージこそ無いがその内面には動揺が走る。

 

 

 (何ヲサレタ…?奴カラ目ハ離シテハイナカッタゾ)

 

 (奴ノ右脚ガ、僅カニ上ガッテイル…?蹴リカ…?今、走リ寄ッテ俺ヲ蹴リ上ゲタノカ!?)

 

 

 (馬鹿ナ…見エナカッタ…!初動サエモ…!)

 

 

 

吹き飛ばされたヴェルデューゴ、その眼前にはどういうわけか数メートル先にいた鬼龍が、一瞬前まで己が立っていた箇所にいる。

 

 

 「アシュリーよ、離れていろ 決着を付ける」

 

 

 「……うん!」

 

 

 「さぁ、鬼ごっこは終わりだ昆虫人間、今から俺が貴様の処刑人になってやろう」

 

 

 

悪魔を超えた悪魔が発する死の宣告、静かに滾らせた怒りと闘志が肌で感じられる熱量すら持ってその身から発散される。

 

 

歪な偽神の傀儡を悪魔が嘲笑し破壊する!

 

 

鬼龍とヴェルデューゴの3度目にして最後の戦いがその幕を上げた。

 

 

 




◇激戦が始まる…!?
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