マリス・フライングバットレス   作:エターナルドーパント

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ソレは新たな光の兆し

(出久サイド)

 

「ハァッ!」

【JACKING BREAK!】

「グヘァァァ!?」

 

───JACKING BREAK───

©ZAIAエンタープライズ

 

サウザンドジャッカーから象の鼻を模したエネルギーを発生させ、敵を鞭のように殴って叩き上げる。

打ち上げられた敵は錐揉み回転ですぐに気絶し、ソレを横から伸びた巨大な手がキャッチした。

「ありがとう御座います、社長サン」

巨大化する個性を持つプロヒーロー、Mt(マウント).レディ。今日の仕事相手である。

「マスク一体型ザイアスペックと、超展性極薄アイギアグラス・・・如何ですか?」

「それはもう!コレのお陰で壊してしまいそうな所が予め分かりますし、今回は損壊箇所が今までの半分以下で済みました!」

「ソレは何より。私としても、有用なアビリティを蒐集出来たので満足です」

そう言って変身解除しながら、左腰のホルダーに収まったキーを叩く。

灰色のキーに刻印されているのは、象の姿。しかし、只の象では無い。プログライズキーの中でも異色の、()()()()()()()を内包したキー、ブレイキングマンモスキーである。

Mt.レディの個性をジャックし焼き付けた事で生成したキーであり、此方の技術提供の対価として頂いたものだ。

「にしても、私がいて都合が良かったですね」

「そぉですねぇ。私、4車線以上じゃ無いと入れないから・・・」

今回の敵は、かなりすばしっこいタイプだった。Mt.レディが来たは良いものの、1人では捕まえられなかっただろう。

「お恥ずかしいですね。凄く助かりました!」

「まぁ、適材適所です。此方も良いデータが取れました。

あと、そんなに気を張らずとも大丈夫ですよ?私はまだ16歳。子供なのですから、普通にタメ口で結構です」

「あらそう?じゃあ助かるわ~。正直疲れると思ってたし」

「そのくらいフランクな方が、私としてもやりやすいです」

「それを言うなら、アンタもいっちょ前にビジネス言葉使ってるけど・・・疲れない?」

「残念ですが、素を出す人間は絞ってありますので・・・」

「ふぅん?隙は見せませんって?ミステリアスね、モテるんじゃない?」

「社長と言う誘蛾灯に擦り寄ってくる虫ケラに集られる事をモテると表現して良いならば、私はモテモテですね」

「あー・・・ごめんなさい」

「良いんですよ」

多分、今の僕は死んだ魚みたいな眼をしているだろう。

ザイアが軌道に乗り始めた時の、今まで若造と鼻で嗤っていた奴等が掌返してゴマをすり倒して来る様。あれはもはや一種のトラウマだ。企業・資本家の交流会(パーティー)では、ハニトラと思しき色気と露出マシマシなお姉様方が然り気無くボディタッチしながら()()に誘って来るし。普通なら一時であろうと美味しい思いが出来るんだろうが、生憎とアークのお陰で悪意に敏感だから、尚更に勘弁願いたかった。あれのせいで一時期マジで性欲が死んだ。

その点だと、飾り気無く包容力のあるひーちゃんは正に理想の女性像だ。ギブアンドテイクの関係もハッキリと契約的に明確化されてるし、その上で僕に結構尽くしてくれる。あぁ、甘えたくなってきた・・・

丁度そろそろ()()()()()タイミングだし、丁度良いかも。

「では、私はこれで。ご意見ご要望等あれば、またお問い合わせ下さい」

「はーい、また今度!」

手を振るMt.レディに此方も左手を振って答え、エクステンダーに跨がってライズフォンを嵌め込む。システムスタートの短いアラームと共に、ザイアスペックが各データを視界に映し出した。

そしてフルフェイスヘルメットを被ってバイザーを下ろし、アクセルを捻った。

「さて、行きますか」

 

(NOサイド)

 

【バイティング!オーバーライド!】

─ギュイォォィーンッ ドゴォーンッ─

 

『ギャハハハハハ!良いじゃんコレ!やっぱロマンはこうで無くっちゃ!量産しよ量産!』

「全く、漸く試験場を使う事を覚え何だその頭の悪い武器は」

試験用のグラウンドに響いた轟音。ハイテンションにはしゃぐ主任(ハングドマン)を前に、今し方来たばかりの出久はまずツッコミを入れた。

その右腕に付いているのは、巨大なヒートチェーンソーを6本束ねた超特大過火力兵器(オーバード・ウェポン)。敵と見立ててその回転する狂気の餌食になった仮想敵ロボットは、スクラップ以下の見るも無残な金属片へと成り果てていた。

『これぞ新開発したOW、その名も対大型堅牢敵想定規格外六連超振動突撃剣、またの名を《グラインドブレード》だ!』

「言いたい事は色々ありますが、取り敢えずこのナリで()()()って嘘っぱちも良いとこですね。と言うか左肩のアーマーどうしたんですか?」

出久の指摘通り、主任のハングドマンは左肩の装甲が丸ごとパージしており、エネルギーケーブルのコネクタが丸裸になっている状態だった。

『あーコレ?いやー、グラインドブレードの動力引っ張る為には、どうやっても直で接続する以外無いみたいでサ!使う時にパージする仕様になっちゃった!』

「其処に1発でも当たればドカンじゃないですか」

『大丈夫大丈夫!シャッターでフタはするからさ!』

ハングドマンが騒々しくグラインドブレードを格納すると、コネクタがガシャガシャとシャッターで密閉された。最低限の防御は出来るように見える。

「・・・まぁ良いか。で、順調ですか?」

『あー、アレね?それなりに順調だよ。丁度今から、隣のグラウンドで模擬戦するからさ。お忍びで見学してみる?』

「間違っちゃいませんがニュアンスとしては視察でしょうよ」

『へー、そうだっけ?まぁどうでも良いんじゃないの?はいコレ』

「ホントいい加減ですよね貴方」

ハングドマンはグラインドブレードを格納し、オーバードスロットから引き抜いたキーを出久に投げ渡す。それは先日のUSJ襲撃事件で脳無に使ったライダモデルのキー、バイティングシャークだった。

『これらのキーも、体勢が整い次第量産せねばな』

「ま、その為にもまずは()()()()()()()()()()だけどね。丁度第一段階のキーパーツも揃ったし」

そう言って、出久はブレイキングマンモスを取り出し、指で軽く叩く。

『へぇ?それがシャトルの?』

「えぇ。取り敢えず、コレもコピーして其方に回します。どうせ強請るでしょう?」

『ピンポーン!分かってるねぇ社長!』

「慣れと諦めですよ」

顔を顰めて腹を擦りながらボヤく出久。そんな話をしている間に、隣のグラウンドに到着した。

「あれ?社長じゃないッスか!それにリーダー」

「社長!今日は抜き打ち視察か何かですかい?」

傍観室に入ると、待機人員の傭兵チームが2人を出迎える。窓からは、これから試合を行う2人が向かい合っているのが見えた。それぞれ、コードネームはダウンギャンブルとデリンジャーである。

「ちょっとした見学ですよ。新作の出来を見に来ました」

『オイオイ、オレはオマケかよ』

「ヘヘッ、すいやせんリーダー」

この部隊では、主任の扱いはかなり軽い。お互いに軽口を叩く程には。

「では、戦闘訓練を開始する。両者、武装せよ!」

『りょーかい!』『アイサー!』

【【HARD!】】

双方が起動したのは、標準装備として支給されたインベイディングホースシュークラブキー。しかし、腹部に巻いているベルトが違った。

デリンジャーは、ホースシュークラブキーと同様に標準装備であるレイドライザー。対してダウンギャンブルは、青い大口径拳銃をバックルに斜めに装着した異色のベルト。名を、《エイムズ・ショットライザー》である。

AUTHORIZE(オーソライズ)!】

それぞれがキーを装填。ショットライザーは承認音声が鳴り、キーブレードを展開して接続。バックルから本体を引き抜き、前方に構える。

 

【KAMEN RIDER.KAMEN RIDER.KAMEN RIDER・・・】

 

ネイティヴ発音ながら地味に自己主張の激しい待機音を流すショットライザーのトリガーに指を掛け、膠着は破られた。

『実装!』『変身ッ!』

 

【RAID RIZE!】【SHOT(ショット) RIZE(ライズ)!】

 

レイドライザーを中心に光の輪が形成され、アーマーが出現。ショットライザーの銃口からは赤い弾丸が放たれ、変身者であるダウンギャンブルはハイキックで戻って来たそれを蹴り砕いた。

【【インベイディング!ホース!シュー!クラブ!】】

【【更なる戦いに備えた(Heavily produced battle armor)量産型戦闘装甲(equipped with extra battle specifications)】】

インベイディングホースシュークラブの戦士2人。名はそれぞれ、バトルレイダー仮面ライダーイージス

何方もモデルはカブトガニ。しかし、シルエットは大きく違う。ゴツゴツと多角的なデザインのバトルレイダーに対し、イージスは織田信長の南蛮甲冑にも似た、ツルリとした流線型。更にイージスの右太腿にはバトルレイダーと同じ大口径短機関銃、トリデンタがくっ付いている。よく見れば、太腿にはカブトガニを裏返したようなウェポンハーネスが付いており、複数の節足で銃をホールドしていた。更に、特徴的なパイプ構造のストックは根本から下側に折り曲げられており、P90のように親指の後ろを覆うような形である。

『使い勝手が違うって話だが、最新型が負ける訳ねェだろォ!!い゙くぞォォォァアッ!!』

『おいおいギャンブル、負けた時の言い訳を潰しちまって大丈夫か?』

『ほざいてろ!』

「訓練開始!」

『オラオラオラオラァ!』

 

─BbbbbbbbANG!!─

 

『遅ェ!』

開幕ブッパは正義とばかりに、バトルレイダーがトリデンタを連射。しかしイージスは真横に駆け出し、弾丸を容易く避けきってしまった。

「ショットライザーの仮面ライダーイージスは、レイダーに比べ装甲が薄い代わりにスピードに優れる。成る程・・・」

『お返しだクソッタレェ!』

 

─BbbbbbbbANG!!─

 

バトルレイダーの猛攻から一転、次はイージスの番である。右手で抜いたトリデンタをジャグリングで左手に持ち替え、再び空いた右手でショットライザーを引き抜く。そして2丁拳銃で此方も連射し、制圧射撃を仕掛けた。

『グオォォ!?』

『更に、ショットライザーとトリデンタの併用で単純な手数の増加から火力が上がる。少数精鋭で敵陣に斬り込ませて撹乱させる運用が理想かな?』

「そして、敵の体勢が崩れた所で小隊規模のバトルレイダーによる波状攻撃・・・と言った所でしょうか」

主任と出久が話し合う中、バトルレイダーは銃弾の雨を絶え凌ぐ。頑丈(ハード)のアビリティ名は伊達では無く、比較的装甲の厚い左半身で銃弾を弾き、上手く受け流していた。

『ハッ!タァッ!オラよォ!』

しかし、テンションが上がったイージスは距離を詰め、インファイトに持ち込む。それを好機と見たバトルレイダーは近接格闘を装甲で受け止め、左腕でパリング。姿勢を崩させ、レイドライザーのボタンを叩いた。

『しまっ!?』『あばよ』

【インベイディング!ボライド!】

『うがぁ!?』

イージスの動体にトリデンタを押し付け、必殺の高火力エネルギー弾を撃ち込むバトルレイダー。イージスは身動ぎ1つ碌に出来ないまま、弾頭のエネルギーの炸薬効果で派手に吹き飛んだ。そして見事にゴロゴロとグラウンドを転がり、強制変身解除機構が発動する。

「試合其処まで!勝者、デリンジャー!」

『チクショォォォ!!』

酷い負け方をしたダウンギャンブルは、土下座のように両拳を地面に叩き付けた*1

ガシガシと頭を掻きながら、同じく変身解除したデリンジャーと共に傍観室に入って来る。

「彼処で熱くなって無ければ、お前の勝ちは硬かったのになぁ?」

「クソ、次はゼッテェ・・・ゲェッ!社長!?」

「ちょっと。ゲェッとは何ですか、ゲェッとは」

ダウンギャンブルからのあんまりな反応に、思わず眉をひそめる出久。ダウンギャンブルは元々荒くれ者であり、少しばかり口が悪い所がある。多少は窘めているものの、そうそう直るモノでも無いのだ。

「しかし、実に有意義な見学になりました。面白かったですよ」

『じゃ、此処からはコイツらのACも組み上げなきゃね。トゥゲダリング・サンシャイン』

主任が自分のザイアスペックを操作し、出久の端末にデータを送る。それは新型ACの設計図であり、如何にも汎用量産型と言った風貌の、角張ったシンプルな造形のモノだった。

「良いですね。では、開発を進めて下さい。それに支障が出なければ、好きなモノも作って頂いて結構ですので」

『ギャハハハハ!やっぱ社長は話が分かるねぇ!』

「まぁ、士気が上がるなら越した事は無いので。では、私はこれで」

『また来てくれるのを楽しみにしてるよ~!』

手を振って見送る主任に小さく応え、出久は傍観室を出た。

 

─────

────

───

──

 

(アークサイド)

 

「ハッ!とりゃっ!!」

「フッ!ハッ!」

雄英の修練室にて、出久(サウザー)渡我(001)が試合をしている。

今は互いに徒手空拳。カタログスペックで大きく劣る001は、真正面からの攻撃を避けて高速跳躍を繰り返すヒットアンドアウェイ戦法を展開している。

「成る程、確りと使い熟してるね。体捌きが上達してるし、威力も上がった」

「フフン♪私も頑張ってますので!」

『まぁ、要因としてはナノマシンの追加やデータの蓄積による肉体への最適化が最も大きいがな』

「むぅ、アークさん!そう言うのはヤボなのです!」

『おっと、それは失礼した』

どうやら、いらん事を言ってしまったようだ。まぁ良いだろう。

「じゃ、そろそろ新機能のテストもして行こうか」

「了解です!」

【THOUSAND JACKER!】

【ATTACHE CALIBUE!】

「ハッ!」「デェヤッ!」

2人は虚空から武器を取り出し、一瞬にして斬り結ぶ。

胸板を蹴り飛ばして宙返りし距離を取る001に対して、サウザーも無茶な姿勢制御は早々に諦め敢えてバック宙。そのまま脚を引き絞った低姿勢状態で着地し、スリングショットの弾丸のように飛び出して001へと突貫刺突を繰り出した。

「ほっ!」「ぐあっ!?」

しかし、001も負けはしない。低姿勢から主要器官を狙う都合上、サウザーの牙突は如何しても上向きに突く。その際に生まれる前方下側の隙に膝抜きでしゃがんで入り込み、更に胴体を捻って回転しながら遠心力を利用した左から右への逆袈裟斬りを見舞う。更にその遠心力で重心を引っ張り、バックロンダートでミドルレンジの間合いを取り直した。

ARROW(アロー) RIZE(ライズ)!】

「ハァァッ!!」「ぐっ、ぬおっ!?」

其処からアタッシュウェポンを持ち替え、紫の弓(アタッシュアロー)からエネルギーの矢を連射する。サウザーも2発は諸に喰らってしまったが、3発目からはジャッカーで切り落とし始めた。

「オリャオリャオリャーッ!」

「何!?くッ!」

守りに入ったサウザーに対し、001は一気に詰め寄りローリングソバットを叩き込む。流石のサウザーも、001の加速力をフルに活かしての跳び蹴りは中々に堪える。

SHOTGUN(ショットガン) RIZE(ライズ)!】

「え?」

 

─DBanG!!─

 

「ごへぁ!?」

堪らず片膝を着いたサウザーに悪魔の声が聞こえ、盛大に吹き飛ばされる。

アタッシュアローから青黒のショットガン(アタッシュショットガン)高速切替(ラピッド・スイッチ)した001が、サウザーの胸に0距離でエネルギー散弾をブチ込んだのだ。しかも確りと反動をバックジャンプで受け流し、ちゃっかりと距離も取っている。

『其処まで!致命傷判定により、勝者は001』

「やった~!」

「ふぅ、凄まじい成長ぶり・・・流石だね、ひーちゃん」

無邪気にぴょんぴょんとはしゃぐ001に、感嘆の溜息を吐くサウザー。

しかし、それもそうだろう。長年に渡って全身にナノマシン投与を施した強化人間たる出久に対し、渡我は未だにナノマシンが馴染みきっていない発展途上の改造人間。一応、私が脳にAIチップを埋め込みこそしたが、それもラーニングは完全では無い。そんな未完成甚だしい状態にも関わらず、ジャッカーに依存する特殊技を制限した状態とは言え、サウザーに真正面から勝ったのだ。

この凄まじい成長性は、渡我自身の持つ驚異的な適応能力と応用力に依るモノだ。

「にしても、拡張領域(バス・スロット)も完璧に使い熟してるね。反射的な動きを擦り込むのが上手いお陰かな」

「まぁ、このアタッシュ系が凄く使い易いってのもありますね。パッと出せてガチャッと使えて、何なら盾にしても全然へーき」

「その代わり、1つが最低25kgとアホみたいに重いんだけどねぇ。ライダーシステムのパワーアシスト無しじゃ、マトモに取り回せたもんじゃ無い」

アタッシュウェポンの長所と短所を出し合いつつ、001は新たに拡張した量子転換技術でアタッシュショットガンを格納する。

これはライダーシステムやレイダーシステムのドライバーに搭載されている、特定の物体を量子化・格納する機能を発展させたモノだ。

実の所、ドライバーに必須とされる機能は、電脳通信装置と量子化装甲の形成、そして各システムの素体テンプレートと、データイメージの装甲化アルゴリズム。これだけである。

そして私が作ったドライバーの処理容量ならば、これらの機能を詰め込んでも容量にかなりお釣りが来るのだ。現に、主任が開発したACのパッケージライズシステムも、このバススロットを彼が勝手に利用したモノだったりする。

1歩出遅れたが、此方もそれを真似て空き容量に量子転換した武器を格納する事にした。中々に使い勝手が良く、ナノマシン投与やザイアスペックによって脳機能をブーストした人員ならば、適材適所で武器をスイッチして戦う事も容易いだろう。まぁ、1つの武器技能のみを研ぎ澄ませてフレキシブルに動く主義の兵士もいるだろうから、その辺りは個人の好みだが。

「じゃ、次は試作品の実戦テストです!」

ATTACHE(アタッシュ) HALBERD(ハルバード)!】

そう言って001が取り出したのは、通常のアタッシュモードよりも5割増し程に長いアタッシュウェポン。親指でロックボタンを操作し、そのまま思い切り振り抜いた。

HALBERD(ハルバード) RIZE(ライズ)!】

すると、アタッシュケース前方3分の1程のブロックがアンロック。ケース全体を縦に3分割するラインからそれぞれが前方にズレ、スライドして1本のポールになる。最後に手首のスナップを効かせて先端のブロックパーツを反転させれば、あっと言う間に2mを越す長柄の戦斧になった。

「フッ!ハァッ!!」

「くっ、ふっ!」

001はアタッシュハルバードを大きく振り回し、その回転のままに続け様に唐竹割りに繫げる。サウザーは一撃目をジャッカーで去なし、唐竹割りはバックステップで回避。

「おっりゃぁあッ!」

しかし001はそれを読み、体重を掛けて振り下ろした刃が地面に叩き付けられた瞬間、その反作用に乗って跳躍し、前宙垂直斬り落としに派生した。

「流石に、喰らわないッ!」

だが、サウザーも負けてはいない。

右前方に飛び込んで回避し、そのまま左手を着いて右脚でセパタクローキックを見舞う。

「おわっと!?」

001は地面に食い込んだハルバードで咄嗟に身体を引き寄せ、ポールの上を転がるように無理矢理前方に飛び出す事で、辛くも避けて見せた。

「ひっ、あっぶな!」

「何で彼処から避けられるんだ・・・」

001の出鱈目な回避テクニックに、流石のサウザーも呆れたように呟いた。

確かに、あの蹴りは001の視覚センサーの限界を超えた位置からの攻撃。見て回避するのは不可能だった。単純に、渡我自身の気配察知能力によるものだろう。

「どんどん行きますよッ!」

ATTACHE(アタッシュ) PILER(パイラー)!】【ATTACHE(アタッシュ) LIFULL(ライフル)!】

PILE(パイル) RIZE(ライズ)!】【LIFULL(ライフル) RIZE(ライズ)!】

新たなアタッシュウェポンを両手に掴み、それぞれを展開する001。右腕のそれは、グリップが側面に折り畳まれ杭が2本突き出し、ガントレット型のパイルバンカーに。左手のそれは、蝶番で3段に巻き畳まれていた砲身を伸ばし、グリップを45度立ち上げて前腕密着型のライフルに。

「成る程、ハルバードも含めて主任が作りましたね?それ」

それぞれの武装は、今までのアタッシュウェポンとはコンセプトが違う。其処に着目し、サウザーは制作案を上げた人物を易々と言い当てて見せた。

「じゃあ、行きますよ!」

001がライフルのグリップ上端に付いたスイッチを親指で押し込む。するとファンが回転するようなチャージ音が鳴り、ライフル側面のチャージングランプが点灯していく。

『当たると拙そうだな』

「拙いなんてモンじゃ無いでしょう!」

【JACKING BREAK!】

センサー類が弾き出した計測データを見て、咄嗟に制約を解除するサウザー。ジャッキングブレイクを発動するとほぼ同時に、アタッシュライフルから高出力のメーザー砲が放たれる。それは空気を瞬く間に焼き焦がし、蒼白い光を纏いながら雷速でサウザーに襲い掛かった。

「あ、あっぶな・・・」

しかし、そのメーザーも目標の1m手前で拡散、広範囲に分散してしまう。

使ったのは、B組の円場硬成の能力。空気を凝固させる個性。今回はそれを応用し、屈折率の異なる3層の偏光板を作ってメーザーを湾曲・拡散させたのだ。レイリー散乱の応用である。

CHARGE(チャージ) RIZE(ライズ)!】

【ライジング!ディストピア!

FULL CHARGE(フルチャージ)!】

だが、その隙を見逃す001では無い。ライジングディストピアで高速接近し、加速を乗せた膝蹴り(ブーストチャージ)で偏光板を全て粉砕。其処から更に踏み込み、チャージライズを済ませたアタッシュパイラーを思い切り突き出して来た。

【カバン!ストライク!】

 

─バゴギョンッ─

 

「ぐへぁ!?」

爆裂射出された杭を真面に受け、サウザーはくの字に身体を折り曲げ吹き飛ばされる。流石にロマン武器の王道、パイルバンカーの直撃には耐えられないようだ。

『サウザー致命傷判定、勝者001』

「やった~!」

「う、受けに回らなきゃ良かった・・・」

『ウェポンテスターとしては上出来だ。データも取れただろう』

変身解除して蹲り、青い顔を冷や汗で濡らす出久。それもそうだ。計測した結果、アタッシュパイラーのカバンストライクの衝撃力は87,3tだった。私の変身するアークゼロでも、恐らく仰け反らせる事が出来るであろうレベルの威力だ。

「ただ、新作武器は軒並み壊れちゃいました」

そう言って、001はハルバード、パイラー、ライフルを展開する。どれも接合部からスパークが散っており、パイラーの杭はストッピング機構が破損。ライフルは内部のコンデンサと放射パーツが焼き付いていた。もう単純な鈍器としてしか運用出来ない状態だ。

「取り敢えず、そのデータは有用です。主任に渡してあげなさい。寧ろ、初回で剛性テストまで出来てお得でした」

「そうですね!分かりました!」

テンションを戻して3つを格納し、変身解除する渡我。

そんな彼女を見ながら、私も電脳内で完成した新たな設計図を見直す。

・・・やはり、まだ少しデータが足りないな。しかし、一応は建造可能な状態になった。

『渡我。今回のデータ収集で、お前のビームエクイッパーから新たなプログライズキーが作れるようになった。お前専用のキーだ』

「ホントですか!?」

『あぁ。だが、出力制御用のプログラムが不完全だ。余程の事が無い限り、データを閲覧するまでに留めてくれ』

「分かりました!余程の事が無ければ大丈夫です!」

「それは果たして大丈夫なんですかねぇ・・・」

『何、骨折や筋断裂までは起こすまい』

「詰まり重度の筋肉痛なんかは発生するって事じゃ無いか」

『理解が早いな』

「全く・・・まぁ、知らずに作って使うよりはマシかな」

肩を竦め、頭を振る出久。しかし、私の予測ではこれが必要になる。ハードだけでも、完成したのは幸いだった。

私達のアーク因子は、ほぼ全てが量子もつれ状態になっている。故に渡我の持つ血液錠剤にも、リアルタイムで私の情報が伝達するのだ。

さて、では始めるか。《プロジェクト・アーク》を。

 

(NOサイド)

 

『フゥ~ム・・・』

真夜中。日陰者の第13課の一角で、主任は小さく唸る。

目の前のパソコンには、新たなACの設計図。そして、()()A()C()()()()()()()()()()()()()()が映し出されていた。尤も、何方も未だに未完成ではあるが。

『ま、今はこんなモンかな~。まだまだ初期段階だし、データもゴミムシだしね・・・って、アレっ』

今出来る限りを尽くして設計改良を行い、主任は椅子にもたれ掛かる。するとそのタイミングで、主任の腹が鳴った。機械と言えど、本質は人間。疲労も溜まるし、腹も減るのだ。

『ギャハハハ!そっか、もうこんな時間かぁ!夜食でも買いに行くかな!』

そう言って、フォルダを上書き保存し、主任は席を立つ。

そのファイルの名は、BLACKING GRINTであった。

『早く会いたいぜ、《J》・・・また戦いたいよ。お前と一緒に・・・』

 

to be continued・・・

*1
冷やし土下座




~キャラクター紹介~

・緑谷出久
今日も今日とて営業してた1000%社長出久。
Mt.レディからの提供によりブレイキングマンモスを獲得した。
過去に資本家や投資家との会合の類いで凄まじい掌返しを喰らい、更にハニートラップも叩き付けられたせいで一時期かなり危うい精神状態になっており、渡我がいなければ1000%ヤバかった。
社員(傭兵)の試合を観戦し、新しいシステムの視察を遂行。これから編成などを考える。
主任が新しいキーを欲しがる事は予測出来ていた為、既に複製の手筈は済ませてあった。
因みに001との試合の時系列は、体育祭をやると告知された日の放課後である。
渡我の応用性が火を吹き、もはやジャックライズ無しでは互角に持ち込まれてしまうようになった。彼自身はそれを楽しんでいる。但し、アタッシュパイラーは中々に効いた。

・主任
もはやOW係となった主任。
今回でグラインドブレードを作った。今後もバンバン作る。
傭兵を率いるリーダーとして、戦力分析もお手の物。今日も13課は元気です。
A()C()()()()()()()()()()()()新たなシステムを制作中。また何かアクションを起こすつもりらしい。

・ダウンギャンブル
愛すべきポンコツ特攻兵。
格闘センスが良く、切り込み向き。反面、熱くなり易く手玉に取られやすい。

・デリンジャー
ちょっぴり頭脳派一般兵。
アサルトライフルによる中距離射撃が主なスタイルであり、射撃精度も中々高い。
また、近付いて来た敵を倒す為の近接格闘術(主にパリィと柔術)も修めている。

・渡我被身子
滅茶苦茶強くなった恍惚吸血ヒロイン。凄まじいポテンシャルを秘めた可能性の獣。
原作からしてかなり身軽で身体能力が高く、周囲の人間の気配や意識の向き、流れを読み取る事に長けている。ステータス的には近接格闘に向いたタイプ。
この察知能力と001の機動力が合わさり、その結果が最強のヒット&アウェイ戦士の誕生である。
出久の事は尊敬しているが、同時に対等の戦士であると認識しているので普通に加減無く戦える。何気にAC組よりも先にブーストチャージを披露した。

~アイテム・システム紹介~

対大型堅牢敵想定規格外六連超振動突撃剣(グラインドブレード)
OWの1つ。バイティングシャークのライダモデルを利用したもの。
6本の巨大ヒートチェーンソーを束ね、円形に並ぶよう変形させてドリルのように回転させながら敵に突撃する。敵は大体死ぬ。
動力を引っ張る為に左肩のアーマーをパージする必要があり、防御力の低下と言うデメリットが発生する。
敵の大群に対して一気に突っ込むのが理想的な運用方法。

・バトルレイダー
主任率いる元傭兵・現ZAIA特殊機動部隊【A.I.M.S.(エイムズ)】の標準装備。癖が無く防御特化、弾幕射撃が強力且つ捕縛も可能と言う、軍隊で平均的に要求される要素を全て押さえた理想の量産型。
今後のZAIAエンタープライズ社の目玉商品。

・エイムズショットライザー
A.I.M.S.に新配備された武装。
レイドライザーよりも攻撃重視のテンプレートを採用しており、防御力が低下する代わりに機動力と火力が上がる。
また、変身せずとも大口径拳銃として利用出来る点も大きなアドバンテージである。

・仮面ライダーイージス
インベイディングホースシュークラブのショットライザー系ライダー。
本作初のオリジナルライダーであり、バトルレイダーと同じく量産型ライダーとして配備される事となる。
大型短機関銃《トリデンタ》をバトルレイダーとの共通武装として運用し、更にショットライザーを併用する事でより高密度の弾幕射撃を行えるようになった。
反面、装甲面は削ぎ落とされており、バトルレイダーよりも打たれ弱い。尤も、それは防御特化のバトルレイダーと比べた場合であり、並大抵の攻撃では落とされはしない。

・トリデンタ
バトルレイダーと仮面ライダーイージスの共有基本武装。
米軍開発のクリス・ヴェクターと言うサブマシンガンをベースモデルとし、改造強化を行ったもの。これにより生身ではほぼ扱えない高火力火器となっている。尤も、よしんば扱えたとしてもシステム本体の火器管制機構F C Sと同期させない限りトリガーはロックされるので鈍器としてしか使えないが。

・アタッシュウェポン
01世界の基本武器。生身でもガンガン使えていた原作とは仕様が違い、最低重量が25kg。常人には真面に取り回せないのだが、これは圧縮合金による多層装甲を用いて意図的に重量を上げている為である。
出久の護身用武器としても使われるサウザンドジャッカーとは違い、完全にライダー・レイダーシステムとの併用を前提としている。

・アタッシュアロー
紫のアタッシュウェポン。
展開により短弓になり、貫通性能に特化した矢を放つ事が出来る。また日朝のお約束として、リム部分に刃が仕込まれている。弓は斬撃武器。
連射性能もかなり高く、早撃ち(ラピッドショット)溜め撃ち(チャージショット)を使い分ける事が出来る。

・アタッシュショットガン
青いアタッシュウェポン。
ポンプアクション式ショットガンであり、今作ではコッキングによって散弾(バックショット)一粒弾(スラグショット)を切り換える仕様。

・アタッシュハルバード(試作)
オリジナルアタッシュウェポンの試作品。
スライドレール機構を採用しており、リーチを引き延ばした重打を叩き込む。
今回は接合部分の剛性が足りず破損。強化改修する事となった。
因みに、今回まだ使っていない新機能も搭載している。
カラーリングは青と黄色。

・アタッシュパイラー(試作)
オリジナルアタッシュウェポンの試作品。皆大好きロマンウェポン、とっつき。
変形機構については、グリップの根元が2重ヒンジになっており、まず側面にグリップが倒れ込んでシールドガントレット型になる。次に本体両端1ブロックが底側に向けて蝶番式に開いて爆裂薬室になり、グリップ根元のヒンジ両端に空いた穴から1本ずつ杭が飛び出して変形完了。因みにグリップの親指部分のロックボタンを解除すればバネ仕掛けのようにワンタッチ変形する素敵仕様である。
通常は刺突用ブレードとして機能するが、チャージライズにより杭をコッキング。薬室にチャージしたエネルギーを炸薬とし、必殺の一撃を叩き込む。
チャージライズさえしてしまえば、あとはトリガーを引くだけで瞬時に射突出来る為、ガードガチガチタイプにもスピードタイプにも扱い易いらしい。しかし、射程は極めて短い為、使い熟すには相応の戦闘技術が必須。
破損箇所は突出する杭を受け止めるストッパー機構。実際に作るとすれば確実に1番負荷が掛かるパーツである。
カラーリングは赤と黄色。

・アタッシュライフル(試作)
オリジナルアタッシュウェポンの試作品。
多重折り畳み機構を採用している。イメージはモンハンのヘビィボウガンの折り畳みだが、更にロングバレルの根元でも折り畳む3段パーツ構成。
グリップは銃型としては珍しく、親指側がグリップエンドとして根元の関節で起き上がる構造であり、形としては戦闘機等の操縦桿に近い。
形のモチーフは《シドニアの騎士》に登場した超高速弾体加速装置。
アタッシュアローと同じく溜め撃ち(チャージショット)早撃ち(ラピッドショット)が可能だが、後者はほぼほぼ豆鉄砲であり、生身相手でも眼球以外には致命的ダメージは与えられない。しかし溜め撃ち(チャージショット)は5段階に分かれており、最大までチャージすれば高密度に収束したエネルギー粒子とマイクロ波を合わせた高出力メーザー砲となる。
今回は電解コンデンサや放射パーツが焼き付いてしまった。
カラーリングは白とピンク。

拡張領域(バス・スロット)
I S(インフィニット・ストラトス)用語。物体を量子転換し格納、保存する技術。
ライダーシステムに於いて度々見られる現象、『何処からともなく現れる武器』を解決する為に採用した設定。
尤も、原作01のブレイキングマンモスも量子転換による長距離転送及び物質圧縮を行っている為、何ら不自然では無い。

高速切替(ラピッド・スイッチ)
IS用語。拡張領域を介して瞬時に武器を切り換える技術。
扱えるならば常時最適な武器を選ぶ事によって柔軟な戦術を展開し、戦闘を優位に進める事が出来るが、使い熟せなければ戦闘中に隙を曝してしまうピーキーなテクニックである。
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