織斑一夏と最愛の彼女   作:探さないで!

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お久しぶりです。まさかこれが今年はじめての投稿になるとは......
作者はスランプです。しかも文章が一切書けなくなる系の。すごくもどかしいです。
そんなわけで、息抜きに書いてみました。オータムです。


オータムEND

 

 

 

 

 

 

 

「ほら一夏。口開けろ」

 

「ん......あーん」

 

 視線を横に向けると、オータムがにっこりと笑っていた。

 ずいと差し出されたものは、オータムが食べていたカルボナーラだ。恐らく俺があまり食が進んでいない事を見ての事だろう。相変わらず気が回る女である。

「美味いか?」

 

「んー......ちょっとしつこいかな?」

 

「お前料理には細かいもんなぁ」

 

 そう言って、ケタケタと笑うオータム。

 なんだか食事時ぐらい考え事を止めろと釘を刺された気がしたので、軽く頭を振って先ほど自分で注文したカルボナーラを口に運ぶ。考え事というより、ぼーっとしてただけなんですけどね。

 

 

 ......んー、やっぱりちょっとしつこいな。

 

「......にしても、ちょっと寒いな。失敗したぜ」

 

 オータムの言葉に、俺も軽く頷いた。

 いやホントに、その通りなんだよ。いくらパリとはいえ、寒い日は寒いんだよ。街中を観光するくらいだったらまだしも、調子に乗ってカフェのテラスで呑気にランチともなると少々肌寒い。

 周囲を見回しても、外で食事をしている人間など一人も居ない。皆、殆ど店内だ。これも環境汚染の影響だろうか。束さん早く何とかしてください。お願いします。

 

 テラスに面した通りを見ても、歩行者は全くと言っていいほど見かけない。なんだったら、少し不気味な位だ。

 

 

 

 

 

 ......まぁ、そんな訳で、計らずも二人っきりになった。

 

 

 

 

 

 

 パリに来て二週間。いい加減飽きてきたこの手のランチをオータムと仲良く掻き込むと、離れている時間が勿体無いと言わんばかりに俺と彼女はイスを近づけて密着した。

 流れる様な動作で、ギュッと俺の腕を抱くオータム。幸せそうな顔で目を細める彼女を見ると、猛烈に愛おしさを感じる。

 

「......いいのか? いまや世界が恐れるテロリストが、そんな可愛い顔してて」

 

「いいんだよ。愛する男の傍にいる時くらいは、ただの女になりてぇじゃねぇか」

 

 相変わらずのド直球な言葉に、からかおうとしたこちらが赤面させられてしまった。

 

「......卑怯だよなぁ、ホントに。核ミサイル担いで俺に突貫してきた女とは、到底思えないよ」

 

「悪かったな......あんときは切羽詰ってたんだよ」

 

 昔の俺が、現在の俺を見たらどう思うだろうか。

 あんだけ必死こいて殴りあってた相手とこんなに好き合っている未来。驚くに決まっている。

 それでも、もはや俺は彼女と離れる事はないだろう。

 最初は事故だった。

 ひょんな事から日本の警察に、オータムの仲間と間違えられ、成り行きで二人で指名手配されて、それから何故か二人で国外逃亡して......

 束さんや、楯無さんの力に助けられながらも、気が付けば二年が経過していた。

 各国を飛び回る生活をしている内に、自然と俺達はこんな関係になっていた。

 もちろん、最初の内は一人で逃げおおせるつもりだった。

 だが、俺は結局、彼女から離れられなかった。

 決して安心できぬ日々が続く中、それでも彼女は俺に安らぎを与えようとしてくれた。

 時折見せる優しい笑み、どんな時でも俺を守ろうとしてくれた事、日常での些細な気遣い。俺はどんどんオータムに惹かれていった。

 彼女に俺を守る義理なんてなかったのに、今じゃ昔の殺し合いで笑い話するような仲だ。こんなの夢にも思わなかった

 

 

 

 

「......そろそろ行くか」

 

「......だな」

 

 椅子から立ち上がりながら、その言葉に同意する。

 さっさと会計を済ませて通りに出ると、俺は隣にいるオータムの腰を抱いた。

 オータムの方も慣れた様子で、俺の肩に軽く抱きついてくる。俺達はそのまま歩き出した。

 足を進めながら、俺は服の上からオータムの触り心地のいい腰のクビレを撫でた。

 時折思い出したかの様にヒップを触ると、彼女はその度に溶けるような吐息を吐いた。

「ホテルまで我慢できなくなったのか? このエロガキが」

 

「一応、年齢的には俺は高校生なんだぜ? こんな美味しそうな女性(ごちそう)見せられて、我慢できるとでも思ってんのか?」

 

 並の男だったら今頃猿になってるぜとボヤくと、そいつぁスゲェやと棒読みで頭を撫でられた。呆れているのか、白々しい目で遠くを眺めている。

 こんなやりとりもここ一年で慣れたもので、俺は少しこそばゆい気持ちになった。思わずニヤケてしまう。

 それがなんだか恥ずかしくて、俺はオータムに気づかれる前に話題を変えた。

 

「......それにしてもオータム、やっぱ寒くないか?」

 

「マフラーでも調達するか」

 

「どこで?」

 

「ん」

 

 オータムの指さす先には、広場があった。

 公園、だろうか。それなりの面積の広場は、俺達が視界に入れた時には、既に大勢の人が集まっている。

 何のイベントかと目を凝らしてみると、露店らしきものを広げている人々がちらほら。なんとなく、フリーマーケットのようなモノだろうと予想を立てた。

 

 

 

「マフラー、あるかな?」

 

「あるだろ。多分」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 特に相談をした訳でもないが、俺とオータムは恐らく同じ様なマフラーを探していた。

 デザインがどうこうとか、素材がうんたらとか、そういった話ではない。ただ単純に、長さが欲しいのだ。

 オータムはこれでいて、かなり乙女な部分もある。今頃彼女の頭の中では、二人で同じマフラーを巻いて、街中を闊歩してるに違いない。

 俺としても、そういったバカップルはやぶさかではない。むしろ当初の目的を忘れて、二人で巻くためにマフラーを探すまである。

 ただ、問題があるとすれば......

 

「......あったか?」

 

「いや、無い」

 

 

 季節は冬ということもあり、厚手の洋服なり、防寒具なり、ともかくそういったものはチラホラと見受けられた。無論、マフラーもだ。

 ......が、めぼしい長さの物は無い。やはりそう簡単には見つからないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......?」

 

 そんな折、奇妙な人が目に入った。

 

 メイドさんだ。メイドさんが居た。

 

 

 客引き、なのだろうか。そのコスプレメイドは、付近の人達にどうぞどうぞと声を掛けている。

 

「何見詰めてんだ?」

 

「黒髪のメイドさん」

 

「あぁ?......んだあれ? 客引きか?」

 

 オータムも同じ事を思ったようで、声に出して首を傾げていた。

 

「......ははーん、さては一夏。あの女に」

 

「違う。違うから」

 

 言い終わる前に慌てて否定すると、オータムはそんな俺の様子がツボに入ったらしく、ケラケラと爆笑していた。

 ムッとして横目でオータムを睨むと、そんなに気になるなら行ってみっかと彼女は歩いていってしまう。

 特にメイドさんに興味があったわけでもないのだが、かと言って別に拒む必要もない。俺は大人しく後についていった。

失礼(Bonjour)お嬢さん(mademoiselle)

 

はい(Oui)いかがなさいま(pu'est-ce que v)......』

 

 オータムがフランス語で声をかけると、そのメイドさんは言葉の途中で呼吸を止めてしまっていた。

 大方、急に出てきた美人に驚いているのだろう。

 オータムは遠目から見るとただのDQNにしか見えないが、近くで見ると途轍もない美形だ。オマケにスタイルもいい。メイドさんも中々可愛い顔立ちをしてらっしゃるが、俺の女には余裕で敵わないな。

 

 なーんて、胸中で惚気けつつ、メイドさんの店の品揃えを確かめる。主に洋服を扱っているようだ。

 中には、俺達が探しているマフラーもあった。

 結構オシャレなデザインである。それに手に取ってみると、二人で使うにしても申し分無い長さだ。

 

「なぁオータム、これなんかいいんじゃないか?」

 

「おお、確かにな」

 

 オータムがメイドさんに値段を聞くと、やっとこさ自我を取り戻したメイドさんが金額を教えてくれた。

 こんな場所でカードで支払う訳にもいかないので、仕方なく現金で勘定する。

 

「あの、少々お尋ねしたいのですが、もしかして日本の方ですか?」

 

 そうして財布を取り出していると、メイドさんから日本語で声をかけられた。

 何故か、オータムに聞こえない様にこっそりと。

 

「え? あ、はい、そうですけど......」

 

 どうして分かったと表情に出すと、メイドさんはクスクスと笑みを浮かべた。

 

「いえ、あなた達の話し声が聞こえたものですから。実は私も日本人なんです」

 

「......なるほど」

 

 聞けばこのメイドさん、日本からファッションの勉強をするためにパリに来たらしく、このフリーマーケットもその一環だそうだ。

「異文化カップルですか......なにやらロマンチックですね」

 

「ロマンチック......なんでしょうか?」

 

「私から見ると、相当羨ましい(ロマンチック)ですね」

 

 女性から見るとそういうものなのかと、俺は一人納得した。

 

「いいですか。ああいう女の人は男の人にリードされたいものなんです」

 

「でもコイツ、色んな事バコバコ一人で決めていっちゃうタイプだから...」

 

「だからこそです。元来女性というものは、男に手を引かれたいものなんですよ」

 

「は、はぁ......?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、公園から出た俺たちは仲良くマフラーにくるまりながら、指先を絡めて手を繋いでいた。

 珍しく、俺が先導する形だ。

 

 

「......どういう風の吹き回しだ?」

 

「いや、たまには男の俺がエスコートしよっかなーと、思いましてですね......」

 

 オータムは小さな声で「ぉ、ぉぅ」と返してくれた。なんだか頬を朱に染めている。

 何が彼女の乙女回路に触れたのか分からないが、まぁ可愛いのでよしとしよう。

 

 

 

 

 







もっと甘々にしたかったんですが、あんまりオータムを甘えん坊にするとうちの子状態になりすぎちゃって、キャラが迷子になりそうなんですよね.....
ただ、それを抜きにしても、ちょっと今話は納得いってません。オータムファンのためにも、初のリベンジを考えています。苦し紛れにモブキャラ投下とか、今度は絶対しません。(決死)















.......次の投稿まで、何年掛かるだろうか。




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