TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

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パニッシャーじゃダメなんです
パニッシャーじゃブラックテイルの快適さやレッド9のロマン感には勝てないんです


第3話

 

 

 〈カモがネギしょってやってきたぜェ グヘヘヘへへ〉

 

 

黒コートの大男は言うや否や3人にゆっくりと詰め寄る。

 

大男の背後には村人が数人。民家奥のこの部屋に窓などは無く、逃げるには来た道を戻らなければならない。

 

そして当然ながら、その来た道を通って現れた大男達によって逃げ道は完全に押さえられていた。

 

 

 

 「アイツが何者か知っているのか」

 

 

 「この村を仕切っている野郎だっ マズいぞ!」

 

 

レオンの問いにルイスが答える。

 

そうしている間にも接近する大男。

 

抵抗しようにも三人は完全に追い詰められていた。

 

そして大男がレオン達とあと数メートルの距離まで近づいたその時

 

 

鬼龍の岩をも砕く蹴撃が大男の顔面に命中した!

 

予備動作すらまるで見えない瞬速と呼ぶに相応しい前蹴り。

 

その蹴りは顔面の中心を正確に捉え、一般人ならまず即死、熟達の武術家でも戦闘不能は免れない。

 

 

しかし大男は軽く目を見開くだけで昏倒はおろか怯みも出血すら無い。

 

あの破滅的威力の衝撃をノーガードで完全に受け止めていた。

 

 

 

 「ほう さすが ビクともしないか」

 

 

 

その結果がわかっていたかのように鬼龍が言う。

 

その顔にはもちろん焦りの色など無い。

 

 

 

 〈余所者よ 祝福を持たぬお前らは我らには絶対に勝てない 追い詰められ 一方的に殺されるんだ 悔しいだろうがしょうがないんだ〉

 

 

 

こちらに合わせたのかスペイン語では無く、流暢に英語を使い語りかける大男。

 

村人達と違い、そこには理性と意思が感じられた。

 

 

 

 「祝福だと?コイツら…」

 

 

大男の言う祝福という言葉に不穏なものを感じるレオン。

 

そして大男のその言葉に冷徹な侮蔑の言葉で持って返す鬼龍。

 

そこには嫌悪すら感じられた。

 

 

 

 「驚いたな 醜い虫けらの分際で自分が人よりも上等な存在だと考えているのか」

 

 

 「思い上がったクズを見ると殺したくなるよなあっ」

 

 

 

床を踏み砕かんばかりの力で足を踏みだし、大男に襲いかかる鬼龍!

 

 

既に両腕は構えられている。鬼龍の必殺の絶技が放たれようとした瞬間、それよりも速く大男の剛腕が鬼龍に迫る!

 

 

互いの力が向かい合い、先に攻撃を受けることになったのは鬼 龍 !

 

 

 「ぐうっ」

 

 

 

大男の剛腕一閃。振り抜いた右腕が鬼龍を捉える!

 

しかし鬼龍も悪魔を超えた悪魔と呼ばれし男。

 

咄嗟に技の構えから防御の構えに移行していた。

 

両腕のガードで大男の攻撃を防いでいたのだ。

 

 

しかしそれでも脅威と言うほか無い大男の怪力。

 

まるで車に轢かれたかのように後ろに吹き飛ばされ、ルイスが入っていた衣装棚にぶち当たる。

 

その衝撃で粉々に砕ける衣装棚。

 

それを見て驚愕するレオンとルイス。

 

 

 

 「 鬼龍!」

 

 

 「おい、ソイツもそうだがコッチもヤバいぞ!」

 

 

 

鬼龍が吹き飛ばされたのを見て好機と思ったのか、大男の背後にいた村人達が武器を手に襲い来る!

 

銃撃で応戦する為の距離を取るほどの広さも時間もなく、すぐに間合いに侵入される。

 

突き出された鋤を何とか躱し、振り下ろされた斧はナイフを抜き放って受け流す。

 

勢い余って斧を手から落とした村人が素手で押し倒しに掛かる。

 

これを好機と見たレオンは前に出された腕をナイフで切り裂いた、痛みに一瞬怯む村人に今度は頭部目掛けてナイフを振り抜く。

 

両目がパックリと裂け痛みに叫ぶ村人、痛みの模倣的反応から立ち直る前にレオンの回し蹴りが繰り出される。

 

近くにいた鋤を持った村人ごと急所を砕かれ絶命した。

 

 

 

 

 「は、離せ!」

 

 

 

しかし横を見ればルイスが村人に取り押さえられていた。

 

ルイスはレオンと違い拳銃以外の武装は身につけておらず、迫りくる村人に銃を構える暇も無く組み付かれたのだ。

 

 

 

 

 「 しまった ルイス!  ぐあっ」

 

 

 

村人を引き離そうとするレオンに瞬時に反応した大男が見た目にそぐわぬ俊敏さで掴みかかった。

 

片腕でレオンの首を締め上げると同時に持ち上げる。

 

ギリギリと嫌な音が鳴る。

 

振り解こうと抵抗をしても大男の怪力の前では何の意味も無い。

 

絞め落とすどころか、このまま首をへし折ろうかといわんばかりに更に強く締め上げる。

 

 

レオンの視界が霞んで来たその時 衣装棚の残骸が音を立てて吹き飛び、木材の破片がルイスを拘束していた村人に当たって怯ませた。

 

 

辺りにまるで砂塵のようにホコリが舞い上がる。

 

 

その中から現れた 鬼 龍 !

 

 

 

 〈なにっ〉

 

 

 

舞い上がるホコリに目を細め、反応の遅れた大男の腹部を鬼龍の剛腕が襲う!

 

コートで覆われた腹部にめり込む拳。

 

しかし不意打ちに近いあの蹴撃をマトモに受けて平気な大男には何のダメージも無い。

 

 

その時不思議な事が起きた。

 

ダメージが無いのは当然だが、パンチの衝撃すら感じない事を大男が疑問に思った瞬間だった。

 

大男の体内からギュンという不可思議な音が鳴る。

 

体内を何かが駆け巡り、それは腹部から胸へ、胸から頭へと登ってゆく。

 

その何かが頭部へと到達した時、大男はパァンというその何かが爆ぜる音を聞いた。

 

大男の脳内が爆発したかのように揺れ動かされ、あらゆる思考と肉体の制御が消失する。

 

 

 

 〈 う が あ あ あ あ あ 〉

 

 

 

絶叫し、レオンを締め上げていた手を離し、頭を抱えて苦しみ悶える大男。

 

あの前蹴りを受けても無傷であった大男の目や鼻や耳、顔面のあらゆる穴から血が吹き出している!

 

 

 

 

 「灘神影流 塊貫拳 」

 

 

それは鬼龍が幼少の頃より修め極めた古武術に伝わる絶技の一つ。

 

貫手の様な構えから握り拳に移行して放つその技は、中国武術で言うところの気の攻撃。

 

単純な殴りの衝撃では無く、念であり気を送り込み人体を内部から破壊する。

 

腹を殴り、気を操作し脳を破壊することも可能!

 

たった今、鬼龍がやってみせたものがそれだ。

 

いわゆる浸透系の打撃、その極致である。

 

 

 

  そこ

 「 脳内 は急所のままだよなあ」

 

 

 〈はううっ〉

 

 

余りのダメージに立っていられず膝をつく大男に躙り寄る鬼龍。

 

咄嗟に防いだとはいえ大男の剛力を受けて鬼龍とて無傷では無い。

 

しかしまるで鬼の如き殺気と闘志が見る者に弱っているなどとは微塵も思わせない。

 

 

 

 「一方的に殺すだと?笑わせるな…」

 

 

 〈は、はひーっ〉

 

 

 「一方的に殺すのは俺の特権だ!」

 

 

 

言うや否や再度、大男の腹部に鬼龍の拳がぶち当たる!

 

体内から異音が鳴り、何かが体内を駆け上り頭の中でまたパァンと言う音が響く。

 

 

 

 〈 ぎ い あ あ あ あ あ あ 〉

 

 

 

禁断の塊貫拳 "二度打ち"

 

 

 

大きく仰け反り、更に激しく苦しみだす大男。

 

目や耳からだけでなく口からも吐血し、床を赤く染めあげた。

 

大男がせめてもの抵抗か、両腕を振り回す。

 

しかしそんなものは鬼龍に当たるわけが無い。

 

大男の背後に回り込み後頭部を蹴り抜いた!

 

先程までなら問題のない大男だが、今は脳に内部破壊の気を送り込まれ立つことすら出来ない。

 

更に脳を揺さぶられた大男は床に倒れ伏して動かなくなった。

 

 

 

 

 「お前は蛆虫だ 悪臭を放つ糞にたかり この世で最も醜く忌み嫌われる蛆虫だ」

 

 

 

まるで汚物を見るかのような眼差しで倒れ伏す大男を見下ろす鬼龍。

 

 

 

 「蛆虫よりも劣った人間はいない」

 

 

 

もう興味は無いと視線を外す。

 

横では村人の拘束から抜け出したルイスが何とか村人を始末し、レオンが止まりかけた呼吸を整え終えたところであった。

 

 

 

 「…無事か? ならとにかくここから離れよう」

 

 

 「ああ だがその前に…」

 

 

 

二人の会話にも録に答えず、慌てて一人逃げ出すように出口に向かうルイスの前に鬼龍が回り込んだ。

 

 

 

 「待てよ」

 

 「クソッ」

 

 

鬼龍は剣呑な雰囲気を絶やさずにルイスに言い放つ。

 

 

 

 「お前がこの村の正体を知っている事は見ればわかる」

 

 

 「…知ってることなんかねぇよ 俺はただのハンサムなプーさ」

 

 

 

鬼龍の恐ろしい眼光を向けられながら尚も軽薄な態度を崩さず軽口を叩くルイス。

 

 

 

 

 「そうか ならば俺ももう何も聞かん お前がやっぱり全て話させてくれ、なんて言ったって聞きはしない…」

 

 

 

そう言いながら鬼龍の下げていた両腕が僅かに上がる。

 

鬼龍の威圧感も相まってそれは脅し以外の何物でも無い。

 

 

 

 「うぐっ」

 

 

 「待て!鬼龍!」

 

 

 

流石に危機感を感じ、冷や汗を流すルイス。

 

 

事前に得た情報から鬼龍が必要とあらば脅しでは済まさず実行する人物だと知っているレオンは、これから起こりうる事態を予想し慌てて制止する。

 

 

 「…ルイス、何か知っているんだな?」

 

 

鬼龍を制止しながらもレオンが問う。

 

 

逃げ場を失ったルイスは観念したかのように両腕を上げた。

 

 

 

 「ここはまだ危険だ 安全な場所についたら知ってる事を話してもらうぞ」

 

 「……あーっ わかったよ」

 

 

三人は揃って民家を抜け、廃村の出口に向かっていった。

 

 

 




◇この村の正体とは…?
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