貰った特典、死亡フラグ   作:一方逃避

11 / 13
後書きに、今までに出たリアクトのモード紹介があります。


10話:自分で建てる、だめなフラグ

 つんっと塩の香りが鼻につく。周りでは、様々な音が鳴り響いている。

 

(あれ……何してたんだっけ……、ここ……どこ……?)

 

 段々と鮮明になっていく視界の中、まず見えたのは、飛空挺“フッケバイン”と“ヴォルフラム”。そして、遠くでは誰かが戦闘をしていたのが見える。あ、誰か落ちた。

 

「そうだ……俺、“ヴォルフラム”の上から落ちだんだっけか……」

 

 “ディバイドゼロ・エクリプス”を喰らい、姿勢制御ができず、加速の勢いをそのままに、海へと落下。カッコ悪い……。

 

「てか、あんなに辛いものだったのかよ」

 

 俺が落下して、どのくらい時間が経ったのかはわからないが、身体のダルさというか、震えがまだおさまらない。俺の身体が弱いのか、それとも“ディバイドゼロ・エクリプス”が強力なのか。恐らく、前者だと思うのだが……。

 

「それにしても、海に落ちて、全身打撲でもしてるかと思ったけど、大丈夫だったのか?」

 

 辛い身体にムチを打ち、なんとか起こしてみると、俺は“蒼十字の書”のページが敷き詰められた上にいることがわかった。どうやら、俺のクッションになっていてくれていたようだ。ありがたい。でも……“蒼十字の書”が勝手に何かをするというのはかなり珍しい。戦闘記録は毎回録っているようだが、“蒼十字の書”による攻撃や防御は一々要請しないとやってくれないし、戦闘が終わるとすぐにいなくなる。これは、ドライバーの保護機能かな? しかし、なぜか俺がゲームをしていると絶対に隣にいる。見ているのだろうか?

 

「何はともあれ、ありがとう、蒼十字」

 

『要請によるドライバーの保護、完了』

 

 たぶん、会話が噛み合ってない。てか、誰が要請したんだ?ここには俺しかいないんだけど……。

 

「まぁ、考えても仕方ないか。今、出来ることを探さないと」

 

 敷き詰められたページは、大きさが畳4つ分くらい。しかも、そのまま“フッケバイン”と“ヴォルフラム”と並走するように飛行していた。本当に多機能すぎる。最近は動作が遅いけど。

 

「とりあえず、もう一回“ヴォルフラム”に行ってか…………何あれ」

 

 見上げていると、そこに大きな氷の塊が出現した。それは今まさに“フッケバイン”の上に落ちようとしている。あれは、八神はやて司令の“ヘイムダル”だ!

 

「えっと……“ディバイドゼロ・エクリプス”が二巻の終わりだろ。で、“ヘイムダル”が出てくんのはたしか三巻の最後らへん……どんだけ俺、気絶してんだよ!? よく、捕まらなかったな!」

 

 これも、“蒼十字の書”のおかげか。とにかく、早く“ヴォルフラム”に行って状況の確認をしないと。可能なら、八神はやて司令を止める!

 

「念のため、転移の準備をしとこう。蒼、よろしく!」

 

『…………Jud。座標算出開始』

 

 俺は急いで、“ヴォルフラム”を目指して飛ぶ。様子見なので、リアクトはしない。その間にも状況は刻々と変化していった。“フッケバイン”を狙っていた“ヘイムダル”が誰かの斬撃によって真っ二つに割れる。あれは、サイファーか。だが、すぐに“ヘイムダル”は再氷結。さっきよりも、数が多い。さすがは、歩くロストロギアと呼ばれる人。そこにシビれるし、あこがれるかもしれない。俺は例え敵でも、すごい人は誉める方。

 

「ふ~、到着」

 

「あら、ダレン。たーだいま!」

 

「あれ……姉ちゃん」

 

 そこにいたのは、いつの間に帰ってきたのか、我らが首領、カレン・フッケバイン。俺の姉ちゃんである。何か、八神はやて司令から刀抜いてる最中だし。笑顔でただいま言われても、風景と合っていない。そして、“ヘイムダル”は雪となり散っていった。これは、八神はやて司令の配慮なのかもしれない。危険が無いようにね、周りに。

 

「あ、姉ちゃん!」

 

「おっ」

 

 八神はやて司令を刺されたことにぶちギレた、ヴィータとエリオ・モンディアルが今まさに姉ちゃんに襲いかかっていた。わかる、大事な人が刺されたらぶちギレる。もちろん、俺も。だが、その2人は姉ちゃんに返り討ちにされてしまった。

 

「うわー、“ストライクカノン”刀でぶった切るとか……」

 

 俺は出来ない。ヒビ入れる程度だろう。しかも、最後は本のページでザシュッと。容赦ない……。その本人は今、ステラと通信をしている。

 

「じゃー、ダレン。引き上げるよ?」

 

 そういえば、トーマのことは後回しなんだっけか。あー、でも俺“約束の日”あるしなぁ。こんまま行くかぁ。

 

「俺はいいよ。今日、“約束の日”だし」

 

「なんや……あんたら、まだなにか企んどるんか!?」

 

 傷口を押さえながら、八神はやて司令が追求してくる。確かに、犯罪者が今日の予定的なのを話していたら、怪しがるだろう。この人も、辛そうなのによく頑張るなぁ。自動治癒とかあっても痛いだろう。俺の場合は痛みとか、段々と慣れてくる。

 

「そういえば、私も知らないわね。何なの? “約束の日”って」

 

「あー、ゲームの発売日」

 

 簡単に言うと、予約して、発売日が今日だから“約束の日”。予約してるから、約束ってね。

 

「今日はね、“ビッグブレイカーズ! デリカシー”の発売日なんだよ! DXで、デリカシー! 新ヒロインと新CGを追加してね!」

 

 いやー、楽しみすぎる! 今日、絶対に捕まるわけにはいかなかった理由の約一割を占めている。

 

「……あー、そう……」

 

「……」

 

 しかし、姉ちゃんはどうでも良さそうな反応。八神はやて司令に至っては反応なし。え、何でそんなにマイノリティ?

 

「どうでもいいけど、早く帰ってきてね。色々収穫もあるから」

 

「うーい」

 

 さて、それでは行こうか! 約束を果たしに。転移してくか。

 

「蒼、転移よろしく。レッツゴー、ミットチルダァァ!」

 

『…………Jud。転移を開始します』

 

 俺の体は光に包まれ、転移を開始した。

 

 そうすると、段々と周りの景色が変わってくる。外の景色からから、中の景色へ。

 

「よし、着いた、着いた」

 

 転移をしたのは、ミットチルダにある、とあるホテルの一室。

 

「さっさと、チェックアウト済ませるか」

 

 なぜ、俺がこんな所にいるのかというと、ゲームの予約には住所とか、そういうのが必要だったのだ。でも、“フッケバイン”と書くわけにはいかないし、迷ったあげく、「旅してることにして、住所をホテルにすればよくね」という結論に至った。ゲーム屋の人には一応、妥協してもらった。だから、ここに泊まっているというわけではなく、仮の住所にしていると言った方がいいか。ここに前来たのなんて、チェックインの時だけだし。それに、管理局も特務六課も、まさかフッケバインがこんな所にいるとは思うまい。それにしてもこのホテル、まるで民宿みたいな雰囲気だったなぁ。ホテルってついてるから、ホテルなんだろうけど

 

「すいませーん、チェックアウトお願いしまーす」

 

「かしこまりました」

 

 全く、テンション上げてないとやっていられない。外見明るそうに振る舞っているが、心中穏やかではない。不安で一杯だ。この先、どうすればいいのかとか。

 

(買って帰って、少し落ち着こう)

 

 俺がゲームを予約したゲーム屋は、ホテルから約5分程度の所にある。このホテルを選んだのも、その近さも理由だったり。

 

 ホテルから出ると、外はもう暗かった。夜か。早くしないと、店閉まっちゃうかも。

 

「おっちゃーん、予約したの買いに来たー」

 

「おお、ダレン君」

 

 このゲーム屋の店主である、おっちゃんが出迎えてくれる。このゲーム屋、この人しか店員いないんだよね。曰く、趣味で始めた店らしい。

 

「あれ、入荷しました?」

 

「もちろん、してある。ちゃんと、限定版を3つだ、ほら」

 

「おお!」

 

 “ビックブレイカーズ! デリカシー”の限定版には、ゲームの原画集、そしてメインヒロイン、クリスティーヌ・ランウェイの2.5等身フィギュアが付属する。ちなみに、この店での予約特典は、ゲームのキャラが描かれたコースター。3つ買ったのは、それぞれ、保存用、観賞用、プレイ用に買ったからである。その分、コースターも多く貰えるしね。

 

「毎度、どうも~」

 

「新しいのが出たら、また来ます」

 

 俺はこの店の常連だったりする。だから、住所の件も妥協してくれたのだろう。この店は品揃えは豊富だし、他の店に無い物も、ここにはある場合が多い。店主の愛が感じられる。本当に好きなんだなぁ。一応言っておくが、この店は別に、恋愛ゲー専門という訳ではない。普通のもある。恋愛ゲーよりは少ないけど。

 

「早く帰って、インストールしよう。楽しみだなぁ、新ヒロイン」

 

 ウキウキと、小躍りしながら夜の町を歩く。ミットチルダは他の世界と比べるとかなり発展している。やっぱり、第一管理世界の名は伊達じゃないね。俺は、ミットチルダの町、それも夜の町を歩くのがかなり好きだ。店に来た帰りは必ずと言って良いほど、歩いている。夜景がきれいだからだ。ただ、今日は管理局のパトカーを多く見かける。何か事件だろうか?赤いランプが町を照らしていた。

 

「指名手配の犯罪者でも見つけたのか? 物騒だなぁ……あれ?」

 

 俺の進行方向には、管理局のパトカーが複数台停止していた。まるで、バリケードを築くように。

 

「うわ、通行止めかな? ここらで、転移するか」

 

 その時、俺の周りをたくさんの光が明るく照らした。なんだ、なんだ? 眩しいぞ!

 

「フッケバイン構成員、ダレン・フォスターを確認!」

 

「区画を封鎖、市民と市街の被害防止を最優先にしろ!」

 

 気がつくと俺の周りには、たくさんの武装した管理局員と、管理局のパトカーがあった。完全に囲まれている。え、何で!?

 

「管理局特務六課です。ダレン・フォスター、あなたを殺人、公務執行妨害等の容疑で拘束します。大人しく投降しなさい!」

 

 目の前でそう叫ぶのは、長髪のオレンジ髪。特務六課ということは、ティアナ・ランスター執務官か! すげー、美人!

 

 俺の今の状態はあまり良くない。両の手に袋に入れた“ビッグブレイカーズ! デリカシー”を持っている。これは傷つけたくはない。

 

(やばいな……それ以前にどうして俺がここにいるのがわかった!?)

 

 俺は知るよしもない。ミットチルダに転移する前の俺の発言から、八神はやて司令によって、ミットチルダの地上部隊とミットチルダにいる特務六課に応援要請がかかっていたことを。もちろん、俺を捕まえるためである。

 

 つまり、俺は自分で逮捕フラグを建てていた。




今までに出た、リアクトのモード紹介

 ダレンのティバイダーをリアクトした時の武器の性能は、その時のモードで決まる(剣鎧装や槍鎧装など)。ただし、武器の形状は決まっておらす、同じモードでも武器の形状はランダムである。(それでも、剣が剣であることには変わりわりはない。ほかのモードも同義)
 そのため、毎回モードが同じでも、同じ武器が出現する訳ではない。その時に出現した武器をどのように扱うかが、課題となる。
 基本、武器は2つで1つである。
 サイファーの病化特性『対鋼破蝕』に耐えられる強度は、一応ある。

モード『剣鎧装(ソードナイト)』

 出現する武器は剣。
 どんな形状でも、銃を撃つ機構は付いている。サイファーのケーニッヒ・リアクテッドと同じように威力はあまり高くない。
 剣を扱うのは、ダレンにとってあまり得意ではないので、そんなに出番はない。

モード『槍鎧装(スピードランサー)』

 出現する武器は槍またランス。
 『翔翼』との相性がかなり良く、ダレンが好んでよく使用するモード。ダレンが最初に使用したモードでもある。
 『剣鎧装』と同様、武器の形状がランスの場合は銃を撃つ機構は付いているが、槍の形状の場合はついていない。こちらも、威力はあまり高くない。 柄のブースターは槍とランス、どちらにも付いている。ブースターで飛ばすことが出来、その時の制御は蒼十字の書が担当する。
 ランスの形状で出現することが多く、槍の形状で出現したのは『槍鎧装』の総使用回数の2割程度。
 『翔翼』とブースターの加速により、高速の突進が可能。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。