貰った特典、死亡フラグ   作:一方逃避

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新たに、もう一日マリとの時間を追加します。

10/27改訂しました。
前編、後編になります。


3話:それは、つかの間の平穏 前編

「なんて素晴らしい朝なんだ」

 

 時刻は7時半。太陽はもう高く登っている。

 

 幸いにも俺は“エクリプスウィルス”で死ぬことはなかった。あれ? 発症ってどんな感じになるんだっけ?

 

(思い出せねぇ……)

 

 なんというか、その記憶だけがなくなっている感じだ。殺戮衝動などは覚えているのに。

 

「んぅ~」

 

 俺の寝ている隣から、声が聞こえた。しかも、なんかもぞもぞ動いている。そういえば、ベッドで寝てたんだっけ……あれ? じゃあ、誰が……。

 

「みにゅ~~~~~」

 

 顔を出したのはマリだった。俺の思考が一瞬止まる。何でいんの? え、添い寝までしてくれたの!?

 

(いやいや、焦ってはならん)

 

 こういう時こそ冷静に朝の挨拶。。よくあるじゃないか、添い寝なんて。慣れてるだろ、……ゲームで。

 

「マリ、お、おはよぅ」

 

「ふぁえ。あ~、ダレンだ~」

 

 そうして、目を擦りながら起きてきた。寝ぼけている。出てきたのは、まずは顔。その次は白いはだ……裸ぁ!?

 

「な、なな、おま……」

 

「どうしたの~? 顔まっか~」

 

 マリは笑っているが、さすがに俺は目をそらす。大丈夫だ、何も見えてはいない!

 

「なんでそっち向くの? 人と話すときは目を見ないと」

 

 そう言って、俺に近づいてくる。後退りするが、ここはベッドの上。限られたスペース。しかも、俺が寝ていたのは壁側なので、すぐに壁にぶつかった。

 

「いや、お前、上半身、上半身!」

 

「何を唐突に…………げ」

 

 やっとお気づきになられましたか~、ってヤバイ! 早くここから脱出しないと!

 

「ふえぇぇぇぇぇ~~!?!?」

 

 叫び声をあげながら、マリは俺に枕投擲3秒前。マリの上を飛び越え、急いで出口へと走る。“翔翼”使うこんな感じかなぁ。

 

 ボフッと枕が俺に当たる。地味に痛い。扉を閉め、寄りかかる。勢い良く閉めすぎたかも。

 

『ダレンの変態~!』

 

「冤罪だ、このやろう!」

 

「あらあら、若い子達は朝から元気ね~」

 

 目の前に立っていたのは、サーシャさん。とてもにこにこしていた。

 

「あ、サーシャさん。おはようございます」

 

「おはよう。どうしたの? そんな、朝起きたら、隣にマリがが寝てて、マリに声をかけたら、寝ぼけて眠い目を擦りながら上半身裸で起きてきて、目をそらしたら逆に近づいてきて、やっと気づいたと思ったら叫ばれて枕を投げられて、変態呼ばわりされた様な顔をして」

 

「サーシャさん」

 

「なぁに?」

 

「見てました?」

 

「もちろん!」

 

 やだ、この人。見てるんなら助けてほしかった。変態呼ばわりされることをした覚えはない!

 

「でも、肌白くて綺麗だったでしょう?」

 

「え、あ綺麗で、じゃなくて! サーシャさんは知ってたんですか? マリがああやって起きてくるのを!」

 

「知ってたわよ。朝がどうなるか昨夜から楽しみだったわ~」

 

 そう言ってすたすたと台所の方へ行ってしまった。ほんと、なにが目的なんだろうか?

 

「でも、綺麗だったのは否定できないな!」

 

 そうだな、見ちゃったものは仕方ない。やましい気持ちなんてない、ないぞ!

 

「なにが綺麗だったのかなぁ? ダァレェン~」

  

「うわっ!」

 

 気がつかなかった。俺の後ろには怒っているというのすら越えているマリが……。あれか阿修羅すら凌駕する存在か。懐かしいなぁ。

 

「この変態! 女の子の着替えを、しかも二回も見ちゃうなんて! 変態! 変態!」

 

「いや、どっちも事故だから! 見ちゃったのは否定しないけど、あと綺麗でした!」

 

「へ、綺麗?」

 

 お、これは許してくれるか?

 

「うん、綺麗だった! かわいい! グッド! ……あ、でも胸ぇっ!」

 

 ドスッ! という音という音をさせて、俺のみぞおちにマリが手を突っ込んだ。

 

「ぱうっ、みぞおち……やめ」

 

「やっぱり、ダレンの変態~~!」

 

 それから10分ほどマリに追いかけられた。結果はマリが転んで涙目になって終了。仲直りはできました。適度な運動の後の朝食はとても美味しかった。あと、サーシャさん達のにこにこ顔がハンパなかった。

 

 

●●

 

 

 う~、ダレンに裸を見られちゃった。上半身だけだから良かったけど、物凄く恥ずかしい……。忘れてた、ダレンが一緒の部屋にいたこと。

 

 綺麗って言われたけど、胸がどうしたのだろう? 反射的にやってしまったけれど……。う~ん、平均的だと思うけど。

 

 でもダレン、寝てるときにうなされていたけど大丈夫かな?

 

 

●●

 

 

「ダレン、こっち~」

 

「お願い、ちょっと待って……」

 

今、俺達がいるのは開墾地の周りの森。俺は何でここにいるのだろう。てっきり、皆の手伝いでもするのかと思っていたのだが。いきなり、遊んでこい、だからなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、朝食を食べ終わった後。

 

「いよっし! レッツ開墾!!」

 

 俺の頭の中には、クワを持って高笑いしている俺のビジョンが。ザックザック、物凄いスピードで畑を耕している。

 

『イヤッハ~ッ! 楽しい~!』

 

 素晴らしいなぁ……。ワクワクしてきた。

 

「そういえば、ダレン君」

 

「はいっ! なんなりとっ! 早速、クワでザックザックですか?」

 

サーシャさんからの呼び掛けに、俺は準備万端をアピール。あとは、クワを持って外へと駆け出していくだけだ! 開墾への熱意は急上昇。

 

「えーと、今日はやらなくていいわよ?」

 

「へ?」

 

 その言葉に、スーっと俺の開墾に対する熱意が冷めていくのを感じた。なんで? やるんじゃないんですか?

 

「ダレン君、昨日倒れてたじゃない。だから、いきなり働くんじゃなくて、

少し体動かして慣らさないとダメよ?」

 

「いや、でも……」

 

「だーめ。アルさんからも言われてるし。マリと少し遊んできなさい。あぁ、若い男女2人きり。アルさんとの昔のことを思い出すわ~」

 

 また始まった。朝食の場でも聞かされた、惚気話。マリはまたか、という顔をしながらも楽しそうに聞いていた。

 

「そういうことで、マリと一緒に遊んできなさい」

 

 遊ぶといっても俺、17歳だし、大人だし。それにしてもマリと2人きりにして危ない、とか思わないのだろうか? まぁ自分、ヘタレですから。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「ええ、いってらっしゃい。マリは玄関にいるわ。エスコートちゃんとね?」

 

「わかりました」

 

 サーシャさんに言われた通り、玄関にマリはいた。左手に何か持ってるけど何だろう?

 

「あ、ダレン来た~」

 

 笑顔で振り返るマリの左手にはギラリと光る鉈が1本。……殺される!?

 

「ひいぃぃぃぃっ!」

 

「ちょっ、どうしたの!? ダレン!」

 

「どうか、お命だけはっ! なにとぞっ!」

 

 土下座をし、拝む。そうか、もしかしたら、裸見られてたのまだ怒ってるのかっ!?

 

「大丈夫だからっ! この鉈は木を切るためだから、ダレンは切らないから!」

 

 良かった。俺は切られずにすむのか。マジで死への危険を感じた。

 

「そうか、なら気を取り直して……。行きましょうか、お嬢さん」

 

 マリにスッと手を差し出す。まるで執事の様に。いや、本物の執事知らないけど。

 

「おっ、お嬢さん?」

 

 マリが驚いた顔をしている。エスコートってこんな感じじゃないの? テレビでよくやってるし。それとも、マドモワゼルの方が良かったのかな? ところで、マドモワゼルって何て意味?

 

「サーシャさんに、エスコートちゃんとしなさい、って言われたからこんな感じかと」

 

「そういうことね。びっくりしたよ~、いきなりこんなことされたから~」

 

 そう言ってマリは俺の差し出した手を握る。これって……

 

「まるで、付き合ってる男女みたいなあぁぁぁぁぁっ!?」

 

 言った瞬間にマリが顔を赤くし、体を回転させる感じで握っている右手をおもいっきり、振りほどいた。そうすると、左手に持っている鉈が襲いかかってくるわけで。

 

「おぅっ! 死ぬかと思った!」

 

 そして、左手からすっぽ抜けた鉈はマリの家に刃が食い込んでいた。ドジッ娘にも程がありすぎるっ!

 

「もうっ! いきなりそんなこと言うからっ!」

 

 俺のせいかよ。まぁ、手を繋ぐ提案をしたのは俺だけど……。危なかった。

 

「まぁ、悪かったと思ってるかも。それより、早く行こう?」

 

 これ以上ここにいると、墓穴を掘りそう。いや、マジで。

 

「どこに行くかわかってる?」

 

「……ごめん、わかんない」

 

 そういえば、聞いてなかった。遊びに行ってこい、って言われただけで。これではエスコートできないな。

 

「もうっ。森で遊ぶついでに薪取りに行くんだよ? それじゃぁ……エスコートよろしくね、ダレン!」

 

 そう言ったマリは、まさに眩しいと言える笑顔だった。ほんと、可愛いなぁ! 左手に鉈を持っていて少し怖かったけど。

 

 

●●

 

 

「ダレン君はちゃとエスコートできるかしら?」

 

 ダレン君とマリの様子を窓から覗く。鉈が飛んできたときには、正直驚いた。

 

「なに、大丈夫だろう。マリのドジッ娘は相変わらずだなぁ!」

 

「もうっ! 笑ってる場合じゃないですよ、アルさん」

 

 今は落ち着いているが、昔はもっとひどかった。歩いては転び、皿を持っては落としていた。でも、一番は……

 

「なに心配するなサーシャ、ダレンならマリのことを守ってくれるかもしれないさ。マリだって……そう思ってる」

 

 私の心配を思ってか、アルさんがそう言う。やっぱり、人の心の変化には敏感な人ね。そこが好きなのだけれど。

 

「そうね。マリが認めたダレン君だものね」

 

 マリはダレン君を見て少し、良い方向へと変わったのかもしれない。




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