ご神託チャット▼ ☆転生主人公 ん゛ーーーーーー!? かっこよすぎるな!!!? ☆転生主人公 あっ、ごめん。つい思考そのまま打ち込んじゃった ◇名無しの神様 お前もう二度と口開くな ◇名無しの神様 きみ主人公の自覚ある? ◇名無しの神様 魂が女に戻ってんじゃねぇか! ◇名無しの神様 もうこれ落ちる手前だろ ◇名無しの神様 もう落ちてんだよなぁ…… ◇名無しの神様 まさか女性を転生させたのが、こんな風に裏目に出るとは思わないじゃん ☆転生主人公 いや違うから、性的なアレじゃないから。信じなよ ◇イカした神様 あーもう滅茶苦茶だよ ◇名無しの神様 だからおめーーーーのせいなんだよ! ◇名無しの神様 責任者やろがい! ◇名無しの神様 現実逃避すな ◇イカした神様 はい……ごめんなさい……。 ◇名無しの神様 で? 流石に調査くらいはしたんだろ? ◇名無しの神様 おらっ、話すんだよ ◇イカした神様 うん、まあ、結論から言うんだけど ◇イカした神様 っぱバグってんね。完全に世界データ訳分からんことになってたもん ◇名無しの神様 いやワロタ ◇名無しの神様 シレッとクソデカ情報口にするのやめろ ◇名無しの神様 「もん」とか付けときゃ許されると思ってんのか? ◇名無しの神様 にしても、やっぱり世界側からイカれてたか ◇名無しの神様 原因は日之守か? ◇名無しの神様 せやろな ◇イカした神様 んー、まあざっくり言うと、 ◇イカした神様 転生者二人分のリソースに世界の方が耐えられなくて、キャパ求めて勝手に別次元に接続したっぽいんだよな ◇イカした神様 だから世界側が変に拡張されて、他キャラ等に影響が出てんのかな~って感じ ◇名無しの神様 は? ◇名無しの神様 は? ◇名無しの神様 いや、は? ◇名無しの神様 待て待て待て待て待て待て待て待て! ◇名無しの神様 それってつまり、新しい世界が創造されたってことか!? ◇名無しの神様 軽いノリで変なこと言うのやめろ! ◇名無しの神様 創造っつーか、拡張だよなこれは ◇名無しの神様 世界拡張って権能的に許されてるのか……? ◇名無しの神様 いや……しりゃん…… ◇名無しの神様 《神焔》もこの辺の影響か? ◇名無しの神様 そこはどうなんだろな。世界拡張で出るほどのデカい影響ではなくない? ◇名無しの神様 まあ、それだけならな…… ◇名無しの神様 一番分かりやすい影響は今のところアテナせんせーじゃねぇか? ◇名無しの神様 それはそう ◇名無しの神様 いきなり日之守が連れてきた時心臓止まったもんな ◇名無しの神様 二人乗り箒とかいう、知らんアイテム出してきたし…… ◇名無しの神様 アレほんま意味不明でウケる ◇名無しの神様 しかも数分で完全に乗りこなす日之守な ◇名無しの神様 あそこだけ完全に別ゲーで笑っちゃった ◇名無しの神様 バグ生徒とバグ先生のコンビ爆誕しちゃったぁ…… ◇名無しの神様 シレッと日鞠たんも攻撃全部当ててんだよな ◇名無しの神様 これ日之守だから「まあ……そういうこともあるか」で済んでるの、感覚死んでる感じがして最高だな ◇名無しの神様 これ全体的にレベルが日之守に引っ張られるように上がってんのか? ◇名無しの神様 パワーレベリングって次元の話じゃなくなってきたんすけど…… ◇イカした神様 まあでも、取り敢えずは様子見ってことでOKらしいから。このまま行くぜオラァ! ◇名無しの神様 お前は少しは反省しろ ◇名無しの神様 転生させた側も、させられた側も馬鹿なの終わり過ぎでは? ◇名無しの神様 だから(世界が)終わってんだよなあ…… ◇名無しの神様 いや、つーかこれ、つまりこの先は何が起こってもおかしくない……ってことで良いのか? ◇名無しの神様 まあ…… ◇名無しの神様 そういうことでしょうね…… ◇名無しの神様 様子見ってことは、ある程度は変わらないとは思うけどな ◇名無しの神様 世界が日之守った……ってコト!? | |
【もうやめたら?】蒼天に咲く徒花 ヒロイン全滅世界滅亡ルートRTA【RTAすんの】 |
第二試合も勝利したことで、三日目が来る前に、早くも赤の不死鳥寮の優勝が決まった。
まあ、そうだとしても、三試合目は行われるのだが……二位と三位まできっちり順位付けするのが伝統である。
ここまで来たら、三日目もきっちり勝って、二位争いを苛烈にしたい気持ちがあるな────なんて思いながら、ひゅるひゅる落ちていれば、滅茶苦茶な速度で落ちてきた月ヶ瀬先輩に回収された。
視線を横にやれば、葛籠織もレア先輩に抱きしめられて、大騒ぎされている。
あの二人、結構仲良いんだよな……。
ゲームでは見られなかった絡みなので、どうにも新鮮味があった。
「かっ、甘楽くん! 大丈夫!? 生きてる!?」
「いや、うん。全然平気です、ビックリするくらい無傷なんで、安心して……うわっ、泣いてる」
「うわっ! じゃないよ……もうっ、本当に心配したんだからね?」
ていうか、飛行魔法使えるんだから、無事なら使ってよ! と半泣きで訴えて来る月ヶ瀬先輩だった。
どうせ落ちても、救護班に拾われるのだから、そう心配することでも無いだろうに……とは思わないでもないが、その上でこうやって心配してくれるのは、月ヶ瀬先輩の美徳だよな、と思う。
この人のこういうところが好きなんだよな、本当に。
「私は甘楽くんの、そういう楽観的なところ、嫌いだけどね……」
「いや、その、ごめんなさいってば……」
「ごめんで済むなら警察はいらないんだよ?」
「そこまで重罪だったかなぁ……」
「女の子を泣かせた罪は重いんだから」
「そう言われるとちょっと納得しちゃうんでやめませんか?」
というか、言葉に微妙な棘があった。
これではまるで、俺が悪者である。
ただでさえ、慣れない空戦をこなしたせいか、全身が疲労を訴えているのだ。
もうちょっとこう、労ってくれても良いのではなかろうか……なんて軽口を叩く前に、俺達は会場へと着地した。
「うお……うるさ」
瞬間、衝撃波でも降ってきたのか、みたいな感覚が全身を貫く────歓声だ。
上手いこと降り立った俺達五人に浴びせかけるように、会場中から熱のこもった声が降り注いでいた。
中にはパンパカ魔法を放っている生徒までいる始末だ。あいつ絶対後で先生に締め上げられるだろうな。
「いやー、あはは……派手なお出迎えだねぇ」
「ここまで盛大にやられますと、何だか委縮すら覚えますわね……」
「あは~、レア先輩は小心者ですもんね~」
「ちょっと日鞠!? 貴女、わたくしの扱いがぞんざいになってきていますわよ!?」
レア先輩にグルグルグルーっと振り回されて、楽し気に笑う日鞠であった。
いやなんか、俺が思ってたよりあの二人仲良いな……。
その親密度をもう少し立華くんに分けてやってほしい、と思えば
「えっと……その、なんだ、お疲れ」
その立華くんが、ぐったりしたように隣に並んでそう言った。
俺達の中で一番疲れてそうである────まあ、それも納得ものではあるのだが。
というのも、今回立華くんは、レア先輩の魔力タンク兼、補助としてペアを組んだのだ。
魔力を吸い上げられるのって、かなり身体に負担がかかるんだよな……。
見た感じ、彼の残り魔力は四割を切ってる、かな……と言ったところだ。
ゲームであれば、一日休息に費やそうかな、と考えるレベルの疲れ具合である。
「大丈夫? 肩貸そうか?」
「いや、いい。僕は平気だ……それに、どうせもう、戻って休むだけだろ」
「まあ、そうなんだけど……」
そうするまでに倒られでもしたら、困るんだよな────まあ、その時は月ヶ瀬先輩とかに対処してもらえば良いか。
ここらでグッと親密度を上げてもらった方が良いだろうし。
世話好きな月ヶ瀬先輩としても、放っておけないだろう。
「というか、僕の心配している場合か? 君だって、相当に消耗しているだろう」
「立華くんよりマシだよ。それに、魔力の方はそう減ってる感じしないし」
「……相変わらず、気持ち悪いな」
「もうちょっと言葉選んでみない???」
普通にただの暴言だった。
俺もちょっと気にしてる部分なので、出来れば優しく触れて欲しいものである。
思うままに魔法を使えるのは気持ちが良いが、出所が微妙に不明なのが、若干不安だった。
「さて、と。それじゃあ戻るとしよっか。いつまでも、ここにいる訳にはいかないしね」
パンパン、と手を叩いた月ヶ瀬先輩が、リーダーらしくそう言った。
それに応じて、葛籠織はレア先輩に背負われ。
立華くんはフラフラ……っと見てて不安になる感じで歩き出す。
「何か……こうして見ると、意外と圧勝って感じじゃないね」
「怪我は全員、ほとんど無いんですけどね。MPが全然無い魔法使い集団みたいな」
「あははっ、言い得て妙だ」
でも、あとちょっとだから。がんばれっ、と励まされつつ、控室へと戻る。
そうすれば当然、特徴的な青髪を靡かせる、我らが副寮監がお出迎えしてくれたのだった。
といっても、もちろんソファに堂々と座りながら、煙草を吸っているのだが。
「や、お疲れ様──気持ちの良い勝ちっぷりだったねぇ。せんせーも鼻が高いよ」
ぽんぽんぽーん、と俺達の頭を軽く叩いて、
「良く出来ました。ま、箒をぶっ壊したことに関しては、今回は不問にしてあげよう」
元々壊れる前提みたいなところあったしね、という聞き捨てならないことを言いながら、笑うアテナ先生だった。
しかし、それで完全に気が抜けてしまったのか、立華くんはソファにぶっ倒れ、葛籠織はその隣にくったりと座ってしまう。
こうして見ると、本当に死屍累々って感じだな……。
レア先輩も足ガタガタいってるし、葛籠織は俺が背負った方が良かったかもしれない、なんて思う。
「おや、月ヶ瀬と日之守は平気なのかい?」
「ええ、まあ、私は空戦慣れてますし、今日は甘楽くんが頑張ったので」
「保護者みたいな面で頭撫でるのやめませんか? 恥ずかしくなってくるんですけど……」
「今更過ぎない? お姉ちゃんみたいなものでしょ」
「全然違いますけど……!?」
これだから年上幼馴染は……。
普通にドキドキしてしまうからやめてほしかった。
そういうことは、俺じゃなくて立華くんの方にやってほしいんだよな。
嬉しくないという話ではなく、単純に相手を間違えているという話である。
「フゥン……仲睦まじくて良いね。羨ましいな」
「成人女性が何言ってんですか……」
「年齢は関係ないだろう!? やれやれ、失礼な少年だな、キミは……」
でも、とアテナ先生は言葉を続ける。
「そういうところ、好ましいな────ねぇ、少年。日之守甘楽くん」
「はい? えっ、何ですか急に……」
「は?」
「
つい先日、聞いたような詠唱が、耳朶を叩く。
そう認識した瞬間、吹き荒れる魔力に俺を含めた全員が、その場に押し付けられた──え?
「之なるは、光を呑みし始まりの闇」
控室が──いや、世界が。暗闇に呑まれて消えていく。
抵抗は不可能だった──ただ、驚愕と困惑で、混乱することしか出来ない。
「讃え、敬い、しかして恐怖せよ」
知らない詠唱だった。見覚えのない魔装だった。
少なくとも、俺の知識には一切存在しない、先天性魔術属性。
「我が身に宿りし闇は《深淵》」
いや、いいや。
違う、それどころではない。そんな程度の話じゃない!
まず、アテナ先生が────アテナ・スィーグレットが敵になるだなんて、聞き覚えの一つもない!
はぁ!? 隠しキャラなのにこんなことしてくんの!?
「おっと、まずは最初に、こう言っておくべきだったかな────我が名は、ノエル・ヴァルトリク・
魔装は完成し、魔力は再度解き放たれた。
レア先輩のそれとは、完成度が桁違いのそれが発する圧は、破壊を伴っていて。
吹き荒れる闇に、意識はあっさりと────
────飛ばさない! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!
全員を囲うように、七枚の守護魔法を展開させる。
さながら津波の如く襲い掛かって来る暗闇を、力づくで押し返しきるのと同時に、パリン、と音を立てて守護魔法は消え去った。
「うわ、魔力の圧だけで、七枚全部破るのかよ……ありえねぇ……」
「い、いやいや、有り得ないのはそっちだ、少年。今の一瞬で七枚も展開し、なおかつ、せんせーの魔装攻撃を防ぐなんて──全く、さっきの試合と言い、キミにはビビらされてばっかりだなぁ」
驚いたように、黒帝は笑う。
何笑ってんだ、ビビってんのはこっちなんだよ、と文句を言いたいところではあるのだが、流石にそんな軽口を叩いてられるほどの余裕がない。
一先ず、気絶している皆を回収して後ろに隠したけれど、ほとんど意味のない行動だろう。
それに、何とか抵抗出来てるように見えてるけど、普通に負ける気しかしないし……。
「ていうか、黒帝? それこそ有り得ないだろ……レア先輩の肉体狙いじゃなかったのか?」
「それ、キミが言うのかい? 少年が邪魔するから、こういう形になったんじゃないか……もちろん、言うまでもなく、せんせーにとっては今が、理想以上なんだけどね」
「は? 何だよ、それ……また俺のせいってこと……!?」
「お陰だよ、お陰──キミが最初のプランを破壊してくれたことによる、ラッキーと言っても良いだろうね」
俺の知ってるアテナ先生と、寸分変わらない笑みを浮かべながら、黒帝が言う。
やばいな。
意味不明な状況な上に、意味不明なことばっかり言うから全然頭に入ってこない。
これもう一回質問して良いやつかな、と思えば
「せんせーはね、キミがレアに関わった時点で、レアのことは諦めたんだ」
と、何でも無いように、彼女は笑った────は?
諦めたって何? えっ……え!?
逆に、諦められるもんなの!? 唯一憑依できた、最高の肉体だろ? レア先輩は!
「おっと、詳しいね。流石、せんせーの見込んだ生徒だ──その通り、憑依は凶悪な魔術だけれど、その分条件が厳しい。血縁くらいでないと、憑依したところで、万全に身体は動かせないさ」
「だったら!」
「でも、例外はある──何事にもね。これはせんせーも、キミのお陰で知ったんだけど、混ざりものになら、その限りではないっぽいんだよねぇ」
「混ざりもの……?」
「ふふ……少年みたいな、一つの肉体に、二つ以上の魂が混ざり合っている人間を、せんせーは"混ざりもの"って呼んでいる。と言えば分かるかな?」
いや分からん。全然分からん。もうビックリするくらい分からなかった。
え? いや──その、なに?
つまり黒帝は、俺が転生者だってことを見抜いてる……ってことか?
それで、そういう人間は容易に憑依できると?
「憑依と言うか、融合と言うべきなんだけどね」
「また新しい単語出てきた……」
「言葉通りだよ、分からない? つまり、二つを一つにするのも、三つを一つにするのも、同じってことさ」
「……?」
如何にもわかるでしょう? みたいな顔で言われてしまったのだが、パッと分からなかった。
というか、情報量が多すぎて、脳みそがパンクしていると言っても良い──何だろう、一人分の肉体に、二つの魂を入れる(これが多分、俺がさせられた転生)のも、三つの魂を入れるのも変わらない、ということだろうか。
「……いや、だとしても、おかしい。仮に俺が該当するとしても、アテナ先生は違うだろ」
「おかしくないさ、だってせんせーは──ああ、つまり、『アテナ・スィーグレット』は人生二回目の女だったんだから。時間逆行者……とか言えば伝わるかい?」
「は?」
いや知らん知らん知らん知らん知らん!
また全然知らない情報が出てきた!!
何で一言喋る度に、俺が知らない情報が出てくるんだよ!
は? 二周目以降でしか出て来ない理由って、つまりそういうことだったの!?
何でこんなクソデカ情報を、こっちに転生してから知らなきゃならねぇんだ……!
謎多き女だとしても、抱えてる謎がデカすぎるだろ!
「未来の彼女の魂が、現代の彼女の肉体に入り込む、その現場に居合わせちゃったからさ。ついお邪魔してみたら、上手くいっちゃったって訳だ」
「……つまり?」
「今やせんせーは、『アテナ・スィーグレット』であり、『
ゴクリ、と息を呑む。
遅れてきた恐怖が、手を微かに震わせた。
それはつまり、その気になればいつでも殺せる、という意味合いなのだから。
──だから、落ち着け。
ゆっくりと深呼吸をして、思考をクリアにする。
「……それで、結局のところ、俺達に何の用なんだ? それだけの力があるなら、校長を狙っても良かったはずだ」
「ん、そうだね。でも万全を期したくてさ。少年の肉体に、入り込ませてもらおうかなって──」
「ッ、砲撃魔法──」
「──
「は?」
展開しかけていた魔法が、ふわりと霧散する。
同時に、アテナ先生──いや、黒帝か? が、魔装を
何で?
「今の攻防で理解したよ、アテナの言うことは正しかった。キミは強い……強すぎるくらいだ。不覚にも、希望が見えたくらいには」
「???」
「だから少年、キミに一つ、頼みがある────せんせーと、結婚してくれないか?」
「なんて?????????」
「あっ、間違っちゃった……つい本音が……コホン。せんせーと、
「何をどうやったら今のを間違えるんだよ」
突然シリアスが終わった音がした。
ていうか今、本音って言った?
は? マジで何なの、この女……。
明らかに雰囲気が霧散したにもかかわらず、取り繕ったばかりの真剣な表情を向けて来る、アテナ先生/黒帝を見ながら俺は、
「いや、どっちも無理です……」
と答えるのだった。
冷静に考えなくても、十三歳に求婚して来る成人女性は怖すぎるし、世界を救うのは立華くんの仕事なのだから、当然すぎる回答だった。
次の更新こそは来週です。多分。