世界は回る   作:nobber_BP

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第1話

寝坊した

先送りにしていた課題

目前に迫る絶望

私を地獄に送らんとする火車は私を嘲笑っていた

しかし私は打ち勝ったのだ

火車は加速を止めたが気色の悪さは加速をしていた

それが仇となった

目覚まし、母親に呼ばれる声

全ては意味をなさない

乗り遅れたバスは無情にも走り続けている

一個後に来たバスに乗り込み

朝ご飯を作るのが遅れたから遅れたのだと母親に責任転嫁をしても焦りからの汗は拭えない

駅に着いたバスから降りて早歩きで駅のホームへと向かう

しかし電車の時間は5分後

皆勤賞が狙える現状遅れるわけにはいかない

焦りが募ってゆく

昨日一瞬に感じた5分と今永遠と続く5分

このまま永遠に電車は来ないのではないのか……

その時電車のクラクションが響く

遂に来た

震える膝

体が限界を迎える

瞬間世界が回る

正面から迫る電車

動かない足、走る走馬灯、流れる鼻血

彼の意識は途切れた

 

 

 

目を覚ました

顔に落ちてくる水滴

軋む体を起こして辺りを見回すと古びたアパートが広がっていた

膝が笑っている

立ち上がれない

混乱している

何もできない状況の彼の頬に雫が流れている

涙なのか雨なのかわからない

かすかに聞こえるテレビの音

嗚咽しながら助けを求める

無情

誰も反応しない

 

 

決心ついたのかのか私は手の力だけで立ちあがる

相変わらず笑う膝

膝を殴る殴ったとこが赤くなる

頬をビンタする顔についた水滴がハジける

気持ちを鼓舞させ遂に足二つで立ち上がる

立ち上がると景色が見えてくるだろう

昭和に戻ったような建物達

細い通り道の間

アパートに挟まれた道

上の階の窓には落下防止の手すりがつけられている

危機感がないのだろうか?

窓は開けっぱなし、ついたまんまのテレビ、放置されたご飯

そこにぽっかり穴が空いたようになっている

奇妙に思いながら彼は細道の途切れを目指す

アパートから建物ががらんと変わる

光が…近づいてくる…

道が開けた

広がるは商店街

 

そこには人が一人もいなかった

 

ネオンに囲まれて眠りについた街

ただ一人彼は立っている

何が何だか全くわからないようだ

 

脳が回らない世界が回ってる

今自分がヤバい

傾きを止められない

目の前が暗っていく

膝が嘲笑ってくる

膝から陥落し雪崩のように

地面に顔が近づく

希望が遠のく

耐えた

腕を棒のようにして上半身を支えさせた

視界は再度明るくなる

ゆっくり立ち上がり再度見渡す

ぽっかり空いた世界

そこには確かに居たように感じる

まるでパズルのピースがところどころ欠けているように

歩くとその言葉の意味が信憑性を増す

開かれたままのレジスターと横に放置されたお金

道路の真ん中に放置されたまだ温かい出前を入れた自転車

でもおかしいところが沢山ある

急いで逃げたのなら荒れていてもおかしくないはずなのに

綺麗なままなのだ

物音が聞こえる

雨音に紛れて走る音が

まだここにいるんだ

謎が明かされるかもしれない

音の方へ走る無の街を走り抜ける




書き出したら止まらなくなりました
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