(出久サイド)
『突然失礼します。労働基準監督署です。御社で劣悪なパワハラ、及び重篤な労働基準法違反が発生していると通報がありました。捜索令状が出ておりますので、ご協力いただきます』
「うん、やっぱり早いね」
『現代の労基署は、とても優秀だ』
ZAIAエンタープライズJAPAN社長室。僕は今、アークのハッキングによって映し出された、とある会社の監視カメラ映像を見ている。
ゾロゾロと押し寄せる、大挙を成した労基署職員達。一部の社員はポカンとしており、一方役職持ちの社員は逆に軒並み脂汗をかいていた。
『さて、この企業の違法行為のデータは、45分前に既に各種インターネットメディアに匿名で拡散済みだ。現在進行形で、株価は大暴落し続けている。そろそろだ』
「うん、頃合いだね。
『許諾を確認。買収手続きを開始する』
僕の許諾を得て、アークは世界中の僕の口座からマネーを掻き集める。そして格安になった株を、1億5千万円分即座に買い叩いた。
「これで僕が、この会社の最有力株主だ」
『30分後に向こうの社長の緊急記者会見が行われる。乗り込むぞ』
「ああ、最高のアトラクションを楽しんで貰おう。ジェットコースターからフリーフォールに切り替わる絶叫マシンなんて、そうそう乗れるモノじゃ無いぞ」
『お前も中々に、悪意を乗り熟す顔をするようになったな』
「ハハハ、何を今更。少なくとも1年程は、言うのが遅いよ。まぁ、アークから太鼓判を貰ったって事かな」
感慨深げなアークに肩をすくめて笑いながら、僕はディスプレイの電源を落とす。死んだように暗転した液晶に映り込んだ自分の顔は、正に悪魔の嘲笑と形容するに相応しい様相をしていた。
─────
────
───
──
─
「ヒーローチーム!WIiiiiiiN!!」
雄英高校の演習場。僕が到着したのは、訓練の一試合が終わった所だった。
2人1組、ヒーローチームと
モニタリング用のスクリーンを見ると、凍結していたビルが熱で溶かされ、大量の水蒸気が噴き出している。
「精が出ますね、オールマイト先生」
「あ、緑谷くn」
「社長~!」「あー!社長せんせー!」「あ、来たんだセンセーも」「チッ・・・」
声を掛けると、まず
「渡我さんって、ホントに社長に懐いてるよね」
「モチロンなのです!社長は、私の初めての理解者ですから!他人の普通を押し付ける両親よりもずっと、この《渡我被身子》のままの私を見てくれたのです!」
「お、おう・・・」
「え、渡我ってもしかして、結構闇深い系?」
ドロリと眼を澱ませたひーちゃんの口から飛び出す、恨み節にも聞こえるような熱狂的な回答。それを聴いた殆どの生徒が、顔を引き攣らせ冷や汗を流す。
親の愛を受けられた身にとっては、その親に認められないと言う境遇が、想像し難いのだろう。
「あー、済まない緑谷君。これから分析タイムなんだが・・・」
「ああ、大丈夫ですよオールマイト先生。先程の訓練の様子は把握しましたから」
「え、早くね?」
「努力の賜物ですよ」
若干引いてるオールマイトに対して、コメカミをトントンと指で叩いてみせる。
嘘は言っていない。高速演算処理の為の演算補助用脳内ナノチップの埋め込みも、神経系のタイムラグを無くす量子通信神経伝達ナノマシンの投与も、総て努力の内だ。だから訓練のVTRを脳内にダウンロードして高速鑑賞し即分析処理出来るのも、努力の賜物と言える。
いやぁ、量子神経は最初全身の筋肉がバグって攣りまくったせいで地獄を見たなぁ・・・
「あ、緑谷先生」
「センセーも来たんだぁ!」
「うむむ、もう少し見せ場を作りたかったな・・・」
「・・・」
と、実習していた尾白君、葉隠さん、障子君、轟君が戻って来た。瞬時に決着した結果、お互いにほぼほぼ疲弊は見られない。何ら問題無いだろう。だが・・・
「ちょっと待ちなさい葉隠さん。貴女、可視光線域を拡張出来るタイプの個性が敵にいたら如何するつもりですか。何より目に毒です。これを羽織っていなさい」
僕は羽織っていたホワイトスーツの上着を脱ぎ、葉隠さんの肩に被せる。
と言うのも、彼女は透明化の個性を持っているのだが・・・そのコスチュームが大問題。まさかのブーツと手袋以外何も身に付けていないと言う、透明人間としては正解だが人間としては落第点な格好をしているのだ。
「え?あ、ありがとうございます・・・って、え、目に毒って・・・ッ!?」
『出久、葉隠の表面体温が2度上昇したぞ』
(言わなくても良いよアーク・・・)
脳内で急に報告を挙げてくるアーク。全く、こう言う事には首を突っ込んでくるんだよなぁ、この相棒は。
「えぇ、まぁ。私は専用アイテムの為に、少しばかり身体に細工を施しているので・・・まぁ、そういう事です」
「ッ~~~!!!?」
─バチィンッ─
「うぐっ・・・」
「社長!」「緑谷社長!?」
葉隠さんからの不可視のビンタを、仕方無いので甘んじて受ける。
まぁ、思春期の女子に、遠回りにとは言えども「貴女の裸を見ました」と言ったのだ。この反応も仕方無い。
それよりも、これで葉隠さんも自分の肉体を過信せず、スーツで覆う事の重要性に気付いただろう。それが、彼女の生死を分けるかも知れない。ならば、安いものだ。
『おい。相も変わらずお人好しが過ぎるぞ、出久』
「だ、大丈夫かね緑谷君!?葉隠少女も何て事を!」
「大丈夫ですよオールマイト。そして葉隠さん?こう言う事もあるので、コスチュームはしっかりと作って貰うように。今時光学迷彩機能なんて珍しくもありませんからね」
「あ・・・ご、ごめんなさい!私のコスチュームが原因なのに・・・」
「いえ、良いんですよ。女性の身体についてとやかく言った此方にも、落ち度はありますので・・・」
「ぐう聖過ぎる・・・」「ビンタされても除籍とか言わないのか・・・」「
何か若干1名血涙流してるな・・・
『社長はもっと、えっちな欲を前面に出しても良いと思います。枯れてるのかって思っちゃうのです』
『いや、僕は社長の身分があるから・・・』
フォースライザー越しに電脳通信で通話してくるひーちゃん。
まぁ、確かに女性に対してあれこれ思わない事も無い。だが僕がもし訴えられたりすれば、会社に多大な迷惑が掛かってしまうのだ。危ない橋は渡れない。
「えーっと、オッホン!じゃあ今回の訓練で、MVPが誰か分かる人ー!」
「はいッ!」「はい」
無理矢理オールマイトが話題を切り替え、僕と百さんが同時に手を挙げた。
「百さん、どうぞ」
「では僭越ながら。
今回のMVPは、まず間違い無く轟さんですわ。敵に行動の猶予を与えず、尚且つ瞬時に広範囲を凍結させ、シチュエーション的には居るかも知れない他の敵員も行動不能化。大きな衝撃等も無く、核を安全に回収出来ましたわ」
「逆に、葉隠さんは最悪手でしたね。そもそも敵対者を相手に、初手から防御力を捨てに行くのはいけません。アレをやるならば、まず暗闇や死角から相手を一方的に捕捉してからの方が良い。何せ、葉隠さんは透明。ピット器官を持つ爬虫類型や嗅覚の鋭敏な動物型等が相手でも無い限りは、暗所に陣取れば先手を打つ事は容易でしょう。
何より、靴を投げて音を発てる事で相手の注意を逸らし、より強力な不意討ちも可能。
戦闘の要とは、相手の嫌がるであろう事を積極的に行うと言う悪意です。悪意を研ぎ澄ませた者が勝つ。貴方達は先ず、そう言った戦術を磨くべきですね」
「尾白さんと障子さんは、目立った悪手はありませんでした。寧ろ障子さんは、先行する轟さんの後ろでセンサーを張り巡らせ、伏兵の警戒をしていましたので、寧ろ優秀な立ち回りだったと思いますわ」
「い、言いたい事全部言われた・・・」
僕と百さんの分析を前に、ウジウジと凹むオールマイト。まぁ、教師の立場としては複雑な心境だろう。
「ですが・・・この戦闘訓練のシチュエーション、敵チームなら誰であろうと、やろうと思えばオールマイトにだって勝てますよ」
「「「「えぇぇえっ!?」」」」
「ちょ、マジすかセンセー!?」「何その必勝法!?」「え、誰でもって、オイラも!?」「教えてセンセー!」
「フフフ、今は内緒です。これはなるべく、自分で気付いて欲しいですが・・・まぁ、答え合わせは後でしましょう。その前に、次のバトルと行きましょうか」
「完全に指揮権が緑谷君に・・・まぁ良いけど」
「仕方無いですよオールマイト先生」
いじけ掛けてるオールマイトを宥めながら、生徒達のチームのクジを引く。
と・・・どうやら、次のゲームは面白そうなカードが出た。
(渡我サイド)
「頑張ろうね、被身子ちゃん!」
「モチロン!目指すは完全勝利です!」
演習用のビルの外で、バディのお茶子ちゃんとガッツポーズを向け合う。
此方はヒーローチームで、相手は飯田君と・・・社長に因縁付けて来るファッキンボンバーなのです。
「まず、あのファッキンボンバーは社長を目の敵にしてます。なので、多分私にも執着してくると思うのです」
「サラッとFワード使ったね!?」
「良いから聴いて下さい。私は取り合えずあのクレイジーボンバーを相手します。お茶子ちゃんはその隙に、核の場所を探って欲しいのです」
「え、でも危なくない?」
「多分大丈夫ですよ。飯田君は真面目で、ドッカン頭は協調性無し。まず間違い無く、飯田君は核を護るために近くを離れません」
「爆豪くんのアダ名がスゴい勢いで更新されてる・・・」
「呼び名なんてどうでも良いです。兎にも角にも、お茶子ちゃんには捜索をお願いしますね」
「う、うん!分かった!」
取り合えず、概要は固まりました。で、使うキーは、っと・・・
「あの個性相手なら、この子が良いですね」
ベルトに付いた右のホルダーに入ったバッタちゃん・・・では無く、左ホルダーに入ったピンクのキーを抜く。
「あれ、今日は違うヤツ?」
「なのです!」
【
キーを起動し、フォースライザーのスロットにセット。アラートを響かせるライザーのトリガーを、勢い良く引いた。
「変身!」
【FORCE RIZE!】
ベルトから飛び出したるは、ピンクのオーラを纏うハヤブサちゃん。高速で旋回して、私の身体を翼で抱き締めるように包み込んだ。
【フライング ファルコン!】
【BREAK!DOWN!】
そして装甲になったハヤブサちゃんが弾け飛び、それを拘束帯が強引に引っ張り戻してくっ付ける。
「渡我被身子改め、仮面ライダー迅!参上です!」
「うわ、なんかゴムパッチンみたい・・・」
「痛くは無いのであしからず!さぁそろそろですよ!」
『訓練!スタート!』
オールマイト先生のアナウンスに従って、私達はビルに踏み入った。
(出久サイド)
「さて、早速面白い事に・・・」
モニタリングルームは、ひーちゃんが変身した仮面ライダー迅・フライングファルコンに沸いている。そして、僕としてもこれはかなり有効で・・・尚且つ、かなりテクニックが要る戦術だろうと分析した。
『っと、来ました。では、手筈通りに』
『おっけ』
2人の声が、インカム越しに聞こえてくる。2人はすぐに散開し、
『ッ!死ィねェ!!』
『やですッ!』
気配を感じて飛び込んだ爆豪。迅はその右の大振りを瞬時に見切り、背負い投げで迎撃する。
しかし、爆豪は左手の爆破で体勢を立て直して巧く着地。やはり、身体能力やセンスは目を見張るものがあるな。
『そのベルト・・・テメェだな、デクの腰巾着』
『むぅ、私は渡我被身子、今は仮面ライダー迅なのです。へんな呼び方するなら、こっちも其方をファッキンボンバーって呼びますよ?』
『ウッセェ黙れ死ね』
『うーわ、人間として最低限必要な語彙を全部かなぐり捨ててますね』
片や苛立ちながら、片や呆れながら、攻防を毎秒切り替えるように、鋭く手脚を振るい合う2人。一応、フォースライザーには装着者が専用のマイクロチップを装着していた場合、電子頭脳と同等の超高速情報処理能力を与えて思考速度をオーバークロックさせる機能も付いている。ようは、事故に遭ったりした人が周囲がゆっくり見えるというアレを意図的に起こせると言う事なのだが・・・そのハンデがあって、漸くテクニックが対等とは。下手にパワーで押し切れば良くて骨折、下手すれば殺しかねない以上、ライダーシステム的にも出力を制限する他無い。全く・・・
「やりにくい相手だ」
「緑谷君から見ても、爆豪少年は脅威的かね?」
「いえ、五体満足に留められるよう手加減するのが面倒なんです。スマートにやろうとしても、なまじ反応速度が速いせいで、振り切るには殺人級の威力を出さざるを得なくなる。
結論として、勝つ事自体は被身子さんも容易でしょう。ですが、殺傷してはいけないと言う縛りが厄介過ぎると言う事です」
「お、おう・・・容赦無いね」
「正直、彼には私怨もありますからね」
(MALICE LEARNING ABILITY)
眼を濁らせながら、皮肉っぽく笑ってみせる。湧き上がった悪意は、胸の中でアークが吸収してくれた。
『アイツが俺より上にいるなんざ有り得ねぇ!俺がトップになるんだよ!だからテメェも踏ん付けられてろ!』
『ダメですねこれ。鼻っ柱叩き折らないと』
爆豪が放った爆破を、迅は背中から展開した
『テメェを叩き潰す!デクも踏み潰し殺す!そうして完膚無きまでの頂点に、俺だけが立つんだよォ!』
『・・・あ?』
おっと、迅の雰囲気が変わったか。
『フォースライザーを通じて、渡我の脳内から強い悪意を検出した。少々危険かも知れんな』
「仮面ライダー迅、己の悪意の手綱は放さぬように。ライダーシステムは人を容易く殺せる事、努々忘れてはなりませんよ」
『分かってますって社長。そんなお子ちゃまじゃありません』
『あ゛?デク、つまりテメェは俺が殺されるって言いてぇのか?嘗めんじゃねぇぞコラァ!』
─ガキャッ─
爆豪がガントレットのレバー部分を引き、格納されていたピンに指を掛ける。
「止めろ爆豪少年!殺す気かッ!」
『当たらなきゃ死なねぇよ!』
ガントレットを迅に向け、爆豪はピンを引き抜いた。
その瞬間、監視カメラを閃光と振動が襲う。そして僕達の耳にも、尋常では無い轟音が届いた。
「ハァ・・・敵チームから20点減点」
流石に溜息しか出ない。何なんだあの怒れる火薬庫は・・・
「と、渡我少女ッ!」
「ご心配なさらず。迅はあの程度で潰せる程、柔な設計にはしていません」
─ガキャッ!─
爆炎の中から、翼を丸めたファルコンのライダモデルが現れる。その翼はすぐに開かれ、中からは無傷の迅が現れた。
そしてライダモデルを嗾け、同時に自身もスクランブラーで加速。迎撃しようとした爆豪の手をライダモデルが錐揉み回転で弾き上げ、隙を晒した腹に高速の水平ライダーキックが叩き込まれる。
『ごへぁっ!?』
胃の内容物を吐き出して、壁に叩き付けられる爆豪。迅はその場でスタッと着地し、ライダモデルを分解回収。そのまま捕縛テープを巻き付け、爆豪に戦闘不能判定を出した。
『被身子ちゃん!場所分かったよ!2階の中央!でもバレちゃった!』
『いえ、階層が分かれば上々です!動きは止めますので、捕縛をお願いします!』
『わ、分かった!』
天井を見上げた迅は、フォースライザーを再び操作。腰を落として構え、スキャン機能で天井越しに狙いを定める。
『はッ!』
─ガキャッ!─
そのまま跳躍し、右脚を突き出して宛らドリルのように錐揉み回転しながらのライダーキックで天井を突き破った。
『どわぁ!?』
『ウリェッ!』
即座に飯田君の腹部に蹴りを叩き込み、足に搭載されたクローでガッチリとホールド。重心の移動が儘ならず動けない飯田君に、背後から麗日さんが捕縛テープを巻き付ける。
「其所までッ!ヒーローチーム!WIIIIIIIN!!」
(ひーちゃん、良く出来ました)
(わぁい褒められたぁ~♪)
これは撫で撫でだね。モチベーションアップの秘訣は、確り褒める事だ。
(NOサイド)
「さて、と」
無事、総ての戦闘訓練が完了した。
因みに渡我は出久の左手を独占してうっとりしており、完全に撫でくりにゃんこ状態である。
「ではオールマイト先生。最後に特別に、私達の戦いも見せてあげませんか?」
「ん、そうだなぁ・・・うん!時間も余裕あるし、良いよ!」
「では、インカムをオープンスピーカーにしておきましょう。会話も重要なファクターですから。
では被身子さん、行って来ます」
「ん~・・・行ってらっしゃい、社長・・・」
残念そうな顔をして、渋々と引き下がる渡我。その頭を最後にポンポンと撫でて、出久はモニタリングルームから出た。
───
──
─
「仕込みヨシ。さて、見せるとしますか」
演習用ビル2階。奥の部屋に核を配置した出久は、ザイアスペックで下をスキャン。オールマイトは、既に向かって来ている。
「此方も、本気で行きましょう」
懐から台形にも見えるベルトのバックルを取り出した出久。そのまま腹部に押し付け、ドライバーを装着する。
【
そして髪を掻きあげ、階段を降りる。その先には、当然オールマイトが居た。
「此処を占拠している
私が来たッ!」
お約束の決めゼリフを飛ばすオールマイトに、出久はニヤリと笑った。
「いやはや、これは予想外。まさかトップヒーローたるオールマイトが来るとは・・・ですが、好都合です」
出久は機嫌良く、ポケットから何かを取り出した。それは、刺々しい形をした2本のキー。
「このシステムは、我がサウザンバヨネット社の最高傑作にして芸術作品・・・テストベッドとして、役立って頂きますよ?」
そう言って、右手に持ったキー・・・アウェイキングアルシノゼツメライズキーを、手首のスナップで反転させつつドライバーの左スロットにセットする。
【ゼツメツ!
ドライバーが起動し、待機音が鳴り始める。それに合わせて左手に持っていたもう1本のキー・・・アメイジングコーカサスプログライズキーを右手に持ち替え、両手を広げるようなルーティンと共にスイッチを押した。
【
「変身」
自動で接続端子が展開されたコーカサスを、右側スロットに挿す。
【
ドライバー中央のゲートが左右に開き、コーカサスオオカブトのライダモデルとアルシノイテリウムのロストモデルが出現。周囲を飛び回り、駆け回る。
その中心で出久が両腕を大きく左右に開くと、コーカサスとアルシノは互いに頭を叩き合わせ、それぞれの角を交差させた。
【
2体のモデルは、角を組み付け合ったままバラバラに分解。そのパーツが出久の身体に張り付いて装甲となり、最後に頭部に5本の角が装着されて、紫のゴーグルが展開された。
【
「爆現・・・仮面ライダーサウザー」
【THOUSAND JACKER!】
ジャッカーを構えて、オールマイトと正対する
「それが、其方の秘密兵器かな?」
「ええ、そんな所です。生憎と非売品ですが・・・だとしても、あのオールマイトを倒したとあらば、我がサウザンバヨネット社の宣伝効果は絶大!世界中の紛争地帯から、注文が殺到する事でしょう!」
「HAHAHA!スナック菓子やジュースのコマーシャルには沢山出たが、まさか武器のCMにも使われるとは!」
次の瞬間。笑いを一変させ、音速の踏み込みからパンチを打ち込む。サウザーは高速思考でそれを見切ってジャッカーで受け流し、カウンターにミドルキックを叩き込んだ。
「ぐはっ!?」
「貴方のデータは、既にラーニング済みです」
【JACK RIZE!JACKING BREAK!】
「ワイルドハント・バイト!」
─ルァオォォォウッ!─
「ぐおっ!?」
ジャッキングブレイクによって、4つの金色狼の
「何のこれしき!
奥歯を噛み締めて耐えたオールマイトは、両手脚をプロペラのように振り回しながら跳躍して振り払った。
「ほう、流石ですね。ではこう言うのは如何ですか?」
【JACKRIZE!JACKING BREAK!】
続いて、サウザーは更にジャッキングブレイクを発動。緑のエネルギーをジャッカーに纏わせ、鋭く振るって複数の刃として飛ばす。
「ベローシングストライザー!」
三日月状の刃は、ブーメランのようにオールマイトに殺到。切り刻まんと迫る。
ベローサゼツメライズキーのロストモデル、クジベローサ・テルユキイのイメージにより精製された8枚の斬撃刃。それを相手にしても尚、オールマイトは怯まない。
「ウオォォォ!!」
天災級のその拳で、あろう事か斬撃刃を弾き飛ばしてしまった。
「くっ、出鱈目な・・・ですが!」
【JACKING BREAK!】
「モンロー・アルフレイディア!」
─KABOOOOOOM!!!!─
三度のジャッキングブレイク。発現させたのは、ダイナマイティングライオン。牙突の構えを取り、一気に突き出す。爆豪のガントレットのような指向性爆裂を、更に範囲を絞って撃ち出した。
「ぐおぉ!?」
爆音と爆炎、衝撃波と閃光。本来なら殺人級の威力を持つ筈のそれはしかし、オールマイトに重傷を負わすには至らない。
だが、目眩ましにはなった。
「ハッ!」
サウザーは大きくバックステップし、コーカサスキーを叩く。キーからドライバーに必殺技の承認データが伝達され、内部の反応炉からエネルギーを抽出。脚部装甲に伝導したエネルギーがスーツの人工筋肉を活性化し、脚力を大幅に増強する。
「ぐぅ・・・なッ!?」
「ハァァァァァァアッ!!」
「ぐ、ウググググ・・・」
助走を付けての、強烈なライダーキック。対してオールマイトは、渾身の右ストレートで迎え撃った。
「はぁぁッ!!」
「くっ・・・プルスッ!ウルトラァァッ!!」
「何ッ!?」
「
「うごぁッ!?」
拮抗が崩れ、ライダーキックが只の拳に負けた。サウザーは見事に殴り飛ばされ、壁に激突しコンクリートを粉砕する。
「よ、よもや、此処までとは・・・ハ、ハハ、流石は、トップヒーロー。そう上手くは、行かないか・・・」
壁の穴から這い出し、自嘲気味に呟くサウザー。辛うじて変身解除はしていないが、端から見れば満身創痍としか言い様が無いだろう。
「さぁ、君には監獄のレビュー依頼が来てるぜ。是非とも住み心地を教えてくれ」
「ああ、それは魅力的な依頼だが・・・それは無理だな」
「何?」
「私も勝てはしないが・・・ともすれど、負けもしないさ」
─KABOOOOM!!─
「なッ!?何をした!?」
「
突如響いた爆音。建物を壊す程では無いが、それなりの振動を伴って腹の奥底まで響くような轟音だ。
『しゅーりょー!社長の勝利です!!』
渡我のアナウンスにより、勝敗が決した。
───
──
─
(出久サイド)
「さて、私が何をしたか・・・分かった人はいますか?」
「はい。核弾頭の爆破ですわ」
「その通り」
僕の質問に、やはりいの一番に手を挙げる百さん。彼女の言う通り、僕は接敵前に核弾頭に自爆装置を仕込んでいたのだ。
「いや、でもよ!それで何で敵の勝ちになるんスか?」
「核爆発なら自分も死んじまうだろうし・・・引き分けじゃね?」
「いえ、この条件なら明確に敵の勝ちなのです」
切島君や上鳴君の疑問に、ひーちゃんが答える。此方に目配せして来たので頷いてやると、彼女は解説を始めた。
「まず、敵の勝利条件ですが・・・実戦においては、《ヒーロー及び社会に対して、致命的な加害を達成する事》です。そしてこの条件には、
「「「「「っ!?」」」」」
戦慄するクラスメイト達。まぁ、狂気的なまでに命を賭ける敵はそうそう居るモノじゃ無い。当然と言えば当然か。
「核の起爆は、敵としては《ヒーロー及び社会に対しての致命的な加害》と言う目標を達成しています。対してヒーロー側はと言うと、《敵の捕縛》、《周辺被害の抑止》、《自身の生存》と言う勝利条件が総て潰されるのです。
ヒーロー社会への嫌がらせの為なら、自分の命も必要経費・・・そんな風に考える自爆前提の敵なら、まず躊躇わず使う手です」
「これが、誰でもオールマイトに勝てる方法です。但し、自分の命も賭け金にする必要がある。これを決行する正気をかなぐり捨てた敵も居る事、良く覚えておくように」
「ハーイ!」
元気な返事は、ひーちゃんのものだけ。少しばかりショッキング過ぎたかな?
「そ、そう言えば!緑谷社長は大丈夫なのですか?かなりダメージを負っているように見えましたが・・・」
「あぁ、大丈夫ですよ。内部のショックアブゾーブ機構のお陰で、軽度の打撲傷程度で済んでいます。これぞZAIAクォリティ」
「うん。凄く頑丈だったね。最後のスマッシュは割と本気だったんだけど・・・」
「ほう、嬉しいですね」
まぁ、多分ビルを貫通してない辺り全力では無かっただろう。それでも、オールマイトの拳を耐えたのならば防御力は充分。
『良いデータが取れた。装甲構造を更新する』
脳内に響くアークの声を聴きながら、僕は小さく頬を吊り上げた。
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
・緑谷出久
満を持して変身した1000社長主人公。自分の身体を滅茶苦茶改造しまくってる。
午前中に某会社をネット炎上と札束でフルボッコにして、その足で雄英に来た。
その会社は上位社員はほぼほぼすっぱりと首を切られるか、スキルの多いヤツは飼い殺しにされている。
生徒に対しては自分が張り倒されようと構わずコスチュームの欠点を指摘し、更に相手のパニックを受け止めるぐう聖振りを見せた。
・渡我被身子
出久LOVEな吸血美少女。
今回は仮面ライダー迅に変身し、ファルコンの能力をフル活用して爆豪に勝った。
フォースライザーをフル活用する為に、原作のショットライザー組と同じようなマイクロチップ手術を受けている。なので、フォースライザーを装着すればゼロワンドライバーの高速ラーニングモードのような思考加速が可能。
・葉隠透
今回で羞恥心を学んだ透明少女。
ザイアの顧客候補ファイルにも名前が載った。
・爆豪勝己
天才的ファッキンボンバー。
まだまだオラオラ調子乗り。
今の所良いとこ無しだが、迅のオーバークロックブレインに素のスペックで食い付いたやべーヤツ。
~アイテム紹介~
・サウザンドライバー
出久の専用ドライバーにして、ザイアの芸術作品。
最初からアークがバチバチに設定しており、強度は原作以上となっている。
仮面ライダーサウザーは、全身各所の人工筋肉にも量子通信神経を通わせる事で、肉体とのタイムラグをゼロにしている。
・サウザンドジャッカー
毎度お馴染みの盗人武器。ロストモデルの能力はデフォルト。
今回の活躍と迅の出現で、少なくともシューティングウルフ枠、フライングファルコン枠の個性を持つ人間と接触した事が確定した。
〇ワイルドハント・バイト・・・シューティングウルフのジャッキングブレイク。4つの狼の頭を召喚し、敵を集団で噛み砕かせる。
〇ベローシングストライザー・・・ベローサゼツメライズキーのジャッキングブレイク。サウザンドジャッカーを緑のエネルギーで覆い、敵に向けて複数の鎌型エネルギーブレードを飛ばす。仮面ライダーゼロワン1話にて、ベローサマギアが放った技。
〇モンロー・アルフレイディア・・・ダイナマイティングライオンのジャッキングブレイク。
敵に向けて一点集中の爆裂噴射を撃ち出す技であり、名前はダイナマイトの制作者、アルフレッド・ノーベルに由来する。