TOUGH DEVIL HAZARD   作:ポジョンボ

41 / 58
第41話

 

 

 

孤島、モニター・ルーム

 

 

画面の向こうで決着した二つの死闘。

 

司令室のようなその部屋でモニターの前に立つメイド・シスターズは信じ難い物を見たかの様に押し黙って立ち竦んでいた、背後に立つクラウザーはつまらなそうに鼻を鳴らした。

 

 

 〈……負ケタンスカ?〉

 

 〈ナ、ナンダ…?侵入者共ノコノ強サハ…〉

 

 

 「終わってみれば奴等の圧勝か、もう少しくらい善戦できると踏んでいたが期待外れだな」

 

 「ネオ・アルマデューラは結局の所レオンにかすり傷一つ付けれていない、C−51の与えた傷も鬼龍の奴にしてみれば治療する必要もない程度の軽症だろう」

 

 

 〈コ、コウナルト解ッテイタノデスカ…?〉

 

 

 「ふん、C−51は四魔獣で最弱、ネオ・アルマデューラも他二体の凶悪さにはまるで及ばん」

 

 「支配種を倒してここまで来た奴等に敵う理由が無いから勝てるとも思っていない、言ったろう、欲しいのはコイツらの戦闘データだけだ」

 

 

 〈シ、シカシ…〉

 

 〈コレデハ奴等ヲ止メル事ガ…〉

 

 

 「心配するな、コイツらなどただのオードブルに過ぎない、メインは四魔獣の残り二体、そして極悪ブラザーズからも先程連絡があった」

 

 「命令していた“仕込み”が完了したとな…そして俺だ、まだまだ戦いは終わらない」

 

 

 〈ヨ、ヨク解リマセンガ…問題無イトイウコトデショウカ…?〉

 

 

 「懸念があるとすれば連中の中にあの女狐の姿が無いな…フン、別行動で既に潜り込んでいるか、小賢しい」

 

 「巡回中の極悪ブラザーズに捜索する様伝えておけ」

 

 

メイド・シスターズが並んだ機械列の中にある無線を操作する、無線の先で指示を聞いた者達が動き出した。

 

 

 

 

 

孤島、実験場の奥─

 

 

薄暗い研究所の開ききった部屋の窓、嵌められていた鉄格子が勢い良く跳ね飛ばされるように外された。

 

そしてそこから一人の人間が室内へと侵入してくる、床まで高さのあるその場所から軽やかに着地。

 

その部屋がある場所から考えて、窓から侵入するのは壁をよじ登りでもしなければ不可能、だが実際にその手段が女性にはあった。

 

 

 「思っていたより簡単に入れたわね」

 

 

エイダはフックを発射して巻き上げるワイヤーショットを仕舞い込み、侵入した部屋を見渡す。

 

その部屋はホコリを被ったガラクタや置物が幾つか置かれ、後は冷たいコンクリートの床と壁のみの部屋だった、外から中に敵影が居ないのは確認済み、部屋の出口のドアにゆっくりと近づく。

 

 

 「このドア、まるで鉄格子のよう、頑丈な上に機械によるロックが可能、さしずめここは監禁部屋ね」

 

 「幸いな事に今はロックされていない、本来ならアシュリーをここに監禁するつもりだったのかしら」

 

 

重厚なドアを開けた先にも敵影は無し、通路に剥き出しとなった配線やひしゃげた戸棚だけがあった。

 

 

 「クラウザーを止める前に…プラーガによる生物兵器のデータを確認して起きたいわね」

 

 「サンプルと生物兵器のデータ、場合によっては…」

 

 「…まぁいいわ、今は先へ進みましょう」

 

 

エイダが無人の通路を歩くたびにハイヒールが鳴らすコツコツという音がする、それに反応する者はいなかった。

 

 

 (それにしても敵の気配がまるで無い…)

 

 (今いる場所は兎も角、この先には手術室や冷凍室、廃棄場など生物兵器の研究に利用されていると思われる施設があった筈…嫌な予感がするわ)

 

 

廊下を曲がった先に廃棄場へと続くドアが見えてくる、静かに取っ手を回し、ドアの向こうを確認してから進む。

 

 

 「ここが廃棄場、そしてその先が手術室と冷凍室ね」

 

 

ドアの先は開けた空間、大小様々のガラクタで埋め尽くされたコンテナが壁際に幾つか設置され、高い天井からはクレーンが吊り下がる、奥にはそのクレーンを操作するための操作室、窓ガラス越しに2階から廃棄場全体を見下ろせる作りになっている。

 

そして廃棄場の左側半分はまるで奈落の様に深い、ゴミの投下場になっている、そこから立ち昇る異臭が廃棄場全体に漂っていた。

 

 

 「ここにも敵影は無し…やっぱり妙だわ」

 

 

戦闘は無いのにも関わらず不穏な気配を感じ取りその警戒は強まっていく、ハンドガンを油断なく構えながら操作室へと進む、廃棄場を通過し二階へと登る階段の先にあるドアを開けて操作室へと入室。

 

窓ガラスの下にはクレーンを操作するレバーと簡素な椅子、横目で異常がないか確認して通過しようとしたその時、

 

エイダの位置から見て操作室奥の扉、つまり入口のドアが激しく蹴破られる、何かの影が入室と同時にエイダを認識、低く野太い声が響いた。

 

 

 「!!」

 

 

 〈オオオッ、見ツケタゾ!メスブターッ〉

 

 

その姿の全容を確認しきる前にエイダは動き出す、その影が片腕を突き出す、本能が訴える危機感で体を動かして操作室の窓ガラスを突き破って廃棄場に身を投げだした。

 

 

そしてそれは正解だった、エイダが先程までいた操作室に激しい動作音と連続した鋭い音がなる、重火器のものとも少し違うそれが室内にばら撒かれ破壊をもたらしていく。

 

 

 「くっ…!」

 

 

降り注ぐガラス片に巻き込まれない様にすぐさま落下の衝撃を逃しながら距離を取る、続けて更に回避、コンテナの影に滑り込んだ。

 

そして間髪入れずに叩き込まれる謎の連射攻撃、マシンガンに酷使したそれが廃棄場の床を削り取っていく、その弾痕を見れば撃ち出されるそれは弾丸ではなくクロスボウに使われる様なボルトであった。

 

 

 〈クーククク、俺達ニ的ニカケラレルナンテツイテナイ女ダ、オ前ハ苦シミ抜イテ死ヌコトニナルンダ〉

 

 

完全に破壊された窓枠から巨体の影が飛び降りる、重量を感じさせる音を鳴らして着地、コンテナの影から覗くエイダの視界に遂にその姿がハッキリと映る。

 

 

 〈俺ハ“ピッグ・ヘッド”ダ〉

 

 

それは屈強にして大柄なガナード、浅黒い肌と筋肉を覆う脂肪で構成された肉体、無骨さと野蛮さを物語る泥で汚れ随所が破れた服装、そしてその名の通り、顔面は猪の頭部の皮をそのまま被り隠されている。

 

その右腕には改造を施された重苦しい連射弩が取り付けられている、先の破壊はこの連射弩から放たれていた。

 

 

 〈ハーッ〉

 

 

そして更に窓枠から別の影が飛び降りて現れる、ピッグ・ヘッドを名乗るガナードと同じく屈強な肉の鎧と異様な出で立ち、特大のスレッジハンマーと首から上を覆う引き剥がされた牛の頭部の生皮。

 

 

 〈ソシテ俺ハ“カウ・ヘッド”ダ〉

 

 〈俺達合ワセテ“極悪・ブラザーズ”ダ〉

 

 

 「あら…強敵登場ってとこかしら?」

 

 

 〈命乞イハ聞キタクナイ、クラウザー様ノ命ニヨリ“極悪・ブラザーズ”ガ侵入者ヲ始末シテヤル〉

 

 〈オ前ハ抹殺リストニアッタ“エイダ”ダナ〉

 

 

 「自己紹介は必要なさそうね、ここまで誰にも合わないものだからてっきり無人なのかと思ってたけど」

 

 

 〈ククク、気ニナルカ?クラウザー様ノ命デコノ極悪・ブラザーズガ雑魚共ノ“仕上ゲ”ヲ担当シタノダ〉

 

 

 「仕上げ…?」

 

 

 〈ガハハハ、気ニスルナッ〉

 

 〈知ッタトシテモスグニ死ヌンダカラナアッ〉

 

 

会話は終わりと言わんばかりに極悪・ブラザーズが動き出す、ピッグ・ヘッドが連射弩のスクーターを引いて起動させる、カウ・ヘッドがスレッジハンマーを振り上げて駆け出した。

 

 

 〈イケーッ、コンテナヲ飛ビ越エテ仕留メロッ〉

 

 〈オオオッ、叩キ殺シテヤルヨ!〉

 

 

カウ・ヘッドがエイダの隠れるコンテナを乗り越えようと突貫、その背後ではピッグ・ヘッドが獲物が逃げ出そうともすぐさま撃ち抜ける様に連射弩を構える。

 

 

 〈ハッハーッ、潰シテヤルカラ顔ヲ見セナ!〉

 

 

カウ・ヘッドの片足がコンテナに掛かろうとしたその瞬間、コンテナの影から飛び出したエイダの蹴撃がカウ・ヘッドの視界に高速で接近し埋め尽くす。

 

 

 〈ブヒィッ〉

 

 

 「随分と迂闊なのね」

 

 

迫る敵の速度を利用したエイダのカウンター・ハイキックがカウ・ヘッドを吹き飛ばす、予想外の強い衝撃には強化された肉体を持ってしても堪えることは出来ない。

 

 

 〈姿ヲミセタナアッ〉

 

 

仰向けに倒れ込む仲間を無視してピッグ・ヘッドが連射弩の掃射を解放せんとする、エイダが素早くハンドガンを抜き放ち発砲、連射力とブレのない精密性を持つそのハンドガンで撃ち出された数発の弾丸は、その全てが刹那の内に狙った箇所に到達する。

 

ピッグ・ヘッドの突き出した右腕に装着された連射弩を打ち鳴らす、突然の強い衝撃を受けてあまり洗練された作りとは言い難い連射弩は動作を止めてしまう。

 

 

 〈ンゴッ!?〉

 

 

その一瞬の隙をついてエイダがピッグ・ヘッドに駆け寄る、まずは厄介な武装を持つ自分から始末するつもりだと気付いたピッグ・ヘッドも反撃に出た。

 

 

 〈ンゴーッ、素手デダッテ殺セルンダヨッ〉

 

 

迫るエイダ目掛けてピッグ・ヘッドの強烈な前蹴りが繰り出される、人体を容易く破壊できる威力を秘めたその前蹴りだがエイダには当たらない。

 

 

 「それはどうかしら?」

 

 

 〈ナ、ナニッ〉

 

 

ピッグ・ヘッドの前蹴りが目前まで迫ったその時、駆ける速度のまま空中に跳躍、両腕でピッグ・ヘッドの両肩を押しやることで空を華麗に一回転する回避を披露する。

 

 

 「残念だけどそんながさつな動きじゃ当たらないわ」

 

 

 〈コ、コノメスブッ…!〉

 

 

ピッグ・ヘッドが素早く背後を振り向くも間に合わなかった、振り向くその動作に合わせて突き立てられたナイフがピッグ・ヘッドの首筋に深々と突き刺さる。

 

 

 〈ハウッ〉

 

 

骨の隙間を通して脳にまで到達する刃、並大抵のガナードならばそれで即死していただろう。

 

 

 〈……ブ、ブヘヘヘ…〉

 

 「!?」

 

 〈マダ死ンデナイヨォ〉

 

 

致命傷になるはずの一撃を受けて尚、ピッグ・ヘッドが反撃に出る、ナイフを突き立てるエイダの右腕を掴もうと素早く腕を伸ばす。

 

 

 「見た目通り頑丈って訳かしら」

 

 

それよりも速くナイフを引き抜いて腕を戻す、続けてバク転によって再度繰り出された前蹴りも躱して距離を取る。

 

不意打ちの蹴りを食らったカウ・ヘッドも健在のまま、なんてこと無かったかのように起き上がりピッグ・ヘッドに続く。

 

 

 〈四大怪人ヤ三神官ノヨウナチンカス共トハ違ウ、俺達極悪・ブラザーズハ最強ノガナード戦闘員…〉

 

 〈オ前ノ攻撃ハ正確サハアル…タダソレダケダ〉

 

 〈ダカラ本物ノ破壊力ッテヤツヲ見セテヤルヨ〉

 

 

 〈〈グッチャグチャニシテヤルヨッ!〉〉

 

 

再び極悪・ブラザーズの連携が始まる、カウ・ヘッドが突撃し、その背後でピッグ・ヘッドが連射弩を構える、無数のボルトが銃弾の速度で飛来する。

 

 

 「そのクロスボウ…厄介ね」

 

 

素早く射線から外れて回避するエイダ、その回避後の僅かな隙をカウ・ヘッドが狙い撃つ、初めからそのつもりで射撃を回避させたのだ。

 

 

 〈ウモオオオオッ〉

 

 

 「だけどアレが使えそう」

 

 

カウ・ヘッドが渾身の力でスレッジハンマーを振り下ろさんと眼前に迫る、だがエイダの対応が速かった、ワイヤーショットを取り出して後方の先にある場所目掛けてワイヤーを撃ち出す。

 

食い込んだワイヤーを巻き取ればそれに釣られてエイダも高速で飛翔、カウ・ヘッドの攻撃を躱すと同時に狙った場所へと到達した。

 

フックはクレーン操作室の窓枠に命中していた、空中で一回転してフックを回収すると同時に操作室へと華麗に入室。

 

 

 〈操作室ニ逃ゲタゾーッ 追エーッ〉

 

 〈ナンジャア、アノ銃ハ〉

 

 

極悪・ブラザーズがすぐさま追い掛ける、廃棄場を抜けて操作室への階段を駆け上る、操作室へと到達したカウ・ヘッドがドアを蹴破って入室した、懸念に反してエイダはまだ操作室に居た、焦燥などまるで無い顔のまま。

 

 

 〈クーククク、鍵ヲ掛ケル暇モ無カッタカ〉

 

 

 「そう?相方の様子が見えなくなるほど急いだ割には来るのが遅かったんじゃない?」

 

 

 〈ア~ン?………エッ…アッ!〉

 

 

エイダの言葉の意味はすぐにわかった、連射弩によって破壊されて見渡しやすくなった窓枠の向こうにその答えの景色が広がっていた。

 

 

 〈 ン ゴ オ オ オ オ ッ ッ 〉

 

 

カウ・ヘッドの後に続いている筈だったピッグ・ヘッドの叫びが響く、廃棄場の天井に吊り下げられたコンテナを移動されるためのクレーンアームがピッグ・ヘッドの体を食い込むようにして捉え宙に拘束していた。

 

 

 「少し古いけどまだ動いてくれて助かったわ」

 

 

エイダは入室と同時にクレーンを操作していた、それを使って下の階から狙い撃とうとしていたピッグ・ヘッドをまんまと捕まえたのだ。

 

 

 〈離セ メスブターッ〉

 

 

 「あら、離して良いのかしら?なら離してあげる」

 

 

 〈エッ アッ〉

 

 

そのままクレーンを操作すれば拘束されたピッグ・ヘッドも当然アームと同時に移動する、それが廃棄場の深い廃棄口の真上へと到達した。

 

カウ・ヘッドもピッグ・ヘッドも青ざめる、だがエイダは無情にもクレーンの操作レバーから手を話した、ピッグ・ヘッドを掴んでいたアームが開き、重力に逆らうこと無くその肉体は落下していく。

 

 

 ウ

 ア

  ア

   ア

  ア

   ア

   ッ

    ッ

 

 

悲痛な叫びが木霊する、ピッグ・ヘッドのその姿は廃棄口の底の見えない闇の中へと消えて行った。

 

 

 〈キ、貴様ーッ〉

 

 

激昂したカウ・ヘッドがスレッジハンマーを振り抜くも虚しく空を切るだけ、察知したエイダは既に窓枠から再び廃棄場へと降り立っていた。

 

 

 〈オ、オ前ダケハ殺スッ〉

 

 

すぐさま自らも窓枠から跳躍、落下の速度を乗せた一撃を繰り出すカウ・ヘッド、当然エイダには読まれている、取り出したクロスボウの火薬矢が空中のカウ・ヘッドを狙い撃つ。

 

 

 〈アワワッ ハヒーッ〉

 

 

黒煙と衝撃を起こして空中爆発、煙の中から落下するカウ・ヘッドは攻撃どころか受け身も取れず、スレッジハンマーも手から落として床に叩きつけられる。

 

ダメージを無視し怒りで体を突き動かし起き上がる。

 

 

 〈ウガアアアアッ〉

 

 

だがそれだけ、猛々しく咆哮を上げるその喉に背後から忍び寄ったエイダが冷徹にナイフを突き立てる、それだけで死ぬことが無いというだけでそれが甚大なダメージであることには変わり無い。

 

 

 「貴方達、二人とも隙だらけよ」

 

 

 〈ボウッ〉

 

 

数秒前の雄叫びとは打って変わって消え入りそうな声で呻き、ぐらつくカウ・ヘッドの体をエイダが蹴り倒す、うつ伏せになったカウ・ヘッドを片足で押さえ、ハンドガンの標準は後頭部に。

 

そして連続して鳴り響くハンドガンの銃声、一発一発が抵抗出来ないカウ・ヘッドの後頭部を穿ち、確実にダメージを蓄積させていく。

 

既にダメージを負ったカウ・ヘッドは跳ね除けることが出来ず、十数発もの弾丸を受けた後に沈黙した。

 

 

 〈……ゥ〉

 

 

 「手荒くなってごめんなさい、粗暴な人は好みじゃ無いのよ」

 

 

ハンドガンから空になった弾倉を取り出してリロード、辺りから敵性の消失を確認して構えを解く。

 

 

 「プラーガの適合率が高い者は通常種でさえここまでの生命力を有する…やはりプラーガとは世界を脅かしうる危険な存在」

 

 「貴方は果たして何の為に……」

 

 「……!」

 

 

先へ進もうとしていたエイダの足が止まる、廃棄場の床から僅かに振動を感知する、それだけでは無い、理性の奥の本能が危機を伝えてくる様な何かの予感がしていた。

 

気の所為では無い、床の振動は段々と大きくなっていく、そして周囲の不穏な気配も急速にその色を濃くしていった、廃棄場を包む異臭が強まった様に感じられた。

 

 

 「廃棄口からかしら…?」

 

 

それらが奈落の様な廃棄口から発生している事に気付く、驚きはしなかった、未知の生物兵器が廃棄を逃れ、戦闘の発生を嗅ぎつけて現れたとしても不思議は無い。

 

 

振動が強くなる、ようやくそれが何かが壁を這い登る様にして廃棄口の底からこの場所まで向かっているのだと解った。

 

振動が更に強まる、不穏な気配は何物かからの明確な殺意へと変貌し、錯覚ではなく実際に得も言われぬ異臭はより濃くなっていた。

 

 

何かが等々、廃棄口からその身を這い出して姿を現す、その確信がエイダに齎された瞬間、廃棄口から何かの影が飛来する。

 

 

 「!!」

 

 

弧を描き、床に落下してボールの様に跳ねるそれ、やがて数度転がってエイダの足元に到達する。

 

猪の生首、いや、猪の頭の皮を被った人間の生首であった、見覚えが無い筈は無かった、その傷口は刃物の類では無く、純粋な力で引き抜かれ捩じ切られていた様だった。

 

 

 「無視して通り過ぎることは出来なさそうね…」

 

 

まるで見せ付けるかの様なそれの後に、遂に廃棄口から殺意を滾らせ、異臭を振り撒き、新たなる強敵が現れる、怪物がエイダの前に立ち塞がった。

 

 




◇どんな怪物か…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。